つまりは本編が終わります。
巨大化したアスクレピオーズ・アナザーと地上に降りてきたサジット・アポロドラゴンとタイガ達は睨み合っていたが、下から見下ろすアナザーは人間達の強い意志の籠った目を不愉快そうに見て舌打ちした。
「ちぃっ!!!なんなのだ……!!なんなのだ貴様らは!!!愚かで下等な人間の癖に、我とまともに戦う気か!?腹立たしい!!腹立たしい!!!……ムカつくんだよ!!!!!!食い殺してやる!!!」
【させるか!!】
タイガ達に向けられて伸ばされた2頭の大蛇はサジット・アポロドラゴンに押さえ付けられ、さらに顔と腹を殴られて後ろに退くアナザーに、アストリットのゴーレム部隊が抑え込み、タイガを筆頭にアリシア、マイア、イリス、ルー・ルー、グレン、ハリベル達や兵士達が登ってきては、その手に持った武器でアナザーを切り裂いていく。
「ぐああああああっ!!?このっ……!雑魚虫どもがあああああっ!!!!!!」ゴオオオオオオオオッ!!
アナザーが体から放った闇の波動によってタイガ達や兵士達が吹き飛ばされるが、サジット・アポロドラゴンが体を盾にして、仲間達が吹き飛ぶのを阻止するが、アナザーの体はどれだけ切りつけても再生してしまうのであった。
「くそっ……!どうやったら倒せるんだ、あの蛇野郎!?」
「冷静に対処していくしかあるまい。そうすれば。」
「んな、悠長な事言ってる場合か!?いずれは再生する奴の方が勝るんだ。何とかしなければ……!」
仲間達が口々に話す中、タイガはアナザーの様子を見ていると、“ある部分”だけが再生が恐ろしく早い部分を見つけたのだ。
「タイガ、何をしているんだ!早くなんとか」
「いや、アスクレピオーズの人型の胸の辺りが再生が速いんだよ。」
「「「「「人型の、胸の辺り?」」」」」
「ああ、多分だがあの部分に核があって、それを高威力で破壊できれば奴は倒せると思うんだ。ラルク!出来そうか!?」
タイガが尋ねるとサジットとラルクは向き合って頷く。
「サジットの“矢”なら倒せると思う。でも、魔力の消費が激しくて放てるのは2回までしか……。」
「2回……つまり2発しか放てないということか!?」
「嘘でしょ……2発って。」
ラルクの言葉に落ち込む一同だったが、タイガ2刀を手に持つとアナザーの方を向いて首を回す。
「2発か。けど、何も無いよりはかなりマシだな……よっしゃ、やるか!!」
「タイガ!分かってるのか!?2回とも外したら!?」
「なんでやる前から失敗する前提なんだ?もしかしたら2発と当たるかも知れないだろ?とにかくやってみようや!」
タイガがアリシアにそう言うと、アナザーに向かって駆けていくが、その顔は……とても楽しげに笑っていたのであった。その顔を見てグレンが話しかけた。
「何か策があるのか?」
「俺が前に出て奴を引き付ける。その際にみんなには2人のサポートをしてほしいんだ。奴に勘づかれたら終わりだから。かなりヤバイけどな!」
「面白そうだ……。よし、その作戦で行くか!お前らいくぞ!!」
「「「「おおおおおおおっ!!」」」」
「あたしもやるよ。少しは役立つでしょ。」
「俺もいきます!」
【我もいこう!留まらずとも矢は錬成できる!】
「陛下達の楯となりましょう。」
「我々もいこう!」
「あぁ!」
タイガ、グレン、マイア、ラルク、サジット、ハリベル、アリシア、イリスが走り出すのを見て、セレスティンとセラフィーナが立ち上がる。
「私たちもも準備に取りかかりましょう!」
「皆さん、お力をお貸しください!」
「「「「おおおおおおおっ!!」」」」
女神2人の言葉に兵達が剣を掲げて声高らかに返事をすると、アストリット、シュタイン、オリガはゴーレムを用意し始め、ルー・ルーとメル・メル達も大砲などで壊れてない物をかき集め始め、コクとクラウディアはセレスティン達の警護をしていた。
「群れなければ何も出来ん羽虫どもが!我に勝てると思うな!」
アナザーは魔方陣を幾つも地面に召還すると、そこから尖った岩の槍を隆起させてタイガ達を襲う。すると、皆が武装色の覇気で武器を強化すると、隆起してきた岩を粉砕していき、サジットはアナザーへと向かっていく。
【アスクレピオーズ!貴様から受けた屈辱、今晴らす!】
「ほざけ!馬蜥蜴が!!!」
空に魔方陣を作り出したアナザーがサジットに向かって魔力の砲撃を放っていくが、サジットはそれを軽々と避けていく。そして、寸前まで近付くと口から火炎放射を放つと、その高熱に耐えかねたアナザーが離れていく。
「くっ!?おのれ!」
「俺達を!!」「忘れるな!!」
アナザー、そこには白い獅子に変わったグレンと白い巨人に変わったハリベルがおり、グレンからは爪と牙を受け、ハリベルからは水を纏った剣を受けた事で傷を作るが、まだ攻撃は終わってなかった。
遠くからはゴーレムや砲撃を放たれており、アナザーはそれを弾き返していると、
「アリシア、イリス、合わせてくれ!」
「「分かった!」」
「なにっ!?」
「「「はああっ!!」」」ズバッ!!
「ぐぅっ!!?」
3人からの斬撃を受けたアナザーは痛みに怯むが、辺りを見渡すとサジットの姿がなく、正面を見るとセレスティン達のいる辺りからこちらに向かっている。
そして、弓と矢を具現化するとそれは赤い炎の魔力を纏い、そして……アナザーに向かって放たれる。アナザーは直感的に逃げようとしたが、ゴーレムや魔力の鎖や非力ながらもタイガやアリシア達が全員で抑えて動きを止めていた。
「なっ!?きさまら!!?」
「「「「「「「行けえええええええええええええええええっ!!!!!」」」」」」」
【はああっ!!】
タイガ達に気を取られていたアナザーに向かって放たれた2本の矢。その矢はアナザーの頭と心臓を貫通して、そこにあった紫の核を粉々に破壊し、それによってアナザーの体は白く石のようになってボロボロに崩れていく。
「そ、そんな……人間、如きに……この、我が……真の神たる我が……!!!ああああああ……っ!!」
断末魔を挙げて消えていくアスクレピオーズ・アナザー、その体の灰は天に登っていき、その灰が消えた後には美しいバイオレットの花の結晶が現れ、セレスティンの手の中に収まったのであった。
戦いはこれで終わったのであった……。
◆◆◆
戦いが終わり、傷付いたセレヌス大陸や首都の復興などをしていたが、アルファディオスの民はアスクレピオーズ・アナザーの贄となってほとんどが残っておらず、それを見ていたラルクは涙を流した。
しかし、その中で捕らえていたラドミラだが殺されたくない余りに、タイガやラルクにすがり付いたのでしばらくはラルクの監視の下で生活することになり、ラドミラは大人しくなったらしい。
ちなみにセレスティンが手に取ったバイオレットの花の結晶は、どうやらどんな願いでも叶える事ができるらしく、転移もできる代物で過去に帰れるらしい。
「本当に帰ってしまうんですね。」
「あぁ、セレスティン様とセラフィーナさんが話してたよ。」
美しい満月を見ながら話をするラルクとタイガ。2人は今、皆が寝静まった後のコテージにて話をしていた。
「色々大変だろうが、正直助かったよ。ありがとうな。」
「こちらこそ、色々迷惑をかけてしまいました……お祖父さま。」
「そのお祖父さまってのは止めてくれ。背中がむず痒い。」
ラルクはタイガの孫であったのだ、そんなラルクが何故タイガを恨んでいたかというと、彼の誰彼構わず助けてしまう所に、勘違いした者達が多くいてそれらを捌くのに苦労したとのことで恨んでいたらしい。
お人好しの弊害である。
「今後は気を付けてくださいね?」
「はい。ごめんなさい。」
夜が更ける中でラルクが先に部屋へ戻ると、飛鳥が現れた。
「よぉ、タイガ。」
「飛鳥、今回は安心院って人のお陰で助かったよ。」
「あいつに会ったのか、何か言ってたか?」
「さぁな……ほら、ソウルカード。これがあれば世界は元に戻るんだろう?」
「あぁ……。俺は仕事があるから先に行ってるぞ。世界を救ってくれてありがとう、タイガ。」
飛鳥がそう言うと、光となって消えるとタイガも眠ることにしたのであった……。
◆◆◆
翌朝、タイガ達はセレスティン達と共にセラフィーナ達と顔合わせをしていた。
「セレスティン様、この度はありがとうございました。またいつかお会いしたいです。」
「私もです、セラフィーナさん。」
「イリス、達者でな。」
「アリシアとプリムもな。」
「はい!」
「コハクさん、弟さんを大切になさってください。」
「カグヤ殿もお体を大切に。」
「うわあーーーーん!ばあちゃーーーん!!」
「メル・メルーーー!!ざびじいよーーー!!」
「全く締まりゃしない……アストリット、元気でね。」
「マイアもね。」
「王と共に善き善政を敷いてください、エレオノーラさん。」
「クラウディア様もお元気で。」
「オリガ姉様、クロエ。お元気で。」
「達者でな、ミスティ。」
「オリガ様の事はお任せを。」
それぞれが挨拶をしている中、タイガはラルクと別れの挨拶をしていた。
「ラルク、世話になった。」
「タイガさん、いいえ、お祖父さま。お元気で。」
「だから止めろって。んじゃ、またいつか会おうな!!」
タイガ達はそう言うと過去へと帰っていき、空には虹が掛かっていたのであった……。
FIN
次回、後日談。