タイガが女海賊オリヴィアとの戦闘を終えた日から、タイガの事は海軍の中で噂になり始めていた。
王国近海で暴れる3大海賊の1人であり、“蛮娼”の通り名を持つオリヴィアに勝利したタイガは、戦闘力も然ることながら人と上手く付き合うことに長けており、他の海兵達とも早くに打ち解けていった。
アリシアも同じ女性の軍人という事もあってか、凛々しい佇まいから、アリシアお姉様と女海兵達から呼ばれている。
そして2人は新兵から准尉になり、新しい仕事に就いていたのだが……。
「なぁアリシア。」
「なんだ、どうかしたかタイガ?」
「書類がかったるい。」
「真面目にやれ、これも大切な仕事だ。」
書類の整理をしているタイガとアリシア、しかしタイガはぐでっとしており、やる気が起きていない様子である。
「出撃がないのが退屈で仕方ないし、何よりずっと座ってんのがしんどい!」
「子供みたいな駄々をこねるな。私達は国に属しているんだ。呼ばれるまで動くわけにはいかない。」
「それはまぁ、分かってるんだけどなぁ。」
「ところで、タイガ。書類はどこまで終わったんだ?」
「あぁ、一応終わったから確認頼む。」
タイガは終わった書類を、アリシアに見せる。
「……ふむ、間違ってる所は特に無いか。やれば出来るんだから、駄々などこねるんじゃない。」
「あぁ、分かったよ。けどやっぱり退屈だ。」
タイガとアリシアが平和な時間を過ごしていた時。
「タイガ!アリシア!ここにいたか!」
「ミレイユさん?どうかしたのか?」
「何かあったのか?ミレイユ殿。」
慌てた様子で部屋を駆け込んできたミレイユ。そんな彼女にタイガとアリシアが尋ねる。
するとミレイユが、肩で息をしながら答えた。
「外に、蛮娼のオリヴィアが向かってきていると兵から連絡があった。何でもタイガを出せと言っているらしいんだ。」
「蛮娼のオリヴィアって、この前のか。てか、なんの用だろ?行ってみるか。」
「あ!タイガ、1人で行くな!」
好奇心で動くタイガに、アリシアとミレイユは後を追って軍港に向かうと、そこには自身の船から降り、腕を組んで睨みを利かせているオリヴィアの姿があり、船には彼女の部下達が乗っていた。
軍港には他にも海兵達が警戒のために待機しており、騒動が起きてもおかしくない空気に包まれている。
「雑魚に用はないんだよ。あたしが用があるのはアイツだけさ。」
「何の騒ぎだこれ?」
「っ!来たか!」
タイガを見たオリヴィアは、好戦的な笑みを浮かべる。
「よ、なんか用か赤い人。」
「この野郎、この間は勝ち逃げなんてナメた真似してくれたな。あたしの船までボロボロにしてくれたお礼をしにきたんだよ。」
「あ、結構です。お帰りください。」
「ナメてんのかてめぇコラァ!!!まぁいいさ、タイガって言ったね。あんた、あたしとサシで勝負しな。あたしが負けたらおとなしく捕まってやるよ。ただし、アンタが負けたら首をもらうよ。」
「う〜ん……良いぞ。」
「「タイガ!!?」」
あっけからんとした様子で返事をするタイガに、アリシアとミレイユは驚いてしまう。
果たしてタイガは、オリヴィアに勝てるのだろうか……。
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