待っていた方々、申し訳ありませんが宜しくお願い致します。
あと、少し遅くなりますが、宜しくお願い致します。
プロローグ 終わりと始まり。
ーー……薄暗く、怪しく光る月に喰われた太陽が照らす人の顔の形をした岩が多くある異形の地。
この世の物とは思えないその場所、そこは薄暗い空と人の顔をした岩で埋め尽くされており、その血には真っ赤な血溜まりと無惨に食い殺された人々の躯が転がっている。
そんな地獄など生温く感じるような地を、首筋に烙印のある1人の青年、タイガが手に剣を持って、フラフラと歩いていた。
「はぁ……はぁ……。」
肩で息をし、血塗れになりながら握るその剣には、赤黒い血がベットリと着いており、彼の足下には彼の仲間だった者達の亡骸だった。
彼は躯となった仲間……鷹の団の団員達を見ながら、持っている剣に力を入れ、さらに歯軋りをすると口元から血を滴らせる。
「くそ……!」
青年はその場から駆け出した。まだ生き残っている者を探していたが、そこに彼に迫る巨大な異形の怪物、"使徒"が3体襲い掛かってきた。
「どけテメェらァァァ!!!」
彼は手に持つ剣を奮って使徒達を斬り、貫き、穿つ。そして肉塊となった使徒達を踏みつけて走り出す。そして、青年は使徒達を剣で戦い、倒している幼なじみである青年"ガッツ"を見つけた。
「っ!ガッツ!!」
「っ……タイガ!無事か!?」
「まぁな……けど、みんな……!!」
再会を喜ぶ2人に使徒の大群が迫り来る。タイガとガッツは背中合わせになって、その大群を切り伏せていく。
満身創痍になりながら、いつ倒れても可笑しくない程に疲労し、傷を負った2人の剣士が怪物の群れを倒していく。
しかし、その中でタイガ達は使徒によって鎧を裂かれ、裸体を晒し、辱しめられている女性を見つけた。鷹の団の女戦士であり、2人の大切な仲間であるキャスカだった。
「!!!?!?」
「!!!!!!」
2人は叫んだ。人の声とは思えぬ怒号を挙げて。
使徒どもに斬りかかり、彼女を助けようとする。しかし、使徒達はそれを嘲笑うかのように2人の行く手を塞ぎ、彼女を嬲る。
そして、タイガが足を噛み潰され、ガッツも左腕を噛み潰されてしまった。しかし、その時だった。
「離しやがれぇぇぇ!!!」
タイガは自らの脚を斬り捨てて、その脚に食らいついている使徒の顔に剣を突き立てると、彼は残った片足で使徒を踏みつけ、襲い来る使徒を切りながらキャスカに近付き、腰に差しているもう一本の剣で使徒の触手を切る。
「キャスカ!!」
落下するキャスカを抱き抱え、使徒の顔を台にして翔ぶとガッツの左腕に食らいついている使徒にナイフを投げると、タイガは彼女を庇うように抱えると背中を強く叩き付けてしまう。
「がはっ!?」
「タイガ!!?うおらぁぁぁ!!」
ガッツは左腕を自ら切り落とすと、2人に駆け寄った。
「タイガ!!キャスカ!!」
「はぁ……はぁ……!!ガッツ、キャスカを抱いてろ!離すんじゃねぇぞ!?」
タイガはそう言い放ち、剣を支えに立ち上がる。
周囲には無数の使徒、対してこちらは満身創痍の3人。
そして、そんな使徒の主である、4人のゴッド・ハンドと新しく産まれてしまった5人目の主、フェムトがタイガ達を見下ろす。
まさに絶望的は状況。しかし、そんな状況でタイガの中にはある感情が沸き上がり、顔を押さえて声を挙げて笑い出した。
「くく……くくく……ふふふ!はははははは!!」
「た、タイガ!?どうした!!しっかりしろよ!?」
突然、狂ったよう笑い出したタイガに、ガッツは目を白黒させた。しばらくクスクス笑う彼を見ていた。
「はははははは……わ、悪いなガッツ。この状況、まさに最悪だなぁって思ってよ。」
「タイガ……?」
「こうなる前は、みんなとバカやって、お前がキャスカと結ばれて、グリフィスが王様になる事を考えてた。けど、こうなっちまうなんてな……本当、妙な人生だなぁ!!」
今までの人生、それを嘲笑気味に言うタイガ。
しかし、その目には強い意思が宿っており、グリフィスを……ゴッドハンドのフェムトをじっと見据えている中、タイガはガッツにある袋を渡した。
「ガッツ、これを持ってキャスカを連れていくんだ。それで、俺がこれを投げたら全速力で逃げろ。」
「何だこれは……?」
ガッツはタイガが手に持っていた毬栗のような物を見て、首を傾げる。
「ちょいとしたオモチャだ。その袋には同じものが入ってる。良いか?"投げたら走れよ"?……行くぞ!!」
タイガはそう言うと毬栗のような物についていた細い縄に火を着けると、使徒達の方へと投げた。
すると、その毬栗のような物は凄まじい爆音と共に爆裂し、使徒の頭を吹き飛ばす。その光景に使徒達やガッツも驚いていたが、タイガはガッツの尻を思い切り蹴り飛ばした。
「早く行け!!!止まるな!!!」
「っ!!!?」
タイガの叫びにガッツはハッとすると、全速力で駆け出し、走り去っていった。使徒達がその後を追おうとした時、タイガはさらに毬栗のような物……炸裂弾を使徒たちに向かって投げる。
その爆発によって、使徒の何体かが負傷するとタイガの首を剣で切り裂き、絶命させて使徒達の前に立つ。
「おいおい、無視するなよ?てめぇらの相手は……この俺だぜ?」
タイガの挑発的な笑みに使徒達は喉を鳴らしながら、彼を睨み付けるが、タイガは唾を吐き捨てて言い放つ。
「……とっととかかってきやがれ!!!生ゴミ共が!!」
「「「うおぉぉぉぉぉぉ!!」」」
タイガの言葉に使徒達が一斉に襲い掛かり、タイガはその全てを切り伏せていく。
時には使徒の口の中に炸裂弾を入れて頭を爆裂させたり、使徒同士をぶつけさせてまとめて切り伏せるなどするが、数の暴力にタイガも押され始めていた。
そんな中、彼の背後にフェムトがゆっくりと降り立ち、その胸を拳が貫いた。
「っ……!?ぐぶっ!?ぐ……グリフィ、ス……お……ま、え……?!」
「……。」
無表情で自身の腹を貫く、かつての仲間である彼を見て、タイガは苦笑しながら涙を流す。
「これで……満足、か……?だとしたら……てめぇは、虚しいな……仲間の命、よりも……大切な、夢なんて……グリフィ…―――。」
タイガは、フェムトのかつての人間だった頃の名前を呟き、その顔を撫でるとだらりと腕を下ろして絶命した……。
~~~。
タイガSide
全てが終わった……。
何もない真っ白な空間、その中を俺は漂っていた。
俺は黒瀬大雅。どこにでもいる高校生だった。
元は、ベルセルクの世界の住人ではなく、転生者と呼ばれる者である。俺は生前にベルセルクのマンガを読んでいた。
俺は生前は親から捨てられ、新しい親に拾われたがそこでも虐待を受け居場所が無く、施設で保護されたがそこで俺は様々なマンガに出会い、そこからは多くのマンガ読むようになり、そこでベルセルクに出会った。
しかしベルセルク最新刊を買って帰り、それを見て寝落ちしてしまい、目が覚めると俺はベルセルクの世界に転生しており、気付けばガッツの幼なじみの人物"タイガ"となっていた。
最初は戸惑ったが、俺はガッツと共に多くの戦場を進みながら、仲間だと思っていた男の団員に犯されたりなどしたが、フェムト……グリフィス達鷹の団と出逢い、多くの戦に勝利していき、ゾッドとの戦いにも勝ち残った。
そんな中、色々なトラブルを乗り越え何とか蝕を起こさないように奮闘していたが、実際に蝕は起こり、仲間達は助けることが出来なかった……。
「(もう良いんだ……このまま地獄に落ちよう。そうすれば、きっと、気も楽に……。)」
このまま溶けていく感覚を覚えながらも、俺は残されたガッツとキャスカ、そしてリッケルトの無事を信じていた。
「(あぁ……溶けていく。身体が溶けて、どこかに流れていくのがよく分かる。このまま眠ったら……俺は終われるのかな……。)」
そして、最後に残った意識が消えそうになった瞬間、何か光のような物を感じ、その先に手を伸ばした。
「(いやだ……終わりたくない。俺はまだ!――)」
すると、温かく安心する感覚の光に包まれる感覚になる。何処だか分からないが、俺はフワフワと浮いている。まるで空を飛んでいるようだった。
すると、突然何かに押される感覚に襲われた。
「(な、何だ!?今のは……って、うわぁぁぁぁ!?)」
力一杯押し出され、眩しい光を受けた時、空気を感じた俺は大きく呼吸し、声を出した。
「オギャアァァァァ!!オギャアァァァァ!!」
「あぁ……!クラウディア様!生まれました、元気な男の子!男の子ですよ!」
「本当……なの……?!あぁ、お願い……!顔を、顔を見せて……!」
全く状況が分からなかったが、良く見ると俺は小さくなっており、しかも裸でいる。その上、知らない女の人に優しく抱き締められた。
周りでは、泣きながら喜んでいる人達がいた。
「あぁ……産まれてきてくれた……!ありがとう……!」
俺は泣きながら見下ろす女の人……。
そして、この状況……まさか、また転生したのか!?
俺は再び転生したという事に驚き声を挙げようとしたが、出てきたのは赤ん坊の泣き声だった。
すると、母親らしき人は俺を強く優しく抱きしめてこういった。
「あなたは私が護るからね……タイガ。」
「(タイガ……前と同じ名前だけど、なんだろう、とても暖かい。)」