「はぁ!!」
ザンッ!ズバァッ!ズババッ!
「「「ぐあぁぁぁぁっ!!?」」」
タイガは秋水を使い敵を切り伏せながら、確実に数を減らしていっていた。そして、再び前進しよう足を進めた時、何かを感じ取った。
「っ!?(何か来る?)」
「「「うわぁぁぁぁぁっ!?」」」
「っ!?」
タイガは聞こえてきた悲鳴の方を向くと、そこには黒く焼けた味方や敵の魔物の姿があり、その中央には細い棒の杖を持ち、容姿の整った長い黒髪を纏めている半裸の少年と黒い鷹の面を着けた男が立っていた。
「ったく。どいつもこいつも弱ぇな、雑魚共が。「おい。」あ?」
タイガが話し掛けると、少年は彼の方を見た。
「お前がタイガか?」
「だったら?ってか、これはお前がやったのか?」
「だったらなんだよ?悪いか?」
特に悪びれる様子もなく答える少年にタイガはため息を吐くと、頭を掻きながら質問した。
「お前、名前は?」
「俺か?俺は"ジュダル"。お前を殺すように言われてきた。コイツの事は知らねぇがな。」
「(ジュダル?こいつも何かの漫画の奴か。それにしてもあの隣の奴はいったい……)敵ってことなら容赦はしないぞ?」
「何だよ?まさか殺られた仲間の仇とか言わねぇよな?そんな寒い事……!?」
ジュダルは殺気を感じて咄嗟に空に逃げる。
下を見てみると、自分のいた場所には秋水とレイピアを抜いて自分に斬りかかったタイガがおり、自分の頬が切られた事に気付いた。
「てめぇ……!」
「何だよ?顔傷つけられたのは初めてか?なら、安心しろ。顔の傷なんて気にしてられなくしてやるからよ。」
「良いぜ、やってやるよ……!」
ジュダルは杖を構え、タイガも秋水を構えてジュダルを見据える。
そんな様子を、黒い鷹の面を着けた男は黙って見ていた。
「はぁ!」
ズバッ!
「ぐあぁぁぁぁっ!?」
タイガがジュダルとの戦いを始めようとしていた頃、アリシアは迫ってきていた異形の魔物"ラミア"を切り捨てると、辺りを警戒しながら一呼吸置く。
「ふぅ……敵はかなり片付いたな。はぁ!」
「そうだね。あの馬鹿は大丈夫かね?せいや!」
ズバッ!ザンッ!
アリシアとマイアは味方を助けつつ、魔物や敵兵を倒しながらも合流した。そんな中で、マイアは先攻したタイガの事を小馬鹿にしながらも心配するように呟く。
すると、アリシアが微笑んだ。
「……何さ?」
「いや、貴女もタイガの事が大切なのだな。と思ってな。」
「ま、まぁね。あんな戦馬鹿の剣馬鹿、無茶しかねないし。」
「分かった分かった。慌てなくても良い。何となく分かったからな。」
戦場とは思えない和やかな空気で話す2人。その様子はどこか楽しげであった。
2人はタイガとの行為の後は仲良くなり、様々な話をするようになり、たまにプリムを交えてお茶もしたりしている。
「はぁ~……まぁ今は戦してるんだし、話しはまた後……?!お姫さん、危ない!?」
「きゃ!?」
マイアは何かが迫ってくるのを感じ取り、アリシアを突き飛ばして自分も避けると、自分達の下に落ちてきた者を警戒する。
アリシアも何とか体勢を立て直して、同じように落ちてきた者を剣を構えて警戒する。
そんな中、落ちてきた者はゆっくりと起き上がると首をコキコキと鳴らす。
「あ"~……あの野郎、結構強ぇじゃねぇか。痛てて、あ~首痛ぇ。ん?」
落ちてきた者、ジュダルはアリシアとマイア、そして兵士達を見ると首を傾げる。
「なんだお前ら?奴の仲間か?」
「奴って誰?てか、あんた誰?」
「俺か?俺は……あぁいいや。これから死ぬ奴等に名乗っても仕方ねぇか?」
ジュダルはそう言うとアリシアに杖を向ける。すると、杖の先端からバチバチという音と稲光が起こるのを見た瞬間、アリシアは動けず戸惑っていた。
「じゃあな。弱そうな姫様。」
「っ!?」
その言葉にアリシアは剣で防ごうとしたが、それよりもジュダルの方が早かった。
「
「っ!?」
ジュダルの杖から電撃が放たれ、アリシアは目を瞑るが電撃は何時までも襲って来ず、目を開くとそこにはタイガが武装色を纏った両腕で電撃を防いでいた。
「くぅっ!?」
「た、タイガ!?」
「うぅぅ……うぉぉぉらぁぁぁぁ!!」
タイガが電撃を空に弾き飛ばしたのを見て、ジュダルは驚きながらも、やれやれといった様子でため息を吐いた。
「はぁ、はぁ……!痛てて、かなり痺れたぁ。」
「……おいおい、無茶苦茶も良いところだな。電撃をそんな腕で防ぐとか。」
「そうでもないぞ?どうやら、お前には剣よりも"こっち"の方が相性が良いみたいだ。」
そう言って拳をぶつけながら言うタイガ。その目には闘志が宿っていた。
その目を見たジュダルは、ふぅ、とため息を吐いて空に飛び上がる。
「止~めた。」
「は?」
「お前と戦うのには、今の戦力じゃ足りないって分かったよ。だから帰る。」
「はぁ!?ふざけんなよ、逃がすと「まぁでも。」あ?」
ジュダルはそう言うと、杖を持った右手を高々とか掲げる。
「何人か消しとかないとヤバイよな……!」
「……まさか!?お前ら逃げろ!!」
タイガは咄嗟に秋水を抜き、それと同時にジュダルは周囲に氷の槍を魔術で産み出して、杖を振り下ろす。
「
「紅蓮龍巻ィィィィ!!!」
炎と風を合わせた刃の渦と氷の槍がぶつかり合い、氷の槍の破片が辺りに散らばる。
「ちぃっ!?やるじゃねぇか、この野郎。」
「あんたも結構……!?」
タイガは背後から迫っていた鷹の面を着けた男の一撃を止めると、その男の方に目を向けた。
「へぇ、カットラスか。珍しい物持ってるな?(そう言えば、アイツも同じ得物を使ってたな。)」
「……。」
男は鍔迫り合いをしていない右側の腕からナイフを抜くと、タイガに向けて放つ。
これを辛うじて躱すタイガだったが、その見て男はもう一本のカットラスを抜くと彼と肉薄する。
そんな中、カットラス2本を振り抜いて背中を向けてスキができた瞬間に、ナイフが飛んできてタイガは後ろに飛び退くとそのあとを追って2刀で攻め込んで来る。
そんな彼にタイガは内心舌打ちをした。
「(コイツ、凄いやり辛い!?このタイミングをずらしてナイフ投げて来たり、この攻め方……それ以上にこの面!?嫌味かっての!?)」
「どうした?顔色が悪いぜ?」
「!?へぇ喋れたのか?意外だな。」
鍔迫り合いをしながら、タイガは語り掛けてきた男を話を静かに聞いていた。
「生憎と人形じゃないんでな。しっかしこうしてると、昔を思い出すな?あの頃の事。」
「あの頃?お前いったい誰だ?」
「ったく、仲間の声を聞き忘れたのかよ。タイガ。」
「っ!?」
タイガは咄嗟に距離を取ると、男の被っていた面を縦に一閃する。すると、男はケラケラ笑いながら口を開き始めた。
「おいおい、あぶねぇな。あと少し力入れられてたら頭やられてたぞ?」
「何で……」
「ん?おい、どうした?俺の顔を忘れたのか?」
男の声を聞いて、嘘だと思いたかった。
信じたくなかった。
しかしタイガは歯を食いしばって、目の前にいる彼を見て叫んだ。
「何でお前がいるんだ……ジュドー!!!」
嘗ての仲間の登場で、タイガはどうなることやら?