ある時の魂の平原、そこでは飛鳥が茶を飲みながらなにか面白い事はないかと考え込んでいた。
最近は碌な転生者がおらず、どんな世界も見慣れてしまった為に退屈していた。
「はぁ。なにか面白い事はないかなぁ?ん?」
そんな事を呟いた飛鳥がたまたまタイガ達が戦っている場面が映っている水晶を覗き、それを見て感心していた。
「ほう?中々やるじゃないか。彼もだいぶ強くなったみたいだし、これなら……ん?そうだ!」
何かを思いついた飛鳥は目の前で戦っているタイガに向かって、何かを書き込んだのであった。
〜〜〜
その頃、タイガは近隣の村々を襲い、その村から子供を攫い儀式の贄にしようとする呪術師達がいるという話を聞き、セレスティンから許可を貰い、攫われた子供たちを助けるために呪術師達の下に向かい、戦闘を行っていた。
「猛虎獣烈覇!」ゴオォォォォ!!
「「「うわあぁぁぁぁぁ!?」」」
「ふっ!!」ザンッ!ザンッ!
「ぐぁっ!?」「あがっ!?」
タイガ達は抵抗してきた呪術師達、その数およそ50人を相手を倒している兵士達が子供たちを全員助けたという合図の旗を上げたのを見て、ジュドーが頷いた。
「タイガ!子供達は全員助けたぞ!俺たちも行くぞ!」
「分かった!」
そう言って秋水を鞘に収めて、後ろを向いた時、背後からゆっくりとまだ息のある呪術師の1人が起き上がった。
「お、おの、れ……白き女神の下僕共が!」
「あ?まだ息があるのか。タフだなぁ、お前?」
「貴様ら、許さん……ぞ。誰か1人でも道連れにぃぃぃぃ!!」
呪術師の男がタイガに向かって駆け出すと、タイガは秋水で一閃し男の首を刎ね飛ばした。
すると、男の身体が一瞬だけ強く光るがすぐに止んだ。
「タイガ、大丈夫か?」
「あぁ、何ともない。それより首を洗って弔うぞ。身体は土に埋める。」
「あいよ。」
その後タイガ達は彼らの墓を作った後にアルファディオスに帰ったが、その夜にタイガは凄まじい疲労感に襲われたのだった。
「うっ……なんだ、これは?目眩が酷い上に頭もガンガンする……!くそっ、今日はもう寝る、か……。」
タイガは倒れるようにベッドに寝転がると、死んだように眠りについたのであったが、タイガが眠りについた中で彼の身体にある異変が起きていたのだが、それは誰も知る由が無かった……。
ーーー。
ーー。
ー。
翌朝、朝日が昇り窓から光が差し込む中、メイド姿のクロエがタイガを起こしに部屋まで向かった。
「おい、タイガ。起きているか?朝だぞ、起きろ。」
扉をノックして呼び掛けるが、タイガから返答はなく静かなままであった。クロエはもう一度扉をノックした。
「おいタイガ。さっさと起きないか。起きないなら開けるぞ?」
そう言って扉を開けた時、ベッドの上でモゾモゾと動いているモノを見つけて歩み寄る。
「おい、タイガ。さっさと起きろ。クラウディア達が待ってるんだ、ぞ……?」
そう言って布団を剥がしたクロエ。しかし、その視線の先には5〜6歳くらいの子供が眠っていたのであった。
「何だこいつは?おい、起きろお前。」
クロエはその子供を見て首を傾げていたが、子どもの身体を揺さぶると、その子はゆっくりと目を覚ました。
「うっ……ここ、どこ?お姉ちゃん誰?」
「その質問の前に答えろ。お前はどこの誰だ?」
「僕は、その、たいが……です。」
「……………は?」
クロエはタイガと名乗った男の子に対して、開いた口が塞がらなかった。彼は眠っている間に身体が縮んでしまい、精神までも子供になってしまったのだ。
ーーー。
ーー。
ー。
「んで?本当にこのちっこいのがタイガなわけ?」
軍議の席、セレスティンら主要な面々が揃っている中でクロエの手を握っている幼い子供になってしまったタイガに、全員が目を向ける。ちなみにタイガの現状を知ったクラウディアは卒倒してしまったので、席を外している。
「あぁ、そうらしい。陛下によれば複雑な呪術で、記憶も無くしていて精神も子供になってる。それでも2、3日で戻るらしい。」
「それは良かったが……」
「っ!」
「「「「(か、可愛い……!)」」」」
目を潤ませながら、クロエの背後に隠れたタイガを見て、アリシア達は内心そう呟く。すると、ルー・ルーとプリムが席を立ってタイガに近付いた。
「兄ちゃん?ははっ!ちっちゃ〜い!ボクやプリムより小さいよ!」
「本当ですね。なんだか弟が出来たって感じです。」
そんな様子を微笑ましく見ていたセレスティンは、ハッと我に返り、軽く咳払いをする。
「こほん。それにしても、まさかタイガくんがこんな事になるとは。」
「確かに、ねぇ?こんなにちっこくなってて、精神まで子供ってねぇ?」
「ひっ!?」
マイアが手を伸ばすと、その手を見てタイガは怯えたように身体を震わせると、机の下に隠れた。それを見て全員が驚いた顔をする。
このタイガは精神が幼い頃の"黒瀬大雅"に戻っており、幼い頃の恐怖心が露わになっているのだ。
「あれ?あたし、なんかした?」
「タイガ、さん?」
「こんなに怖がってる兄ちゃん、初めて見た。大っきい時は怖い物なんて無さそうなのに。」
皆がそれぞれ、驚きで各々が口を開く中でセレスティンは席を立つと、タイガの前に膝を折ると優しく微笑んで手を伸ばした。
「っ!?」
「怖がらないで大丈夫ですよ。私達はあなたを傷付けません。」
「ほん、と……?」
「えぇ。」
セレスティンの優しい声にタイガは恐る恐る手を伸ばすと、ゆっくりと机の下から出てきたが、すぐにセレスティンの影に隠れてしまう。
その後、軍議は解散したが小さくなったタイガはセレスティンが預かる事になった。(この際、アリシアとマイアらから批判があったが、セレスティンが反論を許さなかった。)
ちなみにタイガにセレスティンは自身を、セレスお姉ちゃんと呼ばせており、周りには新しい小間使いとして入った子供と話している。
「セレス、お姉ちゃん。」
「はい、どうしましたか?」
「その、なにか、お手伝いしたい、です。」
「ふふっ、ありがとうございます。ではお水をこのコップに入れてください。」
「はい!」
一生懸命に手伝いをするタイガを見て、セレスティンは優しく微笑む。
「(可愛い……必死にお手伝いして、なんて可愛いのでしょう。)」
必死に動くタイガを見ながらセレスティンは微笑むと、本人は知らずしらずの内に舌なめずりをしていた。大人の姿とは違う精神まで子供になってしまったタイガに、セレスティンは慈愛とはまた違うモノを感じていた。
すると、セレスティンはある事を思い付いた。
次回はリクエストをやりたいと思います。