セレヌス大陸の北西にある森林。
そこに、1つの黒い渦が現れ、周囲にいた小動物達は逃げ出していき、その渦から白い服を着た一人の少年が現れた。
「ここが"黒獣"の世界か。さて、この世界にいる転生者をどうやって倒そうかな。管理者が出張ら無いようにコソコソとやっていきますか。」
少年はそう言うと、何処かへと歩いて行こうとした時、彼の目の前に巨大な2回りも巨大な身体をした魔物オーガが3体現れた。
そのどれもがグルルッと喉を鳴らしているが、少年は全く意に介しておらず、そのまま無視して歩きだそうとした。
すると、プライドを刺激されたオーガ達は彼に襲い掛かったが、少年が指をパチンっと鳴らすとオーガ達はその場にまるで"糸に縛られた"様に固定されてしまう。
戸惑うオーガ達を他所に、少年は懐から黒い刀を取り出すとオーガ達をバラバラに切り裂く。
「……」
物言わぬ肉と成り果てたオーガ達を、無視して少年は何処かへと進んでいった……。
〜〜〜
クラウディアSide
「(タイガ……。)」
私はクラウディア・レーヴァンタインと申します。このオスティア大陸に存在する女神セレスティン様の近衛騎士をさせてもらっている者です。
私は今、旅に出た息子のタイガの帰りを待っている所です。息子が旅に出てからは胸が締め付けられる感覚に襲われ、雨の日も風の強く吹く日も、1日でも早く帰ってこないかと待っていました。
そして、約束の期間になり、私は息子の帰りを待っていました。
「クラウディア。」
「あなた……。」
門で待っていた私に後ろから、夫であるクラウスが優しく声をかけて来ました。
「タイガが心配なのは、私も同じだ。でも今は休んだ方が良い。」
「すみません。でも、どうしても心配になってしまって。」
「クラウディア……ん?あれは。」
夫が遠くに人影を見つけ、私もその人物の方に目を向けるとそこには待ちわびた息子の姿が見えてきました。
そこには、少し雰囲気が変わり髪も伸びた逞しい身体になったタイガがいました。
「タイガ……!」
私は息子の……タイガの方へと走り出していき、近付くと思い切り息子を抱き締めました。
「んぐっ!?は、母様……ただいま帰りました。」
「お帰り、お帰りなさいタイガ……!」
無事に帰って来た息子を離すまいと、私は息子を強く抱き締めた……。
クラウディア達に迎えられ、帰宅したタイガ。
彼はこの1年と半年間、飛鳥の作った空間で死に物狂いで生き延びていた。
その中で彼が得たスキルも、成長していき新たなスキルや技を獲得していき、さらに飛鳥の使用した空間を使えるようになり、いつでも修行が出来るようになったが多用はしない事を条件に渡されたのだ。
多用しすぎれば、今度は身体が崩れるとのことらしい。
だから使用するにしても、2日=4年分使用したら5日は使用しないようにと言われた。
そんな中、タイガは家族との団らんを終えた後、自室で休むことにしたが、その時、鍛えた見聞色で未来を視たとある未来に視線を鋭くした。
「これが敵か……油断はしない。確実に潰す。」
タイガはそう言うと、空に浮かぶ満月を見上げるのだった……。
一方、セレヌス大陸が一望できる山の山頂には、オーガ達を1人で倒した少年がおり、その少年は背後で無惨な死体となっている魔物達を見ながら、遥か北の方角を見ていた。
「あむっ!んぐんぐっ……ふぅ、さぁてこれからどうなるのか……楽しみだなぁ♪」
少年はそう言うと、側に置いてあった魔物の肉をもう1本食べると、楽しげに笑いながらそう言った。
物語の歯車が動き出す。
本来の物語には居なかった彼によって、世界がどう変わるのか、どう変革するのか……。
それはまだ、誰にも分からないのであった……。