01 七盾同盟
タイガSide
旅から戻ってからしばらくして、俺はセレスティン様の騎士見習いとして働くこととなった。
初めは書簡の整理やセレスティン様の護衛、その他にも多くの雑務などを苦戦しながらもこなしていきながら、俺は彼女の護衛としての仕事をしていた。
時々セレスティン様と一緒に町を見回りしたり、彼女が守っている養い子と鬼ごっこやピクニックで遊んだり、一緒に食事を作って食べたりして楽しんでいた。
そんな中、俺が17になった時、世界が揺らいだ。
何百年も前からあった魔族の指揮をしてた黒の女王とか呼ばれた存在との戦争が続いていたが、その存在の力が弱まったらしい。
んで、セレスティン様の呼び掛けでウチや他の貴族、東方や山岳地帯に住む種族の亜人ハーフリングの少女なんかや柄の悪い傭兵団もいた。
そんでその呼び掛けで集まって出来た連合軍。
それが"七盾同盟"だ。
そんで、俺もセレスティン様から6の砦を護るように命じられ、父と共に6の砦にて待機していた。
「しかし、まさかお前が6の砦の守護をするとは……立派になった物だ。」
「俺もビックリしてますよ。それより父様、今回の戦はすぐに終わると思いますか?」
「それは分からない。弱っているとはいえ、相手は魔物を支配している者だ。何が起こるかは分からない。油断しないようにな。」
「はい。」
黒の女王か。
どんな奴かは知らないけど、会えるなら一度は会ってみたいな。そしてやりあってみたかった。
そんな事を考えていた時、1人の兵士が駆け込んできた。
「どうした、何かあったのか?」
「はっ!タイガ様に面会したいという者が来ております。」
「?俺に?」
俺はその人物が待っているっていう執務室に行き、扉を開けると、そこには紅茶を飲みながら焼き菓子を食べている飛鳥がいた。
「やぁ、タイガ。」
「飛鳥、寛ぎすぎだぞ……で?何か用か?」
「まぁね。キミに……あむっ……助言が有ってきたんだ。」
「助言?」
「……うん。そろそろ原作が始まるよ。決め手は1の砦をどうするかで決まるよ。」
「そうか……。んで?俺は何をしたら良いんだ?」
俺の質問に、飛鳥はクスクスっと笑った。
「そんな事、俺は言わないよ。キミがやりたいと思った事をやれば良いんだよ。だってそうしてきたんじゃないの?昔は。」
言われてみれば確かに。
鷹の団にいた頃はかなり自由にやってたなぁ。
戦術やら何やらはみんなで話し合ったが、基本は自由に戦ってたっけ?
「まぁそうだな。助言ありがとうよ。じゃ「待って。」何だ?まだ何かあるのか?」
そう訪ねると、飛鳥は何処からか本を取り出して、ペンを取ると何かを書いていき、そのページを破り取ると光の粒となって消えていった。
「ん……今のは?何をしたんだ?」
「キミの最後の制限を解いたんだ。あとついでに魔眼を渡しておく。」
そう言って、飛鳥は俺の顔に手を当てると目を魔眼に変えてくれた。その後、飛鳥は一冊の少し薄い本を渡してきた。
「この本にキミの魔眼の効果が書いてある。よく読んでくれ。」
そう言われ、本を開くとそこには"覇の魔眼"と書かれたスキルとその下にはその効果が記されていたが、それを見たとき、流石に苦笑いをした。
覇の魔眼
右目が転移で、左目が記憶と書かれており、その効果も記されていた。
「これはやりすぎじゃないか?」
「今後の戦いに役立つのをかき集めたからね。じゃあ、僕は消えるよ。じゃあね。」
そう言うと飛鳥は扉を作ってその場から姿を消した。その後、母様が駆け込んできた。
「母様?何かあったかの?」
「タイガ!黒の城を攻めていた黒犬傭兵団よりこんな書状が!」
黒犬傭兵団、セレスティン様の呼び掛けで参戦した柄の悪い傭兵団。
ヴォルトっていうガッツと少し顔付きが似てる奴が団長を勤めているが、アイツとは比べらんない位に弱い。てか比べるなんて事言ったらガッツに張り倒されそうなので言わないでおく。
話はズレたが、その黒犬傭兵団から来た書簡を読んでみると、そこには明らかに可笑しな事が書かれていた。
「………………母様、これって冗談「冗談とかではないわ。」ですよねぇ。はぁ……。」
母様の言葉に俺は溜め息をついた。
母様が持ってきた書簡には、"奉仕国家"という国の建国をするという事とその奉仕国家の内容が記されていた。
「(こんなアホ丸出しな事、よくやれる。まぁでも、敵になったなら倒すだけだが……飛鳥の奴、1の砦がどうとかって……まさか。)」
「タイガ、どうかしたの?」
「母様、今から俺は1の砦に行きます。兵を何人かお借りしても宜しいですか?」
タイガの言葉に、クラウディアは首を傾げたのだがその後にタイガは言葉を続けた。
「いや、俺の勘なんですけどもしかしたら必要になるかなって思って。何か嫌な予感もするので……。」
タイガの言葉に首を傾げるクラウディア。
そんな中、黎明騎士団の副長が駆け込んできた。
「団長……あ、タイガ様!お話し中でしたか。」
「構いません。どうかなさいましたか?」
「は、はい!それが、先程1の砦が襲撃を受けたとの事!すぐに援軍をとの事です!」
「っ!そんな、こんなに早くなんて……タイガ!?」
タイガは凄まじい早さで部屋を出ていったのであった……。
〜〜〜
タイガが砦を出る少し前、6の砦から離れた1の砦の執務室。
その砦にも黒犬傭兵団から書簡が送られてきており、それを見た騎士装束を身に纏った人物が、怒りを露にしていた……。
「何だこれは!!?」
長い金髪の腰に剣を差した少女が、黒犬傭兵団からの書簡を握りしめながら机を強く叩く。
その様子を不安げに見つめていた少女が、声をかける。
「アリシア姉様……。」
「っ……すまないプリム。大きな声を出してしまって……だが!」
アリシアと呼ばれた少女は、自分の名を呼んだ少女、プリムに謝りながらも持っていた書簡を強く握りしめる。
「これはあまりに、許せそうにない……!!」
彼女の憤りの訳、それは黒犬傭兵団から送られてきた書簡が原因だった。
そこには"奉仕国家"建国についての内容と、その国では全ての女達に性的労働を敷くという内容が記されていた。
幼い頃から騎士として育ってきた彼女からすれば、裏切りなど許せる物ではないし、このような非人道的なやり方は不愉快な物だった。
そんなアリシアの様子を見たプリムは、俯いてドレスの裾を掴む。その様子を見ていたアリシアは彼女に優しく声を掛ける。
「プリム。お前の事は私が必ず守る。騎士団長の名とこの剣にかけてな……。」
「アリシア姉様……はい、せめて……せめて泣かないように頑張ります。」
互いに微笑み合うアリシアとプリム。
その時、ドゴォォォンッというけたたましい爆発音と共に地鳴りが響き渡り、城が揺れたがアリシアがプリムを庇った。
「プリム、怪我はないか?」
「は、はい。私は大丈夫です……。」
「私は外に行く。プリム、お前は何があっても鍵を開けるな。この部屋にいるんだぞ!」
そう言ってアリシアはプリムを残して部屋を出ていき、部下と共に城の城壁に走った。そこから見た物は悲惨な物だった。
魔物が雪崩れ込み、女達を犯し、動揺していた男達や兵士達を殺し回っていた。
「くっ!?奴ら、今の爆発の際に攻め行ってきたのか!!(しかしどうやって……それにあの爆発は一体……。)」
思考を巡らせる中、黒犬傭兵団が押し入り始めて来ていた。
「くっ!?仕方ない、今はこちらを何とかしなければ!」
アリシアは何とか気持ちを整え、抜剣して魔物達と交戦しながらも兵士達に指示を飛ばした。
「東の方に兵を回せ!負傷兵は下がれ!これ以上の侵攻を許すな!」
アリシアは兵達に激を飛ばし、兵達もそれに応えるように応戦する。その時、彼女の部下の一人が駆け寄ってきた。
「アリシア様!?避難区域の方にまで敵がっ!」
「っ!?」
部下からの知らせに驚くアリシア。
黒犬傭兵団、それに加えて魔物までもがいるこの戦況に彼女の頭には、黒犬傭兵団から送られてきた書簡の中にあった言葉が浮かんだ。
「(あの書簡には、降伏すれば民の命には危害を加えないとあった……もし、ここで私が降伏すれば……。)」
アリシアが震えながら、声をあげようとした……その時だった。
「大丈夫か?」
同い年くらいの少年がいた。