フルスタージャの城にて行われた会合、それは予想よりも早く終わった。
タイガがヴォルトの“影”との戦いをしていると聞いたセレスティンは、会合を早めに切り上げて闇を祓うためにタイガの元へと向かい急ぎ足になっていたのだ。
「セレスティン様!皆様を待った方が!?」
「タイガくんが1人で戦っているのに、黙ってはいられません。それに闇ならば、私の光の力で祓える筈です。エミリアさん達は他の方々に協力してください。」
「しょ、承知しました!」
セレスティンからの指示にエミリアは敬礼をすると、ラドミラ達とともに民達を護るために走るのであった……。
◆◆◆
その頃タイガはヴォルトの影との戦闘をしていたが、その体は傷だらけであり、ヴォルトの影からの攻撃を受けながら、影を睨み付けていた。
ヴォルトの影はまるで人形劇の人形のように不規則に動きながら剣を振っており、さらにその剣もボロボロに朽ちて錆びており、切れ味が悪く、斬られた傷が痛むのだ。
「(くそ……!どうなってるんだ、さっきから感じる“違和感”!それが邪魔して闘いづらい!なんだこの違和感!)」
「ギヒヒヒヒ!!死ね!!シネシネ死ねシネシネシネ死ねシネシネシネシネシネ死ね!!死ねぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!」
「気色悪い動きすんな!!2刀、鋏鳥!!」ジョギンッ!!!
「アギギギ!!ギヒヒヒヒ!!イタい!!?痛いぜぇぇええぇAAぇ!?べ~~!」
「ふざけてんのか何なのかわかんねぇ奴だな、おい!」
交差した刃によって体を大きく切られたというのに、けたけた嗤うヴォルトの影にタイガは戸惑うが、負けまいと気持ちを奮い立たせて、ヴォルトの影に斬りかかる。
「げひゃひゃひゃ!!!」
「二刀流!龍巻!!!」ギュオオオオオオオオッ!!!
「んぎいいああああああっ!!!?」
斬撃に切り刻まれ、地面に叩きつけられるヴォルトの影はぶしゅっ!ぶしゅっ!と血らしき物を吹きながら、グネグネっと動きながら起き上がる。
その表情は、げらげらと薄気味悪いモノであった。
「ぎひひひひひひーーーーーひぃぃぃっ!!!?気゛ぃぃぃぃぃ持゛ちぃぃぃぃぃ!!!?」
「イヤ本当になんなんだ“こいつ”は?斬った感触はあるが、ぐにぐにで気味悪い。これなら、どうだ!風魔法!!
ズバアアアアッ!!!
「んぎいいああああああっ!!!?『オオォオオオォォォォォ……!』」
「あ?(今のは?)「タイガ~!」アリシア!マイア姉!」
「遅くなってすまない!奴は!?」
「ヴォルトっぽいんだが……何か“違う奴”だ。」
「なに?死んでも迷惑かけてくるんだね!てか、さっさと片付けて『マイあァァァ!』え!?」
『アリじあ姫゛ええェェエ!!』
『カぐや゛あぁぁあぁぁぁっ!!!』
『アズどリッドオオォオオォォッ!!』
『ゼバブィーーーーーーナァァァアァァァッ!!』
『ゴハグううぅうぅうううぅぅぅっ!!』
その身体から飛び出したのは、かつての黒犬のヴォルトに味方した者やディレク達であり、その身体は泥かスライムのようにドロドロで、一時的に形を保てても、すぐに崩れてしまうが怨嗟の声を出し続けていた。
『肉~~!!!!『肉欲しいぃいぃいいいいっ!!』肉~~!!!!』
「な、なんだあれは?肉?」
「多分身体を保ててないんだろうよ。それで身体を維持するために“肉”って言ってるんだ。」
「……見てて気持ち悪くなるんだけど。最早ゾンビだねアレは。」
「肉…………!!!!に゛~~~~~~~~~~ぐ~~~~~~~~~~っ!!!!!」
「抑えるからマイア姉とルー・ルー、潰してくれ!」
「あいよ!」「合点だ!!」
「
「せいやっ!!」ズバアアアアッ!!!
「やああぁっ!!」ドゴオオォッ!!
「んぎいいああああああっ…………ァァァアァァァァアッ!!!気゛っ持ちぃいぃいいいいっ!!」
マイアの双剣とルー・ルーのバトルアックスの一撃を受けても、ヴォルトの影は恍惚な表情を浮かべるばかりで、大して効果は無さそうな上に、ぶじゅっ!ぶじゅっ!と吹き出す黒い粘度のある血らしきものが増えるばかりである。
「うえぇっ……!こいつ、何なの気色悪っ!」
「痛みもまるで快楽に変わってる。つまり……。」
「傷付けても、その分悦ぶだけ……!厄介な……!」
「ぎひひひっ!!ぎゃははは!!!」
「
バギィンッ!!「あぎいいああああああっ!!!?」
「「「「セレスティン様!!」」」」
巨大な光の牢にヴォルトの影が縛り付けられ、その光の発生源にはセレスティン達が立っていた。
「皆さん、お待たせしました。このモノは?」
「ヴォルトの影みたいなものですが、正体は分かっておりません。」
「んぎいいぃいぃいいいいっ!!!?肉~!肉!肉!肉!肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉~~!!!!に゛~~~~ぐ~~~~~~!!?」
「なんと禍々しい邪気……。これは……。」
「セレスティン様?何か分かるんですか?」
タイガが尋ねると、セレスティンは静かに答える。
「これは人ではありません。不定形なモノ、邪気や魔性などといえば分かりやすいでしょうか。それが怨みによって固まって集まり人のような存在になった、とだけ言えます。」
「マジか……。どうすれば……。」
「私の力で封じた上で、何か入れて封じます。」
セレスティンの聖なる力で封じられたヴォルトの影は、小さな箱へと入れられると開けられる事のないように、セレスティンの監視の下で厳重に監視されるのであった……。
まだ終わらない。