こっちを見て鳩が豆鉄砲でも喰らったような顔をした同い年くらいの女と顔を合わせると、側にいた彼女の部下と思われる女達も驚いた顔付きになっていた。
「だ、誰だ貴様!?何処から……!?」
女は突然現れた俺に驚いて剣を抜こうとしたが、取りあえずそれを手で落ちつく様に手で制す。
「おい落ち着けっての。俺は敵じゃねぇ、味方だ。」
「み、味方だと……?お前は連合軍の者なのか?」
「あぁそうだ。自己紹か……ん?」
下を見ると、そこにはこの1の砦にいたであろうシスター達を捕らえ、その一人を剣で示して人質にしている小型の魔物"スモールグール"のボスが現れ、女に降伏を迫る。
「おい!そこで見てるお姫様達よぉ!このシスター達「ウザイ」っ!?」
その瞬間、俺は隣にいた剃を使って一瞬で近付くと、スモールグールの首を撥ね飛ばし、その場にいた手下共を切り伏せた。
「なっ!?」
「ふぅ……よし、そろそろ来るか。」
俺は開けっぱなしになっていた城門の方を見ると、遠くから多くの砂塵が舞っているのが見えた。七盾同盟6の砦からの援軍が来ていた。
その援軍を見た俺は敵の方に振り返って見ると、いつの間にか舌舐めずりをしていた。
「さぁて、やりますか。」
「ちょ、ちょっと待て!?お前の名は!?」
「俺か?俺はタイガ。タイガ・レーヴァンタインだ!宜しくなお姫さん!」
そう言って、俺は敵に向かって進んでいったが……まぁ気分悪い。目から光を失くしてる女の人とかを見た時は最悪な気分だ。
「(全く……嫌なもの見せやがる。)」
俺は魔物どもや傭兵等を剣で切り倒し、切り伏せながら、圧されている兵士達を助けるように戦っている。
そんな俺に目を着けた敵達が、俺の周りを取り囲み始めていた。数は大体50人程だったが……少ないな。
「このガキが、一人で調子に乗りやがって!?」
「よくも楽しみを邪魔してくれたなぁ!」
「この人数相手に勝て「うるせぇなぁ……。」はぁ?」
「お前ら何ざ相手になんねぇよ。何人束になって掛かってこようがな?まぁ、馬鹿に言っても分からねぇか?」
「このガキ……!お前ら構わねぇ!?ぶっ殺してやれ!!」
『ウオォォォォォ!!』
俺の挑発に傭兵どもが一斉に襲い掛かってくる。
俺は飛鳥から貰った力、見聞色の覇気で周囲を警戒しながら襲い掛かってくる奴らの首を撥ね飛ばす。
その際にバトルチェックで、大半が大体戦闘力は傭兵がDクラスで、魔物はD+だった。
正直、弱かった。今まで戦ってきた使徒達の方が強かったし、奴らの方が恐ろしかった。
「(それを考えると、こいつらには負ける気がしねぇな。)」
背後から迫ってきていた傭兵の頭を掴み、地面に叩きつけると、それを見て更に怯んだ敵の一人に飛ぶ指銃"撥"を放ち、頭や肺、心臓を撃ち抜いていき、剣で首を切り落とし、手首を叩き切ってから喉を差して殺す。
正直簡単すぎるくらい弱い。
こんな奴らに、母やセレスティン様達が……だとしたら、余計に腹立ってきた。
そんな中、俺を見ていた敵の一人が口を開いた。
「何なんだ!?このガキ、強いぞ!?」
「ふ、ふざけんな!?たかだかガキ一人だ!囲んで畳んじまえ!」
「させるかよ……龍巻!!」
『ぐあぁぁぁーーーーー!?』
身体を回転させ、その際に起こした旋風で自分に迫っていた敵を切り飛ばしていく。
これは本来、ロロノア・ゾロが三刀流でやってたが、俺は一本でも二本でも出来るようになっていた。
途中魔物もちらほら紛れ込んで来ていたが、ついでにバラバラに斬り倒した。血飛沫を挙げて倒れていく連中を見ながら、俺は心中で叫んだ。
「(黒犬傭兵団、これが開戦の狼煙だ!!)猛虎獣烈覇!!!」
修行の中でとある武将達が使っていた技を放つと、金色の虎の形をした気が敵を粉砕にしていく。すると、次々に倒れていく仲間を見て、残った連中が慌て始める。
「ば、化けもんだ!!」
「何だこいつ、こんなのいるなんて聞いてねぇぞ!?」
「ひ、退け!撤退しろ!!!?」
「(今だ!)やれ!!」
俺は右手を上に挙げると、隠れていた兵士達に合図を送る。
すると、左右から槍を持った兵士達が現れ、敵を串刺しにしていき、前方から弓兵達が残りを貫いていき、それでも残った敵に対しては、剣を持った兵士達が2人ずつで相手に斬りかかる。
かつてグリフィスが使っていた戦術だ。
「く、くそ!?弱ってる奴に大勢で……てめぇ、それでも正義の騎士様かよ!?」
「そ、そうだぜ!恥を知れってんだ!?」
「はぁ?お前ら馬鹿か?」
こちらに怒鳴ってきた傭兵達に向かって、俺は鼻で笑い返しながら言う。
「良いか?これは戦なんだぜ?それにお前らだって、弱い女子どもや年寄りと言った奴らに手ぇ出してたんだろうが……そんな奴らに卑怯だとか、恥を知れとか言われたかねぇよ。」
俺の睨みに怯えながらこちらを見る兵士達だったが、その中で兵士達に切り伏せられていく。
魔物も傭兵も数が大幅に減り、周囲から援軍が来て押され始めていた黒犬傭兵団は撤退を余儀無くされ、入って来た扉の方へと逃げ去っていった。
すると、伝令の女騎士が1人駆け寄ってきた。
「タイガ様、追撃はなさいますか?」
「……いや、追わなくていいが追跡は出しておけ。今はこの砦の民の治療と今後の流れを確認してくれ。あと、何かあれば報告を頼む。」
「はっ!」
兵が去って行くのを確認した後、大きく深呼吸をする。
懐かしい匂い。
鼻に附く血の臭い、手に握った剣で相手の肉を切り飛ばした感触、耳に残る相手の悲鳴、そして、この胸に残る不思議な感覚。
旅をしていた頃もそうだったが、やっぱり戦場が何処か落ち着く。そんな中、俺は破壊された1の砦の城門を見る。
「あの壊され方……それにこの被害。」
うわぁ……これは確定だな。
"内通者"がいるな……。
明らかに内側から破壊された城門、そしてそれに呼応するように侵攻してきた敵。それに奴らの言ってた
"こんな奴がいるなんて、聞いてない"……多分誰か情報を流した奴がいるんだ。恐らくこの砦の誰かが。
「(この世界でもいるんだな。仲間を裏切って売る奴とか……まぁ、戦争中だし当たり前か。)」
「タイガ様、この砦の守護をしておられるアリシア様がお会いしたいと申されております。」
「ん?あぁ、分かった。」
そう言うと兵士は一礼して、離れていきしばらくすると、先程城壁の辺りで出会った女と部下の女騎士達が現れた。
「先程は助かった。改めて自己紹介させてもらうが、私はアリシア、アリシア・アルクトゥールスだ。」
「これはご丁寧にどうも。俺はタイガ・レーヴァンタインだ。6の砦を護ってるんだが、まぁ無事とは言えないが、生きててよかった。」
「あぁ、それにしても敵はどうやって城門を?それに、この破壊のされ方はまるで……」
「誰か敵に内通しているのがいるな。」
「っ!そんな、いや確かに有り得るかもしれないが……しかし、誰が」
アリシアがそう訪ねようとすると、彼女の部下であろう兵士が慌てた様子で駆け寄ってきた。
「あ、アリシア様!?」
「何だ、どうかしたのか?」
「そ、それが先程からプリム様がいらっしゃらないのです!」
「何だと!?」
「?プリン?」
俺の言い間違いに全員がガクッとなり転けそうになる。
「プリムだ。私の従妹で彼女もこの戦に参戦している。襲撃があるまで一緒にいたのだが……政務室には居なかったのか?」
「は、はい。政務室は もぬけの殻からでした。しかも、鍵は抉じ開けられたようになっており、何者かがプリム様を連れ去った模様です!」
「そんな……いったい誰が」
「あの城門に細工した奴だろうな。恐らく、黒犬を手引きしたのもそいつだろうよ。おい、今そのプリム以外にいなくなった奴は居るか?」
「え、そう言えば……ベアズリー大臣と商人であるモルデラッタ兄弟もいなくなっております!」
はい確定wwww
てか、やるなら痕跡消してから消えろや……。