目を覚ましたタイガ達は、急ピッチで進めたセレスティン救出作戦を最終段階へ進めていた。
今現在、襲われていない村や国の民には屋外へ出ないように伝令を出し、セレスティン(ヴォルト)の目がアルファディオスに向くように誘導している。
それに従うようにセレスティンも動いているが、化け物に成り下がったとはいえ、ヴォルトの方には作戦が見抜かれている可能性が限りなく高い。
「大丈夫と言えるのかしら……。」
「この作戦が?それとも女神様の方?」
「両方よ。相手はヴォルトだけどその身体は女神セレスティンの物、かなり無理難題のある作戦だと思うけど。」
アストリットの言葉にマイアは腕を組み、城壁から遠くを見ているが、今のところ、人影は見えていない。
今回の作戦ではなるべくセレスティンを傷付けずに捕まえるという作戦であったが、如何に女のハイエルフとはいえ、あのヴォルトの悪知恵が加算されているのだ。
無傷では難しいとアストリットはいうが、タイガはなるべくなら無傷で助けたいと進言し、その事にみんなは頭を悩ませたが、タイガも頭を下げたことでやらざる負えなくなった。
「うだうだ考えても仕方ねぇだろ?アタシらはアタシらでやるしかねぇんだ。まぁ、“
レオナの言葉にマイアとアストリットが門の辺りに視線を移すと、そこには覇気を漏らしながら準備体操をしているタイガがいた。
彼は待っていた……その時が来るのを心待ちにしており、今か今かと待っている。
すると、1人の兵士が馬に乗って、慌てた様子でタイガに駆け寄る。
「た、タイガ様!!間もなく対象が来ます!!」
「分かった。んじゃ見敵出来次第“例の物”を使ってくれ。タイミングを間違わない様にな。」
「はっ!承知しました!!」
一礼して下がっていく兵士を横目に、タイガは覇気で感じ取っている“
今、タイガの六方をカグヤ、アストリット、コハク、オリガ、セラフィーナといった結界術が得意な人員で包囲しており、いつでも動きを封じられる様に待機していた。
そして、タイガは敵意を感じた…………“
ガギイイィィィィィンッ!!!!
「ぎぃぃぃぃっ!!!?コの〜〜!!!?」
タイガの背後から剣を抜いて斬り掛かって来たセレスティン(ヴォルト)は、タイガに防がれて弾き飛ばされる。
「そういうの、やると思ったよ…………結界発動!!!」
「「「「「
タイガとセレスティン(ヴォルト)は巨大な結晶のような結界に封じ込められ、タイガは肉薄し、下からの斬り上げの瞬間にセレスティン(ヴォルト)を弾き飛ばす。
「ぐゥゥゥっ!!?コの〜〜っ!!シかし、オマエにはこの身体を傷付けらレる事ハ、ナーーーーイッ!!きへへへっ!!」
「あぁ……“
タイガは急接近するとセレスティン(ヴォルト)に抱き着き、腹部に魔力の入り口を作って、手を突っ込む。
その瞬間、タイガの意識は暗闇の中を落ちていった……。
◆◆◆
「うおっと!!……ここがセレスティン様の精神世界か。かなり淀んでるな……。」
タイガは暗闇の中を進みながらも、目的の相手を探す。
タイガがセレスティンの精神世界に入れた理由……それはオリガとの交わりの際に身体に入れられた、オリガの闇の魔力が理由であった。
黒い物に入るには、黒い物が良いというなんとなくに近い理由であったが、オリガの純度の高い闇の魔力がタイガをセレスティンの精神世界へと入る事が出来る様になったのだ。
「セレスティン様……一体どこに?」
「……ぁぁっ」
その時、どこからか女の艶っぽい喘ぎ声が聞こえてきて、タイガはそこへ向かうと、そこには口、膣穴、尻穴に黒く蠢く触手を挿れられ、頭や身体には黒い鎧のような物が纏わりついていた。
その姿を見て、かつて使徒に凌辱されていたキャスカを重ねるが、すぐに冷静になると鬼徹と秋水を抜くとセレスティンへ跳んで向かい、鎧と触手を切り裂くと彼女を横抱きにして遠くへ離れる。
「セレスティン様……!セレスティン様!!?」
「ぁ……う…………タイ、ガ…………さ、ん…………?」
「遅くなりました……。もう大丈夫です……!」
「タイガ、さん……ありが、とう……。」
タイガはセレスティンの頭にキスをすると頷いて、背中に背負って歩きだそうとしたが、その周囲を取り囲むように黒い人型が現れ、その全員がタイガとセレスティンに襲い掛かる。
「どけ!!竜巻!!!」
ドヒュウウウウウゥゥゥゥゥゥッ!!!!
竜巻の風の刃に切り刻まれた黒い人型達は、赤黒い血らしき物を流しながら倒れていくが、タイガはセレスティンを背負って無我夢中で駆け出す。
ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ……!!!
「っ!!?」
ガギイイイイイッ!!と吹き飛びかけるタイガ。
真後ろから禍々しい殺気を感じて秋水で防いだが、それよりもタイガは目の前にいる相手を見て、眉間にシワを寄せる。
そこにはヴォルトとディレク、そして月光などの敵だった者達の頭がいくつも集まった様な異形の怪物がタイガの眼前に現れる。
「「「きへへへへへへへへっ!!!へへへへっ!!!きぇへへへへへへへへへへっ!!!」」」
「最早お前が人間じゃないのがよく分かるよ。だけど生憎お前の……お前らの相手してる場合じゃねぇんだ!!百八十煩悩鳳!!!」
ズバアアアアアアアッ!!!
「「「「うげあああああああああっ!!!?」」」」
強力な斬撃を受けて吹き飛ぶ怪物を一瞥すると、セレスティンを背負って遠くに見える光に向かって走って逃げるが、足を掴まれてしまう。
そんな2人に化け物は食らいつかんばかりの勢いで向かっていく。
その時、化け物は遠くへ弾き飛ばされ、タイガが驚いていると、そこにはヴォルトなど目ではない程の“闇の鷹”がタイガの前には立っていた。
「グリフィ……ス……!?なんでお前がここに……。」
「タイガ。オマエは、俺の“友”だ。それは、今でも変わってない。」
「グリフィス!!だけど!!」
「行け。」
圧のある一言だが、タイガはグリフィスに一礼すると光に向かって走っていき、その姿が見えなくなると、グリフィス……フェムトはヴォルトに告げる。
「“贄”にもならんな。」
「あ、あ、あ……!!あああああああああああっ!!!!?」
その時、ヴォルトは強烈な圧力に包まれて潰されたのであった……。
次回、この小説最終回!