※この作品はR-18です。

黒獣~転生戦記~   作:ボルボロックス

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遅くなって申し訳ありません。


6 魔術師の郷

 エルドニアを出発したタイガは、砂漠の中を進んでいた。

 

 

今エルドニアでは、ミスティオラが見知らぬ少年(タイガ)と居たという報告を民の一人から受け、エルドニア王が血眼になってタイガを探しており、処刑しようとしている。

 

 

 それを見聞色の覇気で視たタイガは、宿屋から夜の内に足早に抜け出した後、彼はエルドニアを南東に行った所にある魔術師の郷である"キミア"へと向かう事にしたのであった。

 

 

しかしキミアは魔術師達の住む土地であるためか、その場所に着く事すらできないでいた。

 

 

「(今日中に辿り着けばいいんだが……。)」

 

 

険しい山々の麓を進みながら、生い茂った森の中を進んでいくタイガ。しかし、一向にキミアという郷の入り口すら見えてこない。

 

 

さらに夕暮れが近くなってきたのか、空がだんだんと薄暗くなっていた為、タイガは足を止めて空を見上げていた。空にはうっすら星が見えており、その星を見上げながら溜め息を吐く。

 

 

「さてと、これからどうするかなぁ。あとどれくらい歩けばキミアに着くんだ?明け方から歩いてるのに全然着きやしない。あぁ~も~!腹減った〜〜!」

 

 

ぐぅ〜ぐぅ〜鳴る腹を抑えながら、ゴロリと地面に倒れるタイガだった。すると、目の前が暗くなり上を見上げると、そこには大きな胸をした魔術師の女がこちらを何事かと見下ろしていた。

 

 

「あなた、ここで何してるの?」

 

 

「いや、その前に貴女誰?」

 

 

「ん?人にモノを尋ねるときは自分から名乗りなさい?それが礼儀ではないの?」

 

 

「そいつは失敬。俺はタイガ、旅の身でな。キミアって郷を目指してたんだが……どこ探しても見つかんなくって、その上腹も減って……んで、あんた名前は?」

 

 

「私は、アストリット。アストリット・フラメル、あなたが用があるっていうキミアの魔術師で、今は魔術の研究の材料を摂りにこの森に来たのだけど……良ければ私が案内しましょうか?」

 

 

「え?マジで!?それはありがたい!ぜひ案内してくれ!」

 

 

こうして俺はキミアへと向かう為の鍵を見つけたのであった……。

 

 

ーーー。

 

ーー。

 

ー。

 

 

 暫く森の中を歩くタイガとアストリット、2人は薄暗い森の中を進んでいく中、ウキウキした様子でタイガは歩いていた。

 

 

「魔術師の郷かぁ。どんな所なんだ?アストリットさん。」

 

 

「魔術を学ぶ者にとっては良いところよ。あなたみたいに郷に興味を持つ人間は初めて見たわ。」 

 

 

「知らねぇものに興味関心が湧くのは当たり前だろ?なにせ魔術師の郷だ。俺の使ってる魔法との違いも分かるし、何より……どんな国なのか見てみたいんだ!」

 

 

「……変わった人。ほらそろそろ着くわよ、彼処が私の故郷にして魔術師の集う郷"キミア"よ。」

 

 

呆れて溜め息を吐きながらも、アストリットが杖で指し示した方向を見たタイガ。その先には小さな町があり、そこが魔術師達の住む郷とされた土地"キミア"であった。

 

 

〜〜〜。

 

 

一方その頃、アルファディオスの城内にある王が座する玉座、その玉座には1人の少年が座っており、その前には5人の男女がいた。

 

 

 彼らはこのアルファディオスの王の直属の部下である者達で、それぞれ星の形の字を頂いた"五神将"と呼ばれている。

 

 

1人目は赤い長髪を後で纏めた十字の槍を持った青年、彼は紅蓮の炎を用いてすべてを焼き尽くす"獅子"の"グレン"。

 

 

2人目は大柄で筋骨隆々とした身体と牛の顔が彫られた黄金の鎧を身に纏い、顔の左側に大きな十字の傷と腰に2本の大きめの片手斧を持った男、彼はその巨体で並み居る敵を圧砕する"金牛"の"バラン"。

 

 

3人目は金髪に褐色の肌をした女性、白い服を着ているが乳房の下半分とへその辺りまで布のない服を着た女性、彼女は巨大な顎で全てを噛み砕く"宝瓶"の"ハリベル"。

 

 

4人目は黒髪の長い少女で、黒いセーラー服のような物を着ており、スカートの丈も短いが腰には刀と呼ばれる得物を指している。彼女は疾風の如く敵を一閃する"巨蟹"の"コク"。

 

 

そして5人目の人物は、黒いボロのローブを身に纏っており素顔は見えない。しかし、この者の手にはアメジストの水晶が付いた杖が握られている。この者はその呪術の力であらゆる厄災を呼ぶ"魔羯"の"シュタイン"。

 

 

彼ら5人は眼の前の玉座に座るこの国の皇帝であり、絶対的支配者である彼……帝の忠臣であり、帝から直接力を貰った者でもある。

 

 

それぞれに思いはあれど、帝に忠を尽くしており、それぞれがその力で1つの領地を治めている為、どんな貴族達も彼らを裏切る事は出来ないのだ。

 

 

「しかし陛下、こうして全員が揃うなんて何時ぶりですかね?」

 

 

「確かにな!しかもサボり魔のハリベルまでいるんだからな。ガハハっ!」

 

 

「"まで"は余計だ。筋肉バカめ。」

 

 

「むぐむぐ……。」

 

 

「お前も菓子を食うなコク。」

 

 

「愉快愉快。」

 

 

それぞれが反応を見せる中、生真面目なハリベルはお菓子を食べるコクに対して注意をすると、それを見ていたシュタインはクスクスと笑った。

 

 

 それを見ていた帝は、フフッと笑い和やかな空気が流れる。

 

 

するとバタンッ!と強く扉が開き、全員がその方向を向くとそこには、1人の男がおりその顔を見た瞬間、全員が渋い顔をする。

 

 

そんな事を知ってか知らずか、入ってきた男はズカズカと帝に近付き、片膝を折る。

 

 

「お久しぶりでございます陛下。ディレク・ロンド、任務より戻りましてございます。」

 

 

「あぁおかえり、ディレク。」

 

 

楽しげに笑っていた笑みは消え、冷たい目で入ってきた男ディレクを見ながら帝はそう言った。

 

 

 ディレク・ロンド。

 

 

黒犬騎士団という騎士団を率いている男で、元傭兵であり彼のもとに集まるのもまた柄の悪い傭兵崩れの犯罪者が多く、中には魔物までもいる為、周囲の国々から恐れられている。

 

 

彼は力で王座を奪おうと帝に戦を仕掛けた。その数はおよそ10万の兵達と共に挑んだが、その軍勢は帝が振るった得物の一振りで全滅した。

 

 

目の前で格の違いを見せつけられたディレクは、帝に降伏し家臣となったのだ。

 

 

「陛下、此度は我々黒犬騎士団に前線を任せて頂き、感謝の言葉も御座いません。」

 

 

「止めろ、気色悪い。お前のそういうの本当に嫌いだ。まぁいいや、全員揃ったし、そろそろ始めるかな……大陸掌握に向けての会議を。」

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