キミアの集落の奥地にある巨大な木の上に建つ一軒の家。そこには、この魔術師の郷キミアを治める"グランドマスター"と呼ばれる老人の大魔導師がいる。
その家にはアストリットとタイガが来ており、彼らの前には椅子に5つの席があり、4つの席にはそれぞれの老人達が座っており、真ん中の席に座っているのが現在の"グランドマスター"であり、2人を見据えている。
「アストリットよ。なぜ外界の者をこの地に入れた。」
「お師匠様、この者はこの郷に興味があり、見聞を拡める為にこの地に来たとの事です。ですので、通した次第です。」
すると、グランドマスターはため息を吐き、それを見てアストリットは困惑してしまうが、それに追い打ちをかけるように厳格そうな老人の1人が口を開いた。
「アストリットよ。この地は魔術師の為の郷であるが、お前も忘れた訳ではないだろ。"外の者"はキミアの魔法の術を狙っているのだ。」
その老人の言葉がキッカケになり、他の者達も口を開き始め、アストリットも俯いてしまう。
「ましてや、その者から感じられる魔力は未知のモノ。その力がこのキミアを滅ぼさんとも限らん。」
「それに、あの"あやつ"の事もあるしな。もしかしたら、この地に滅びをもたらすやも知れん。」
「すぐにでも追い返すべきじゃ!!」
老人達の言葉にアストリットは俯いてしまう。この4人はアストリットに魔法を教えた者たちであり、グランドマスターの腹心達でもあるために、彼らに反論するという事ができないのだ。
そんな中、タイガは呑気にもあくびをしていた。
「「「っ!?」」」
「ちょっ!?」
「あれ?話し終わった?んじゃ悪いけど、宿教えてくんない?そこに泊まるから。」
「なっ!?貴様聞いていたのか!?すぐにでも「聞いてたよ。明日には出てくから宿を教えてほしいんだけど。」何だと!?」
あくびをした上にそんな事を言ったタイガに、4人の内で頭のツルツルの魔術師の男が立ち上がって、タイガを睨みつけるがそんな事を気にした様子もなく、彼は続けた。
「いやあのさ。あんたらが俺を嫌ってようがこっちとしてはどうでもいいんだ。こちとら旅の身でな、宿さえ教えてくれればあとは勝手にするよ。」
タイガの言葉に4人が睨みつけ、アストリットがあたふたとしていると、グランドマスターはため息を吐いた。
「……良かろう。宿は用意しよう。」
「マスター!?」
「本当か?ありがとうな、爺さん!」
「但し、朝には郷より出ていってもらう。それで良いか?」
「おう。別にいいぜ。じゃあ「ぐ、グランドマスター様!?」うおっ!?」
そう言ってタイガが立ち上がって、建物を出ようとした時。1人の若い魔術師が慌てた様子で入ってきた。突然の事に4人が首を傾げる中、アストリットが魔術師に訪ねた。
「どうかしたの?そんなに慌てて。」
「あ、アストリット様!それが空に紫の魔法陣が現れ、そこから異形の怪物が現れたのです!」
「異形の怪物?それに、紫の魔法陣だと!?」
グランドマスターは席から立ち上がって、外に向かい駆け出す。
それを見たアストリットも後を追うと、そこには巨大な骨のみで出来た身体をした龍がおり、郷を蹂躙していた。
「な、なにあれは!?あんなの誰が……」
「このドラゴンは……まさか!?「久しぶりだな?爺様。」っ!?」
グランドマスターは空から聞こえてきた声に上を見上げると、そこにいた人物に目を見開き、アストリットも空を見上げる。
すると、その人物、シュタインはローブから顔を見せると、そこには銀髪赤目に顔の右半分に火傷を負った年若い青年の姿を見せた。
「相変わらずカビ臭い郷だな?それと、元気そうだな、アストリット。」
「お、お前は……!」
「そんな……!?」
「シュタイン/兄さん!?」
シュタインは名を呼ばれると、絨毯から飛び降りて自身の下で暴れていた骨の身体をしたドラゴンの肩に乗る。
「凄いだろ?こいつは俺の作品の1体で名前は"スカルドラゴン"。ゴーレムよりも俺に従順なんだ。」
「……何をしに来た?」
自身が生み出した異形の怪物、スカルドラゴンの顔を撫でながらそう言うとシュタインに、スカルドラゴンはグルルッと嬉しそうに鳴き声を挙げる。
グランドマスターはそんなシュタインを睨みながら、そう訪ねると彼はくくっと笑いながら答えた。
「試しに来たんだ。こいつの性能をな……やれ。スカルドラゴン。」
グルルルあぁァァァっとけたたましい咆哮を挙げながら、スカルドラゴンはキミアを破壊しにかかるのだった……。
シュタインのスカルドラゴンの見た目は、デジモンのスカルグレイモンです。