シュタインSide
この郷はおかしい。この世にない物ばかりを追い求めて、毎日毎日下らないことをしている。
"魔術師の魔術師のによる魔術師の為の郷"?
"世界の真理"?
そんな物が何の意味もないというのに!!
何より、真理に辿り着こうとした時に、奴らは俺に"あんな仕打ち"をしたのだから!!
郷から外に捨てられ、醜く焼けた肌の俺を救ってくれて居場所を与えてくれたのが、陛下だったんだ。
『大丈夫か?』
優しく暖かく俺を救ってくれた陛下は、俺にこの世の真実と"異世界"を見せてくれた。
そんな陛下こそが、俺にとっての真実だ。
「(真理はこの世には無い。真理は陛下こそが握っているのだから!)」
だからこそ陛下の命令は絶対だ。この郷を"突き"まくってやるよ!
「スカルドラゴン、この郷を壊せ。後腐れなくな!」
ギャオアァァァァァ!!けたたましい咆哮を挙げて、スカルドラゴンはキミアを破壊しに掛かる。
太い腕と爪、尻尾を振るって建物を破壊し、大顎で食らいつくその様は爽快で、必死に涙目になりながら逃げ惑う奴らを見るのは胸がスッとする。
「ば、化け物だ!!?」「逃げろ!?」「でかすぎる!!?」
口々にそう言いながら逃げ惑う魔術師共、中には魔法でスカルドラゴンに反撃する者もいるが、スカルドラゴンは俺が造った傑作だ。
魔法はその身体に吸収され、物理攻撃にも耐性があり、何よりそう簡単には破壊されることは無い。
そうだ。これが俺の力だ……俺の、魔羯の力だ!
「兄さん、もう止めて!!」
「……アストリット。」
「どうしてしまったの?郷を抜けて、アルファディオスの帝に仕えたのもそうだけど、何故なの!?何故キミアを」
「立派なのは乳と背格好くらいだな?お前に俺の何が分かる?このグズ。」
「兄さん……!こうなれば、わたしがあなたを止める!!」
アストリットはそう言うと、ゴーレムを郷の大地から生み出し、スカルドラゴンに襲い掛かる。一方でスカルドラゴンの方もゴーレムに向くと、咆哮を挙げて身体をぶつけていく。
ドゴォォンッと頑強な骨と岩がぶつかり合い、周囲のモノが吹き飛ぶ。
「兄さん!お願い、みんなを…キミアを傷付けないで!!この郷に生まれた者なら、ここがどういう場所か知ってるでしょ?!」
「……。」
「兄さ「さっきから、兄さん兄さんうるせぇよ。」え?あぐっ!?」
俺の言葉に動揺したアストリットのゴーレムをスカルドラゴンが破壊すると動揺していたヤツを掴む。ギリギリの所で死なないように握らせて、そのまま俺の方に近付けさせる。
「良いか?お前なんてすでに妹でもない。犯すも殺すも俺の自由だ。」
「そんな……兄さん。」
「……まぁいい。スカルドラゴン、このまま潰すのも簡単だが、お前の口の中に放り込め。魔力を一滴残らず絞り尽くせ。」
グルルルッ!頷くとアストリットを天高く掲げて、スカルドラゴンはゆっくりと口を開いていく。アストリットは落ちまいとその手に掴まって、踏ん張っている。
「んぐっ!ぐっ……!」
「アストリット!!?みな、アストリットを助けろ!あの骨の龍を攻撃するのだ!!」
そう言うと、グランドマスターの爺の指示で全員がスカルドラゴンに攻撃を仕掛ける。しかし、その攻撃は全て骨の身体に吸い込まれていく。
これぞまさに骨の髄まで、という奴だ。魔術師ではスカルドラゴンには勝てないのだ。一方でアストリットの方も限界が来たようで、手の皮が剥けてそこから血が流れ始めていた。
「くうぅっ……!もう、だめ……!」
アストリットは限界が来たようで、遂に手を離してしまい、そのまま滑り落ちてしまう。
「はっ……!」
「「「アストリット/様/先生!!?」」」
ゆっくりとスカルドラゴンの巨大な口に向かって落ちていき、そして最後に鋭い牙まであと僅かという所で、"何か"がアストリットを助けた。
アストリットを助けた何かは郷の入口に降り立つと、アストリットを地上に下ろす。
「遅くなって悪かったな。」
「ここは……あなた、何で……?」
「さっきの爺様たちを黙らせてたら遅くなっちまった……アイツは俺が相手するからよ。」
茶髪に青い目、それに黒い鞘の刀……あいつか。
「お前がタイガ・レーヴァンタインか。」
「そうだけど……アンタ、誰?」
「俺は魔羯のシュタイン、現アルファディオス皇帝陛下が腹心、五神将が一角だ。」
「現アルファディオス、皇帝の腹心か。つまりアンタを倒して吐かせれば色々分かるわけだ。」
「やれるもんなら、やってみろよ。スカルドラゴン、そいつを殺せ!」
そう言うと、俺が命じるとスカルドラゴンはタイガに向かって迫っていき、タイガは鞘から刀を抜くと、その黒い刀身だけで防いでみせた。
「へぇ?やるじゃないか。スカルドラゴンを刀だけで止めるなんて。」
「それはどうも。けど、これくらいなら簡単に止められる、よ!」
そう言うとスカルドラゴンを掴みながら、身体を回転させて天高く投げ飛ばしたのだ。
いや化け物かよ。
「一刀流、三百六十煩悩鳳!!」
ドギュオォォォッ!とけたたましい轟音と共に刃から放たれた一撃が、スカルドラゴンに直撃する。
「(スカルドラゴンの身体はダイヤにも匹敵するんだ。それを刀一本の斬撃で何が……!?)馬鹿な!?」
俺は目を疑い、息を呑んだ。
ダイヤにも匹敵するスカルドラゴンの腰の部分にヒビが入り始め、そのまま上半身と下半身が別れて落下してきたのである。
しかし、スカルドラゴンはまだ動ける。このまま終わらせるつもりはない!
「スカルドラゴン!奴を握り「ソーラー・レイ!」!?」
タイガは左手だけをスカルドラゴンに向けると、そこから光の魔力の一撃を放ち、その一撃に巨大な骨の身体をしたスカルドラゴンの身体は跡形も無く消えていたのだった……。
何かご意見、感想あれば下さい。