タイガとシュタインの戦闘、その様子は帝の頭の中に直接流れ込んできており、それを見終えた帝は横になっていたベッドから起きあがる。
起き上がった帝は着ていた衣服を脱ぎ去ると、自身のお気に入りの服に身を包み、鳥を模した仮面を被りローブを纏うと部屋の外に出た……。
一方、タイガの放った光の魔法"ソーラー・レイ"の威力にシュタインにアストリットだけではなく、キミアの郷の住人全員が言葉を失った。
特にシュタインは見たことのない光の魔法に内心驚愕していた。
光の魔法、それはかつての女神"セレスティン・ルクルス"が得意とした魔法であり、習得するのが困難な部類の魔法であり、それは帝が得意とする"闇魔法"と相反する力なのである。
それを目の前で見せられたシュタインは、"驚愕"と"好奇心"、そして最大の"警戒心"の3つが混ざり合っており、その警戒心に従ってシュタインは絨毯から飛び降りると、着地して杖を構える。
「なんだ、やる気か?」
「当然。陛下の敵となる者はここで倒す。」
「面白ぇ。やれるものならやってみろ。」
そう言うとタイガは秋水を鞘に収めて異空間にしまい、目の前のシュタインに目線を合わせる。
「魔術師の俺に、にわか程度の術士が勝てると思うな!」
「にわか術士かどうか、試してみるか?」
そう言うと、タイガは全身から魔力と共に覇王色の覇気を溢れさせ、シュタインと睨み合う。
そして、シュタインが杖に魔力を込め、魔法を放とうとしたその時、突然2人の間にローブで顔を隠した半透明の人間が現れた。
「「!?」」
『はいそこまでだ。シュタイン、これ以上は命令違反だぜ?』
「っ!陛下!」
シュタインが声を聞いた瞬間に、膝を降って頭を垂れる。
「陛下?コイツが?(これは幻影魔法だ。本体は遠くに居るって事か。)」
『やぁ初めまして。タイガ・レーヴァンタイン卿。鷹の戦士よ。ウチのシュタインが世話になったね。』
「お前がアルファディオスの王様か?随分血の気の多い家臣がいるんだな?」
『シュタインは有能なんでね。重宝してるんだ。どこぞのカビた郷から追い出された"能無し"とは違うんだ。まぁ、こいつが本気になったらこの郷の存在自体消えてたけどね。』
帝の言葉にグランドマスターは目を開いて驚いたが、タイガは気にした様子もなく、そのまま言葉を続けた。
「何か狙いがあってやったのか?」
『別に。ただ"突け"と言っただけだ。それよりもシュタイン、そろそろ戻ってこい。突いた事の成果を聞かせて欲しい。』
「は。」
それだけいうと、シュタインは黙って絨毯に飛び乗り、自身が来た方角に帰っていき、残された魔術師達は呆然としていたが、タイガだけは目の前の帝に目を離さなかった。
『さて俺はそろそろ消えるが、まだ俺に何か用か?』
「お前、何故アルファディオスを"蹂躙国家"なんて国にしたんだ?国民達はどうした?」
『さぁな。あんたを今入れるほど暢気してねぇから入れる気はねぇが、いずれ分かるよ。だがこれだけは言えるな。』
帝はタイガに指差すと、ローブの中で笑みを浮かべる。
『アンタは、近いうちに俺が殺す!!』
「やってみろ。待っててやるからよぉ!」
それだけを伝えると帝は楽しげに笑うと、その姿を消したのであった。
「(何者なんだアイツ?何か懐かしい気配だったが。)」
そんな事を考えていると、突然後ろから石が飛んできたが、タイガはそれを受け止めた……。
ーーー。
シュタインSide
『シュタイン、アイツはどうだった?』
俺は目の前に再び現れた陛下の幻影がそう訪ねてくる。
「強敵、でしたよ。あの男は。」
『そうか……で?俺とアイツ、ヤッたらどっちが勝つ?』
「陛下です。」
即答した俺に対して、陛下は「そうか。」とだけ呟いたが、俺は言葉を続けた。
「奴はまだ"星"を持っていません。我々のように"星"に目覚めているなら兎も角、多少武力が強い程度のモノなどなんの意味もありません。」
『そうだな。それは最もな事だ、俺はお前達五神将には"星"があるモノな。』
俺の右腕の手の甲。
グレンの腹。
バランの右側頭部。
ハリベルの谷間。
コクの右太腿。
そして、陛下の右目……それには俺達が陛下から直接賜った"星"の力が宿っている。
これこそが俺達が真理に最も近い力なんだ。
『さぁ早く帰ってきな。これからデカい戦があるんだ。お前にも協力してもらうよ。』
「御衣。」
それを聞いた俺は絨毯の飛行速度を最大に上げ、アルファディオスに向かった……。
ーーー。
タイガSide
「なんのつもりだこれは?」
投げ付けられた石を受け止めると、その時に見たキミアの魔術師の連中の目を見た。
そこに映ってたのは、恐怖や憎悪といった感情が……ベルセルクの世界にいた時に散々向けられたモノばかりだった。
「キミアから出ていけ!」
「そうだ!お前が来たから郷は滅茶苦茶になったんだ!」
「この疫病神め!!」
懐かしいなぁ。罵詈雑言に石を投げつけられる。
何とも懐かしい気分だが、同時に辛くなってくる。
「みんな、やめなさい!彼は1人で郷を守ってくれたのよ!?それを「アストリット。」お師匠様!?」
俺を庇おうとしたアストリットにグランドマスターが止めに入り、こちらに近づいてきた。
「タイガと言ったな。郷を守ってくれた事には感謝する。だが、一刻も早くこの地を去ってくれ。これ以上郷が傷付くのは黙っておれぬ。」
「……分かったよ。んじゃ、厄介者はさっさと消えるかね。」
俺はそう言うと、キミアの郷に入ってきた時に通った入口を通って郷を出たのであった……。
最新話どうでしたか?
星については、進めていく中で明らかにしますが、ちょっとキミアの人達冷たくしすぎ?と思いましたが、まぁこのくらいで丁度いいと思い、このようにしました。
何かご意見、ご感想あれば下さい。