「――やはり送ってきたか。想定内だ」
転異空間に送られた[侵略者]である[蔓田]…[蔓(カズラ)]は、変わらず落ち着いた様子で周囲を見渡す。そして少し離れたところに同じく転送された蒼矢…『アズライト』へ視線をやる。
戦闘スーツに身を包んだアズライトも、黙ったまま[蔓]へと静かな視線を送り続けていた。
「…アズライト、今からでも考えてやっていいぞ。俺に下れ。その身体の全てを俺に捧げろ」
アズライトは[蔓]の口上を聞き流すように手を胸の前にかかげ、装具『水面』を呼び出した。得物を強く握り、鋭い視線を向ける。
「断る」
「…愚かな」
[蔓]はにやりと歯列を見せた。
「五体揃って一体分のお前達が、単体でどこまで[俺たち]と対等にやり合えるか、手並み拝見といこうか」
[蔓]の言葉に呼応し、二人を取り囲むようにおびただしい数の大樹が地から生え出てきた。数日前公園に現れた、巨木の[異形]だった。あの[異形]を操る[侵略者]が、[蔓]だったということだ。
[蔓]はひと跳びでやや後退し、巨木のひとつの枝に腰掛ける。それ以外の巨木達は、無数の枝をしならせながら一斉にアズライトへ襲いかかった。アズライトは寸でのところで回避しつつ、標的を一本に絞って邪魔な枝を切り落としながら、弱点である洞に剣を突き刺していく。急所を貫かれた巨木は、地鳴りのするような悲鳴をあげ、その場に朽ち崩れていく。
飛び回りながら戦い続けるアズライトを眺めていた[蔓]は、軽く鼻を鳴らした。
「思ったよりやれるようだな。前情報がある分、いくらか有利だったか」
そう言うと、[蔓]は手近にあった太い枝をねじり折って降り立ち、その場で軽く跳躍したかと思うと、巨木の大群に囲まれたアズライトへ急接近する。
「!!」
ふいに乱入してきた[蔓]に虚を突かれたアズライトは、振りかぶられたその丸太に近しい太枝へ『水面』を何とか合わせるものの、受け止めきれずに弾かれた。そのまま十数メートル飛ばされる。
宙を舞い、着地点目がけて繰り出される枝の槍をバックステップで避けるが、全てはかわしきれず数本に身体を巻き取られ、空中から振りかぶられ、投げ落とされる。受け身の取れなかったアズライトは、勢いよく地に叩きつけられた。
「っぐ…」
セイバーの戦闘スーツは、特殊能力や時に人間離れした筋力も併せ持つ[侵略者]と、形状の多くが人外でセイバー達より格段に大きい[異形]に対抗するため、『転異空間』内では人間として持つ筋力・瞬発力・跳躍力などを強化出来るほか、かかる負荷や衝撃を極限まで抑えることができるようになっている。が、実際の戦闘ではそれでもカバーしきれないほどのダメージを受けることが多々あり、結局のところは出来るだけ攻撃に当たらないように立ち回ることが大前提であった。
巨木からの攻撃をまともに受けてしまったアズライトは、ふらつきながらもすぐに立ち上がり、装具を構え直す。
負けるわけにはいかない。…少なくとも、もう少し時間稼ぎしなければ…
と、突然胸の奥が熱くなるような感覚に襲われ、視界が歪む。
「…っ…!?」
ついで心臓の鼓動が大きくなり、次第に呼吸が荒くなる。戦闘スーツと中の裸体とが必要以上に密着し、全身にざわざわとまとわりつくような感覚を覚える。
急に襲ってくる身体の異変に、たまらず立膝をついて胸を押さえた。
…熱い…、…なんだ、この感覚は? 身体中が…疼く…っ…
「そろそろ効いてくる頃合いだな」
アズライトが動けなくなったのを確認し、[蔓]は巨木を待機させ、ゆっくりと彼に近付いていく。
「お前の身体の中は、俺の体液に支配されている」
[奴]の…体液…?
「さっき飲ませてやったろう。あれの効果が、今のお前だ」
「……!!」
瞬時に理解し、アズライトは震える手で口を押さえた。変身前あの空間で、口から流し込まれ拒絶しきれずに飲み下してしまった唾液が、内側から少しずつ犯し続けていたのだ。
[蔓]は、膝をついたまま動けないアズライトの目の前に立ち、襟足を掴んで無理やり立たせる。
「今のお前の身体は、もはや俺の意のままに出来上がっている」
そう言うと、自分の脚をアズライトの股に差し込み、局部を押し上げるようにずらした。
「! あうぅっ…!!」
電流が流れるような感覚に襲われ、アズライトの身体が弓なりに反る。[蔓]がスーツから手を放すと、その場に崩れ落ちた。
指示を受けた巨木がアズライトの四肢を絡めとり、[蔓]の眼前に磔にする。
「さて、続きといこうか」
既に体液の影響は全身に深く及び、アズライトの身体は小刻みに震えていた。紅らんだ表情は苦悶に歪み、呼吸を荒げながらも、湧き上がってくる疼きや快感を必死に抑え込んでいるようだった。
抵抗できなくなった獲物を前にして、[蔓]は満足気に息をつくと、手始めに首から覆う戦闘スーツに切れ目を入れ、露わになる首筋から肩のラインに唇を這わせる。腰を抱くように両手をまとわりつかせ、ぴたりと身体に張り付くスーツの感触と、そこから伝わる体温と肉感とを堪能するように撫で回した。
「…っあぁ…ああ、んっ…」
[蔓]の唇に肌が吸われ、厚みのある手が感部を滑る度に、アズライトは息をあげ、恍惚の表情を見せていく。
「生身も良いが、これも悪くないな。滑りが良い」
両手が太股に入り、付け根から小振りの尻へ撫で上げ、掴むように揉み込む。[蔓]の腹に押し付けられた局部がピクピクと反応するのが伝わってくる。
「や、あ…ああぁっ…!」
「そろそろ頂くとしよう」
[蔓]の手が、アズライトの局部を包み込む。全身を犯され、既に脈打っているその先端は、スーツの内側をわずかに濡らしていた。局部のスーツを縦に切り裂くと、勃起した陰茎が弾かれたように飛び出し、その鈴口からは白濁の精液が我慢できず漏れ出てきていた。[蔓]は陰茎を握り、根元から強めに数回しごく。
「あぁーっ!!」
再び身体が反り返り、アズライトは[蔓]の手の中で果てる。[蔓]はすかさずアズライトの陰茎を咥え込み、音を立てて精液を吸い上げ、飲み下していく。陰嚢にも刺激を与え、可能な限り吸い尽くす。
「…う…」
溜まった精子を一気に放出したアズライトはがくりと頭を垂らした。その全身は依然、体液に犯され震え続けていた。
搾取を終えた[蔓]は唇を舐めると満足気に立ち上がり、髪を掴んでアズライトの表情を伺う。汗に濡れた前髪の間から長い睫毛が被さった目が見えたが、既にその瞳に輝きは無く、虚ろげな視線を漂わせていた。
「少し手がかかったが、おおむね想定通りだったか」
[蔓]はアズライトを異界へ連れ去る算段を考え始める。
「さて…『
思案にふけ始めた時、『転異空間』に何かが入り込んだ気配を感じた。
「!」
振り返った途端目の前を黒いもやが覆い、まとわりつく。手で払っても視界は晴れない。その間周囲で巨木が切り刻まれる音と無数の断末魔が聞こえ、一瞬後やや視界が開けた時には、拘束を解かれたアズライトが何者かに支えられて横たわる姿がぼんやりと見えた。
「お前は…アズライトの仲間か?」
「気安く名前呼んでんじゃねぇ、下種」
問いには答えず、かざした掌からすじ状の黒い霧を放出し、[蔓]を覆い尽くす。
「失策だった。さっさと連れ帰っていれば良かったな。…今回は諦めよう」
「消えろ」
[蔓]を完全に覆った霧はボール状になり、手を拳の形に握ると急激に圧縮し、粒になって言葉通り消えて無くなった。
転異空間から、[蔓]の気配が消えた。
脅威が去ったことを確認し、セイバー『オニキス』はアズライトを抱きかかえ、転異空間を解除した。