※この作品はR-18です。

ガイアセイバーズ -GAIA SAVERS-   作:独楽 悠

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第17話_本能への執着(R18)

凌辱は[蔓]が満足するまで続き、ひとまず解放された蒼矢は、ひとり硬い寝台の上に転がっていた。

身体は二人の汗と[蔓]の体液まみれになり、強く嬲られた白い肌は紅く染まり、痛々しい姿を晒していた。手の拘束は外されたままになっていたが、新たに首に金属の輪がはまり、つながった鎖の先は牢の外へ延びていた。

既に身体の疼きや火照りはおさまっていたものの、疲弊しきった身体はほとんど動かすことができず、目は力無く半開きになったまま、視線を薄汚れた寝台のシーツに落としていた。

静かな空間の中で、蒼矢は昔のことを思い出していた。

約四年前――蒼矢が『セイバー』に選ばれ、その身に『アズライト』を宿した時のことだ。

 

 

――当時の『ガイアセイバーズ』は、葉月,影斗に加えて現在とは別の…烈と陽の先代のセイバー達の計四人で活動していた。つまり蒼矢がアズライトとして加わったことでフルメンバーになったわけだが、四人の中で一番古株だったメンバーが先代のアズライトと被っておらず、全員が『アズライト』というセイバーのことをほぼ知らなかった。

そんな中加わった蒼矢は、他メンバーから興味津々の存在だった。

セイバーは通常、実戦の中で本能的に能力に目覚め、使いこなすことでそれらが安定し、次段階の別の能力に目覚めていく。攻撃系統,防御系統という風に枝分かれして覚えていき、いずれそのセイバーの得意とする系統のスキルが特出して伸びていく。得意系統は鉱石によって大体決まっていて、たとえば『ロードナイト』は攻撃系統、『エピドート』は防御系統にそれぞれ優れている。

『アズライト』は、基本系統とは別の『索敵』という専門能力を、最初から使用できるセイバーだった。

その有用性に他セイバー達は驚き、"なんか使える奴が入ってきた"という雰囲気になった。しかし少し実戦を重ねていくと、なかなか特異なポジションであるということがわかってくる。

『アズライト』は、基本の攻撃ないし防御系統のスキルをほとんど目覚めていかなかった。逆に『索敵』能力はぐんぐん伸び、それはすぐに悪影響も及ぼし始める。まだセイバーになりたての蒼矢には能力が強過ぎて、身体に不調が出始めるようになったのだ。[敵]の気配に過敏になって精神的に疲弊し、他セイバーの行動についていけなくなった。

また、強化された肉体による体術もセイバーにとっては重要な戦闘手段だったが、素の身体が小柄で体力的なポテンシャルが元々低い蒼矢は、強化されても他セイバーからの援護が必須だった。

そして、固有武器『装具』ですら、アズライトに与えられるのは攻撃力の低い短剣で、近接戦闘が不得手な蒼矢との相性も悪く、もっぱら使用機会は『索敵』中に限られ、能力を増幅させるための補助具にしか使えなかった。

蒼矢の素養を差し引いたとしても、まるで『索敵』以外はできなくて良いというスタンスに思えるラインナップだった。『アズライト』への評価は急激に変化し、"要るのか要らないのかわからない"存在になっていった。

それでも、『索敵』がそれらを補って余りある要素だったため、しばらく試行錯誤した結果、アズライトをエピドートが全面的に防御し、『索敵』が終わるまで他セイバー達もそれをサポートしつつ戦闘する形に落ち着いた。今もそれが基本陣形になっている。

単独での戦闘厳禁も、こういう初期の間に話し合いで決められたものだ。蒼矢が成長し、セイバーとして成熟した現在も変わらず守られ続けている。

内向的で真面目な蒼矢は、そんな状況にこの約四年ずっと悩み、自分を責め続けてきた。

常に誰かに守られていないと戦闘に参加できない。単独だと、唯一と言っていい存在意義の固有能力すら満足に使うことができない。

…足手まといになるくらいなら、参戦しない方がいいのではないか。

そして、何度も思った。

 

"『セイバー』の能力なんて、消えて無くなってしまえばいい"

 

――

 

衰弱した体を震わせ、自分の胸元へ目をやった。

鉱石を破壊され、『アズライト』の刻印が消えた、左胸。『セイバー』の資格を失った、自分。

ようやく叶った能力の消滅。自分の器量に不甲斐なさを感じる度に、人知れず思い、望んできたことだ。

でも…

なんでこんなにも、今までのことが思い出されるんだろう。

…なんでこんなにも、心の奥に痛みを感じるんだろう。

「…っ……」

蒼矢は硬く目を閉じる。

その長い睫毛が被さる目に涙が浮かんで頬を伝い、シーツに滲んだ。

 

 

突如鉄格子が打ち鳴る音とともに揺れ、蒼矢はうっすらと目を開ける。

「こいつかぁ…あたらしいエモノは」

音のする方を見ると、鉄格子に人型の何かが貼りついていた。[異界の者]のようだったが、[蔓]とは声色やシルエットが別物に見える。

「っ!」

不意に首輪の鎖が引かれ、寝台から引きずり落とされた。そのまま格子までたぐり寄せられ、金属の輪が蒼矢の喉に食い込む。

「…ん…ぐっ」

「あたらしいエモノ…おれにもあじわわせろぉ」

[蔓]よりふた回りくらい体格が小さく、筋肉の付きも薄いが、もちろん今の蒼矢に太刀打ちできる相手ではなかった。

鉄格子に身体を打ち付けられ、無理やり立たされる。長い髪の間から血走った眼を光らせ、蒼矢の整った顔を食い入るように凝視すると、ついでその裸体を舐め回すように見る。

「…おまえ、いい。すごくいいぞぉ…いままでのどんなエモノよりウマそう」

「…っん…」

まるで品定めをするように、蒼矢の首元から太股まで感触と反応を確かめながら撫でると、やがて視線を剥き出しになっている陰茎に注ぐ。

「精液ほしい。おまえの精液、おれにもよこせぇ」

そう言うと、蒼矢の腰にしがみつき、陰茎を口に咥えて吸い出すように口を激しく動かし始めた。

「いっ…あ…!」

蒼矢はその[異界の者]を引き剥がそうとするが、乱暴にしゃぶられる痛みに顔を歪ませる。

[異界の者]は陰茎を強く扱いてみたり陰嚢を揉んでみたりするが、今の疲弊しきった蒼矢からは刺激を与えても何も漏れ出てこなかった。

「でねぇ…精液でねぇよぉ…」

「っあぁっ…! …は…なせ…っ…!」

なおも局部を嬲り続ける[異界の者]の頭を両手で押し返す蒼矢だったが、ふとその腰に光る物が視界に入ってきた。

「……!」

その[異界の者]は、牢番《・・》だった。

蒼矢の脳内には、何の迷いも浮かんでこなかった。

「精液…でねぇ…くそぉ」

どういじっても射精しないことがわかると、[異界の者]は間に入る鉄格子を嫌ったのか、絡めていた腕をほどいて腰の鍵に手をかける。解放された蒼矢は、倒れそうになる身体をなんとかこらえ、腕を鉄格子に引っ掛けて相手の様子をうかがう。

そして、鉄格子の扉に向かおうと[異界の者]の視線が完全に逸れた瞬間、蒼矢はその首に自分の首輪の鎖を掛け、渾身の力を込めて引っ張った。

「!?っぐェ……!!」

鉄格子越しに背中を向けて絞められ、[異界の者]は目を剥いて首を掻きむしる。蒼矢は鉄格子に足をついて踏ん張り、出しうる力の全てを懸けて鎖を引っ張り続けた。

「…あ゛……ガ……」

しばらくこう着状態が続き、やがて[異界の者]の身体の震えが止まり、地にずり落ちていく。安全を期して蒼矢はなおも締め続け、完全に力を出し切ったところで崩れ落ちた。

「…っ……」

仰向けに寝転がり、息を乱し、激しく胸を上下させる。が、落ち着くまで待っている時間はおよそなかった。消耗しきった身体へ鞭打つようにすぐ起き上がり、凄まじい面様のまま事切れた[異界の者]へ近付く。その腰に下がっている鍵束を引きちぎり、扉へ向かう。

予想通り扉の外側に鍵穴があり、更に幸運なことに首輪の鍵もひとまとまりになっていて、双方を即外す。

牢の中に投げ捨てられていた下着とズボンを履き、静まり返る薄暗い空間の中、出来るだけ音を立てないよう鉄格子の扉を開けた。

…どこへ逃げたって、先が無いかもしれないのに。

…もう異界からは二度と抜け出せないかもしれないのに。

表層に近いところの思考では、もうとっくに諦めていた。でも、心の奥底で、わずかな望みを絶ち切れずにいた。

 

まるで、『セイバー』の本能的な"使命感"に、駆り立てられているようだった。

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