※この作品はR-18です。

デレマス短編集 カルマ√    作:緑茶P

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(´ω`*)かつてはもう昔、それはそれは古いお話です。

とある男は沼の底にある分岐点でこういいました。

沖竹ノ神「お前が時子のエロを書くのならば、私はソレを超えるブクマ100の夏樹√を書こう!!」

sasakin乃介「嗚呼、口惜しや……。私は沼の底でただSSを読み漁っていたいだけなのに貴方はそんな酷な事いう……。ならば、貴方がもしそれを実現するといういうのなら。私は5人のSS書きをエロSSに引きずり込む時子エロを書きあげましょう!!」

沖竹ノ神「その言葉、ゆめ違えるでないぞ!! その時までこの”リクエスト禁止の大岩”をココに置かせて貰う!!」

sasakin乃介「嗚呼、嗚呼、口惜しや、口惜しや。雫の激走バトルや乙倉ちゃんの背伸びコーデが見れぬとわ…………(; ・`д・´)やったらぁ!!」


――――

という事で、約束の”時子エロ”です(笑)

随分と昔の約束だったんですがようやく昨日夜中に起きてムラムラして眠れない謎テンションが来たので寝ずに書き上げて出勤してきました(笑)。

どうか頭を空っぽにお楽しみください!!(笑)


 ”淫らな女王

 さてはて、華の大学生活メインと言っても過言でもない週末。天候は夏らしく熱いには熱いがカラッとしていて風も心地いいお陰で、そんなに不快さもない正に行楽日和と言っても過言でもない日に俺“比企谷 八幡”は一通にメールに頭を悩ませていた。

 

 知り合い、気に入った女は大体を食べ散らかしているせいか大量のセフレからのメールが鳴りやむことが無いのはいつもの事なのだが、その中の一人である“財前 時子”という女からのメールがいつもと毛色が違うのだ。財閥のお嬢様で生粋のドSの女王様であるこの女とはバーで知り合い、“生意気な顔をしている”とかチンピラでも今日日言わない様な絡まれ方をされてそのまま体の関係へと至った(本人は絶対に認めようとしないが酒にそこまで強いわけでもないので悪酔いしたまま俺を誘って、次の日に頭を抱えていたのは面白い光景だったが)。

 

 まあ馴れ初めはともかく、プレイ自体は適度なソフトSMという物が主でいつもぐちゃぐちゃになるまでセフレを攻め立てている俺としては新鮮味があるため呼び出されて暇な時であればたまに遊んでいるのだが、今日ばかりはどうするか迷った。

 

 “あの件、今日なら考えてあげるわ”

 

 それだけが書かれ、集合場所があいつの持っているマンションである事と時間だけが記されている簡素なメール。内容が分からないのが不安を煽るが、基本的にきちんと気持ちよくしてもらえるのでハズレはない。だが、今日は俺の誕生日。昨日未明に妹がこっちに来て祝おうかなんて激しい誘惑をしてきたので俺の心は揺れていた。

 

 “快楽” か “尊さ” か。

 

 俺は人生で一番と言っていい程に頭を悩ませたがそんな俺の耳に妹用に個別設定しているメールの着信音がピロリ。速報かと思い慌てて内容を確認し―――俺はガックリと肩を落とした。

 

『お兄ちゃんお誕生日おめでとう♡ そっちに行こうかと思ったけど、朝起きたらめんどくさくなったから小町はこのまま二度寝するね~。 ばははーい』

 

 こんな雑なおめでとうと約束破りなのに可愛く思えちゃうから不思議。俺は深いため息一つ吐いて布団を蹴飛ばし、ベットから降りてシャワーに向かう。隣で熟睡している新妻系の少女が逆バニー服のまま寝ていたせいで寒いのか蹴飛ばした毛布をぐずりながら巻き込んでそのまま二度寝を開始したのに少々だけ笑いつつ、俺は今日の日程に弾む足を進めた。

 

 

 さあ、今日もがんばるべぃ

 

 

―――――――――

 

 

 都内一等地にあるドデカい高層マンション。これが丸々そのまま時子の所有物だというのだから何度見ても恐れ入る。その中でも最上階全部がアイツの住居で、この間来た時に探検したら温室付きの屋上庭園に、小規模ながらプールまであったりして柄にもなくはしゃいでしまった。やっぱり東京の財閥ってのは千葉とは比較にならないくらい金持ちなのかもしれない。そんな絶対に一年で何度も使わないであろう無駄金の極みのような住居の中にその部屋は在る。

 

 どこの部屋よりも最奥に位置し、窓もなく分厚い壁に包まれた文字通りの“秘密の部屋”。ここの主の最もプライベートな部分であり、誰にも知られる事の許されない事象が詰め込まれた場所であった。

 

 まぁ、もったいぶる訳でもないのでざっくり言えば―――時子のSM部屋だ。

 

 初めて入った時にそれなりにアブノーマルなプレイに慣れた俺ですら目をむく程に充実した器具・設備・機材があって若干ひいた程だ。そこでは彼女の立場上あまり公にするわけにもいかないので専門の口の堅い男優を雇って遊んだりしていたらしいのだが、俺と知り合ってからは完全に俺専用のヤリ部屋となっていて結構に重宝している。

 

 そんな通いなれた部屋の扉をいつもの様に何気なく開くと―――― 一輪のバラがベットに添えられていた。

 

「遅い」

 

「…………というか、どうした?」

 

 豊かな赤毛の中からタレ目がちな瞳が睨むようにこちらをねめつけ、明らかに不機嫌な声が漏らされた。まあ、それ自体はいつもの事なので驚きはしないのだが俺が理解できなかったのは彼女の状態だ。その細身ながらメリハリのついた体は深紅に染められた絹のパーティードレスを元にした際どい蠱惑的なデザインに包まれているのだが、一際目を引くのは華奢で真っ白なその手首に掛けられた銀色の拘束具――いわゆる“手錠”という物がその中で異彩を放っていた。

 

 俺の知る限り、彼女はソレを掛ける事を好む人間の筈だったのだが、ぶすっとしたまま反応のない彼女にとりあえず近づきそのまま彼女の座るベットへと腰を下ろした。そのまま、いくばくかどうしたもんかと首を傾げていると彼女は本当に忌々し気にこちらを睨んで言葉を紡いだ。

 

「鴉の小さな脳みそには記憶力という物が欠如しているようね。―――自分で言った事もわすれるなんて本当に救いようがないわ」

 

「俺が?―――――あっ! もしかしてこの前の飯行った時の事か!!?」

 

 彼女の言葉にしばし記憶を辿ればポロっと先々週のコイツに奢って貰ったレストランでの事を思い出した。夜景が見えるとこで完全個室の部屋でこいつが確か“誕生日のプレゼントを恵んでやる”とか言っていたのでほろ酔い気分のまま“じゃあ、逆SMしようぜ”なんて冗談で言ったのだ。その後に滅茶苦茶に罵倒され、その後のSEXもいつもより焦らされたのでてっきり断られたものかと思っていたのだ。

 

 それがあれから時子も散々悩んだのかもしれん。プライドとスタンスを天秤にかけて悩みに悩みきった結果、“プレゼントは私”とかいう今時ネタでもやるのを躊躇うプランを決行したらしい。正直、一緒にこの部屋の女性用アダルトグッツを試す程度で考えていたのだが、思いのほかバッチリ準備して迎えるこいつの生真面目さが可愛らしくてついつい笑ってしまいそうになる。

 

 だが、それが見られないように拗ねてそっぽを向く時子を思い切り抱きしめる。多少の抵抗と罵倒を貰うが気にすることも無く、ひたすらに耳元で思いつく限りの感謝と喜びを伝える。そうすれば、時子も怒りを引っ込めたのか声に甘さの混じる罵倒へとなってきて、哀れな下僕が主人の厚意に感極まっての愚かな行動だと、勝手に判断してくれた。

 

 そのちょろさに抱き着いて彼女の肩に埋めた口元が意地悪気に歪んでいるのを隠すのに随分と苦労する。別にこの痛いプレゼントも、時子のいじらしさも、ましてや、主従の絆に感動したわけでもない。―――この方がこの女を煮込むには都合が良かったのだからそうしたまでの事だ。

 

 いろんな女を抱いてきたが、それこそ趣味嗜好というのは千差万別だった。甘い物、からいもの、痛いの、面白い物、珍しい物、スリルがある物。なんでもいいし、混ぜてもいいが問題は徹底的に汚してしまうには先ずはソレを包んでいる皮を剥いでやらねばならない。桃のようにツルリと剥けるモノから、刃物で切り裂くもの、叩いて壊すものとその中身を取り出す前の工程が美味しく頂くためには重要だ。誰だって殻が混ざった目玉焼きなんて食べたくないだろう?

 

 それをこの女で例えるのであれば、棘付きの硬い殻に覆われた果実だ。高い高いプライドを蹴っ飛ばし取ろうとすれば、その殻でこちらを傷つけようとしてくる。ならば、密かに優しく手に取り、その殻の隙間にゆっくりと刃物を入れて剥いていく。硬い殻で守られていたその中身には――――蜜の滴る甘く、甘く、柔らかい実が詰まっているのだ。だが、そこですぐに齧り付くのは品がない。どうせならもっと丁寧に、徹底的に頂こう。

 

 一通りのご機嫌取りが成功したことを確認した俺はベットの向いにある姿見で自分の顔がにやけていない事を確認して心の中で舌なめずりをし、時子を一旦離す。

 

「とはいえ、本当にやってくれるとは思ってなかったから何をするかそこまで考えてなかったからなぁ…。ソレに、あんま傷つけそうなのもしたくないし―――いっそゲーム方式にしてみるか」

 

「はぁ、ゲーム?」

 

 困り果てた振りをする俺に多少の優越感をもって眺めていた彼女はその提案の意図が分からなかったのか眉を顰めた。本当に思った通りに動いてくれる彼女にほくそ笑みながらそのまま言葉を繋げる。

 

「まあ、簡単な奴だよ。例えば―――“俺に暴言を吐いたらキスする”とか」

 

「はん、鴉の脳みそではそのていどっつ―――――んむっ!!!」

 

 呆れたように鼻で笑う彼女の口を唇で塞ぎ、唐突の事に目を白黒させている彼女に目だけで微笑んで数十秒そのまま彼女の口内を丹念に舌で愛撫を繰り返し、絡み合った唾液は彼女の真っ赤な口の端から淫靡に垂れていく。暴れる彼女を痛くない程度に抱きしめ拘束し、抵抗が弱まった所で一旦口を離した。唐突な激しい接吻で碌に呼吸も出来ていなかったのか、口を離した瞬間に必死に酸素を取り込んだ彼女。ソレを数度繰り返した彼女は混乱からようやく立ち直ったのかちょっとだけ怒りを目に灯して口を開いた。―――こっちの思い通りに。

 

「鴉風情がいつ口づけしていいt――「はい、二回目」――んんんんっつ!!」

 

 再び、口内を蹂躙する。今度は歯を閉じる事によって抵抗しようとするが、形の良い鼻を僅かに摘んでやるだけで呼吸を求めて口は簡単に開く。その隙に一度割り開けばワンセットが終わるまでひたすらに甘い彼女の口内を堪能し、離す。酸素が足りてないのか、はたまた体に火がともり始めたのか荒い呼吸で顔を真っ赤に染めた彼女がまた罵倒をしようとして、ソレを同じ要領で繰り返す。

 

 酸素不足で酩酊しているせいか彼女はソレを何度も繰り返す。暴言を発するたびに同じことをされると分かっていても高いプライドが反射的に反撃をしてしまいそうになる。ソレに、何よりも、これには痛みが伴わないからそのハードルはいつまでも下がらない。人間の激痛に対しての学習能力は凄まじく、また、彼女の高い自尊心と攻撃性は激痛を感じた瞬間にコレを情交ではなく敵対行為としてみなし快感の一切を拒否してしまうだろう。だから、最初にあんな臭い芝居まで打って彼女の殻に切れ込みを入れておいたのだ。

 

 これは、“好意を持った人間との、簡単な罰ゲーム”だと。

 

 キスをされたくなければ、口を閉じていればいい事くらい彼女も数回目で気が付いているだろうが、痛みもない処が微かに快楽まで呼び起こすこの行為は実質罰ゲームにはならないのだ。それでもなお彼女は弱々しく罵倒を何度も繰り返す。それにこちらも、もはや殆ど抵抗を感じない彼女の肢体を抑え込みながら、彼女が弱々しく呟く罵倒に合わせる様に今度は優しく甘いキスを繰り返す。

 

このゲームの本質は“おねだり”の簡易化だ。

 

 普段から快楽を与える側である彼女は“女王様”という立場上から快楽を乞う事が出来ない。だが、この状況下では彼女は下僕を叱責するだけで立場を守ったままいつまでも快楽を貪れるのだ。そして、高い高いプライドを持ちつつも強い公平性を持つ彼女の深層心理では“ゲームに負けたから”という言い訳がその行いを助けてくれる。

 

 やがて、彼女の体から完全に力が抜けきったタイミングで、甘くしゃぶっていた舌を下品な音をたてて啜ることでこのゲームは終わりを迎え、今度はその脱力しきった体を労わるように抱き起してやる。手錠に繋がれた手は暴れたせいか微かに輪の後が残り、艶やかなドレスの胸元は豊かな乳房をまろび出し―――ドレスの腰の部分は“なぜか”濡れ染みが大きく広がっている。そんな満身創痍で淫靡な無様を晒している彼女を満足げに眺めて、耳元で優しく囁く。

 

「意外と、楽しめただろ?」

 

「――――ぅる s ぃ」

 

 息も絶え絶えで、体中から甘い雌特有の匂いを汗と共に纏わせた彼女。乱れてしまった髪に隠れた顔は見えないが、それでも小さく掠れた声でそう呟く彼女に苦笑を漏らしながらその先に期待して固くなる自分の怒張を感じる。

 

 

 さてはて、楽しい誕生日は始まったばかり―――次はどんなことをして彼女を汚そうかと考えて湧き上がる笑みを噛み殺した。

 

 

―――――――――――――

 

 

 それからしばし、思案を巡らせた俺はやはり調教の先達である彼女の手順を模倣することから始めることにした。俺もこいつとのプレイで初めて知ったのだがSMというのは信頼感と丁寧な準備が大前提であるらしい。まったくの初心者にいきなり鞭を打ち付けたり、マニアックすぎるプレイを事前説明と合意なしに行うなんてお話にもならないのだ。

 

 そう考えると彼女は相当丁寧に段階を踏んでプレイをしていた事をやる側になって分かるとはいやはや人生は分からない――などと感慨深げに頷く俺の前には真ん丸で美しい曲線を描く桃が惜しげもなく晒されていた。

 肌の紅潮がその色味を更に艶やかにし、極度の緊張からか起こる体の震えを悟らせまいと力を込めているのが実に淫靡で被虐心をそそる。その中で最も見応えがあるのがその中心で充血によって張りつめている小さな肉芽に何かを期待するかのように主人の意思に反して淫らな蜜を垂れ流し開閉を繰り返す膣口はもはや絵画として美術館に展示してもいいくらいだと素直に想う。

 

 そんな大人の美術品として俺の前に陳列されている時子。その本体たる上半身は冷静になると相当にマニアックな格好をしているのがコケティッシュでクスリと笑いを誘う。手錠が掛けられた手は馬鹿でかいベットの各所に作られている固定用のチェーンに結ばれており身動きを封じられ、うつ伏せ体制になっている彼女の腹部には柔らかくされど沈み過ぎない絶妙に創られたクッションが挟まれており、自然と体制は臀部を俺に突き出したような状態で這い蹲っている獣のような姿勢になる。そして、その光景を更に異様にしているのが完全に視界を覆う黒い目隠しと完全防音のイヤーマフで完全に世界から五感の内二つを奪われている事だろう。

 

 何度も口の中で小さく悪態を突いて羞恥と、怒り、そして―――若干の恐怖に抗う彼女はいつもと違う年相応の小娘の様で自然と頬が緩んでしまう。そんな中で、ランダムに設定していたタイマーが機械的な電子音を響かせたので俺は腰掛からオッサン臭く腰を上げ彼女に近づき、フェザータッチと言っていい程に優しく彼女の臀部を撫でた。

 

 肉体的な苦痛は一切ないはずなのにたったそれだけで彼女の体は大きく跳ね、呪詛のように漏れ出ていた悪態は一瞬で閉じられてしまった。ただ、閉ざされてしまった上の口に代わるかのように――――下の口は貪欲に歌い始める。甘く、厭らしい汁を下品に滴らせて早く、早くとでもいうかのように俺を招き寄せる。

 

それが何度見ても面白く、震える彼女の体を嬲るように愛撫を繰り返し―――その蜜壷に優しく指を加えさせてゆるゆると掻きまわす。決して乱暴にかき回すのではなく、彼女との付き合いで見つけたツボを優しく何度でも慈しむように一定のリズムで揉み解す。たったそれだけの刺激であるはずなのに彼女の食いしばった歯の奥から獣の唸り声のような声が響き、体中からさっきまでと比べ物にならない程の汗が滴り始めて部屋に充満する雌のフェロモンは劇的に濃くなっていく。

 

 そんな部屋に張りつめる空気にいけないと分かっているのに悪戯心に火がついてしまう。丹念に込め繰り回していた指を彼女が一番感じるであろう所に留めて一切の動きを止める。断続的に送り込まれていた快楽は途切れ、その代わりに差し出された長い間に焦らされ続けた“絶頂“への道しるべ。それでも、それを求めて自ら腰を動かすことは敗北宣言と―――魂の恭順に他ならないのだから。

 

 必死に原罪に抗い苦しむ彼女の様子に俺は自分のプランが間違っていなかったことを悟って深く深くその無様を嗤ったのだ。

 

 聴覚を奪われた彼女に―――その嘲笑は届くのだろうかと俺はどうでもいい事を考え、彼女の決断を目を細めて見送った。

 

 

――――――――――――――

 

 

 いつもと真逆の立場におかれ、体中が生理反応に乗っ取った反応に従おうとするのを意思の力で抑え込み、歯を食いしばり、自分のアイデンティティがソレを強く拒絶し、諫める。

 

 自分がこんな有様になる前に、世界から視覚と聴覚が奪われる前にあの鴉が楽し気に告げた言葉が何度も頭をよぎる。

 

“我慢できなくなったらいつでも入れてやるから、一声だけ合図してくれ”

 

 自分の下僕であるはずの彼から零された言葉。それが時間の感覚も奪われ定期的に行われる合図ともに何度も繰り返された責め苦によって疲弊した状態ではまるで垂らされた蜘蛛の糸のように感じ始めた。だが、ソレに屈する事だけは許されない。どれだけコレが続こうと、自分の心が折れるまで繰り返そうという魂胆だろうが―――屈してなるものか。

 

 荒くなる吐息と鼓動を無理やり抑え込み、決して達しそうで達しないように調節されたその刺激に対してなんてことないと言い聞かせた時にその変化は訪れた。柔らかく、追い込むように与えられていた刺激は何の前触れもなく止められ―――限界まで追いつめられた快感がもう一歩で達するであろう位置で止められた。

 

 ここから、少しでも自分で押し込めば――――達することが出来る。

 

 そんな絶妙なバランスで与えられたその選択肢。

 

 固めた意思の一部が勝手に耳元で囁く。

 

“声に出したわけでなく、自分で達したならば――いいじゃないか”と、“ギリギリを見誤ってイカセタとなればそれは向こうの責任ではないか?”と。そして、――――“ココで軽くばれないように発散しておけば、まだまだ勝機はある”などと、思考が入り乱れ、呼吸が荒くなる。

 

 あと、ほんの数ミリだけ押し込めば、こんな、責め苦から解放される。

 

 あと、あと―――ちょっと腰を落としこめば――――

 

 そんな音の消えた世界で  “ぬっぷ” という音が体の中から響き―――あと一歩だけ足りなかった快楽の虚しさが  あふれ出した。

 

 

「   あっ…………」

 

 

 そこで何かが切れる音が自分の中で響き、荒く収めていた呼吸に勝手に嗚咽が混じりそうになる。押さえつけていた体が自分の意思に反して“なぜ早く決断しなかったのか”と不満を溢れさせるようにわななき出し―――それが爆発し、繋がれた事すら忘れて暴れ出しそうになる瞬間に世界に音が戻った。

 

 閉ざされていた聴覚は久々に訪れた刺激に過敏に反応し、空気の音すら捉える中で――――熱い熱量と共に紡がれた  情欲に塗れ、女を組み敷くことに最高の愉悦を滲ませた下卑た声。

 

 

「すまん、我慢できそうにない。――――犯すぞ」

 

 

 ただ、それが今の私にとって――――何よりもの福音だったことに間違いは、ない。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 誇りを捨て、浅ましく快楽に貪ろうとした高貴なその女の痴態に、俺は深く感銘を受けたと言っても過言ではない。

 

 彼女は、決して愚かな人種ではない事を知っている。教養を身に着け、努力を欠かさず、厳しくも慈愛に満ちて、強い意志をもって規範であろうとする気高い女だ。ただのセフレである俺ですらそう確信できるのだから、本当にそうであるべき凄い女なのだろう。

 

 だが、そんな女も――――堕ちるのだと実例を目の当たりにして俺は心から満たされた。

 

 あの瞬間に彼女は確かに自ら自分を攻め立てるモノに対して屈して、自ら腰を振ろうとした瞬間に指を引き抜いて、求めていた快楽を逃し、それが何を意味するか気が付いた彼女を余すことなく観察し、微笑みで祝福した。体の生理現象だの、偶然だの、二時間も責められた末の行動などとというおためごかしはどうでもいい。問題は、この女の調理がようやく終わってその甘く、芳醇な体を貪る状態が整ったという事だけが俺にとって重要事項だ。俺はこいつのご主人様を目指している訳でもなく、恋人として並び立ちたいわけでもない。こいつが――――俺程度でも汚せる程度のモノだったという事実だけが俺の心を癒し、欲望を満遍なく満たしてくれる。

 

“ほら見ろ、真実なんてこんなものだと” そう囁く心の中の怪物が “だから、貪り 汚していいのだ”、と押さえていた欲望のたがを外して――――自分のしたことに打ちひしがれ暴れ出しそうな哀れで愛おしい女を優しく抱き留め

 

 

 欲望のまま貫いた。

 

 

 遠慮も何もなく膣の最奥を思い切り突き上げたと同時に彼女の体は固定された手錠が手に食い込むほどに跳ね上がって、体中からあらゆる体液をまき散らすことで二時間ものあいだ待ちわびていた快楽を迎い入れ、祝福した。

 

「いっぎぃ、あっつ っひ、やめっ、今はうごか――――――っつあああぁっ!!」

 

 言葉にならない絶頂に塩も涙もまき散らす彼女の懇願に微笑みだけで返しうつ伏せだった体を引き起こして正常位へと移して、先ほど得られなかった彼女の最も感じる浅い部分にある性感帯を的確に解してやる。亀頭で焦らされ過ぎて瘤のように膣の中で充血したその部位を押しつぶすように荒く突き上げ、股座どころか着せていたドレスまで絞れそうな程あふれ出した愛液を亀頭のエラで掻きだすようにこすり付けて何度も挿入を繰り返す。

 

 つく度にイキ、引き抜く度に潮を吹きだす彼女は何処までも突き上げられる初めての絶頂の果てに半狂乱の有様で既に言葉も文法も滅茶苦茶に許しと懇願を繰り返す。その顔にはいつもの見下すように睥睨する威厳もなく、腫れあがった乳首と肉芽を媚びる様にこすり付けて必死に俺の唇を吸う姿に気品という物はなかった。だが、その姿は一切のごまかしも何もない純粋な欲望そのままで――――綺麗だと、素直に思った。

 

 手錠を渡されていた鍵で荒っぽく外し、その瞬間に背中に指を突き立てている事にきずかない程に快楽に溺れた彼女に負けないくらい強く尻タブを握り閉め手形を残し、膣を突き破らんばかりに配慮も工夫もなくただ性欲を吐き出すための肉壷として荒っぽく、乱暴に彼女の全てを壊すかのように抱き続けた。

 

 気が付けば、彼女のドレスはぼろきれの様に引きちぎれ、前も後ろも体中に余すことなく栗の花で化粧を施した彼女が体中を痣だらけにして過呼吸のような細い息で俺の胸の中にいた。柔らかくしなやかだった髪は乱れ切り、正午から丸々日付が変わるまで酷使された膣と尻穴は閉じる機能を失ったかのように開き切りって真っ赤に腫れあがっていた。

 

 それに対する俺だって興奮が冷めてこうして落ち着くまで気が付かなかったが、背中は何度も爪で切り刻まれたせいで血だらけでシーツは既に殺害現場みたいになっている。ソレにイキ過ぎて発狂した時子に体中泣きながら噛まれたりしたので結構に内出血でグロい状態になっているが、キスマークやら無茶な体位やらなんやらで痣を残したのでそこはお互い様だろう。

 

 もはや、何が何なのか分からないくらいにハッスルしたのは実に久しぶりで体中がだるい上に喉が渇いたので、落ち着くためにベットわきに置いていたテーブルの水を口に含んだ瞬間に強制的に唇を奪われ、せっかく摂取した水分を奪われてしまったので抗議の視線を送る。

 

「……なんだよ」

 

「下僕の癖に主人より先に水を飲むなんて、躾のなってない鴉ね」

 

 そんな文句も何のその、悪びれも無くそういう彼女は――いつもと違うちょっとだけ少女の様な笑顔で俺の胸にその血だらけの爪を突き刺してもう一度目を瞑って唇を差し出した。

 

 これが部屋が血だらけでなく、お互いボロボロでなければ微笑ましいピロートークなのだろうなと苦笑を漏らしつつ口に含んだ水を彼女にゆっくり、淫靡に―――愛でる様に口移ししていく。もちろん、味はお互いの乱暴なキスで滴った血の味。……なんかこう聞くとオシャレだが、普通に不衛生だし不味そうだなと思う俺はやっぱり恋愛は向いてないらしい。乾きがそこそこ潤った後に出てくるのが食欲だというのもソレをうらずける。

 

「……腹減ったな、なんか食いにいかねぇ?」

 

「どっかの馬鹿鴉が暴走しなければ予約していたレストランがあったのだけど―――今、家にあるので作れそうなのは……とんかつ位ね」

 

「最高かよ」

 

 俺の軽口にちょっとだけの責任転嫁まで混ぜて帰ってきた答えに俺の胃袋は正直に腹の虫を鳴らして答える。そんな俺を呆れたように睨んだ時子が気だるそうに、腫れあがった股を気遣いながらキッチンに向かうのを眺めて俺はその後を追う。重厚な扉を弱体化した時子の為に恭しく開け鼻を鳴らされつつ送り出し――歪な器具に囲まれた部屋に血だらけの惨状を見かえしつつ、最後の一回の時の時子を思い出して苦笑を漏らす。

 

 腰も砕けて力も入らず、意識も朦朧としていただろうに強引に俺の上にまたがり“下僕は、黙って私に愛でられてればいい”なんて呂律も回らないまま腰を弱々しく振っていたあの姿を負けず嫌いと笑うべきか、面倒見がいいと感心すべきか判断はいまだにつかないが――――まあ、悪い気はしなかったので今度はもうちょっと優しく甘いセックスをしようと心に決めて俺はその部屋の扉を今度こそ閉じたのだった、とさ。

 

 

 




(・ω・)ときこ、かわいい……
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