the abyss of despair〜R18&if話置き場 作:佐谷莢
オリキャラがヴァンとヤってるだけ。
どれだけ眠っていただろう。
突如耳に侵入してきた騒音に、スィンは夢をたゆたっていた意識を引き上げた。
「あの女のせいで、我らは使者らの前で恥辱を味わったのだぞ!」
「正式な処罰の前に一発──!」
話題の中に自分が置かれていることがわかり、内側からはけして開かない扉に耳をつける。
どうも牢番相手に自分を出せ、と押し問答を繰り返しているようだが、罪人を勝手に出せば牢番の首が危ない。
「起きたか」
ぱっ、と横を見れば、武装の解かれたヴァンが横に座っていた。当然のように抱き寄せられる。
それを押しのけて、口の中で譜を唱え──マリィベルの扮装を解いたスィンは彼の正面、扉を背にするようにしながら身を寄せる。
偽りの姿を抱きしめてほしくないが、元の姿に戻ったところを見張り窓から他人に見られても困る。
「──仕掛けのほうは?」
「上々だ。明日になればルークによって、我らは解放される。ところで、外の連中はお前を拘束しようとして、王や使者らの前で恥をかいたと騒いでいるが?」
「触ってきたから痛い目見てもらったんだ」
簡潔に答えれば、彼は納得したようにスィンを強く抱きしめた。
どうして部屋が分けられなかったのか。そもそもスィンを投獄したその時から、罪人の状態が確認しやすい牢屋ではなく、監視の目がいまいち及ばないプライベートの守られた罪人部屋に入れられたのか。
かなり謎ではあるが、ヴァンが手を回した結果だろう。この際問題ではない。
求められるままに唇を合わせれば、熱を帯びたぬるりとした何かが口腔へ侵入してきた。
受け入れて軽く吸う。それを解放すると、ヴァンは歯列をなぞり、上あごを舐め、スィンの舌を捕まえて絡みついた。
「……ん」
零れた唾液が顎を伝う。
すくおうと指を伸ばせばそれも捕まり、ヴァンは零れた唾液を丁寧に舐め取った。
「……する、の?」
「当たり前だ」
一汗かいているのに、という苦情など、もちろん彼は聞かない。
示された寝台を拒否して──あの場所では看守から丸見え──スィンは床に寝そべった。
のしかかってきたヴァンの重みを心地よく受け止め、ヴァンがメイド服をはだける合間に彼の衣服をくつろいでいく。
「ん……」
片方の乳房が大きな手で揉みしだかれ、片方の突起がちゅうちゅうと音を立てて吸われる。
赤子に乳をやるというのはこういうものなのだろうか。そんなことを考えながら、両足の間に熱がこもっていくのを確かに感じた。
熱を逃がすかのように肌着の留め具を外す。石畳は冷たいが、火照った体にはちょうど良かった。
ヴァンが身を起こすのと同時に、スィンも彼に抱え上げられて起き上がる。あぐらをかいたヴァンの中心は、軽く立ち上がっていた。
幾度となく受け入れてきたそれを、跪いてそっと口に含む。先端を舌で舐めまわすと、頭上で男くさいため息が洩れた。
舌の先端を尖らせ、尿道をくりくりとくすぐる。かぷ、と甘く噛むと、根元の血管がドクドクッ、と身震いした。ちゅぱっ、と音を立てて口腔からそれを引き抜く。
滴った先走りの露を舐め取り、棹を慈しむように撫でさすっていると、体に腕を回され、耳を荒く囓られた。
「ちょ、ちょっと待って。一息つかせてよ」
「……待てんな」
寸止めされたのがお気に召さなかったのか。
ヴァンは自分の脱ぎ捨てた外套の上に彼女を寝かせると、再度のしかかってスィンの首筋に強く吸い付いた。
「んっ……」
白い首の一点が、血の色をした痕に成り代わる。
「痕……つけないで……」
「断る」
ヴァンの顔を掴んで阻止しようとするスィンの腕をまとめて掴み、唇での愛撫を続けた。
「……ん、は……」
「声を出してもかまわんぞ」
「いや、駄目……でしょ」
気にも留めていなかったが、外の喧騒はすっかり収まっている。とはいえ、牢番がいないわけがない。ここは二人きりではないのだ。
肌のそこかしこに紅の花びらが散っているかのような有様のスィンに軽く口付けをして、ヴァンは雌豹のようにひきしまった足に手を伸ばした。
締まっているわりに柔らかさの抜けていない太腿を撫で、その間に優しく手を差し入れる。
「──濡れているな」
「……生理現象、だよ……」
行為に酔っているのだろうか、ヴァンを見上げている瞳は熱っぽく潤み、口調はねだるように甘いものになっている。
内容はひどく色気を感じさせないものではあるが、どんなときでも冷静であれるのは良いことでもあった。
──それが乱れているのは、この上もない快感を覚えていることと同義だから。
スィンの軽口に取り合わず、しっとりとした秘所に指を這わせる。
ぴくん、と反応する体を愛しげに撫でながら、顔を出しかけている花芯を摘むと、「ぁっ!」という嬌声が上がった。
「ち、力、入れ過ぎ──」
「悪いな」
二本の指で思うさま花芯をもてあそび、もう片方の手を裂け目にあてがう。
すでに大量の蜜を含むそこへ指を差し入れれば、ずぷずぷっ、と音を立てて指が二本ほど沈んでいった。
「んっ、ふぅっ……!」
抜き差しを繰り返しながら、勝手知ったるスィンの急所を撫でさすれば、面白いほど彼女は反応を返している。
「はっ、ああ……ふっ、う、うっ……く、んっ……」
嬌声こそ控えめであるものの、びくびくと細かな反応を返す体はぎゅうぅ、とヴァンにしがみついた。
「ヴァン、僕、も……」
「限界か?」
こくこく頷く彼女を抱え上げ、あぐらをかいた自分の上に座らせる。その意図を察して、スィンはゆるゆると腰を上げた。
そそり立つヴァンの分身に軽く手を這わせ、安定させたそこへゆっくりと自分を沈めていく。
「はっ、ああっ……ふぅーっ」
息を吐き出しながら完全にヴァンを受け入れると、彼女は大きく身震いをした。
「うっ……」
「気持ち……いい?」
対面座位を維持したまま中を意図的に動かすと、ヴァンはわずかに眉をひそめて息を荒げている。
「ああ……」
「久しぶり、だもんね……」
キャツベルトではヴァンにあてがわれた船室で接吻を交わすに自粛したが、少なくとも今夜他にすることなどはない。
恥骨をこすりつけるように腰を動かしながら、ヴァンの唇を軽く舐めた。
それが呼び水となり、彼はスィンの後頭部へ手をやると、貪るような接吻を求めてくる。
激しさのあまり恍惚となって、つい応えるのを忘れてしまったスィンは、再びヴァンに押し倒された。
「頭を打つなよ」
太腿を抱えたヴァンが膝立ちになったことで、腰が浮く。
不安定な状態から突き上げる感覚、粘ついた水音。
こらえることも苦しくなった嬌声が静かに牢内に零れ始めた。
「ん……はっ、ひ、う……ふぅ、んっ! くう……」
接合部位の水音は徐々に大きくなっていき、歯を食いしばるスィンが、それを聞いて頰を朱に染めている。
「どうだ、気持ちいいか?」
「はっ……ああ、ん……う、んっ……いい……」
抱えられていた足が、いつの間にかヴァンの腰にしっかりと巻きついていた。
頼るものに添う朝顔の蔓のようなしなやかさを見せ、一層彼に強くしがみついている。
「……初夜の出来事が、幻のようだな」
「あっ、ん……に、んげんの人生だって」
「ん?」
「幻、みたいなものじゃない……」
浮いた腰を中心に反り返るようになった体が、正確にはそれを支える腕が、がくがくと震え始めた。
限界を察したヴァンによってゆっくりと下ろされ、脱力するのも束の間。
腹筋によって持ち上がったスィンの上体がまるでばね仕掛けのように起き上がり、ヴァンの唇を奪っていく。
一瞬の間をおいて離された先にあったのは、快楽に染まりきった色違いの瞳。
「──ちが、う?」
「……いや、そうだな」
これ以上の会話は不要と、ヴァンは自分の腰を回してえぐるようにスィンの膣内をかき回した。
一際甲高い嬌声を上げてあえぐ彼女が、自分の口を塞ごうとしているのを見て取って、脱力した両手を取る。
「ヴァン……?」
「久々だとわかっているなら、声を聴かせてくれ……」
「わかってる、けどンッ!」
不意に早まった律動にスィンが身をよじらせた。
びくびくっ、と細かく痙攣した体が、彼女の限界をいやおうなしにヴァンへ伝える。
「……いく、ぞっ!」
「き、てっ! んっ、ああああ……っ!」
頭の奥底で、体の深奥で、心の表層から裏側までが灼き尽くされるような感覚。
腹が裏返っても、このまま狂ってしまってもかまわないくらいの快楽が全身を犯し、意識をどこまでも白く染め上げていく。
限界まで絞られた弓のようにあらぬ方向へ引き攣っていたスィンの片足が、がくりと転がった。
目を覚ましたのは、翌日。
乱されていた衣服がきっちりと整えられ、抱き枕よろしくヴァンに抱きしめられていたスィンは、珍しく熟睡している彼を起こさぬよう慎重に起き上がった。
地下であるため時刻は分からないが、外の燭台にある蝋燭はすっかり燃え尽きている。
……さあ、これからどうなることやら。
これから先起こる激動を憂い、スィンは大きく息をついた。