※この作品はR-18です。

the abyss of despair〜R18&if話置き場   作:佐谷莢

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第三十四唱にて、アッシュがすんなり承諾せずにゴネた場合。
勢いで書いたのと、ifなので設定きちんと考えてません。キャラ崩壊が嫌な方はスルー推奨。

こんなのアッシュじゃないと思う方、大丈夫。書いた人もそう思っています。

アッシュがオリキャラと共謀してエッチしてるだけ。
種類としては和姦ですが、一見すると強姦している風なので、苦手な方はご注意を。


第三十四唱if——取引

 

 

 

 

 

「……引き受けてもいいが、条件がある」

 

 ルークに感覚の貸与に関して。アッシュは苦虫を噛み潰したような顔で、言った。

 

「条件?」

「やらせろ」

 

 アッシュの要求は極めてシンプルなものだった。

 それだけ嫌だという意思表示なのか、はたまた、女体なら何でもいいから興味があって弄くりたい年頃なのか。

 

「いいよ」

 

 とにかくこれは必要なことだ。とはいえ、実際に行うアッシュに少なからぬ負担をかけることになる。スィンも何かしらの対価を支払うべきなのだろう。

 対価が本当に体でいいのかどうかはわからないが。アッシュも体を使うわけだし、要求しているのだから問題はない。

 その即答に、アッシュは多少なりとも驚いたようだった。

 

「いいけど、いくつか確認させてほしい」

「か、確認?」

「孕んでほしいのかどうか」

 

 大真面目な顔で、スィンはそれを尋ねた。

 やらせろ、と彼は言ったが、何を、とは言っていない。

 一般的にその言葉は「セックスをやらせろ」もしくは「抱かせろ」に当たるのだが。もしかしたら違うのかもしれない。

 

「な、何を聞いて」

「大事なことだからちゃんと答えてほしい。孕んでほしいなら、無理だ。僕が諦める」

「そんなわけねーだろうが!」

「そりゃあ良かった。要求は、体を重ねる行為、でいいのかどうか」

「……当たり前だろ」

「うんうん。じゃあ次。今すぐなのか、後でもいいのか。今すぐだと避妊できないから、諦める方向で考えるけど」

「そ、そんな時間はない。後だ」

「体を重ねないで、君だけがすっきりする方法ならできないこともない」

 

 その言葉でスィンが何をするつもりなのか、わかったのだろうか。

 

「……そんなのは、やるのとは違うだろうが」

「そうだね」

 

 愛の形だけ「やる」方法も違うし異なりはする。従って、愛などない今回においては当てはまらない、ということでいいだろう。

 

「後はねー。これからルークと君は感覚を繋げるわけだが、その状態でするのか、どうか」

「……は?」

「君はルークに立場を取られている。で、スィンは現在ルーク様にかしずく従者なわけだが、もともとは君の従者だったわけだ。じゃあ性欲処理に使って問題ない、という前提のもと『俺は本物のルークだぞ、文句あるのか』って言いながら、ルークに見せつける嫌がらせエッチ」

 

 おそらく、そんなシチュエーションは夢にも思っていなかったのだろう。アッシュの顔色は、髪色とほぼ同色になりつつある。

 

「ルークへの嫌がらせを兼ねてそういうのやるなら、僕も演技する必要がある。素直に応じるわけにはいかないから、嫌がったり怯えたり。強姦の形になるから、避妊の対策とかいろいろ準備してからになるね。腹筋との勝負にもなるけど」

「ふ、腹筋?」

「噴き出さないように頑張るよってこと」

 

 ただの腹芸ならともかく芝居を打つなど、アッシュがやり慣れているとは思えない。おそらく、大変な大根役者になるだろう。棒読みのセリフを聞きながら犯される演技など、やってて表情筋も壊れそうだ。

 とはいえ、そんなことはしないだろうと。冗談だから本気にするなと、言葉にするより早く。

 

「……いいな、それ。やろう」

 

 顔色と言葉が合っていない。

 耳まで赤くしながらも、アッシュはゴーサインを出した。

 

「え?」

「それをやるって言ったんだよ」

「他人に見られながらできるの?」

「か、感覚の共有を、所々で切ればいい。視覚だけや聴覚だけ切ったりなら、できないこともない」

「そこまで無理してやらなくても」

 

 一応本意ではある、というか、今のスィンの妄言を聞いてその気になってしまったように見えるが。

 そうではないのかと尋ねられ、彼は顔の火照りを収めぬまま怒鳴った。

 これでルークとミュウが起きないのか、不安になったのはスィンだけである。

 

「うるせえな! お前が言い出したんだろ、責任とれ!」

「確かに言ったけど。思いつきというか、そういう意図は無いか、の確認だったんだけど」

「だからそういう意図でやるんだよ! もう決めたからな、後でやっぱり嫌だって言っても聞かねえからな!」

 

 ──後々、やっぱりやめるとか言い出しかねないのはアッシュのほうではないかと、この時スィンは思ったのだが。

 彼は思いの外、乗り気になってしまったようだった。性的なことには積極的なお年頃なのだろう。

 

 ベルケンドにてガイがルークを迎えに行くために離脱、ワイヨン鏡窟へと向かう準備中のこと。

 ジェイドはタルタロス艦橋(ブリッジ)にて動作チェック等作業中、他一同は旅を続けるための物資を買い出し中。

 アッシュはルークへの嫌がらせ兼、対価の要求となる悪質なドッキリ計画を発動させてしまったのである。

 

「おい、面(ツラ)貸せ」

 

 割り当てられた買い出しを済ませてからの、タルタロスにて、計画実行合図の呼び出し。

 手洗いに寄ってから行く、と言って個室内で諸々準備を済ませたスィンは、アッシュに指定された部屋の扉を叩いた。

 

「何のよう……」

 

 じ、と続けようとした言葉が、切れる。

 扉を開けた途端、中へ引きずり込まれたスィンは、崩れた体勢を立て直すより早く、そのまま壁へ押し付けられた。

 指定されたのは、機関部付近の休憩室の類いである。粗末な寝台がいくつか並んだだけの部屋で、出入り口や艦橋(ブリッジ)から遠く、不便なため誰も使っていない。

 こんな場所に呼び出してきたのがジェイドであったなら、スィンは聞かなかったことにしていただろう。

 そこにいたのは、眉間に縦皺を刻んだアッシュだった。呼び出したその時から不機嫌そうではあったが、継続中のようだ。スィンの胸ぐらを掴んで、肺を潰さんばかりに押さえつけてくる。

 

「……ああうるせぇ。ガイがいねえんだ、丁度いいだろ」

「?」

 

 ルークが何か言っているのか。しかし、感覚共有、チャネリング中は言葉を口に出さずとも会話できたはず。

 それをしないということは、スィンにも聞かそうとしてのことか。あるいは、それができないほどに精神が、心が乱れているのか。

 

「……何、を」

「何を、だぁ? こんなところに呼び出されたんだ、察しろよ」

 

 横柄を演じている。これはスィン宛てのようだ。苦しさに、胸ぐらを掴む手をどけようとしたところで払われる。息をつく暇もなく、並んだ寝台のひとつへ突き飛ばされた。

 と、いえども、かなり手加減されている。芝居でなければ逃げることが可能な程度だ。

 悲鳴を上げて素直に寝転んだところで、鬱屈した笑みを浮かべたアッシュがのしかかる。当然の反応として、スィンは拒絶した。

 叫ぼうとするその口元を、アッシュは片手で覆っている。

 

「嫌っ……!」

「無駄だ。ガイはいないし、連中もまだ戻ってこない」

 

 逃れようと暴れるスィンを片手で組み敷き、大仰に首をめぐらせて、彼は付近の譜業を示した。

 

「艦橋(ブリッジ)に繋がってたよな、あの伝声管。下手に騒ぐと、ジェイドが不審がって見に来るかもしれないぜ」

「……!」

「あの眼鏡、お前のことエロい眼で見てたもんな。誘ったら案外、手伝ってくれるかもしれねえ」

「……」

「二人がかりで犯られてえか?」

 

 口を塞がれたまま、真っ青になって首を振るスィンを見て。アッシュは心底愉快そうに唇の両端をつり上げた。

 スィンの反応ではなく、ルークの反応に愉悦を感じているものと思われる。

 ちなみに伝声管は事前に電源を落としてあるため、艦橋(ブリッジ)に声が届くことは絶対にない。

 

「じゃあ、イイコにしてなきゃな」

 

 口を塞ぐ手が、どけられる。はっ、とスィンが呼気を吐くのと同時に、アッシュの唇が重なった。

 はて。ここは、服を脱がすところだったような。

 

「んぐ、ん、んん」

「口、開けろ」

 

 思わず食い縛った口元に、ぬるっ、とアッシュの舌が押し込まれる。反射的に噛みつきかけて、結果甘噛みしてしまった。

 噛まれた感触にか、アッシュが一瞬硬直する。首を振って逃れようとするスィンに苛立ったように、再び彼は胸ぐらを掴み上げた。

 

「暴れんな。殴られてえのか」

「……だってっ……!」

「なあ、ガイはなんで、あいつのところに行ったんだろうな」

 

 ──ここまでの流れは、口づけ以外は事前に打ち合わせた通りである。最初から機嫌が悪いこと、アッシュの演技が思った以上に仕上がっていること以外に意外性はない。

 しかしこんな会話を挟むとは思っていなかった。当然だ。ガイがこのタイミングで離脱したのは、スィンとて想定外だったから。

 ここは本当は、己が本物のルークなのだから言うことを聞け、と言い張るところだったのに。すごいアドリブ力だ。

 芝居抜きで硬直するスィンを見下ろして、アッシュは「俺よりあいつのほうがいいってか」と自嘲するように呟いている。

 

「お前がついていかなかったのは、俺の監視だろ。可哀想にな。兄貴にそんなこと頼まれなけりゃ、俺に犯られることもなかった」

「……それ、は」

「ああ。いいぜ、監視されてやるよ。前から興味はあったんだ」

「い、いや、やめてっ!」

 

 舌なめずりすらしながら、アッシュはスィンの被服を剥がしにかかった。

 今のスィンはこの計画のためだけに普段の旅装束ではなく、ごくごく普通のシャツにカーディガン、ロングスカートである。肌着ごとシャツを捲られ、中途半端に脱がされたカーディガンで両手を拘束する形に巻き付けられた。

 スカートをめくられ、太腿をべたべた撫でられながら、下着の中に無理やり手が入ってくる。

 

「やあっ!」

「嫌がってるわりに、好きものだなお前。濡れてるじゃねーか。襲われて発情してるんじゃねーよ」

 

 好きものとか、発情とか、今日び聞かない。そしてこのセリフ、覚えがある。

 濡れているのは避妊具と潤滑油を仕込んだからであって、当然の結果だ。

 ──いけない、噴き出しそう。

 恥辱に耐えるフリをして、顔を背けて腹筋に力を込める。大人が読む夜のおかず本に書かれていそうなベッタベタのセリフを聞かされてスィンが堪えている間に、アッシュはベルトを緩めて自分のものを取り出していた。

 顔を背けるスィンの髪を掴んで無理やり引き寄せ、頬に押し付ける。

 

「しゃぶれ」

 

 ──舐めろ、じゃなくてしゃぶれ、ときたか。言葉のチョイスが、なんというか、そっちの方向だ。

 引き続き腹筋に力を入れつつ、噴き出し防止に要求に従い、口を開ける。胡座をかいて手綱でも引くかのように、アッシュはスィンの髪を引っ張って脅しにかかった。

 

「痛いっ」

「さっきみたいに歯を立ててみろ。ジェイドを呼ぶからな」

「……」

「返事は!?」

「……はい」

 

 おめーは礼節にこだわるオカンか、というツッコミは心の中にとどめて。

 真面目な話、スィンにとってそれは殴る蹴るより効果的な脅しである。従わざるをえない。

 

「ん……」

 

 すでに起立しているアッシュのものを含み、先端を口の中でねぶる。

 両手が使えないため、手淫はできない。髪を掴まれている以上頭をろくに動かせないので、特にこれといったバリエーションもつけられない。

 適当なところでアッシュがなんやかんや文句を言いながら引き抜き、次のステップに移行する予定だったのだが。

 

「……」

 

 アッシュに動きはない。もはや舐める必要もないほど育った棹を唇で挟んで見上げるようにすると、スィンの頭に手を置いたまま、目を閉じて息をついている。

 精神を整えて、心を落ち着けて、ルークと会話でもしているのだろうか。

 あむあむと綿菓子を食べるように、顎を緩やかに動かしながら再び先端を含む。顎が疲れてきたなあ、と思いながら鈴口に舌を這わせていると。

 

「くっ!」

 

 突然アッシュが動き出した。スィンの後頭部を押し付けるようにして、自身をより深くスィンの口腔へ収めようとしている。

 

「んぐっ!」

「……飲め」

「ぐ、ぐっ」

「逆らうんじゃねえよ、とっとと飲め!」

 

 いつの間にそこまで高ぶっていたのか。アッシュはスィンの感覚でかなり早めに、達していた。

 そんな予兆はなかったし、手淫のような大きな刺激も無しに果てるとか、どれだけ敏感なのか。いや、若いとはそういうことなのか。

 訳がわからないまま、とりあえず喉奥に叩きつけられた青臭い精を呼吸のために飲み下す。

 

 ──アッシュとて、事前の打ち合わせ通りに事を運ぶつもりではあった。

 

 ところが、スィンの口淫が思ったよりも気持ちよくて興奮してしまい、声を抑えようとして感覚共有の調整をしくじり。口淫による快楽がルークにまで伝わってしまったのである。

 精神を整え、心を落ち着かせるなどとんでもない。見た目落ち着いているように見えて、内心は真逆だった。

 慌てて調整したその後、気が抜けて思わず出してしまった、という次第である。

 ごくり、と嚥下の音を確認して、アッシュはスィンの後頭部から手を離した。ぷはっ、と弾かれたようにスィンはアッシュ自身を吐き出して、げほげほと咳き込んでいる。

 これが演技なのかそうでないのかはアッシュにはわからないが、体勢が体勢だ。どこかおかしなところに入ったのかもしれない。

 

「……ヴァンが手放さないわけだ」

「!」

「あ? お前、これも知らねーのか。あの野郎は機会さえあればバチカルに入り浸っていた。お前のところか? それは仕事だろうが。休暇の度にバチカルに行くもんだから、女がいるんじゃねーかって噂になってたぜ」

 

 確かに、神託の盾(オラクル)騎士団の規律上、休暇中の滞在先を申告しなくてはならないし、その間ヴァンがバチカルでスィンと過ごしていたのも事実、だが。

 ──馬鹿正直に本当の滞在先を書類明記していたのか。せめてバチカルではなくキムラスカとか、ぼかせばいいものを! 

 

「何赤くなってんだ。しけこんでた時のことでも思い出したのか?」

 

 これはスィン宛て。その言葉には沈黙し、眼を、顔をそらしたまま。スィンは身を起こすと、ずりずりとアッシュから離れようとした。

 

「逃げんな。次はてめえの番だよ」

「っ!」

「おら、股開け」

 

 ぎゅっ、と乳房を力任せに掴まれて、思わず身を捩る。普通に痛い。

 そのまま押し倒され、スカートをたくしあげられたところで。足同士を絡めて身を固くする。

 

「手間取らせんな」

「……嫌だ」

「さっき俺のにむしゃぶりついてた奴が、今更清純を気取んな。勿体ぶってんじゃねーよ」

「勿体ぶってなんかない。そこは大事なところだから大事な人にしか見せられないし、触らないでほしい」

「……あー、うるせー」

 

 恫喝するより手っ取り早いと思ったよりものか。アッシュは舌打ちをしながらスィンの太腿の間に膝を押し込んだ。僅かな隙間に両手を捩じ込み、力任せにこじ開けにかかる。

 

「嫌だっ……!」

 

 思わず、といった形で両足が暴れる。その隙に膝裏へ手をかけたアッシュは、そのまま上体へ押しつけるように開脚させた。

 ひっくり返されたカエルのように足を開かされ、灯りの元、股間をまじまじと見つめられ。スィンは悲鳴を上げて逃れようとしている。

 

「やだあぁっ!」

「嫌だ嫌だって言いながら、ここは正直だよな。そら、ご開帳だ」

 

 ──ご開帳とか。顔を隠せない状態で笑わせないでほしい。幸いアッシュの眼は股間に釘付けで、堪える余地はあるが。腹筋にますます力が入る。

 紐を解けば外せるタイプの下着があっさりと外され──ない。この手の下着は落下防止のため、片方だけが簡単に紐を解ける仕組みになっており、もう片方はどうあっても解けないようになっている。アッシュがいじっているのは、解けないほうだった。

 やがて諦めたのだろうか。紐から手が離れたかと思うと、何か冷たいものが足の付け根に触れた。

 

「ま、まさか」

「そのまさかだ。動くなよ」

 

 プツン、と何か切れる音がして、股間が急に涼しくなる。金属的な冷たさが消えて、アッシュの手がその場所に触れた。

 

「……はは、すっげえ」

「いっ、いやああっ! 見ないで、見ないでぇ!」

「毛があんまねえな、剃ってんのか? 中もピンク色だ。とても、ヴァンとやりまくったとは思えねえ」

 

 ぐちゃっ、と音を立てて、割り開かれたようだ。ちなみに、この姿でヴァンと交わったことはない。

 奥に仕込んでおいた潤滑油は、時間経過で内側のみならず、女性器全体を潤しているはず。襲われて感じているという、自衛的反応、生物学的には正しいが、非常に屈辱的な状態が演出されているはずだ。

 ここに至るまで何度か笑いそうになったため、気持ちはフラットなままだが。女性器さえ濡らしておけば状態を誤魔化せるのは、女の特権だ。

 さて、ここからが試練の時である。これからスィンは言葉責めされながら股間を弄くられて、嫌がりながらも感じているふりをしなければならない。ややこしい。

 

「なんだ、見てえのか? ヴァンの妹ので我慢しろ」

 

 どうやら視覚を切っているようだ。ルークに丸出しの股間を見られていないようで、ちょっとほっとする。

 ところが。

 呼吸を荒くしながら、アッシュはいきり立つ自らをスィンの股へ押し付け始めた。

 

「ん!?」

 

 ──実物を見て、思ったよりも汚くて、あるいは臭くて、触りたくなくなったのか。

 しかし、萎えてしまったわけではないようだ。呼吸というか鼻息は荒いし、先程精を放ったばかりなのに、彼自身はいつの間にか元気を取り戻した状態になっている。

 ではどういうことなのか。

 

「おい、力抜け」

「いや……」

「こんなに濡れてんのに、何で入らねぇんだよ……」

 

 前戯が面倒くさくなってしまった、のだろうか。

 愛液ではなく潤滑油だから、滑りはよくなっていると思うが、それは内側の、膣の中の話。入り口付近はそれなりに慣らさなければ、いつまでも準備中のままである。

 しかし、気が高ぶるあまり手順が頭からすっぽ抜けたアッシュにはわからない。

 何度か押し入れようと挑戦するも当然入らず。焦らしに焦らされた彼は、強硬手段に出た。

 

「ち、めんどくせぇ……」

 

 緊張したままの膣口を指で探り、アタリをつけて。捩じ込むようにぐりぐりっ、と怒張を押し付けられ、スィンは本気で悲鳴を上げた。

 

「痛い痛い痛い!」

「はあ? 嘘言ってんじゃねーよ」

 

 嘘じゃねーよこの早漏、無理くり突っ込むなへたっぴ! 

 と、叫びそうになってやめる。

 思わず本音で叫んでしまったが、まだリカバリーは可能だ。

 

「そんな大っきいの入らない!」

「」

 

 嘘ではない。慣らしてもいない場所には入らないという意味で、色々と省略しただけだ。

 

「は、は……お前、本当にやり慣れてんな。そんなこと言われたら、ますます挿れたくなるじゃねーか」

「いや……ほんとに、ほんとに入んないから……痛いから……」

「痛いのが嫌なら、力むんじゃねえよ」

 

 そういう問題じゃないんだよなあ。

 煽って誤魔化すために言ったこととはいえ、アッシュは眼を爛々と輝かせながら挑みにかかっている。無理やり押し込んだ先端を一度引き、再び入れ、その繰り返し。指の代わりに陰茎で慣らすかのように、しかし性急にスィンの中へ侵入していく。

 

「……は……マジ、狭いな。全然入んねえ」

「……」

「早く、諦めろっ、ての……」

 

 ──まだ、犯されたくなくて力んでいるから入らないと思っているようだ。

 ふと、犯されるとはどこの段階なんだろうか、とどうでもいい疑問が浮かぶ。

 押し倒された辺りだろうか。しかしここで止められたらただの痴漢、あるいは暴漢だ。

 強制的に舐めさせられた時。ここで終わったとして、痴漢では済まさないだろう。ただ、犯されたとは何か違う気がする。

 絶え間ない鈍痛からの逃避で、気が抜けていた。そうとしか思えない愚行を、この後スィンはやらかす。

 狭い膣口に再び押し込もうとして、だろう。亀頭がつるりと滑った。そして、最も敏感な部分をなぞりあげて刺激していく。

 

「ひゃあんっ!」

「あ?」

 

 ──声を抑えるのを失念していた。

 今までにない反応に、当然アッシュもいぶかっている。

 穴の掘削をやめて、今しがた行った己の行為を確かめ。幾度か似たような仕草を繰り返して、ついに見つけてしまう。

 

「ひ、んっ」

「ああ、この固くなってるところか」

 

 潤滑油で滑りがよくなった陰茎の先端が、今の刺激で存在を主張するようになってしまった陰核をなぞる。

 瞬く間にスィンの頬が紅潮し、その声に艶が帯びた。同じ声だが悲鳴や制止とはまったく違う、熱に浮かされたような甘やかな声。雄を煽って準備をさせる、発情中の雌が出す音。

 

「やあ、あぁっ」

「なんだなんだ、随分気持ち良さそうじゃねえか。ここがいいのか?」

「あ、はあっ、やだ、やめ、てぇ……やぁんっ!」

「いやよ嫌よも好きの内、って本当なんだな。嫌だなんて、思ってないだろ」

 

 ──顔が熱い。口を塞ぐか顔を隠したい。

 両手に巻き付いたカーディガンでそれをしようとして、阻まれた。

 

「隠すな」

「やだ……恥ずかしい……」

「大股開いて俺にやられるのは平気で、顔見られるのは嫌だってのか?」

「平気じゃない……! やめてほしい……!」

「嘘だな」

 

 それまでなぞるようにしていた陰核の位置を正確に把握し。アッシュは濡れそぼった膣口で自身の先端を濡らしてから、陰核へ直接擦り付けた。

 ずりゅっ、と粘ついた水の音がする。

 

「やああぁっ! 」

「何が嫌なんだ、言ってみろよ。もっとやってくれってツラしてるくせに」

「や、やっ、そこ、ばっかりいっ、あっあっ」

「──お前、どんだけ俺を煽れば気が済むんだ?」

 

 お気に入りの玩具で遊ぶ子供のように目を輝かせて、見つけたスィンの弱点を責めて、弄り、なぶっていく。

 言葉責めのことを思い出したのだろうかといぶかむ程度に、彼の口は回っていた。

 

「いや、いやぁっ……ひっ、ひぅっ!」

「この嘘つきが。嫌じゃなくてイイんだろうが。本物のルークになら、嘘ついていいのか?」

 

 今頃出してきた。黙っておこう、と口を噤む。

 

「……」

「エロい顔してんな。どうか犯してください、って顔に書いてあるぜ」

「……っ」

「だから隠そうとすんなって。気持ちいいなら素直になれよ」

「き、気持ちよく、なんかない」

「そうか? じゃあなんでここはこんな、ぐちゃぐちゃになってんだよ」

 

 どうやら前戯のことも思い出したらしい。先程あれだけ無茶な挿入を繰り返した膣口に躊躇なく指を突き入れ、わざと音が鳴るよう、執拗にかき回している。

 ──愛を交わす音とよく似たおぞましい音と、腹の中を撹拌されているような不快感。

 与えられた快感で茹だっていた頭が、冷水を差されたように静まっていく。

 

「……っ」

「やっと諦めたのか? これなら入りそうだ」

 

 再び、アッシュが押し入ってくる。多少なりとも慣らされた膣口は、分泌された愛液と仕込まれていた潤滑油が手伝って、まるで自ら呑み込むかのようにアッシュ自身を受け入れた。

 

「く、ぅっ……」

「はっ……」

 

 苦しい。切っ先の丸いナイフで刺されたような、腹に石でも詰められたかのようだ。

 心は冷めたまま、しかし顔は貫かれて喘ぐように息を吐いて、どうにか紅潮は保ったまま。とうとう入れてやったと勝ち誇る類いの演技をするであろうアッシュを見ようとして。

 思い切り揺さぶられて、視界がぶれた。

 

「ああっ!」

 

 ぱんっ、ばちっ、と肉が肉を叩く音、ずちゅっ、ぶちゅっ、と粘る水の音。ぎしぎしと寝台は盛大にきしみ、腰の骨が割れんばかりに叩きつけるような激しい律動。それが断続的に続いて、スィンはようやく己が荒々しく犯されていることに気づいた。

 声。声を、苦しそうなやつを、出さないと。

 

「っ、あ、う、ああっ! やめ、てっ、おなか、苦し……!」

「うるっ、せぇ、童貞は、黙ってみてろ!」

 

 これはルーク宛てのようだ。見ているとなると気が抜けない。アッシュも大変である。二人と一遍に会話しているようなものだから。

 

「ひっ、ぐ、あっ、やだ、やだあぁっ、ううっ、くぅっ!」

「こ、こんなに、締め付けやがってっ、何が嫌だ! てめぇ絶対愉しんでるだろ!」

 

 犯している方が挙動不審にならないでほしい。なんか喚いているようだが、いちいち返す余裕はないことにしよう、そうしよう。

 しかし、激しい。

 芝居なのか本気なのか、労りなど一切なしの、がっつくような、抱き潰さんばかりだ。一応強姦しているのだから、当たり前といえば当たり前なのだが。

 

「はっ、は……」

 

 ぼたぼたっ、とアッシュから滴った汗が、かかる。冷たい。他人の体液など本来嫌悪の対象だが、ドッキリ中だ。即座に拭き取りたいのを我慢をする。

 

「あっちぃ……」

 

 唐突に動くのをやめ、アッシュはぽつりと呟いた。上着を、上半身に着ているものをすべて脱ぎ捨て、スィンへと倒れこむ。全力疾走後を思わせる荒い息をつき、しっかりと鍛えられた上半身は全体的に汗ばみ、ぐったりと脱力していて、重い。

 

「……全然汗かいてねえな」

 

 いきなりどうしたんだろうか、といぶかしみ、しかし下手に話しかけるのもなあ、と黙っていたスィンは、その一言にふいっ、と顔をそらした。

 発汗の操作は、できないことはないが、それなりに難しい。芝居でこそ使うべき技術なのはわかっているが、汗をかくのは単純に疲れるのだ。そこまでの労力を使いたくなかったスィンは、手を抜いたのである。

 剥き出しの乳房に頬を寄せ、ふにふにと片手間に揉んでいたアッシュだったが。やがて息を整えて衝撃の事実を口にした。

 

「……あいつ、気絶したみたいだ」

「は!? き、気絶って」

「調整ミスって、感覚共有しちまったからな。お子さまには刺激が強かったんだろ」

 

 ルークは、肉体こそ十七歳の青年だが。その中身は七歳だ。確かにお子さまである。しかしそれでも、感覚共有で気絶したというのは。

 

「じゃあ、向こうで目を覚ましたのかな」

「いや、まだ切り離していないから、それはないはずだ。体のほうは……鼻血出してるだけだな。射精はしてない。チーグルが騒いでヴァンの妹が来たから、窒息することもないだろう」

 

 ──射精はしてない、と言うあたり。スィンは気づかなかったが先程出して、その直後からルークの意識が消失したのだろう。ルークが寝かされていたのはティアのベッドだったはず。鼻血で汚していないことを祈る。

 ともあれ、もう芝居の必要は失せた。笑ってはいけない時間は無事過ぎ去ったのである。

 ほぅ、と安堵の息をついて、スィンは腹筋から力を抜いた。

 

「く……ぷぷっ」

「?」

「そ、そっか。じゃあもう、芝居はやめていい……かな、くくっ」

「そうだが、なんだ?」

「ふふっ、うくく、あははは!」

 

 ──アッシュはまだ、自身をスィンに埋めたままだ。その上で乳房を弄んでいる。スィンに至っては腕を縛られ、大股を開いて、犯されたまま。

 そんな状態でけらけらと大笑いされて、アッシュは当然困惑した。

 

「な、何がおかしい!」

「君の言動というか、芝居というか、セリフというか! あのねちっこいセリフ、ここの個人ロッカーに入ってたピンナップマグ、オナニー本の引用だろ?」

「なんでそれをお前が知ってるんだ!」

「なんか物資が残ってないかな、と思って漁った時に見つけた。タルタロスに乗ってた兵士の遺品ならそっとしとこうと思って」

 

 それがタルタロス襲撃時に死んだマルクトの兵士か、アクゼリュス崩落時に死んだ神託の盾(オラクル)騎士団の兵士かは、わからないが。どちらにせよ、もう死亡した者が遺したものだろうと、検討をつけていた。

 

「もう、本当に、何度も噴き出しそうになって、大変だったんだよ! なんだっけ、『淫乱未亡人、快楽地獄に落つ』だっけ? 君も、あんなの見るような年頃になったんだね!」

「う、うるせえ、ほっとけっ!」

 

 両手に巻き付くカーディガンを外しながら、スィンは腹を抱えんばかりに笑っている。憮然としているアッシュの頭を撫でて、スィンはふうっ、と息を吐いた。

 

「ふう、すっきりした」

「……そうかよ」

「うん。でも、思ったよりもちゃんと演技していてびっくりした。後半は余裕がなくなってたけど、ずっと演技するのも面倒だよね。溜飲、ちょっとは下がった?」

「……ああ……」

 

 間近で見るアッシュの表情は、複雑そうだった。無理もない。彼が本来憎むべきはルークではないし、そしてそれを薄々自覚しつつある。

 ──スィンには、知る術のないことだが。アッシュはほとんど演技などしていなかった。

 確かにセリフなどはそれらしいものを本から引用し、言動も意識して荒っぽくしてはみせたが。

 ルークへの対応は素のもので、ガイが去ったことも動揺した一方で、取引にかこつけてスィンを好きなようにできる好機だと、思わなかったわけではない。

 事前の打ち合わせで大まかな流れだけ決めて、その都度応じたり嫌がったりは適当に合わせる、とスィンに言われたことも、渡りに船ではあった。

 

「やらせろ、って言ってたけど、満足した?」

「……」

 

 アッシュは答えない。しかし行為中、二回ほど射精しているのは事実だ。

 答えるのは恥ずかしいのかなと、あえて自分の体の感想が聞きたいわけでもなく。スィンは話を進めた。

 

「満足したなら、そろそろ片付けよう。ここを使った痕跡消して、身なりも整えなきゃ。君はシャワー浴びないと、汗まみれだよ」

 

 そこで。アッシュは意を決したように、口を開いた。

 

「なあ。さっきの、どこまで演技で、どこまで本気だったんだ?」

 

 気恥ずかしいのか、顔が赤い。しかし、もっと凄いことをしたはずなのに、尋ねるのが恥ずかしいとはどういうことなのか。しかしこういうことは、恥ずかしくなった方の負けだ。

 

「どこからどこまで、とかは無いかな。とりあえずどいてー」

「誤魔化すなよ」

「別に誤魔化してないよ。それを話すならさっきのプレイ内容をダメ出しすることになるけど、そんなの聞いてどうするの?」

 

 別にどうもしない、聞きたいだけだと食い下がり。頑として自分の上からどこうとしないアッシュに、スィンはため息をついてみせた。

 

「そうだなあ、大体演技かな? 乱暴されるの、趣味じゃないから。まあ、ジェイドの相手なんか勘弁だったから思わず血の気引いたし、びっくりした時は思わず固まっちゃったし。股を見られたくなかったから本気で嫌がったし、痛いときは思わず叫んじゃったし」

 

 こうして振り返ってみると、そこそこ演技していない。しかし、噴き出しそうになったことをアッシュに悟らせなかったこと、アッシュが満足したのであれば及第点のはずだ。

 彼は何故か、「嘘だろ」と呟いていた。

 

「あれ、演技なのか」

「あれ?」

「股に……こう、擦り付けたときの」

「自分がしたことで相手が気持ちいいってよがって喘いだら、興奮するだろ? ちょっとわざとらしかったかな、とは思ったけど。本気に見えたなら幸いだ」

 

 そういうことにしておこう。実際、声を洩らしてからは反応をかなりオーバーにはしたのだから。

 しかし、アッシュには信じがたかったようだ。

 

「だ、だったら。今やっても、ああはならないってことか?」

「ならないよ」

「確かめさせろ」

 

 そう言って。彼はスィンの返事を聞くことなく、己を引き抜いた。そのまま、先程と同じように擦り付ける。

 だから、なぜ、出したばかりなのにまた硬くなっているのか。やはりこれが若さか。

 

「……」

 

 まあ、好きにさせておこう、と。懸命に腰を動かすアッシュから目をそらして、虚空を見る。

 ──シーツは外して、捨てるか燃やすか。一枚くらい無くなったところで問題ないだろう。髪を掴まれたせいか、少し抜けたようだ。これも床に放置しないようにしたい。

 カーディガンを脱がされた時に千切れてしまったボタン。その数四つ。回収して繕わなければ。

 服を破らないように言っておいてよかった。着てしまえば名残はない。後は避妊具の取り外し含む自分のシモの処理さえしてしまえば……いや、アッシュの汗が体についたのと、精を飲み込んだのがあった。うがいは必須、やはりシャワーは浴びなければいけない。

 部屋の換気や掃除はするべきだろうか。しかし痕跡を消そうと躍起になって、それ自体が違和感に繋がってしまったら意味がない。

 

「……おい」

「ん、終わった?」

 

 アッシュが動かなくなったことに気づいて、目を向ける。多少感じても徹底して反応しなかったためか、彼は憮然としながらも、やっとスィンの上からどいてくれた。

 激しい律動の余韻で腰は痛いが、動けないことはない。

 これ以上汚さないためにも、下着は外してスカートのポケットに。起き上がった瞬間、股間からでろりと出てくる液体は生理用の綿を詰めて対処。脱ぎ捨てられたアッシュの上着を渡して、さっそく寝台からシーツを取り外しにかかる。

 

「そんなちまちま外さねえで、剥ぎとっちまえばいいじゃねえか」

「髪の毛が散らばってるからね。ここに残しておきたくない」

「髪?」

 

 言われて気づいたのだろう。シーツに散らばる金髪を見て、アッシュは、はっ、と己の行いを思い出したようだ。

 

「す、すまん……」

「あれはもう、やらないほうがいいよ。そもそも強姦なんて、プレイとして望まれない限りしちゃいけないことだけど」

「ここで燃やすか?」

「駄目だよ。火災感知器に反応して消火装置が作動しちゃうからね」

 

 髪を床へ落とさないよう、包み込むようにシーツを畳み、散らばったカーディガンのボタンを拾う。ひとつ、床の隙間に入り込んだのを棒手裏剣でほじくりだす頃、アッシュの身支度も整った。

 念には念を、探索の秘術を使って休憩室周辺の人の有無、ジェイドの居所を確認し、問題ないことも確かめて。

 二人はその場から速やかに撤収したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえねえ、スィン。アッシュと二人でどこか行ってたの?」

「なかよくしてたよ」

 

 二人して姿がなかったことを怪しんだのだろうか。そんなアニスの疑問に、スィンはしれっと、シンプルに答えた。

 これにはアッシュが目を点にしている。慌てているのはナタリアだ。

 

「は?」

「な、なかよくって、何をなさっていたのですか?」

「買い出しが早く終わったから、二人で話してたよ」

「な、なんだ。なかよくって、そういうこと」

 

 一体どういうことを考えたのか。耳年増な少女達にツッコミは入れず、スィンは非常に事務的な返答をしていた。

 

「ダアトとか神託の盾(オラクル)騎士団の内情を、アニスやイオン様とは違う視点で探れる奴と、なかよくしない手はないよ。ガイ兄様が喧嘩売っちゃったようなものだから、余計に」

「お前、そういうことは、俺のいないところで話すもんじゃないのか……」

 

 隠したいことだったら隠すよ、と穏やかに続けたスィンではあったが。会話を聞いていたジェイドが口を出したことで、態度を一変させた。

 

「一般的に男女が『なかよく』していた、などと公言したら、誤解されても仕方ないことですよ」

「へえーそうなんですか勉強になりますー。まだまだ浅学なものでー」

 

 物言いの意地が悪い。ガイの目がないから、これ幸いと羽を伸ばしているかのように。スィンは引き続き、ジェイドをあげつらっている。

 

「一体どういう風に誤解しちゃったんですかねえ。大佐はちょっと、欲求不満なんじゃないですかねー?」

「ええ、しばらくご無沙汰だったもので。それにお気づきなら話は早い。解消……いや、『なかよく』しに今夜、寝床にお邪魔しますね」

「……あっ。僕、大佐とはなかよくしたくないんで、お断りします……」

「つれないですねー」

 

 揶揄されても動じることなく、それどころか肯定して、にこにこ笑顔を崩さないジェイド。しかし眼だけが笑っていないのを見て、笑顔のままだが冷や汗をかくスィン。

 いつも通り、ちょっとだけギリギリの会話に呆れる他面々。普段とそう変わらない光景である。

 ほんの数時間前までは、寝台の上で股を開いて喘いでいたのに。

 爛れた取引の余韻など一切見せない『普段と同じ』姿に、アッシュが戦慄さえ覚えたのは、致し方のないことだった。

 

 

 

 

 合流時。ルークからもの凄く体を心配されたスィンが、「……ルーク様。エッチな夢を見たのは分かりましたから、夢と現実をごっちゃにしないでもらってもいいですか」と引き気味に言って押し切るのは、後日の話である。

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