「ん……。」
ぼんやりと、うっすらと目を覚ます。
知らない天井だった。
自室のベッドよりも優美で、そして暗色を基調とした部屋。
どうしてこんなところに居るんだろう。
リリィは記憶を掘り起こして、意識を手放す前に何が起こったのかを探り寄せる。
思い出すのは、燃えさかるローラント城。
そして、この部屋で、この場所で、あの男と身体を重ねた。何度も、何度も…。
「あ……ぁ…!」
さぁ…と血の気が引くのが解った。
私は汚されてしまったのだと理解する。
純潔を散らし、事もあろうに子種を
「どうして…こんな……!」
この間までは普通だったのに。
何の変哲も無い、幸せな日々だったのに。
どうして…。
そんな疑問がぐるぐるとリリィの中を駆け巡る。
「…こんなところに…居られない…!」
ここに居てはまたあの男に犯される。それだけは嫌だと心が訴える。ならば抜け出す以外に選択肢はないだろう。
意を決したリリィは、乱れに乱れだドレスを正す。破られた胸元はベッドのシーツを剥ぎ取って羽織り、もはや最低限の装いで扉へと向かう。
(鍵は開いてるか解らない…けど、試してみないと…!)
ドアノブに手を掛けて回し、押してみる
するとどうだ。
鍵など掛かっておらず、すんなりと出ることが出来たではないか。
(よし…!)
扉を開け放つ。
瞬間、
ビュウ!という音と共に、リリィは全身を襲う何かに蹌踉めいて部屋に押し戻される。
突風だった。
ローラントの風も強かったが、それを上回るものだ。
目を見開けば、そこは遥か上空…。山の山頂に築かれた城…。その離れの塔に自分は監禁されていたのだとリリィは理解した。
剥き出しの渡り廊下の先に本城があり、そこを通らなければ脱出できない。何せ見る限りでは、離れの塔に続く道は、この剥き出しの通路しかないのだ。
正直、眼下を見れば、遥か下に岩場が剥き出し。落ちれば命を落とすのは確実だろう。この強い風に煽られながら渡るのは、正直怖い。そして破瓜の痛みがまだ続いているのか、上手く歩くことも出来ない。だが、このままあの男の慰み者になるくらいなら…!
「…行きます…!」
覚悟を決め、リリィは一歩踏み出す。
正直裸足で石造りの廊下を歩くのは辛い…でも進まなければ、この先の未来は絶望的。だったら抗う。一縷の望みに賭けるように。
風で目が霞む。腕でガードしていても、付け焼き刃にしかならず、目は半開きで歩かざるを得ない。
ゆっくりと、確実に、本城へと進んでいく。
だが…
「何処へ行こうと言うのだ?」
背後から、
聞きたくない声が背筋を撫でるように囁かれた。
「抜け出そうと…言うのか?」
「……!」
奴だった。
よりにもよって、一番見つかりたくない奴に見つかってしまったのだ。
「…まぁ構わんが…本城内には私の配下の飢えた奴らがごまんと居るぞ?そこを抜けられるなら抜けるが良い…。五体満足で出られるかはわからんがな?」
だが、と男は言葉を繋ぎ、リリィの手を取ると自身へと抱き寄せる。
「私としては、貴様をみすみすアイツらの毒牙に掛けさせるのは惜しいと考えている。…どうする?…私に抱かれるか、有象無象によって無残に犯されるか。」
「わ……わたしは……んっ…!」
言い淀む答えの中、男はリリィの唇を奪う。
しっかりと腰に手を回され、逃げられないようにガッチリと抱き締められて、二回目のキスを交わさせられる。
だが…そのキスは触れるだけのものではなかった。
「ん…んんぅ…っ!?」
唇を柔らかな何かがこじ開けたかと思えば、一気に腔内に侵入してきたのだ。
それの正体は、舌であることを理解する。
まるでナメクジのように口の中を蹂躙し、嘗め回していく。歯肉を伝い、上顎を舐めあげ、そして舌に絡み付く。ザラリとした舌と舌がリリィの腔内でヌルリと絡み、得も知れぬ感覚が身体を駆け抜ける。
「ん……んっ…ぷぁ……!ん…んん~っ!」
舌の裏を先でチロチロとなぞられることで迸る、ぞくぞくとした未知の感覚。
それが快感と知らぬまま、リリィは身悶えし、男のディープキスのされるがままになっていた。
「ぷは…!はぁ…はっ……!」
男の方から唇を離されたことで、ようやくまともな呼吸が出来るようになったリリィは、必死に酸素を取り込んで呼吸を整える。ついでに熱くなってしまった身体を沈めるように深く、深く息を吸い込み、火照りを治めようとする。
しかし、
「…キスだけで感じてしまったか?」
「~~っ!」
男にはお見通しだったようだ。
キスそのものが男にされるまで未知の物だったのに、ディープキスまでされて感じてしまったともなれば…。
「ふ…ククク……!やはり淫乱だな。こうも感じやすいとは…!」
「だ、誰が…んんぅ…!」
反抗など出来ず、再び唇を塞がれ、そして舌で蹂躙される。
もはやリリィから、抗う力は抜け落ちていた。
「あっ…あぅ…!んんっ…!」
再び離れに戻され、
リリィはその膣に、男の剛直を再び咥え込んでいた。男の執拗なディープキスにすっかり蕩けさせられたのは精神だけではなく、リリィの秘部をもトロトロにさせていたのだ。
「やっ…!ぁん!」
そして、リリィの口からは前回よりも嬌声が多く入り交じり、男の抽送をより一層感じている。
口では嫌だと言いつつも、この快楽を膣は貪るように求め、男の逸物をしっかりとくわえ込んでいた。
「くっ…!」
早くも子宮内に放たれる精液。
肉ヒダの執拗な絡み付きに耐えられなかった。
明らかに前回よりも馴染んでいる。
それが彼の感想だった。
自身の動きに合わせて膣は締め上げ、ヒダを絡み付かせる。
もはや名器以前に凶器となりつつあるほどに、彼女の膣から得られる性的快感は莫大な物だった。
「ぅ……ぁ……!」
そしてリリィも、男の抽送で幾度となく達していた。
ピストンの最中でも何度もイって気を失うが、すぐに突かれて意識を戻すというのを繰り返していた。
そして極めつけは、子宮内への射精。子宮口はピストンの度にノックされているが、子宮内は射精のタイミングでしか刺激されない。だからこそ、数少ない刺激で得られるオーガズムは、他に類を見ないほどに大きな物だった。
つまりどういうことかというと…
射精されると、否が応でもリリィはイってしまうのである。
「ん……ぁ……!」
絶頂の余韻で蕩けきった顔をするリリィ。もはや身体はセックスを求めて止まなくなっているようだった。
そんな表情がまた男の性欲をかき立て、逸物をそり立たせる。二回戦の開幕だ。
だが…
今度は先程のように貪るようなピストンは無かった。
ゆっくり、ゆっくりと、まるで敢えての遅い抽送。
それは最初に彼が快楽をリリィに刻み込ませるように行った動きだ。
その遅緩で、優しいピストンは、リリィに確かな快感を与えると同時に、もどかしさを感じさせるものだった。
「ん……っん…!どう…して…?」
「なに、少々疲れたからな。ゆっくりしているのだよ。」
ニヤリと、含みのある笑みを浮かべる彼は確信犯だった。敢えてゆっくり突くことにより、リリィにもどかしさを覚えさせ、自ら求めようとさせていた。
ゆっくりと、そして深いストロークは、確かに気持ちが良いものだが…。
「ん……んん…っ…!」
「どうかしたのか?顔をしかめて。」
更に速度を落とす。
こうなってしまっては最早拷問に等しく、リリィは生殺しの状態だった。
これ以上感じたくない…身体を重ねたくない。
でも身体が疼いて…もどかしくて…身体の奥を突いて欲しいと訴えている。
「……て………ぃ…。」
「ん?何かな?」
「…っ…もっと……はや…く…して…下さい…!」
言ってしまった…言葉にしてしまった。
その言葉を聞いた男は悦に浸り、抜きかけていた逸物を、一気に子宮口へ突き入れた。
「ぁぁんっ!?」
焦らされた分、蓄積された快感が一気に駆け巡り、一突きでリリィはイってしまった。焦らしに焦らされた分、その一突きは今までの何倍にもなって、一気に快楽の波としてリリィを飲み込む。
強すぎる快感の衝動に目を見開き、身体を跳ね上げ、そして膣からは潮を噴き出す。
すでに彼女は、セックスの快楽に沈みきっていた。
「ひぅっ…ぁっ!んんん…っ!」
嬌声に次ぐ嬌声。
膣から、
子宮口から響く刺激が、リリィを堕としていく。
(こんなの…ダメなのに……きもち…いぃ…)
処女を失って間もないとは思えないほどの乱れぶりだった。
「善い表情だ…。余程攻められるのが好きなようだな?」
「ん…っ!ち…違…!ぁっ!」
「違わぬよ。…認めて素直になればどうだ?認めて、気兼ねなく快楽に身を委ねろ。お前の乱れた
耳元で、甘く囁かれる。
自分の思いを認めろ…。
その悪魔にも似た囁きは、ボロボロのリリィの理性に大きな風穴を開けていた。
「き………ぃ……。」
「ん?」
「きもち…いい…です……ぁっ!」
認めた…。堕ちた…。
それがどうしようもなく男を興奮させた。
「そうか…気持ちいいか?」
「は…い……もっと……きもちいいの…ぁん……ください……!」
先程まではなかった蕩けた笑顔に、男はドキリと胸を躍らせる。
抑えられない。
理性のタガが外れかけた男は、突き入れながらリリィの唇に貪り付く。
「ぁむ……ん……ぷぁ……ん…ちゅ…っ!」
そんな彼の唇をリリィは優しく受け止めた。突き入れられた舌も、彼女からついばむように、そして舌を絡める。激しい唾液の交換とピストンは、互いの興奮のボルテージを一気に押し上げていく。
「ぷはっ……さぁ…そろそろ…出すぞ?」
「はぃ……ぁっ!わたしの…リリィのなかに……ください……っ!」
まるで離さないと言わんばかりに男の腰に足を絡める。彼女自身が、子宮内への射精を求めて止まなかった。余りの豹変に戸惑いながらも、彼はピストンを止めない。どうしようもなく気持ちいい…。それしか頭にはなかったのだから…!
「くっ…ぅぉぉっ!」
「ぁあぁぁあぁぁっ!」
瞬間、
最奥に打ち付けた滾りに滾った逸物から、どくどくと白濁とした精液が子宮内に打ち込まれる。
熱く、そして濃厚なそれを流し込まれ、リリィはピストンと、そして子宮内への刺激と共に、今日一番の絶頂を味わう。ビクンビクンと射精に合わせて身を跳ね上げ、潮を噴きながらその快楽を味わっていく。
「ぅぁ……ぁ…あ…!」
そこには最早…初心だった王女の姿はなく…ただただ快楽に身を委ねたオンナとしてのリリィがいた。
性交の快を知り…その身を委ねた、ただのリリィが。
そんな彼女を男は愛おしげに抱き締める。
「リリィ…と言うのか。お前の名は…。そういえば初めて…聞いたな…。」
「…そう…でしたね…。」
息を整える中で、そう言えば互いの名を知らぬ仲だったことに気付いた。精液を求める際に自身の名を呼んだ事が切っ掛けとなり、それに気付いたのだ。
「…良い名だ。」
「…ありがとう…ございます…。」
今までなら嫌悪していたであろう彼の言葉。だが今のリリィは素直に礼を言える。少しずつ…彼に心を開いているようだった。
「お前の名を知ったのなら…私も名乗るのが筋と言うものだろう。
私は…アーク。…このダーク・キャッスル…いや、元光の城の王子だった者だ。」
そう答える彼の顔は、何処か物悲しげに笑っていた。
黒の貴公子の名前については、ラスボス時の名前であるアーク・デーモンから取りました。…良い名前が浮かばなかっただけです。