※この作品はR-18です。

錬金術士ライザが幼馴染の父親と背徳交尾しまくって調教された挙句、親友であるクラウディアを中年親父に売り渡し、自分と同じハメ穴に変えていく話   作:黒胡椒サラミ

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㉑(クラウディアの前でライザと)

 その日、クラウディアは、ラーゼンボーデン村のはずれにある入江で、一人で泣いていた。

 原因は、例によって「お父様」と口論をしたからだ。口論のきっかけは、ごく些細なつまらないものだったが、やり取りをしているうち、クラウディアの口調も、父のルベルトの口調も次第にエスカレートしていった。そして最後には、ロベルトはクラウディアにこう言い放ったのだ。

 

 ――そこまで言うなら、この家から出て、一人で生きればいい!

 

 それを口にした瞬間、クラウディアではなく、ロベルトのほうが絶望した表情になった。いくら激高したからとは言え、愛する一人娘に対して、何という暴言を吐いてしまったのかと。ロベルトは、明らかに後悔した顔でクラウディアを見たが、そこには、血の気の引いた顔で――それでも無表情に立っている娘がいた。

 クラウディアは何も言わずに振り向いた。ロベルトはその背中に慌てて手を伸ばし、「待ちなさい」と叫んで引き留めようとした。しかし、ロベルトとクラウディアの距離は遠く、彼の手は届かなかった。

 クラウディアは、父の書斎を出ていった。呆然と立ち尽くしていたロベルトのところに、思いつめた様子のクラウディアが、フルートのケースを持って屋敷を飛び出していったという知らせを、慌てふためいた執事が運んできたのは、それからすぐだった。

 衝動的に屋敷を飛び出したクラウディアは、いつの間にかこの入江にたどり着いていた。そして、入江の隅にある小屋まで来ると、そのボロ壁のそばにうずくまり、泣き始めてしまった。

 

「うっ……うう……」

 

 ロベルトが自分の失言を後悔していたように、クラウディアも自らの言動を悔いていた。

 

「ぐすっ……お父様……ごめんなさい…………うう……」

 

 こうして、ここでなら謝れるのに。冷静になって、きちんと正面から話し合えば、父とも分かりあえるはずだと知っているのに、どうしても反抗的な態度をとってしまう。ひとしきり泣いて、泣き止んでも、クラウディアはそのままうずくまっていた。

 父のいる屋敷には、今は戻れない。誰かにこの胸の内の悩みを聞いて欲しい。そう思った時、クラウディアは呟いていた。

 

「……ザムエルさん」

 

 

========

 

 

「クラウディア、何かあったの……?」

 

 数時間後、クラウディアはライザのアトリエに居た。アトリエにはライザしかおらず、ザムエルの姿は無かった。例によって、近くの魔物を駆除しに出かけたそうだ。

 

「ねえ、クラウディア……」

 

 ライザは心配そうな顔で問いかけるが、椅子に座ったクラウディアは、ライザの出した茶と菓子にも手を付けようとせず、うつむいている。

 クラウディアにとって、ライザはかけがえのない、唯一と言っていい親友だった。しかしクラウディアは、今の悩みを、ライザにも打ち明けたくなかった。そしてライザも、それを何となく察したのだろうか。ライザはクラウディアのカップの中身を温かいものに取り換えると、クラウディアをそっとしておくため、二階に上がろうとした。

 だが、ライザは階段の手前でクラウディアのほうに戻ってきて、両手を差し出すと、クラウディアの頭を胸にそっと抱き締めた。

 

「よしよし」

 

 ライザはクラウディアの髪を、まるで赤子をあやすように撫でると、今度こそ二階に上がっていった。

 

(ライザ……)

 

 ライザの胸の鼓動を聞いたことで、クラウディアの冷えた心も少しは溶けたのか、クラウディアはしばらくして、ライザが残していった紅茶のカップに、そっと唇を付けた。

 ザムエルがアトリエに戻って来たのは、それから三十分くらい経ってからだった。

 

「おいライザ、帰ったぞ」

「――!」

「おお、クラウディア。来てたのか」

 

 ザムエルの声を聴いて、クラウディアの表情はたちまち明るくなった。ザムエルが入って来た入り口に顔を向けただけでなく、咄嗟に立ち上がろうと腰を浮かせかけたほどだ。

 

「こんにちは、ザムエルさん」

「ああ。――クラウディア一人か? ライザはどうしたんだ?」

「ライザは……ちょっと……――あ」

 

 ごまかそうとしたクラウディアの目に、ザムエルが左の二の腕に傷を負っているのが映った。ザムエルはクラウディアの視線に気づいて、「ああ、これか」と言った。

 

「ちょっと強えモンスターが居たんでな。最近は勘も戻って来たと思ってたんだが、ドジを踏んじまった。まぁ、大した傷じゃ…………ん?」

「手当て、させてください」

 

 放っておけば治ると言おうとしたザムエルの台詞を、立ち上がったクラウディアが、強い口調で遮った。それからクラウディアは、すぐに救急箱を取ってきて、椅子に座らせたザムエルの左腕を洗うと、常備されていたライザ謹製の回復薬を、傷口に塗り付け始めた。

 

「すまねぇな、クラウディア」

「いえ……」

「なんだか、前にもこんなことがあったなぁ」

 

 クラウディアの治療を受けながら、ザムエルは急に懐かしむような表情になった。

 そう言われればそうだ。クラウディアが今のようにザムエルに心を許していなかったころ、こんな風に傷ついて帰って来たザムエルの応急手当をしたことがある。あの時のクラウディアは、血に怯え、男の裸体に戸惑って、オロオロとしていただけだった。

 

「あの時と比べると、クラウも成長したな」

「あ――」

 

 ザムエルは柔らかく微笑むと、優しい声でクラウディアを労わった。

 それだけで、クラウディアの頬は熱くなり、鼓動が早まる。しかし、今は治療に専念しなければと己に言い聞かせ、クラウディアはザムエルの肌に回復薬を塗り、その上から、慣れた手つきで包帯を巻いた。

 ザムエルは治療済みの腕を軽く動かすと、また微笑んだ。

 

「いい感じだ。ありがとうよ、クラウ。……どうした?」

「…………」

「もう手当ては終わったろ?」

「ザムエルさん……」

 

 ザムエルの名を呼びながら、クラウディアは、上半身半裸のままのザムエルの懐に縋り付いていた。そして、体毛に覆われた中年親父の胸板にそっと手を添えて、愛おしそうに頬ずりしていた。

 

「どうしたクラウ。甘えたかったのか?」

「はい……」

 

 クラウディアはザムエルの問いを素直に認め、ほうっと息を吐いた。少女の身体は完全に脱力し、安心しきった様子でザムエルの体躯に体重を委ねている。仕方ねぇなとザムエルは苦笑したが、その声も優しかった。

 ザムエルのゴツゴツとした手が、クラウディアの滑らかな金髪を撫でる。クラウディアはそれに身を任せ、生まれたばかりの子猫のようになっていた。

 

(身体が、ぽかぽかする……。ザムエルさん……)

 

 この時のクラウディアは、ここに来る原因となった父親との口論のことも、綺麗に忘れてしまっていた。ただただ、目の前の男に甘えるのが、たまらなく心地よかった。いつしかクラウディアは、眠たそうなトロンとした瞳で、ザムエルの心臓の鼓動を聞いていた。

 

「クラウ」

 

 呼びかけられて、クラウディアは顔を上げた。ザムエルが、クラウディアを見下ろしている。それと目が合って、クラウディアは、本当に自然な調子で目をつぶり、わずかに唇を突き出した。

 ザムエルの手がクラウディアのあごに添えられ、二人の顔が近づいていく。

 

「ん……」

 

 そしてクラウディアは、ザムエルとキスをした。

 

(ザムエルさん……。ザムエルさん……。ザムエルさん……)

 

 心の中で、熱に浮かされたように男の名前を呼びながら、クラウディアは口と舌を動かした。清らかな少女と、下劣で凶暴な本性を隠した野獣のような中年親父は、そのまま十分以上も舌と舌を交わらせていた。

 いつしか、クラウディアの両腕はザムエルの背中に回され、二人は椅子の上で正面から抱き合うような格好になっていた。

 

「ン……ふあ…………ぁむ……」

 

 唾が絡む音と、陶然としたクラウディアの吐息の音だけが聞こえていた。外からは、クラウディアのほうが積極的に、ザムエルの唇を貪っているように見えた。

 

「はぁ…………」

 

 十分経って、ようやくクラウディアはザムエルの唇から離れた。トロリとした光る糸が、二人の唇の間に橋を造った。

 

「ん…………」

 

 だが、それでは満足できないと、クラウディアは再びザムエルと唇を合わせた。さっきよりも大きく激しい動きで、より深くまで相手の口内に舌を侵入させ、情熱的なキスをした。

 そうしながら、クラウディアは思っていた。

 

(ああ…………私……私……この人のことが……ザムエルさんのことが……)

 

 これまでクラウディアは、ザムエルのことを父親代わりのように考えていた節が有った。だが、それは違うのだという自覚が、はっきりとクラウディアの中に芽生え、大きな花に成長しつつあった。

 この感情の正体を、クラウディアは誰にも教えられたことが無かった。しかし、この感情の名前が、「恋」とか「愛」というものであることは、教えられなくとも少女には理解できたのだ。

 

(私……ザムエルさんのことを、男の人だと思ってるんだ……。男の人として、ザムエルさんが好きなんだ……)

 

 自分の父親よりも年の離れた、友人の父に恋をする。あり得ないことだとは思うし、ショックも有ったが、この感情を偽ることはできなかった。唇を離すと、クラウディアはサファイアの瞳を潤ませて、衝動のままに口にした。

 

「ザムエルさん……」

「ん……?」

「好きです…………好きなんです…………んぅ……」

 

 そして、またしてもキスを再開する。

 恋心を自覚し、それを認めてからのキスは、脳が沸騰し、溶けて液体になりそうなくらい気持ち良かった。

 

「ん……はぁ…………あむ……ちゅる……」

 

 そもそもクラウディアは、父との諍いについてザムエルに相談するつもりでここに来た。それに、二階にはライザが居る。しかしもはや、彼女はそんなことを忘れ去っていた。少女は一心不乱に、中年男の舌を自分の舌でねぶり、半裸の相手を両腕でぎゅうぎゅうと抱き締めていた。

 では、クラウディアのような清楚で純真な美少女の、それほどの好意を受け止めて、当のザムエルは、心の中で何を思っていたのだろうか。情にほだされ、クラウディアを陥れようと罠を張り続けた自分の行いを、悔やみでもしたのだろうか。

 そんな事は、あるはずが無いのだ。

 

(ついに、堕ちやがったな)

 

 目をつぶって口づけに没頭しているクラウディアは気付かない。ザムエルの顔が、クラウディアに口を塞がれていなければ、高笑いを始めそうなほどに邪悪に歪んでいたことを。

 

(クラウディアが――初めて会った時、俺を見下していたあのお嬢様が、あのいけすかねぇ金持ち親父の娘が、ついに)

 

 まさに、してやったりというところだ。ついにザムエルは、クラウディアに完全に心を開かせることに成功した。ライザのようにハメ堕としたわけでもないのに、自分のような人生の落伍者のことが好きだと言わせてやった。

 キス以外に性的快楽は全く伴っていないにもかかわらず、今のザムエルは、ともすれば射精してしまいそうなくらい恍惚とした気分だった。

 そして今ならば、クラウディアはザムエルが命じさえすれば、喜んで股を開き、彼に処女を捧げるのかもしれない。だが、

 

(それじゃあダメなんだよ。それじゃ足りねぇ。この娘を正真正銘、俺だけのメスにするためには、それじゃあな)

 

 ザムエルの目的は、クラウディアという少女の根本を一度破壊し、その上で、ザムエルが居なければ――ザムエルのチンポをマンコにハメられなければ生きていけない淫乱なメスへと、クラウディアを作り替え生まれ変わらせることだった。

 幻想の恋心に盲目になったお嬢様に、甘い初体験を与えてやるのも悪くない。しかし、それではザムエルの欲望は満たされないのだ。

 

「クラウ」

 

 だからザムエルは、クラウディアの肩を掴んで自分から離すと、あえて優しい声で言った。

 

「お前は、何か勘違いしてるんだ」

「え……?」

 

 クラウディアの表情が曇る。その反応からも、クラウディアの感情がザムエルの手のうちにあり、彼が思う通りに躍らせる事が可能だということが分かる。

 

「お前みたいな若くてきれいな娘が、こんなオッサンに惚れるなんて、有る訳ねぇ」

「そ、そんなこと……!」

「聞くんだ、クラウディア」

「う……」

「よく考えてみろ、俺はいくつだ? お前といくつ年が離れてる?」

 

 まず、ザムエルはクラウディアに、自分たちの年の差のことを思い出させた。ザムエルの言葉は、彼の本心からかけ離れたしらじらしいものだったが、ザムエルの顔と声色には父性が満ち、まるで彼が本当にクラウディアの将来を思いやっているような気さえした。

 

「お前みたいな年頃の娘は、同じくらいの年の男に惚れるもんだ。それこそ、レントみたいなよ」

 

 次にザムエルは、クラウディアがザムエルの息子と同年代であるということを思い出させた。友人の父親に恋心を抱くなど異常なことだ。それを改めて指摘した。

 しかしクラウディアは、それらの指摘を受けて頭を冷やすどころか、全く聞き入れるつもりはないと分かる真剣な表情でザムエルを見つめている。むしろザムエルに諭されたことで、彼女の感情にさらなる燃料が投下されたようにも見える。

 それでもさすがに、次にザムエルの口から出てきた言葉は、クラウディアを動揺させた。

 

「――何より、お前の親父さんがどう思う?」

「…………! おとう、さまが……」

「……だろう?」

 

 仮にクラウディアがザムエルのことを好きだと言っても、クラウディアの父が、それを認めるはずはない。彼は、クラウディアがライザたちと友達付き合いをすることにすら、良い感情を抱いていなかったのだ。反対するに決まっている。

 蕩けていたクラウディアの表情が、少し厳しいものになった。そこに含まれているのは、「どうして私のしたいことに反対ばかりするのか」という、父に対する怒りの感情だ。

 

「私の気持ちとお父様は関係ありません!」

「そんな可哀そうなことを言うなよ。親父さんだって、お前のことが心配で――」

 

 そうやって諭されたところで、今のクラウディアが受け入れるはずがない。ザムエルも、それが分かっていて、あえて言っている。そうやってザムエルは、クラウディアの口から「愛するお父様」に対する否定の台詞を引き出した。それを聞くたびに、ザムエルの心はウキウキと浮き立つ。

 

(ああ……たまらねぇ……。あの親父がここに居たら、どんな顔をするんだろうなぁ……)

 

 男の顔を思い浮かべて肉棒に血が滾るなど、ザムエルにとっては初めての経験だ。しかし、手塩にかけた愛しい一人娘に罵倒された時のルベルトの絶望した表情を想像するだけで、ザムエルの興奮は止まらなかった。いつかは自分に調教種付けされた腹ボテ姿のクラウディアを、あの親父にも見せてやろう。クラウディアの背中をポンポンと撫でてあやしながら、ザムエルはそんなことまで思った。

 

「……やれやれ、仕方ねぇな、クラウ」

 

 クラウディアに思いのたけをブチまけたいだけブチまけさせてから、根負けしたようにザムエルは言った。――もちろん、これも彼の演技に過ぎない。

 

「お前がそこまで言うなら……今日はこのアトリエに泊ってくか?」

「……!」

「いま屋敷に帰っても、また親父さんと喧嘩になるだけだろうしな」

 

 あくまでも、クラウディアの頭を冷やすための提案だという風に、ザムエルはそう言った。しかし、もしもこの提案にクラウディアが乗れば、ザムエルは彼女を生娘のまま屋敷に帰すつもりはなかった。一度クラウディアが頷けば、彼女を徹底的に自分の女――メスにするまで、絶対に帰さない決意だった。

 

「…………」

 

 クラウディアは、流石に少し迷っているようだった。この流れで外泊すれば、それは本格的な家出になってしまう。そうすれば、ルドルフをさらに怒らせ――それ以上に心配させることは間違いない。口で何と言おうと、クラウディアが父想いの優しい娘なのは変わっていなかった。

 クラウディアの目の前にいるザムエルは、まるで「俺はクラウディア自身の判断を最優先する」とでも言いたげに、優しい瞳で黙っている。ここまでザムエルが辛抱して積み重ねてきた信頼が、ここでものを言った。

 考えた挙句、クラウディアは静かに言った。

 

「わかりました。……ザムエルさんの、言う通りにします」

 

 その瞬間、ザムエルの表情に、抑えきれない邪悪なものが現れたことに、クラウディアは気付かなかった。

 

======

 

「嬉しいなぁ。あたし、こうやって友達とお風呂に入るのが夢だったんだー」

 

 アトリエの庭に作られた露天風呂で、大きな声を出してはしゃいでいるのはライザである。湯に浸かり身体を温めたライザは、石組みの浴槽の縁に腰掛けている。彼女はそのスタイル抜群の肢体を隠そうともしていない。上気して艶の増した肌が、クラウディアの前に惜しげもなく晒されている。タオルすら身体にかけず、水面から立ち上る湯気は目隠しの役目をはたしていない。

 

「ね、露天風呂って気持ちイイよね、クラウディア」

「そ、そうねライザ」

 

 ライザの天真爛漫な問いかけに、クラウディアは口ごもる。同性であるクラウディアが、思わず赤面してしまうくらい、男を知ったライザの身体は魅惑的だった。

 

(こうやって、裸のライザを見るのは初めてだけど……やっぱり大きいな……。何を食べたら、こんな風になれるんだろう)

 

 ライザの胸と、彼女の全身から発散されている健康的な魅力を羨んでいるクラウディアお嬢様も、実のところスタイルでは負けていない。バストやヒップのサイズこそ若干劣るものの、脚がすらりと長く均整の取れたプロポーションや、抜けるような肌の白さは、クラウディアにしかない魅力だ。

 つまるところ、この17歳の二人の美少女は、タイプこそ違えども、極上であるという点は同じだった。二人ともこんな片田舎に眠らせておくには惜しい、孕ませごろのメスなのだ。

 ザムエルに言われ、クラウディアはライザのアトリエに泊まることを決めた。クラウディアの心の中には、まだ「お父様」に対する遠慮や申し訳なさが潜んでいたが、彼女が泊まることを聞いた時のライザの満面の笑顔が、それに蓋をしてしまった。ライザは親友とお泊り会ができることを大層喜び、腕によりをかけて食事を作り、精一杯おもてなしすると、胸を叩いて宣言したのだ。同世代の女友達とのお泊り会というものに、クラウディアもかねてから憧れていたのも事実だ。

 夕食にライザのご馳走を平らげたあと、二人の少女はこうして裸の付き合いをしていた。ライザと、クラウディアと、そしてザムエル。ラーゼンボーデン村のあるクーケン島から海を隔てたこの陸地にいる人間は、正真正銘彼ら三人だけだ。空には星が出ている。湯加減も良い。初めて体験する露天風呂は、クラウディアに不思議な解放感と高揚感をもたらしていた。

 

「う~~~んっ」

 

 ライザが両腕を高く上げて伸びをした。彼女の地球儀を思わせる豊満でハリのある胸が、そうするとより強調される。クラウディアはクラウディアで、ほうっと息を吐いて全身を弛緩させ、湯の暖かさに身を任せた。濡れないように結い上げられた金髪と、その下からのぞくうなじのラインが、やけに色気を放っている。

 眼福としか言いようがない。大陸中を探しても、これほどの美少女はそうはいまい。男に生まれた者ならば、この二人の身体を好きにできると言われれば、悪魔にでも魂を捧げるだろう。

 しかし、こんな光景がすぐ近くで展開されているというのに、ザムエルは現れなかった。根っからの捕食者であるあの男なら、この二人の間に割って入るか、少なくとも覗きくらいはしそうなものだ。だが、彼は今、アトリエの扉の向こうにいる。彼は、風呂にはあとから一人で入ると言っていた。

 しかしだからと言って、ザムエルが大人しくしているのだと思うのは大間違いだ。ザムエルはきっと、そうやって爪と牙を研いでいるのだ。ここまで溜め込んできた欲求を全てぶつけ、クラウディアを我が物にするために。

 

「クラウディアは一階であたしと寝ようね。ザムエルさんは、二階で一人で寝るってさ」

「ごめんねライザ。私が急に泊まるなんて言い出したから、ザムエルさんにも迷惑をかけちゃった……」

「あはは、いーよいーよ、気にしなくて。いつかクラウディアとお泊り会したいな~って思ってたから、ベッドも用意してあったし」

「それも錬金術で作ったの?」

「もっちろん!」

 

 夜の闇の中に、夏の虫の声と、二人の少女の和気あいあいとした聞こえる。

 

「このお風呂だって、あたしたち三人で頑張って作ったものでしょ? なのにクラウディアだけ入ったことが無いなんて、残念だなってずっと思ってたんだよ。だからあたし、今、クラウディアとこうやってお風呂に入れて、すっごく嬉しいよ!」

「ライザ……」

 

 ザムエルの意図を知らないクラウディアは、無垢な様子でライザとお喋りに興じていた。そうしているうち、昼はあんなに曇り空だったクラウディアの心は、満天の星がまたたく夜空のように、今はすっかり澄み渡っていた。表情も笑顔で、屋敷にいるときのギスギスした感情とは違う、安心しきった心持ちになれていた。

 そんなクラウディアの口から、思わずポツリと言葉が零れる。

 

「私も、ライザとここで暮らしたいな……」

「ほんと? あたしは大歓迎だよ!」

「――ちょ、ちょっとライザ、はしゃがないで。――あ、こんな格好で抱き着いたらダメだってば!」

「いいじゃんいいじゃん、ちょっとくらい。減るもんじゃないでしょ」

「あ――んっ。ライザってば!」

 

 バシャバシャと水音がして、そこに二人の笑い声が混じる。

 そうやって、クラウディアとライザは、のぼせる寸前まで露天風呂を堪能した。

 

 風呂から上がると、二人はベッドに移動した。さっきライザが言った通り、二階にあるザムエルの寝室とは別に、リビングやライザがアトリエとして使用している一階のスペースに、新しいベッドが置かれた。大きさは、二人が同時に寝ても――それこそ、二人と一緒にザムエルが寝てもまだまだ余裕があるくらいので、ぷにぷに玉を材料にしたマットレスは、クラウディアが屋敷で使っている高級ベッドよりも良く弾んだ。

 フルートだけ持って屋敷を飛び出したクラウディアは、当然パジャマも持参していなかった。しかし、それもライザが錬金術で用意したものがあった。ネグリジェに似た色違いのパジャマを着た二人は、風呂上がりの湯気の上がる身体で、ベッドの上でもしこたまお喋りをした。

 ザムエルは、既に二階に上がっていた。クラウディアはそれを、女子二人で水入らずにさせてやろうという彼なりの配慮なのだと解釈したが、果たしてそうなのだろうか。

 

「じゃあクラウディア、おやすみ」

「うん、おやすみなさい、ライザ」

 

 喋りつかれたころ、ベッドの上で向かい合った二人は、互いに向けてお休みを言った。そうしてからも、二人はしばらく互いの瞳を見つめていた。少し経って、ライザが口を開いた。

 

「……ねぇクラウディア」

「……? なぁに、ライザ」

「もしもクラウディアが……ずぅっとここに居たいって思ったら、あたしは大歓迎だからね」

「……うん」

 

 そして眠ろうとする前に、クラウディアはふと考えた。

 

(ありがとうライザ。――でも、やっぱり……さすがに明日は家に戻らないと……。お父様にも……明日は謝れるといいな……)

 

 ザムエルも、自分ばかりでなく父の気持ちも考えろと言っていた。その通りだと、一息ついて冷静になった今は思えた。しかし、頭を冷やしたにも関わらず、クラウディアの胸をぽかぽかと温めている想いは、今もそこにあった。

 

(ザムエルさん……おやすみなさい)

 

 ライザのアトリエには、安眠を促すお香の香りが満ちている。クラウディアは心地よい眠気に誘われて、そのまま眠りについた。目が覚めて朝になったら、お父様に謝るために家に帰ろう。ぼんやりとそう思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――……んぅ。………………?」

 

 だが、クラウディアは、何故か深夜に目覚めてしまった。

 

「…………ライザ?」

 

 目の前に眠っていたはずの親友の姿が、そこに無い。なんとなくシーツを触ると、まだ暖かかった。ライザがいなくなったのは、ついさっきのようだ。クラウディアはベッドの上で上体を起こし、首を動かして周囲を見回した。

 ライザはどこにもいない。

 

(トイレかな……)

 

 そう考えれば、別に妙なことではない。このまま再び目を閉じて、眠ってしまえばいい。しかし、クラウディアの頭と目は、すぐに眠るには妙に冴えていた。彼女はベッドから降りると、暗闇の中で立った。まるで何かに誘われるように、身体が勝手に動いた。

 

(………………音?)

 

 クラウディアは、アトリエ全体が、まるで小さな地震で揺れているような錯覚に襲われた。だがそれは一瞬のことで、本当は天井が――つまり二階の床が軋んでいるのだと気付いた。ミシミシ、ギシギシという音は、ただの家鳴りにしては大きく、それに不自然なくらいリズミカルだ。それに、その軋みに混じって、これまで聞いたことの無い――それでいて何故か聞き覚えのあるような、不思議な声が聞こえた。

 クラウディアの脚は、やはり何かに誘われるように動いた。窓の外から差し込む星明りで、そろそろとだが歩くことはできた。

 

「――――っ♡ ――――ぉっ♡♡ ――――――っっ♡♡」

 

 音の発生源は二階だ。

 

「――ぅぁ♡♡ ――――ぃっ♡♡ ――――――ぁぉぉっ♡♡」

 

 階段の足元に近づくにつれ、その音はより明確になっていく。その音を聞いていると、クラウディアの胸の動悸は、どんどんと早くなっていった。

 

「――ぃっ♡♡ ――ぁっ♡♡ ――――んさまっ♡♡ ――ぃぅぅっ♡♡♡」

 

 階段の一段目に足をかけた時には、クラウディアの心臓は口から飛び出そうなくらい鳴っていた。この階段を上ってはいけないと、誰かがクラウディアに警告している。それは他ならぬ、クラウディア自身の心の声だった。

 

「――――すごっ♡♡ ――イクっ♡♡ ――――イキ死ぬぅっ♡♡」

 

 しかし、引き返す道など、とうの昔に失われていたのだ。クラウディアの意志が望むと望まないとにかかわらず、クラウディアの身体は、自分を支配してくれるオスの存在を、ずっと前から強く渇望していたのだ。

 

「――ご主人さまっ♡ ――チンポもっと♡♡ ――オッサンチンポもっとぉっ♡♡ オッサンチンポで、ご主人さま専用マンコのライザのこと、ハメ殺してぇっ♡♡♡♡ ――あおおおおおっ♡♡♡」

 

 一段、一段と上るたびに、クラウディアは奈落に向かって近づいていく。

 二階で何が行われているのか、クラウディアには分かりかけていたのに、それでも脚が止まらなかった。二階で屈強なオスに鳴かされているのが、自分のかけがえのない親友であることを悟りつつあったのに、クラウディアは止まれなかった。

 クラウディアの目に、二階の様子がぼんやりと見えてきた。ザムエルの部屋になっている二階の間取りを、クラウディアも記憶している。その記憶の中にあるベッドの位置に、人間の裸体の輪郭が浮かび上がっている。その輪郭がやけに大きいと思えたのは、二人の人間が繋がっているからなのだと、しばらく観察して分かった。

 

「……ら、い……ざ?」

 

 クラウディアは息を飲み込んでから、掠れた声で、男に激しく犯されている親友の名を呼んだ。そしてそれと同時に、チンポで深イキをキメたライザのメス声が、アトリエ中に響いた。

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