錬金術士ライザが幼馴染の父親と背徳交尾しまくって調教された挙句、親友であるクラウディアを中年親父に売り渡し、自分と同じハメ穴に変えていく話 作:黒胡椒サラミ
「ライザ、今日はレント君たちは来てないの?」
「う、うん、クラウディア。タオの家の手伝いがあるからって、それでね」
ライザが言った通り、アトリエを兼ねた森の中の隠れ家に、レントとタオの少年二人は不在だった。あの二人は最近、どうも付き合いが悪い。冒険に行こうと誘っても煮え切らず、なんだかんだで断りを入れてくる。隠れ家から二人の足を遠のかせた理由は、もちろんザムエルの存在だった。
自分の嫌いな父親と、一緒に冒険に出かけたいと思う思春期の子供がいるだろうか。そう考えるレントにくっついて、自然とタオも、この隠れ家に来る頻度が少なくなっていた。
「……ザムエルさんは?」
クラウディアは尋ねた。彼女が隠れ家に来ている理由はライザが大半だった。なのでクラウディアがレントたちと同じように隠れ家に来なくなるという事は、今のところ無かった。
しかし、クラウディアはザムエルに対し、正直良い印象を抱いていない。それは当然である。まずは見た目が粗野で怖かったし、声も大きく、口調も乱暴だ。たまに近くに寄ると、何だかすえたような臭いもする。商家の箱入り娘であるクラウディアが、あの中年と仲良くなる理由を探すほうが難しい。
「さ、さあ、どこに行ったのかな。森を見回ってるのかも。大きい魔物の足跡があったって言ってたから」
「……そう」
「ザムエルさんって、あれで結構、強くて頼りになるよね!」
クラウディアはそうでも、ライザはザムエルの事を悪く言わない。もしかしたら、心の中では違う事を思っているのかもしれないが、彼女はできる限り、ザムエルをフォローするような事を言う。酒浸りになっていたザムエルに、親身に相談に乗ってあげて、彼が立ち直るきっかけを与えたのはライザである。だとすれば、それは無理のない事かもしれなかった。
それに事実、ザムエルは強かった。少なくとも、ろくに戦闘経験の無いライザやクラウディアたちよりもずっと。レントも剣でザムエルに勝ったことはないと言っていたし、ライザの錬金術に必要な材料を集めるため、魔物のいる領域へと冒険に出る時には、確かに頼りになった。
クラウディアは偏見を嫌う優しい心の持ち主だ。雰囲気が苦手だからといって、余りよそよそしい態度を取るのは良くない。そう思ったからか、彼女はにっこりと笑って、ライザに同意した。
「そうね、ライザ」
「うん、そうだよ。クラウディアにもいつかきっと、ザムエルさんのいい所が分かるよ!」
ザムエルのいい所、取り得とは、剣の腕以外には、メス殺しの凶悪カリ高チンポとか、延々とピストンを続けられる体力とか、何十発と射精しても収まらない性欲などの事だろうか。
ライザがもじもじと太ももを擦り合わせると、クラウディアは不思議そうな顔で、室内を見回した。
「どうしたの、クラウディア。なんかあった?」
「う……ん、ちょっとね。何か、変な臭いがするなって」
例えるなら、それは魚介類のような臭いである。クラウディアがそう言うと、ライザは突然慌てふためきだした。
「海が近いから、当たり前だよ~」
「そう……、そうよね。でも、こんな森の中にまで――」
「あ、もしかしたら、調合してたせいかな? 魚とかも材料に入れたし!」
ライザの声はやけに大きく、顔は赤い。
ホットパンツに染みを作って、ライザの内股から流れだそうとしているザムエルの子種の臭いを、クラウディアは嗅ぎつけたのだろうか。
ライザの初々しい若膣に、ザムエルの濃厚種汁が注がれていない日は、今ではほぼ無い。おかげでライザは、村を歩いていても、家族との食事の最中にも、愛しのご主人様ザーメンがマンコから溢れ出る事を、心配しなければならなかった。
クラウディアがここにやって来る直前にも、ライザはザムエルにバックからハメられていた。
お手軽肉穴として、ライザには、ザムエルの排泄行為を拒否するつもりは毛頭なかった。ザムエルがムラついたら、いつ何時でもマンコを差し出して、下品に腰を振り、射精を促す用意がある。それでも、今この関係がクラウディアにばれてしまうのは、クラウディアをメス穴に堕とすというザムエルの目的から言っても問題があった。
「う~ん」
ライザは頭を抱えた。
ご主人様に、射精をお控えくださるように言ってみようか。でも、そんなことをしたらきっと、イライラが募ってさらにいきり立った肉棒に、ハメ殺されてしまうのは自分のほうだ。
「ライザは何を作ってたの?」
「え?」
急にクラウディアの顔が近くに来て、ライザは戸惑った。クラウディアは長い金髪をかき上げながら、ライザの前にある錬金釜を覗き込んでいる。そこでは、虹色の光を放つ何かが、グツグツと泡立っていた。
「あ、うん。冒険に必要な爆弾とか、薬とか、色々」
「……ここから爆弾や薬ができるの?」
「錬金術って凄いよね」
果たして、その一言で済ませて良いのだろうかと、クラウディアはあごに指をあて、可愛らしく小首を傾げている。だが事実、素材を錬金釜に叩きこんで、杖でぐるぐるとかき混ぜれば、何かができてしまうのが錬金術だ。
「深く考えたら駄目だよ、クラウディア」
そう言うと、ライザは調合を再開した。
彼女が作っているものは、大体は言葉通り、冒険に必要な諸々の道具である。だが、いくつかの品には、ザムエルの注文がついていた。
そうして作ったものの一つが――
「できた!」
「お疲れ様、ライザ。で、これは何?」
「ん~、お香? 使い方はお香と同じだよ」
今の錬金術の実力で、完成させられるかは賭けだったが、どうにか上手く行った。
ライザの手に乗っているのは、デルフィローズ香のレシピからひらめいた道具だ。このお香を水に漬けると、花のような良い香りがする。
「さっき、魚を入れたって言ってなかった? それでお香ができるの?」
「錬金術だからね」
「爆弾や薬って言ってたのに、お香?」
「お香も薬みたいなもんだし! それに、さっきクラウディアが、臭いが気になるって言ってたでしょ? とりあえず試してみない?」
そう言いつつ、ライザは黄緑色の塊を、小さな器に満たした水に漬けた。
「わあ……」
クラウディアが手を合わせ、感嘆の声を漏らす。清涼感のある香りが、部屋いっぱいに広がった。これは、嗅ぐ者の心に安心感をもたらす匂いである。
「いい香りね、ライザ」
「そうでしょ?」
ライザは得意げな顔をしているが、当然こんなものを、ザムエルが何の意味も無しに造らせるはずがない。今はただの安心感を与える香りかもしれないが、入れる材料によっては、この香は様々な効果をもたらす。安心とは逆に不安を掻き立てたり、眠気を誘ったり、あるいは、嗅いだ者を発情させたりと。
しかし今は、この香が発しているのは、ただの安心感を与える香りに過ぎない。急いては事を仕損ずる。結果を急ぎ過ぎて、折角の花を握り潰すことになっては元も子もない。だから、まずは安心感を与える香りなのだ。ザムエルはライザに、この香を作る目的までは説明していない。しかしきっと、これもクラウディアを自分と同じザー汁オナホにするための、ザムエルの布石なのだという事は、彼女もしっかり理解していた。
ぽそりと、ライザはつぶやいた。
「……きっといつかクラウディアも、ザムエルさんの良さが分かるよ」
「え? 何か言った?」
「ううん、別に」
「そう、今何か――」
「帰ったぜ、ライザ」
と、そこでようやく、ザムエルが姿を現した。クラウディアの表情が、彼の声を聴いて少し曇る。対照的に、お帰りなさいと朗らかに笑いかけたライザの顔が、驚愕で引きつった。
「ザムエルさん、どうしたの!?」
ライザが大声を出し、クラウディアは両手で口元を覆った。
「いやあ、ちょっとな」
ザムエルは笑ってごまかしたが、彼の革鎧は血塗れだった。ザムエルは髭や髪の毛まで、何のものか分からない血で濡れている。
「この森に、思ったより大物がうろついてた。手こずっちまったよ」
どうやら、ザムエル自身の血ではないようだ。そう思い、ライザたちがひとまず安心しかけると、ザムエルはいててと、苦しそうに顔を歪めた。ライザがまたしても、大声で叫ぶ。
「怪我したの!?」
「かすり傷だよ。――イテッ! ちいとばかし油断した。自分で思ってるより、鈍ってたな、俺も。ライザ、薬はあるか?」
「ちょっと待って!」
ライザはさっきの香と一緒に、薬もしっかり調合していた。簡単な塗り薬だが、怪我には十分な効き目がある。
「クラウディア! 手伝って!」
「え、あ、あ、うん!」
毅然とした声でライザに呼びかけられ、硬直していたクラウディアは、動きを再開した。包帯を持ってくるようにライザに言われ、彼女は慌てて、隠れ家の棚をひっくり返した。
「脱がすよ、ザムエルさん」
包帯を手にしたクラウディアの前で、椅子に座ったザムエルに両手を高く上げさせ、ライザは彼の革鎧を脱がす。革鎧は、左脇の下あたりが、ぱっくりと裂かれていた。
「シャツは――」
「もう千切れかかってる。ホラな」
そう言うと、ザムエルはぶちぶちと力任せに、シャツを引きちぎった。そうして露出した彼の肉体は、左脇の下のあばら骨のあたりが、やはり血に濡れている。ザムエルの申告通り、深手ではないようだ。しかし鎧に守られていなければ、彼の命がどうなっていたかは分からない。
「クラウディア!」
「――!」
ライザとザムエルのやり取りを、クラウディアは包帯を手にしたまま、放心状態で眺めていた。こんな血を見るのは、彼女は初めてだったからだ。しかし、自分を叱咤して、クラウディアは手と足を動かした。井戸水を桶に汲んできて、その中に綺麗な布を浸すと、ライザに渡した。
ライザは献身的に、ザムエルの身体に付着した血を、濡れ布巾でふき取っていく。その横顔からは、彼女の芯の強さがうかがえ、ライザは凄い、それに比べて自分はと、改めてクラウディアに思わせた。
「イテテテ」
ザムエルが呻く。しかしやはり、命に関わるような深手ではない。血がふき取られると、左脇の下についた、細長い傷が見えてきた。
「縫ったりしなくて大丈夫? お医者さんに診せないと――」
「心配するこたぁねぇライザ。この程度なら、唾を付けときゃ治る」
「本当に?」
「まあ、一応薬は頼むぜ」
(良かった……)
クラウディアは、ほっと息を吐いた。大量の血を見て動転していたが、ザムエルの命に別条が無いと知って、ようやく安心したのだ。例え苦手な相手でも、怪我をしたり、増してや死んでしまったりするなどとは、考えたくもない。
(ライザ、あんなに一生懸命になって、ザムエルさんを助けようとして……。それに比べて、私は駄目だな)
軽い自己嫌悪に陥りつつ、クラウディアはライザによるザムエルの看護の様子を眺めていた。しかし、ザムエルの胸に手を這わせるライザを見ているうち、クラウディアは、はっと別の事に気付いた。
(男の人の、裸……)
そうである。今のザムエルは、上半身の衣服を全て脱ぎ去り、ズボンだけを履いた、半裸の状態になっている。それをじろじろと見ていたことに気付き、クラウディアの頬がぱっと染まった。
クラウディアは、未だに男を全く知らぬ乙女である。それが、初めて父親以外の裸体を目撃して、平静でいられるはずがなかった。何しろその父親の裸ですら、遠い幼い頃の、ぼんやりとした記憶としてしか残っていないのだから。
しかもザムエルの身体は、若い娘が目にするには、ある意味であまりに刺激が強すぎた。胸毛も腹毛も生え放題に生え散らかし、浅黒い肌を覆っている。ライザが薬を塗るために、ザムエルが腕を持ち上げると、濃い腋毛も目に入った。あちこちについた古傷と、筋肉はついているが隠しきれない贅肉。たるんだ皮膚に、沈殿したような黒色の乳首。大理石の像になるような裸体と違って、傭兵崩れの中年親父の肉体は、あまりにも生々しかった。
(~~~~っ! 何考えてるの、私!)
クラウディアは、とっさにザムエルと、その胸に手を這わすライザから顔を背け、そしてすぐに反省した。今行われているこの行為に、クラウディアが思い描きかけたような、いやらしさなど微塵も無い。ザムエルはクラウディアたちに危険が及ばないように、森の見回りをして、単身強力な魔物と戦ったのだ。そうしてついた傷の治療を、いやらしいと思うほうがどうかしている。
だからクラウディアは、必死に胸の動悸を抑えながら、二人のほうへと顔を戻した。
「痛くない?」
「ああ、全く。――イテ!」
「強がらないでよ!」
それにしても、ライザは本当に献身的だ。ザムエルのすぐそばに寄り添って、丁寧に丁寧に指を這わせ、傷薬を塗っていく。その動きは、まるでザムエルの身体の事を、何もかも承知しているかのようだった。熟年の夫婦でも、きっとこうは行かないだろう。こんなライザだからこそ、酒毒に犯されていたというザムエルも、心を開き、そのために働きたいと思わせることができたのかもしれない。
(もしかして、ライザってザムエルさんの事……。ううん、そんなはずないよね)
またもいやらしい妄想が浮かびかけ、クラウディアはふるふると首を振った。
「じゃ、次は包帯ね」
「ああ」
クラウディアが考え事をしている最中にも、ライザによる傷の手当は進んでいく。薬は塗り終わったから、あとは包帯を巻くだけのようだ。しかし、ライザが包帯を手に取ると、ザムエルは「いや」と言った。
「それは、クラウディアちゃんにやってもらえないか」
「………………えっ?」
クラウディアの反応が数瞬遅れたのは、ザムエルが言った言葉の意味が、すぐには理解できなかったからだ。ザムエルは出血で疲労したように息を吐くと、理由を説明した。
「ライザは血で汚れてる。そっから良くないものが入ったら不味いからな」
確かに、とクラウディアは思った。ザムエルの血を布巾で拭いたライザは、身体や衣服のそこかしこに、血を付着させている。そこにはザムエルの血以外にも、魔物の血が混じっているはずだ。万一これが傷口に入ったら、恐ろしいことになるかもしれない。それなら、薬を塗る時に言うべきでは――という指摘は、その時のクラウディアには思い浮かばなかった。
「だから頼む。イテテテ……」
「あ……」
断る理由は何も無い。これは純粋な人助けだ。だが、クラウディアの脚は、すぐには動かなかった。
目にするのでさえ初めてだったのに、あの毛むくじゃらの男の人の裸に、手を当てて包帯を巻かねばならないのだろうか。それは、とても恥ずかしい行為のような気さえする。お父様に秘密でそんなことをしていいのだろうかと、良く分からない迷いまで生まれた。
「お願い、クラウディア。私は着替えて、血を拭きとってくるから」
だが、ためらう彼女を決意させたのは、親友の言葉だった。ライザのように勇気ある人になりたいと、さっき思ったばかりではないか。
「……分かったわ、ライザ」
決意した表情で頷くと、クラウディアはライザから包帯を受け取った。
「失礼します、ザムエルさん」
しばらくどうすればいいか迷ってから、クラウディアは、椅子に座るザムエルの前に膝立ちになった。
普通、身体に包帯を巻くときには、患者の後ろ側に立って巻くのが良さそうなものだが、こうなってしまったのはやはり、クラウディアが世間知らずのお嬢様だからだろう。
「んっ――」
可愛らしい声を出しつつ、クラウディアは両腕をめいっぱいに伸ばして、ザムエルの身体に包帯を巻きつけた。少女のほのかに赤みを帯びた頬が、中年親父の浅黒い肌に、あと少しで触れあう、ギリギリのところまで近づいている。ザムエルは、クラウディアが包帯を巻きやすいように両腕を少し持ち上げているが、これを少女の背中に回せば、まさに抱き合っている格好になる。
さっきまでと違った無表情になり、ザムエルは無言で、クラウディアがやることを見下ろしていた。
「……ありがとう。助かったよ」
包帯を巻き終わると、ザムエルは抑揚のない低い声で、クラウディアに礼を言った。
「いいえ、どういたしまして」
クラウディアはやり遂げた表情で、ほっと胸をなでおろしている。彼女が手を当てている、彼女の服の胸の部分は、大人しげな彼女のイメージにそぐわず、かなり大胆に開いていた。それこそ、包帯を巻く際にザムエルの胸元にいたクラウディアを見下ろせば、その控えめだが確実に存在する谷間が、目に入っていたのかもしれない。
「私こそ、ザムエルさんに謝らないといけません」
「……ん?」
「ずっとザムエルさんのこと、誤解していたみたいですから」
「誤解?」
「はい。正直ちょっと、怖い人なのかな……って」
しかしザムエルは、命の危険を冒し、怪我を負ってまで森の魔物を排除した。そんな人によそよそしく接する事が、とても失礼だったと、クラウディアは気付いたのだ。そして己の過ちに気付いた以上、真面目なクラウディアがそのままにしておくことはない。
「今まで失礼な態度を取って、本当にすみませんでした、ザムエルさん」
姿勢を正して頭を下げるクラウディアは、やはりどこまでも、世の中の暗い部分を知らないお嬢様だ。
「……ああ、そんな事か。別に気にしてねぇよ。詫びる必要なんかねぇ」
「でも」
「これから仲良くしてくれりゃ、それでいいさ。だろ?」
「――あ、は、はい!」
大人の度量を見せるザムエルに対し、クラウディアは今まで彼に見せたことの無い笑顔を向けた。
そう言えば、着替えに行ったライザは、ずいぶんと戻ってくるのが遅い。そんな事を頭の隅に浮かべながらも、クラウディアは今までと違い、ザムエルと二人きりでいても、怯えていない自分に気が付いた。こんなに彼と落ち着いて話せたのはどうしてだろう。ライザが作った、安心感を与えるというお香が、自分にとってはいい風に作用したのだろうか。
「終わった?」
クラウディアとザムエルが、二言三言雑談を交わしていると、ライザが階段を下りてきた。
「ちょ、ライザ!」
「何? クラウディア」
クラウディアが慌てたのは、ライザの格好を見たからだ。ライザはいつも羽織っている上着を脱いで、肩から鎖骨、そして胸の上部までを、大胆に露出している。もともとそういう部分に無頓着なのがライザだが、男の人がいる場所で、その服装はどうかとクラウディアは思った。
「ザムエルさん、具合はどう?」
しかしライザはクラウディアの横をすり抜けて、ザムエルの傍に行ってしまった。そして前かがみになると、ペタペタと興味深そうに、ザムエルに巻かれた包帯の、傷口周辺を触っている。あの姿勢のままでは、緩んだ肩紐が落ちて、下着が露わになってしまうのではないか。クラウディアは、ハラハラと状況を見守った。
「……ちょっと疲れたな。上で寝てきてもいいか?」
ザムエルは言った。確かに、彼が怪我人であることを忘れてはならない。なんだかんだ、血も失っているはずだ。ザムエルの表情が暗いのは、貧血気味だからなのかもしれなかった。
ライザとクラウディアは、ザムエルを引き留めなかった。ギシギシと階段を揺らし、彼の大きな身体が二階に消えると、クラウディアはライザと顔を見合わせた。
「もう、駄目だよライザ。ザムエルさんは怪我をしてるんだから」
「怪我をしてるから、何が駄目だったの?」
「え、あ……」
ライザの胸が、ザムエルさんの前でこぼれそうで不安だった。そんなことを、クラウディアが口に出せるはずがない。言いよどむクラウディアの目を、何故かライザは、そのトパーズ色の瞳でじっと見ていた。
「……あ、あのね、私、ザムエルさんに謝ったの」
苦し紛れに、クラウディアは話題を切り替えてごまかした。
「どんな風に?」
「今まで失礼な態度を取って、すみませんでしたって」
「ザムエルさんは、何て言ってたの?」
「気にするなって。……これからは、仲良くしようって」
ライザは、やはりクラウディアから瞳を逸らさない。だが、やがて彼女は満足そうに頷くと、笑顔で言った。
「良かった。これでクラウディアも、ザムエルさんと仲良くなれるね」
「改めて言われると、恥ずかしいな……」
「ふふ。――あ、そうだ、ザムエルさん、毛布の場所とか分かるかなぁ?」
ライザは思い出したように手を打つと、二階に行って、ザムエルの様子を見てくると言った。
「私も行こうか?」
クラウディアがそう申し出ても、ライザは笑って、首を横に振った。
「“今は”一人で十分だよ。傷口から熱が出たりしたらいけないし、しばらく二階で様子を見てるから。クラウディアは気にしないで、ここでくつろいでて」
そう言うと、ライザは妙にいそいそと、二階への階段を昇っていった。