※この作品はR-18です。

いつまでも変わらないと思っていたガサツでボーイッシュな幼なじみがいつの間にか俺の知らないところで女にされていた件   作:第三世界(うたかたとわ)

1 / 34
高校3年生の夏

 

 

俺の名前は叶 英人。高校3年生だ。高校生活のすべてを掛けた野球部の活動も地区予選敗退の結果に終わり、部活動を引退した俺は今、受験勉強のため予備校に向かっている。夏休みを利用して行う受験生向けの集中的な夏期講習というやつだ

 

 

「おーい!エイト~!一緒に予備校に行こうぜ~!」

 

 

うだる暑さの中予備校に向かう俺に声をかけてくるのは凛道 アイラ。家が隣で同い年という幼なじみで、彼女とは小中高とずっと通っている学校が一緒だという腐れ縁の関係というやつだ

 

 

「お前な~。少しは女の子らしくしろよ」

 

 

「へへっ!ま、いーじゃねーか!」

 

 

俺に大股で駆け寄ってきたアイラに向かって俺はいつもの注意をする。こいつは短い黒髪のショートカット姿に白いTシャツ黒い短パン姿とかなりラフな格好で予備校まで通う様子だ

 

 

おしゃれをしている同年代の女子と比べてアイラはがさつな部分も多く、その行為を見つける度に俺は彼女に対して女の子らしくしろと注意をしていた

 

 

ボーイッシュなタイプのアイラはいつも俺と一緒になって男グループと遊んでばかりいる。彼女は女の子友達よりも男友達と一緒に居たほうが気が楽なんだそうだ

 

 

でもガサツではあるがアイラは気が利かないわけじゃない。アイラと一緒にいるともちろん楽しいし、むしろ気が利くとてもいいやつだ。そして俺はそんなアイラに異性として惹かれ始めていた

 

 

最初はアイラのことを男みたいだと敬遠していたが、最近は彼女のことが気になって仕方がない。中学生の時に毎日一緒に学校まで登校していても、高校の時に野球部のマネージャーとしてアイラが俺と一緒に青春を謳歌していても、周りのみんなにいつも一緒にいる俺とアイラに向かってお前ら付き合ってんのかとからかわれていても彼女のことは気にもならなかったのだが、野球部を引退して打ち込むことがなくなってからはなのか、何となくいつも一緒にいるアイラのいいところが目につくようになった

 

 

実は今、俺はアイラにいつ告白しようかタイミングを図っている段階だ。ボーイッシュでガサツなアイラには恋のライバルが居ないと思っている。いつも一緒にいるから周りの人間には俺たちが付き合っていると勘違いもされているし、このまま本当に付き合っている関係に持ち込んでしまおうと俺は決めたのだ

 

 

「それでは皆さん。授業を始めます」

 

 

俺がそんなことを考えていると、予備校の授業が始まる。今日の講義の担当は二十代前半のイケメン講師だ。彼はスラリとした長身に甘いマスク、そして面白い話術と予備校に通っている女子たちにものすごい人気を得ている講師だ。周りを見渡すと、講義をしているイケメン講師に熱い視線を送りながら授業を受けている女子生徒がちらほら見受けられる程である

 

 

(まあ、アイラには関係ないけどな)

 

 

ちらりと横目で俺の隣で同じ授業を受けているアイラの様子を確認すると、彼女はキャーキャー言っている他の女子とは違い、そんな色恋に何も興味がないといった様子で真剣に講義を受けていた

 

 

ボーイッシュでガサツで色恋に興味がなさそう。その様子からアイラに対する俺の恋のライバルがいないことが分かるのには安心するが、逆に俺の恋心が実るのかどうかが不安になってくる。そしてそんな不安に焦った俺は予備校からの帰り道、勢いのままアイラを来週開かれる地元の花火大会に誘ってしまった

 

 

花火大会にカップルで行くと両思いになれる。そんなジンクスが今年、俺たち高校生の間で流行っていた。そんな噂が流れる中でアイラを花火大会に誘うのは、これはもう彼女に告白をするようなものなのだ

 

 

「花火大会?いいぜ!行こう!」

 

 

(……やった!)

 

 

俺のそんなドキドキなど知らぬ様子で満面の笑みを浮かべたアイラが俺の誘いをOKしてくれる。俺は心の中で叫びながらガッツポーズをしたくなるのを抑えると、平静を装いながらも彼女と待ち合わせの時間を決めることにする

 

 

それからの一週間は心がふわふわしていて気が気ではなかった。どうやってアイラに告白をするのかをシミュレーションすると緊張で怖くなるし、いつものようにアイラと会話をしていても花火大会のことを思うとドキドキして自分をうまくコントロールできなくなる

 

 

とにかく俺はアイラと花火大会に行くのが楽しみで仕方がなかった。俺と同じ気持ちなのか、アイラも俺と会うごとに「花火大会楽しみだな!」と声をかけてくる。これはイケる。俺はそう確信した

 

 

これはもうアイラと俺は両思いなのではないか。アイラといつものように何気ない会話をする俺の心には、そんな期待があふれ続けてきていた

 

 

「明日、約束の時間に遅れんなよ!」

 

 

「お前こそな!」

 

 

予備校の授業を終え、いつものように俺はアイラと一緒に家まで帰ると、家の前で彼女と別れる。ようやく、花火大会の前日にまで来たのだ

 

 

今まで以上に心臓がバクバクしてたまらない。こんなに緊張をしたのは野球部での引退試合以上だぞ

 

 

「明日はアイラと花火大会に行って、告白を成功させる!」

 

 

俺は部屋で一人そんなことをつぶやきながら、緊張で眠れぬ夜を過ごすこととなる

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。