いつまでも変わらないと思っていたガサツでボーイッシュな幼なじみがいつの間にか俺の知らないところで女にされていた件 作:第三世界(うたかたとわ)
「うーん……」
週明けの学校で男友達三人に彼女ができたことを報告されてから二週間が経ち、また週末の金曜日となった。俺は中々うまく行かないアイラと恋人同士になる計画に頭をひねることになる。最近は残念なことに、アイラとのすれ違いが増えてきていたのだ
まず最初に、俺と一緒に予備校の夏期講習に通っていたアイラだが、夏期講習の期間が終わると今度は来たる大学受験のため九月の初めから自宅で家庭教師を受けることになった。これにより俺はアイラと一緒に下校をすることができるが、アイラのことを放課後の遊びに誘いづらくなってしまう
そしてタイミングが悪いことに、明日の土日にもアイラが予定を入れてしまっているらしい。先週に引き続き今週もアイラには女子会があるようで、二週連続で俺は遊びの誘いを快活な彼女に断られてしまっていた
一応家庭教師は毎日ではないしアイラを遊びに誘える日もあるのだが、毎日のように一緒にいたアイラと自由に会えない日が思いがけず増えてしまったことに心がモヤモヤとする
「……勉強に集中してるのかな?」
ふと隣の家にあるアイラの部屋の窓を見ると、彼女の部屋はカーテンが完全に締め切られていた。アイラは今、家庭教師を受けて勉強をしている時間のはずだ。勉強に集中するために邪魔を排除しているのだろうか。俺は大学受験のために勉強を頑張っているアイラの様子に感心する
「二学期が始まって二週間だ。まだまだチャンスはある」
でも、新学期が始まってまだ二週間しか立っていない。九月もまだ半ばなのである。これからも休日はたくさんある。たまたまアイラに予定が重なってしまっただけだ。俺はそのことに思い至るとアイラを誘うためのデートスポットを検索することにした
「そういえば、アイラはどこの大学に行くんだろう」
アイラとは小中高とずっと一緒の学校と一緒のクラスだったけど、大学になると話が変わってくる。やりたいことが違ってくるし、県外に出て一人暮らしをすることもあるのだ
そう考えると、俺に残された時間は少ないのかもしれない。アイラと離れ離れになるなんて考えたこともなかった。大学への進学を考えると、むしろ離れ離れになる確率のほうが高いのに
俺は当たり前だと思っていた日常が少しずつ着実に、抗うことができない力によって変わっていることを実感し怖くなる
あのふわふわで天然なアヤメちゃんが実は裏ではイケメン講師と中出しセックスを楽しんでいたみたいに、男友達三人に俺の知らない間に彼女ができていたときのように、みんな俺の知らないところで大人になっていく
そのことを思うと、もしかしたら俺の知らない間にアイラも大人になっているのかもしれないという不安に襲われてしまったのだ
「エイト~!ゲームしようぜ~!」
しかしそんな俺の恐怖をかき消すように突然、家庭教師が終わったアイラが俺の家に遊びに来る。アイラの行動は昔からいつまでも変わらない。ガサツで快活な俺の幼なじみだ
依然としてまったく男の影が見えない彼女の様子に安心した俺は何だかそんなことを思った。アイラはアイラだ。彼女は何も変わらないし、きっとこれからも変わらない
そして俺はアイラと二人きりで遊ぶ時間を存分に楽しむこととなる、こんなに充実した時間は久しぶりだった。俺にとって、アイラと会う時間はとても大切だったようだ。失いかけて初めて気付かされる
「じゃあ、またな~!」
しかし楽しい時間が永遠に続くわけじゃない。俺はもっとアイラと遊んでいたかったのだが、どうやら時間切れのようだ
俺は深夜近くになり女子会の時間だというアイラを受け入れると、信じて彼女を送り出す