いつまでも変わらないと思っていたガサツでボーイッシュな幼なじみがいつの間にか俺の知らないところで女にされていた件 作:第三世界(うたかたとわ)
アイラ視点
「アイラ。この後、どうする?」
「にしし~!エイトには悪いけど、ちょっと一人でたそがれる時間をくれ!」
私は卒業式の日、エイトに一言声をかけてから、一人学校内をうろついている。この学校では色々なことがあった。嬉しいこともつらいこともあった。そのことを思うと感慨深い。
高校を卒業後、私はエイトと同じ大学に進学する。つまりこの地元を離れて、私とエイトはそれぞれ都内で一人暮らしだ。これから、新しい生活が始まる。それは私が変わるチャンスでもあった。
男たち三人組とも、下川とも、高校の卒業を機に物理的に距離が取れることになった。つまりもう、彼らは私の体に、手出しをすることは出来ないということだ。しばらくすれば、私への興味も薄れていくだろう。
「凛道。ちょっとこっちに来なさい」
私が一人学校の廊下を歩いていると、下川が、私を手放すまいと声をかけてくる。でも、私はその誘いに乗らなかった。もう、私は卒業生だ。彼の退学させるという脅しなど、効かないのだ。
「先生のモノ、味わえなくなってもいいのか~?エイトのじゃあ、物足りないんだろう?」
「にしし~。先生、ごめんな。私、そういうのもう、卒業したから!」
私が快活に笑ってあしらうと、下川はキョトンとした顔でその場に固まってしまった。彼が予想していた私の反応と違ったのだろう。私はその隙に、さっさとその場を退散することにする。これで下川ともお別れだ。
「アイラ~。卒業だから最後に、一発ヤラせてくれよ~」
「うっせ!さっさと彼女でも作れ!」
男ども三人組も、さっさとあしらうことにする。卒業をすることで彼らも私と物理的に距離ができて諦めの気持ちがあるのか、しつこく絡んでくることもなく、三人組はそのまま去っていった。
(……エイト……全部……終わった!)
こうして私の心に、全部の踏ん切りがついた。全ての悪い関係は清算され、これからはもう、私はエイトとの関係一筋で生きていける。清々しい気分だった。
大学生になってから、私はエイト一筋だった。悪い先輩に飲み会でお持ち帰りされそうになっても、セフレにされそうになっても、全部、しっかりと断った。下川や男友達三人組に脅された経験が、ここで活きた。
男三人組や下川とは結局、高校を卒業してからはまったく連絡をとっていないし、会ってもいない。やはり、物理的に距離ができたという効果は大きいようだった。
社会人になっても、それは同じだった。会社の先輩に食べられそうになっても、最低な上司に肉体関係を迫られても、全て回避した。
私は高校を卒業してから、エイトとしか肉体関係を持っていない。エイトもずっと、私に一途でいてくれる。それが私の誇りだった。
そして私達は結婚して、夫婦になった。子供も一人授かり、あっという間に、小学生だ。
「いってらーっしゃーい!」
専業主婦になった私は今日も、エイトと愛しい子供が朝家を出るのを見送る。
子供が生まれてからはエイトとはまったく肉体関係を持たなくなったが、そんなこと関係ない。私達の絆は本物だった。
卒業式のあの日、私が誘惑に負けていたら、きっとズルズルとあの時の関係が続き、エイトと今の関係は築けなかっただろう。そう思う。
「エイト~♡」
「まったく、アイラはいつまでも変わらないな!」
こうして、私の幸せな日常が過ぎていくのであった。
……
……
……