いつまでも変わらないと思っていたガサツでボーイッシュな幼なじみがいつの間にか俺の知らないところで女にされていた件 作:第三世界(うたかたとわ)
「ようエイト~!アイラ~!」
始業式の次の日になって俺がアイラと一緒に朝の学校に登校すると、俺といつもつるんでいる男友達三人が俺とアイラに話しかけてくる。しかし、今日は何だか三人の様子が変だった。表面上はいつもと同じように見えるのだが、三人が身にまとっている空気というか雰囲気が俺を男として下に見ているように感じるのだ
でも変なのは空気だけで、俺たちの会話の内容はいつもと同じだ。三人が俺を馬鹿にするということもない。俺はこの場に生まれている変な空気に違和感を感じつつも、いつも通りのふざけた会話を続けていく
俺は変な空気の中で男友達と会話をしながらいつもと違う雰囲気に対抗心を燃やしつつ、こいつらは何も分かっちゃいない。俺はあのアヤメちゃんがセックスをしている姿を見たことがあるのだと、そんなことを考えていた。そんなこんなで二学期の授業が始まると、俺にいつもの日常が戻ってくることになる
「アイラ。一緒に帰ろうぜ~」
「おう!」
一日の授業が終わり俺はいつも通りにアイラと一緒に家へと帰ることにする。今日の寄り道はなしだ。夏休みの前までは授業が終わると部活動に直行していた頃がもう懐かしい。俺は野球部の後輩たちがまだ暑さの残るグラウンドで練習に励んでいる姿を遠くに見ながら学校を後にしていく
「エイト~!何で昨日はカラオケに来なかったんだよ!」
「勉強だって言ったろ!」
アイラと何でもないことを話しながら夕暮れの道を家に帰る。アイラの様子はいつもと変わらない。昨日、カラオケで三人と特に何かがあったというわけではないようだ
「昨日、エイトと二人で花火大会に行ったことを三人に話したらからかわれちゃってさ~」
「あー!お前、三人にそれを話したのか!」
アイラが笑いながら俺にしてきた報告で、今日の三人の空気が変だったことの理由が分かった。俺はいつもふざけながら、三人に対してアイラのことを女として見ていないと話していたからだ。そんな俺が三人に隠れてアイラのことを誘い二人で花火大会に行っていたのだ。そりゃあ、アイラに秘密を聞いたことを内緒にしたまま俺の様子を観察してニマニマとしたくもなるか
三人はそのことに触れずに話題にしなかったからこそ、教室での空気に違和感があったことに気づいた俺の頭から不安とモヤモヤが消えていく。俺は自分に感じていた変な劣等感が自分の勘違いであったことに気づくと安心することが出来た
「なあアイラ、今からカラオケに行かないか?」
「いいぜー!」
しかし、なぜか心の内に三人の男友達への対抗心が消えなかった俺はアイラをカラオケに誘うことにする。そしてその日、俺はアイラと二人きりでカラオケを楽しんだ。幸いなことに次の日は休日だ。少しくらいハメを外しても問題ないだろう
二人でふざけながら一緒に歌うのは最高だった。二時間だけという短い時間だったが、これで昨日の男友達三人に意趣返しが出来たってわけだ。しかも俺の方はアイラとカラオケルームに二人っきりである。俺は三人の男友達より一歩先んじたことで安心感と優越感を感じることができた
「アイラ~。明日も何かして遊ばいないか?」
「すまん。エイト!……明日は女友達との先約があるんだ!」
カラオケからの帰り道にアイラに向かって明日も何かして遊ぼうと提案すると、申し訳なさそうな顔で彼女にそれを断られてしまう。どうやら先約があったみたいだ。女友達との約束があるなら仕方がない。アイラにも人付き合いはあって、彼女だって常に男友達とばかり遊んではいられないだろうからな
「まじか~。残念だわ」
「にしし!また今度誘ってくれ!」
そんな会話をしていると、俺たちは家の前へとたどり着くことになる。俺は元気に笑うアイラに別れを告げて、自分の家に入った。アイラと遊んでいて楽しかった。また二人きりでどこかに遊びに行きたい。今日二人でしたカラオケで、俺の心の中ではさらにその気持ちが強くなった。俺はアイラが好きだ。それを強く確認させられた
少しづつ進んでいるかのように見える二人の関係に充実感を感じつつも、俺は自室に戻ると部屋着に着替えて、今日はのんびりすることにする