剛は幼馴染の葵を土曜日に呼び出して、隅田川の花火を観に行くことにした。
「今日この女で童貞を捨ててやる」
剛は昨晩眠れなかった。
挿入してすぐにイカないように、オナニーで5回射精した。昨晩から胸の動悸がおさまらなかった。
待ち合わせをした時、葵は浴衣にVUITTONの鞄で来た。いつになく張り切っているところがバレバレで、剛は一瞬センチメンタルな気持ちになった。また、剛は葵の服のセンスのなさ、ヤンキー感にいじらしさを感じた。
だが、洋介を植物人間にするアップセットを実現し、街のヤクザや不良と喧嘩を重ねる剛は。
セックスにおいては、か弱い童貞だった。
「腕を組んじゃおー」
葵は生き急いだギャルらしく、夢みるような顔で腕を組んだ。
葵はもう10人とセックスしていたが、剛との時間では完全に舞い上がった感覚を感じていた。葵は昔から剛に憧れ続けて来たし、オナニーする時に妄想していたは剛だった。他の男とセックスしている時も、途中からはいつも剛を想像していたのだ。
剛と葵は蒸し暑い中で二人で藤川市から東京まで出て、花火を観た。今までに感じたことのない人混み。二人で冒険しているような感覚だった。
花火が終わり、藤川市に戻り、地元の神社で話していた。剛はいつ肩に手を回すか、悩んでいた。葵が他の男達とセックスしていることはわかっている。童貞だとはバレたくない。
だが、葵はとっくに剛が童貞だということはわかっていた。デートに誘って来た時から、今日の剛の目的も察していた。
(剛君は私で童貞を捨てようとしているな)
会った時から、剛がやたらと虚勢を張っていること。
短パンの下ではち切れる程に勃起していること。行きの電車で座っている時には、うっすらと短パンにシミが出来ていたこと。それが、剛の我慢汁で、パンツを通り越して短パンにまでついていることまでわかっていた。
(こういう時に、薄い色の短パン履いて来たら、バレる位わからないのかな?)
(やっぱり剛君は真面目なんだな。頭が良くても、全くこういうことには頭が回らないんだな)
ただ、憧れている剛が自分に興奮していること、今鼻息を荒くして困っている姿がたまらなくかわいらしく感じた。
(早く来ないかなー。身体中可愛がって、トロトロにしてやりたい)
剛は意を決した。
(絶対に童貞だと悟られないように。こいつのヤンキーの男達より荒々しく抱くんだ!)
剛は不必要に乱暴に葵を押し倒して、キスをしようとした。葵はさっと身体を離した。剛は、葵は自分を好きだと思っていたから意外だった。
「葵、嫌なのか?」
葵は何も言わずに、微笑みながら剛を見上げた。
微笑みの中に悪戯っぽい悪魔を感じて、剛はゾッとした。ただただ長く冷たく見つめられた。剛には、耐えられなく長い時間に感じられた。
葵はふっと剛の唇に、白い手の指を触れて、唇にそってなぞった。
「ああっ、ああああ…」
剛は小さく声を出してしまった。
今まで全てに剛に従順だった葵の眼は見たことがない程に挑戦的、いや攻撃的だった。
葵のなすがままだった。時折、胸を触る。尻を掴む。だが、先をとられるように、葵に手を取られ、元の場所に戻された。
(剛君は、思ったよりも全然ウブなんだな)
(私達みたいに今すぐ子供を産もうとしてない。高校や大学に行ってから、徐々にセックスを覚えていくんだろうなあ。まだまだ、本気でセックスするのが怖いんだろうなあ)
(やっぱり、これは労働者階級と知識階級の違いってやつなのかなあ)
葵は普段考えない、どこで聞いたかも忘れたような事を思い出すほど、余裕があった。
剛にとっては、葵は全く別人のように大人の女性に感じた。
葵は圧倒的な余裕や経験値の差を利用し、憧れていた男の童貞を貪ることに興奮していた。