※この作品はR-18です。

黒蛇男   作:zubro909

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6. 大蔵の殺意(2)

(昔から俺がずっと崇拝していた玲香の処女を、剛が奪っただなんて…)

 

大蔵は頭が真っ白になった。

 

玲香は処女でも何でもなかった。

 

剛とセックスする遥かに前から、多様な男性とセックスに興じていた。大蔵はそんな事も想定出来ない位に、女性に対して初心で、コンプレックスを抱えていた。

 

「玲香の処女を貰い、母親の真央を喜ばせる」目標があったから、真央に軽蔑されながらも、大蔵は必死でトレーニングしたし、苦手な勉強も一生懸命取り組んで来たのだ。だが、現実は、玲香は剛にあっさりと奪われた。しかも、剛は玲香を無視している。・・・しばらく大蔵は放心状態になり、自分から何も言わずに玲香から離れて行った。

 

(絶対に玲香は、手が届かない存在だと思っていたのに。こんな近くで、剛があの玲香を・・・)

(しかもあの様子だと、玲香は心から剛を愛している様子だ。それでいて剛は玲香を無視し続けて、あんなに傷つけているなんて・・・)

(はじめはそこまで剛を好きではなかった玲香がこれだけ剛に狂っているという事は、玲香は剛のセックスで完全にイカされまくって、虜になってしまったんじゃないだろうか。奴隷の様に滅茶苦茶に凌辱されたんじゃないだろうか・・・)

 

大蔵は剛を認めていた。

 

剛はパワーこそ大蔵には遥かに劣るものの、トップアスリートとよべる肉体と格闘技術を有していた。更に、大蔵は本能的に、剛は殺人をする事に向く残虐性を秘めている事、目上の人間と闘える度胸がある事、を見抜いていた。小6の時に、地元で恐れられていたヤクザの洋介が何者かに植物人間にされた時も、大蔵だけは「剛の仕業だな」と見抜いていた。更に、真央が重視している知能の面でも、剛は大蔵よりも遥かに優れており、玲香も認める程のレベルだった。この点も、大蔵は強いコンプレックスを感じていた。

 

大蔵は父親Karimの血を引き、闇の世界で生きる運命を背負わされていた。そのプレッシャーを常に抱え、毎日生きて来た。大蔵はそうした日々の中で、幼い頃から、剛は「自分と同じ世界の住民じゃないのか」と唯一、本能的に感じる人間だった。そして、昔学校の写真を真央に見せた時、「この子は誰?どんな子なの?」と唯一聞いたのは剛だった。

 

「どうして?」

「いや、この子は普通の人間じゃないわね」

 

真央の返答は謎めいていたが、大蔵は自分が本能的に感じるものを、真央も感じているのだと察した。大蔵は本能的に剛をライバルだと感じていた。そして案の定、自分が神の様に崇めて来た玲香の身体も奪われた。

 

Karimと真央という極端な両親に育てられ、歪みに歪んだ精神を持っている大蔵は決めた。

 

(俺は剛を虐殺して殺してやる)

 

大蔵はごく自然に、そのように思った。

自分が探していたものを見つけたような。自分をずっと縛り付けていた不明な物の存在をしっかり把握したような。爽やかな思いだった。いつも欝々としていた大蔵の顔は、とても晴れやかな笑顔になった。

 

(そうだったんだよ。俺は剛を虐殺すればよかったんだ。これで俺は解放されるんだ)

 

大蔵が剛を虐殺しようとした決意の背景には、Karim・真央の殺人者としての人生と、真央から大蔵への凄惨な虐待があった。

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