小6の時の河合塾模試で、大蔵は真央に辛辣に罵られ、息が出来なくなり、過呼吸で運ばれた。
母は病院にも一切来なかった。半年間、無視し続けられ、大蔵は何度も自殺未遂を図っていた。
真央は、自分に裏社会の殺人者としてだけではなく、表社会で成功する論理的な思考力や品も求めていた。だが、必死に努力をしても、表社会で必要な論理的な思考力で突出した結果を出すきっかけが全く掴めなかった。
大蔵は昔から剛には一目置いていたし、憧れや嫉妬があった。剛には大蔵にはない品、論理的な思考力、芸術的なセンスがあった。
その一方で、自分と同じような残虐性があると、大蔵は剛に直観を働かせていた。
地元で恐れられていたヤクザの洋介を植物人間にした犯人は、明確になっていなかったが、大蔵は「絶対に剛だ」という確信があった。自分自身は殺人者集団に生まれ、その運命を必死に生きようとしていた。一方で、剛は凡庸な家庭に生まれながら、ただ一人の個性で多様な選択肢の中から、闇社会を選んでいるようだった。その事に関しても、「あんなにヌクヌクと育った奴に負けるわけにはいかない」という対抗意識があったし、剛の闇社会へのナチュラルな適性に脅威も覚えていた。
真央が剛を買っている理由は、殺人者としての残虐性を見抜いているからなのも、わかっていた。また、真央は大蔵が話した、玲香が剛とセックスした事実についても珍しく強い関心を持っていた。大蔵は、真央は初めから剛のセックスの強さも見抜いている様に思えていた。彼は、真央がKarim以外にも多様な男性と恐ろしい数のセックスを楽しんでいることを知っていたからだ。
だからこそ、大蔵は剛が憎かった。
(必ず剛を虐殺して、真央を見返してやる)
大蔵は剛を生贄に定めた。
「あいつを完全に征服してやる」
大蔵はずっと剛を拷問する方法を考え、オナニーしていた。
iibadatanの拷問の現場には可能な限り参加し、自分自身で多様な拷問を与えた。世界中の拷問の歴史を調べ、拷問の器具を取り寄せては、iibadatanの標的の人間達に試し、殺しながら技術を習得していた。
大蔵がいつも描いているイメージは剛を拷問し抜いて殺して、真央にこう言うのだった。
「お母さん。ほら、俺はこいつよりも遥かに賢いんだ」
ある時から大蔵は人間を拷問していると、反射的にこのイメージが鮮明に浮かび、極度にリラックスして興奮するようになった。途中から自分を抑えられなくなり、拷問中に人前である事を全く忘れ、陶酔してオナニーしてしまうようになった。拷問と殺人が終わった後に、その人間の顔面に彼は射精をするのだった。
iibadatanのメンバーは、Karimの息子の大蔵が異常に拷問にのめり込み、狂っていく姿に恐怖を感じていた。
だが、大蔵にとっては、拷問と殺人とオナニーが、真央の無視と虐待から自分の精神を護る、唯一の手段だった。