大蔵をはじめ、iibadatanに完全に自由を奪われ、死を覚悟した京極は自分の殺人受託業務の詳細に関して話し始めた。
だが、核心となる内通者、後ろ盾の組織について話さない。話したら、他の人間に同じことをされることを理解しているからだ。
大蔵は残忍さの程度と、犠牲者の広さで、京極を完全にコントロールしようとした。iibadatanの拠点に集められた京極の家族と、主要構成員の家族は素手で殴り蹴り、半殺しにした上で、男も女もレイプした。頭から足元まで黒づくめの男達がペニスだけをさらけ出してレイプする姿は、異様であり、滑稽であった。
「グブあああー!」
男達が血を流しながらアナルを犯される姿や声は、男色趣味がない人間には地獄絵図そのものだった。
素人達は嗚咽し、失禁脱糞し、廃人のような状態になった。初めこそ絶叫は聞かれたが、彼ら彼女らに恐怖に絶叫するようなエネルギーはほとんどなかった。この後は静寂に包まれ、乾いた音のみが響き渡る世界だった。
京極は自らを理解している。家族と主要構成員が蹂躙されることには眉一つ動かさなかった。この人間達にそのリスクがあることは充分に想定していたからだ。
むしろ、巻き込まれてしまった素人が恐怖を覚えることに動揺していた。大蔵は、京極が愛着を持つ人物で、誠実に堅気の仕事をしている人間達を選んだ。飲食店も高級店ではなく、地元に馴染んだ、優しい家族だった。
目前で京極の関係者が拷問を受け、極度の恐怖で全ての感情を失っていた地元の飲食店の家族。しばらくほとんど会っておらず、ほのぼのと生活していた幼馴染の家族。彼ら彼女らは、京極の暴力業で蓄積した富の恩恵はほぼ受けていなかったし、裏社会とは全く違う世界を地道に生きて来た。それが、京極と少しの親しみがあったというだけで、地獄に連れて来られていた。
京極の反応は、大蔵の想定通りだった。だからこそ、素人の選定に特にこだわった。
「悪かった。この情報を話す」
京極は隠していた情報を話した。大蔵は長期戦になることを理解していた。
(京極はやはり、この場に居る人間全てが死ぬことを承知している)
今までの進行で、Karimの組織は厳重で、目撃者は全員殺すことを確信したようだ。
大蔵は京極の家族、主要構成員の家族をだるまにするよう、医師チームに指示した。
だるまとは、両腕両脚を切り落とした状態である。
中国の武則天が旧政敵に行った拷問で、闇社会で未だに行われている。這いつくばって動くことは出来ぬよう切断された。痛みでショック死することを避けるため、麻酔を服用させ、迅速に行われた。武則天は眼球を抉り出す、薬物による会話・聴覚能力の破壊まで行った。だが、大蔵はむしろ五感を残して地獄を味あわせるため、感覚器は残した。