洋介が祖父の家から出て来た。
洋介はしばらく和やかに歩いていると、周囲を確認し、覚醒剤を摂取した。酩酊しながら、墓場を歩き始めた。剛の計算通りだ。
「ドゥックンッ…ドゥックンッ…」
墓場の茂みで息を潜めていた剛は、今まで洋介と取り巻き達に自分が受けていた凄惨な暴行を思い返した。更に、稔が受けていた凄惨な暴行、自分達への凄惨な暴行に虚ろだが確実に熱狂する観衆の眼・・・が頭を駆け巡って来た。その際に、剛は確かに自分の脳の奥から液体が噴射され、黒蛇が脳の皺を舐め回して蠢き始めたのを感じた・・・
(・・・よし、いつものこの感覚だ・・・)
その刹那。
剛は洋介の背後から、後頭部の中央に向け、不気味に改造した金属バットをフルスイングで振り切った。
「ゴブウゥゥン…!」
剛は正確にポイントに当てた。洋介は頭から少し血を噴き、ダラダラと血を流し流しながら、フラついた。剛には、洋介の頭蓋骨の芯を打ち砕いた感覚があった。間髪を入れずに、剛は思い切り、洋介の急所を全力で蹴り上げた。
「オウェェッ!」
崩れ落ちそうになる洋介を、剛はダブルレッグのタックルで倒し、マウントポジションを獲った。
「ううう…剛か、なんでてめぇが!お前一人かこら・・・」
洋介は消え入りそうな声を捻り出した。剛は一言も発さなかった。肘を眼に向けて上から落とした。
「グアッ!」
洋介はポケットから素早くナイフを出し、剛の首を目がけて差し込んだ。剛はいつにない反射神経で首を横に反らした。だが、首の側面を切り裂かれ、血がビュッと出た。
(よしっ、ナイフは頸動脈からは外させたぞ)
だが、剛は怯まずに洋介の喉仏を思い切り拳でついた。洋介の動きが止まった。指を右眼の奥にグイッと入れて、右眼の眼球を抉り出した。
「ギャァァアアッ!」
半分眼球が飛び出たが、指が汗で滑って力が足りず、完全には出せなかった。だが、洋介の右眼は失明状態に陥った。
(クソがっ!)
洋介は眼を抑えて、酩酊状態になった。初めに頭蓋骨に叩き込まれた金属バットの衝撃で、脳が有効に機能しなかったのだ。また、剛の予想通り、洋介は生まれて初めて他人に完全な殺意で攻撃され、動転していていた。
剛は30kgのケトルベルを持って来た。剛は洋介の首と左肘に脚を置いて立ち、洋介の頭に向けてケトルベルを何度も落下させ、叩きつけた。
「ゴォッヅッ!」「ゴォヅッ!」
洋介の頭蓋骨の芯に、何度も重いケトルベルが落ちた。剛は洋介の頭蓋骨を確実に割るよう、再びマウントポジションをとり、執拗に洋介の頭蓋骨にケトルベルを叩きつけ続けた。
洋介は声も上げられずに失神した。
「ゴォッヅッ!、ゴォッヅッ!」
墓場には、洋介の頭蓋骨が鉄の塊で砕かれる音が響いている。剛は洋介が失神してからも、何度もケトルベルを落下させた。
剛は大きな失神洋介をかついでリヤカーに載せ、道場に運んだ。道場で血まみれな服を全て脱がし、洋介を裸にし、道場の入口に晒した。
その時に塾から帰っていた剛の友人の毅は、夜の道場の近くで剛を見かけた。
血塗れな剛を追うと、洋介を晒した上で、更に攻撃しようとしている剛を見つけた。毅の眼にも、洋介は意識は完全に飛んでおり、顔色には死臭が出始めていることはわかった。