美しい絨毯を進むと、寧々が座って、紅茶を飲んでいた。
真っ白な肌に、黒いシルクのドレス、黒い口紅をしている。スイス・韓国・日本の血が混ざった真っ白な肌に多くあるホクロは豹のようだった。上品で美しいが、猛禽類の野獣のような強欲さや威圧感を感じる、不思議なオーラだ。また、強く炎が爆発する様な狂気が感じられた。
寧々は落ち着いて冷たい眼をしているが、人間に対する限りなく貪欲な好奇心を感じた。人間に対する好奇心が強過ぎて、人間を遊んで破壊してしまう様な雰囲気があった。剛は一瞬「寧々とセックスしたい」という思いが失せるほど、自分よりも遥かに高みに居る存在に感じた。
寧々は145cm足らずの小柄で華奢な女性だ。
だが、剛は今まで出会った誰よりも、大きくて強い存在感を感じた。向かい合って立ち会った誰よりも、格闘技の師範代達よりも、強いオーラを感じた。剛は今まで女性を支配し尽くすセックスを楽しんで来た。始めて、自分を飲み込みそうに感じる女性に出会った。
(不気味で美しい人だな)
剛は座って、寧々に眼を合わせた。
率直に切り出した。
「寧々さん、まあまあ悪い男達を殺す必要があります。手伝ってください。寧々さんにとって利益がある話です」
剛は情けなく頼む気はなかった。このタイミングではメリットの具体的な中身について確信はなかったが、明確に言い切った。
寧々は驚かなかった。一切顔色を変えず、剛を見つめ続けた。
(やはり驚かない)
(俺の事を四六時中盗撮・盗聴しているのだから、当たり前か)
「大蔵一家の組織の情報がほしいです。日本を拠点とした、多国籍の殺人集団です。組織の後継者が…」
「その前に、あなた、私に言うことがあるでしょう」
寧々は蛇のような眼で射抜くように剛を見た。
真っ白で美しい顔で、眼の近くにホクロがある。美しい三白眼で、狡猾で残虐な視線を創り出している。高圧的で攻撃的な眼だった。
「うーん…。何だろう、色々ありますね (笑)」
(この男は、私に頼みに来ている局面で不敵な笑みを返すわね)
(こいつは、私を殺そうとしている。殺気を隠せていないから、剛君はやはり殺人の経験は足りないな)
寧々は剛の不敵な笑みを見て、自分の子宮の奥から背筋にかけて神経が走るのを感じた。
「情報を渡したら、私に何をしてくれるのかしら?」
「殺人集団を殲滅する手がかりを、他の殺人集団に売り、その金の一部を渡します」
寧々は冷静に剛に視線を送り続けている。微動だにしない。
(やはり一筋縄ではいかない。殺すしかないか)
「何割?」
「5割です」
寧々は何も変わらず、視線を離さない。
剛は自分の奥の奥のヒダまで見透かされている感覚がした。
「あなたはその組織をどうしたいの?」
「組織自体に関心はないです。全部殲滅、一部殲滅、または潜入、の3つから選択します」
(冷静さがいい)
寧々は剛の可能性を感じた。
「勝算はどこにあるの?」
「大蔵達の組織は猟奇的な殺人・支配欲に溺れている点、私の事を素人と油断している点、大蔵が母と私にコンプレックスがある点です」
寧々は呼吸の変化が全くない。全く顔色を変えず、論点を変えた。
「彩香と玲香のセックス、どちらがいいの?」
寧々は天井からマシンガンの自動スタンバイのボタンを押した。