※この作品はR-18です。

黒蛇男   作:zubro909

76 / 96
13. 寧々との交渉 (5)

剛は自分が怯えていた大蔵が真央の子供だと知り、「大蔵が持つ狂気の半分は真央の血を引いたものなのだ」と納得した。

 

大蔵が持つ残虐性は、一般の人間とは全く違うものだったからだ。父親が殺人者でも、母親が一般人である事は考えられなかった。また、剛は「真央が大蔵を見限っている理由は、おそらく自分が持っていない論理思考力を大蔵に期待したが、大蔵にそれ程才能がない事への失望だろう」事も理解した。剛は、死闘やセックスを繰り返す中で、人間が隠し持った心理を洞察する能力を高め続けて来ており、母子の関係を一瞬で理解した。

 

(寧々さんの情報組織と、真央の殺人組織を組み合わせることで、新しい組織を生み出せるかもしれない)

 

剛は自分の生き残りを超えた野心を持った。

 

「寧々さん。iibadatanの競合に情報を売るのはやめましょう」

「Karimと大蔵のみ殺し、iibadatanの内部に潜入します。この組織を買い取りましょう」

 

寧々は驚いた。

 

「殺人集団を買い取るというの?」

「そうです」

 

「寧々さんのネットワークで得た情報を元に、最も高い効率で殺人業務や政治業務が行えます」

 

(そこまでの拡がりを考えたことはなかった)

 

「暴力、裏切り、不安定の世界に生きている人間は、組織に忠誠心は持てない。ボス以外の個人の暴力と性の欲望を突いて、組織の機密を自発的に流させる仕組は優れている」

 

剛は(この仕組は、ボスが全てを獲る闇社会の弱さを突いている。他の人間は全て敗者であり、自分の欲望を満たすために寝返らせることが出来る)と考えた。

 

寧々は考えた。

 

(私は今までただただ人をコントロールするのが愉快だから、このシステムを築いて来た。共感できる人間など居ないから、ずっと一人でやって来た)

(事業の拡大には興味はない。だが、剛の言う通りに発展すれば、より世界が拡がるのかもしれない)

 

「あなたはこのシステムを通じて、何をしたいのかしら?」

「最終的には、一番強くて一番気に喰わない奴を、最も効率的に殺したいんですよ」

 

剛は子供のような顔をして笑った。

 

「寧々さんの仕組みを強化すれば、裏の裏で手を引いている人間を検知できる。その人間が一番弱い瞬間を見極め、殺し、殺しを隠すことが出来る」

「仕組みとして、どこを強化するつもりなのかしら?」

「政府官僚検察といった表の権力構造のCIOの取り込み、AI技術の進化、同志となる殺人組織の内製化ですね」

 

寧々は懸念を持った。前者2つはわかる。だが殺人組織の内製化は、今までの寧々の事業とはケイパビリティが全く異なる。

 

「殺人集団の組織化の意義は何なのかしら?」

「ユーザーからの信頼深化と、ネットワークの維持です」

「ユーザーは本ネットワークの存在が裏と表の社会に明らかにされることに、常に一抹の不安を持っている。"巨大化したユーザーの誰かが暴露するのではないか"と。そのため、暴露するユーザーは検知し、速やかに殺す仕組みが必要です。その安心感は、ユーザーの拡大や関係強化の基盤になります」

「それは確かにあ…」

 

寧々が美しい顎をうなづきかけた刹那、剛は獣のような速さでダッシュし、ダブルレッグのタックルで寧々を引っくり返した。

 

「ドンッ!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。