剛は急ぎ大蔵とKarim抹殺の準備を進めている。
大蔵達に気づかれない様、寧々の要塞の敷地内で、右眼に盗撮機を埋め込む手術を行った。
寧々を先日強姦しなかった理由は、大蔵とKarimを殺した後に、寧々と2人でセックスすることが強烈なインセンティヴになるからだ。
(今までの人生で、この女が突出してベストだ)
剛は面会を通して確信した。客観的に考えれば、99.9%、自分は大蔵に殺されるだろう。自然に考えれば、その日寧々を強姦するべきだった。寧々は剛とセックスしたがっていたから、寧々も夢中でセックスしただろう。
(俺は確実に生き残るんだ)
自分を発奮させるために、先日は寧々とセックスしなかった。この事で、剛は寧々を深く焦らすことに成功した。寧々の剛への思いはより一層強くなった。
剛が狙うのは、Karimと大蔵の殺人、真央と交渉し、寧々の組織と連携させる事だ。失敗した場合は、真央を含めて殺し、家族とともに海外へ一時退避する。
Karimと大蔵が最も油断した瞬間に、油断している方法で殺す。
最も油断した瞬間とは、剛が確実に屈服したと確信した瞬間だ。そこまでで一定の集中力を浪費させ、一定の征服感を与える必要がある。主体である大蔵だけでなく、Karimも自分達への拷問に参加させる必要がある。そうすれば、彼らの弱みである「猟奇的な殺人への陶酔」に陥らせる事が出来る。
剛はプランを決めた。油断させるプラン、油断した後の殺人手段を決めた。沙耶が貢いだ1億円の一部も活用した。大蔵に攫われるだろう母、弟、玲香、彩香、葵、沙耶と会い、話をし、指示と物資を与えた。当日までの準備を粛々と進めた。
大蔵に指定された8月31日の5日前。予想通り、剛の家族・仲間全員が攫われた。
当日。8月31日 19:00。
例年にないうだるような暑さで、秋の気配がまるで見えない日だった。
剛は丸腰でiibadatanの指定された敷地に入る。入口で黒い特殊な化学繊維に身を包んだ男達に目隠しされ、車に揺らされた。意識は朦朧としていた。
目隠しを取らされると、想定したシーンが広がっていた。
ビデオで観た、濃い灰色の大きな部屋。
黒い化学繊維で眼、手元、足先のみ曝け出された軍人達は総勢で20名。眼と姿以外は見えないが、剛は中央に大蔵、右奥にKarimと真央が居る事がわかった。部屋の端に全裸の母、弟、玲香、彩香、葵、沙耶、毅が居た。全員、やはり舌を切られ、自殺の手段は奪われていた。この中で一人だけ、毅は呼び出される認識が剛にはなく、剛は事前の説明をしていなかった。