はじめに剛が覚醒剤中毒になっている姿を見た時は、寧々は涙が流れた。
母、玲香、彩香、葵、沙耶も犯され、耐えている剛。
(もうこの場でMokunberaに踏み込ませ、iibadatan全員を殲滅してやる)
何度もその連絡を出そうとした。だが、制止したのは、寧々にむくむくと湧き上がる好奇心だった。
(剛君がこの後どうやってこいつらを殺すのか、見てみたい)
(この殺人集団を殺した剛君がどう変わるのか、感じたい)
剛の狡猾な動きに震えた。
剛がKarimと大蔵を殺した時は、自分の全てが心臓になった。ドクドクと高鳴る鼓動で破裂しそうだった。寧々は今まで、世界中の軍人の殺人を観ている。だが、剛の殺人ほど、合理的で冷徹な殺人は観たことがなかった。剛は実際には、長期間大蔵やKarimと戦闘は行っていないのだ。大蔵とKarimそれぞれの油断が最大化する瞬間を見極め、そこで冷徹に生物化学兵器を用いたのだった。この殺人は限りなく自然体で、美しかった。
(私も剛君に殺されたい)
寧々は剛を労うために、張り切って手料理を作った。
一時的に覚醒剤中毒になった剛を癒す料理や療法も学んだ。寧々は今まで、玲香にも誰にも料理を作ったことはなかった。全て家政婦に依頼していた。不慣れな手料理を、指を包丁で切り、火傷を残しながら、懸命につくった。更に飲み物やセッティングをし、着替えの服もバスローブも用意した。風呂も沸かしてハーブを焚き、一流のマッサージを施せる施術者を配置した。
寧々は生まれて初めて健気な乙女になった。
その中で、寧々は地獄を観た。
剛は目的に集中しており、Karimと大蔵を殺した後も、眼球側面の盗撮機の電源を落とさなかった。
剛はとぼけた所があった。殺人後すぐに連絡するはずだった剛は真央と交渉した後、寧々には全く連絡せず、真央との激しいセックスに狂っていた。
寧々はその一部始終を観察していた。
寧々と真央は同年代だった。
実際、寧々は世界的なフィギュアスケーターである真央の大ファンだった。真央が清楚でノーブルな外見とは裏腹に、人を殺す事を愛する残虐性や異常に性欲が強いだろうことも、寧々は見抜いていた。実際に、iibadatanの内通者達から提供される動画で、真央が一流の殺人者である事も把握していた。知人に剛を奪われたような感覚で、想定外の嫉妬が産まれた。
寧々には、真央が生まれて初めての絶頂を感じていることも、剛が途中から異常に真央に興奮していることも、手に取るようにわかった。
(このクソ餓鬼、やっぱり滅茶苦茶に殺してやる!)
寧々は素直にピンク色のネグリジェを来た自分を恥じた。感情を隠すため、真っ青なドレスに着替えた。