「ここは……?」
ハジメが目覚めた場所は、純白のシーツに豪奢な天蓋付きの高級感溢れるベッドの上だった。
吹き抜けのテラスのような場所で一段高い石畳の上のそれはある。周りは太い柱と薄いカーテンの囲まれ、建物が併設されたパルテノン神殿の中央にベッドがあるような構図だ。
未だ微睡む意識の中、ハジメは手探りしようとする。しかし右手がベッドとは違う柔らかな感触に包まれて動かせない。とりあえずその感触を頼りに手先だけ動かしてみると、なにやらスベスベする。それは、案外身近にある気がしてならない女性の肌の感触に酷似している。……というより確実にそれだ。
「……ぁう……」
「…………!?」
耳元で艶めかしい喘ぎ声が聞こえた。
その瞬間、微睡んでいたハジメの意識は一気に覚醒した。
上体を飛び起こすと同時にシーツを剥がすと、隣には、一糸纏わぬ姿の少女がハジメに寄り添っていた。
「……目が覚めましたか? おねぇさん」
少女は、ふわりと笑みをこぼしながらゆっくりと上体を起こす。
どうやら少女は眠っていなかったらしい。
「……迷宮で気絶していたんですよ? 覚えていますか?」
少女はハジメの顔色を確認する為か顔を近づける。
動揺しながらもハジメは自分の記憶を遡る。すると、警戒心を高め、“
「……貴女は誰?」
現れたのは会ったことも無い少女。しかも自分は人間などいるはずも無い大迷宮にいたはずなのだ。目の前にいる少女はハジメにしてみればあまりにも異様で不審だった。
「え〜、ひどいですねぇ。気絶してたおねぇさんをここに連れて治療や介抱したのはボクですよ?」
睨まれる少女は、ハジメから発せられる威圧感を露ほどにも気にせず、飄々としている。
しかし嘘ではないだろうと察し、ハジメは警戒を解きつつ、改めて少女を観察する。
肩ほどの長さの鮮やかな青みがかった黒髪。眠たげな目元から覗く真紅の瞳。小柄な身長ながらも発育豊かな乳房と靱やかな肢体。童顔ながらもどこか妖艶さを感じさせる雰囲気を纏った少女だ。
「むふふ、照れますねぇ。ボクの体に釘付けですか? いいですよ? もっと見てください。おっぱいとか」
どうも調子のいい性格らしい。
照れる素振りもなく、自信たっぷりにムニムニと胸を強調する少女。
すると、少女は思い出したように一拍。
「おっと、ボクの名前でしたか。ボクはノア。ノア・
「ハクセラ?」
ピクリと反応するハジメ。実に身に覚えのある名前だった。
「まさか、ロエス・ハクセラの……」
「はい。彼の娘ですね」
ロエス・ハクセラ。奈落五十階層にて“秘伝”をハジメに授け、淫紋を刻みつけた張本人。そして、ノアは、そのロエスの娘だと言う。
ハジメは胡乱な眼差しをノアに向ける。
「……そう、娘がいたとは驚き。娘なら、これについて知ってる?」
ハジメは自分の下腹部、淫紋を指差す。
ノアは特に気負うこともなく答えた。
「はい。というよりボクにもありますし」
ノアの手がほのかな光を放ち、下腹部に触れる。するとハジメのものと
一定の時間で発情を強制する力を持つ淫紋を実の娘に刻むとかどんだけ変態なんだという考えはこの際置いておく。
ハジメは今後の為にこの淫紋について調べたいと思っていた。まさかこんな早く手がかりに出会えるとは思わなかったが。
「わたしを助けたのはなぜ?」
「父の遺言です。淫紋を刻み、この迷宮を攻略した者に望みを託せって」
「……善意で助けたわけじゃないってこと?」
「半々ですね。おねぇさんに興味ありましたし」
嘘は言っていないように見える。鵜呑みにはできないが。
だが、父親の遺言に従ったというのなら、これからするハジメの質問にノアは答える義務がある。
「聞かせてほしい。
「はい」
そこから改めて自己紹介を挟み、淫紋やロエスについて説明を聞くことになった。
*
(あの時の狂気が感じられないですねぇ……)
ハジメと会話しながら彼女を観察していたノアは、そう判断した。
ヒュドラに犯され、快楽に堕ち、堕ちながらも己の意志は棄てないというある意味狂気的な結論に辿り着き、ヒュドラを倒した。
その映像越しからでも窺えた狂気が消えている。
話から、ヒュドラとの戦いの記憶がだいぶ抜け落ちており、犯されていたことについてはなにも覚えていないようだった。
(犯されていた時の記憶が消えているのは、心を護る為の防衛本能でしょうか?)
会話の中でハジメが元は男であったことも語られた。
ハジメの口調が中性的であった為に言われるまで気づかなかったが、それにしては女らしい仕草を当然のように行い、なにより女の身体でいるという事実に抵抗感が見られない。
(自分は男だと語りながら、一人称は“わたし”ですし、女の身体と仕草になんら疑問もない。女としての羞恥心がなく、男としての常識は欠落している。おまけにヒュドラに犯されていた記憶は消えている……と)
ノアにハジメに対してこう評価した。
(ヒュドラの常識改変の後遺症ですかね。あまりにも不安定な状態です)
「ふむ、少し引きずり出してみましょうか」
*
「さて、淫紋については一通り教えたことですし、どうですか? 親睦を深める為に今度は体で語り合いませんか?」
「嫌」
淫紋についての説明を終え、途端に話を切り出すノア。それに対して即行で拒否するハジメ。
「まぁ、そう言わずに」
手をわきわき動かしながらにこにこ顔で寄ってくる不審感たっぷりな少女をハジメは無視してベッドから降りようとする。
が、起き上がる際、腕に重心をおいた途端に崩れ落ちてしまった。
「……え?」
「まだ動けませんよ? ハジメさん、自分がどれだけ弱っていたのか知ってますか?」
再び仰向けで横になってしまったハジメの肩に腕を回し抱き抱えるノア。その声音はどこは艶めかしく、舌なめずりする音まで聞こえる。
猛烈に嫌な予感を感じるハジメだが、最早すべてが遅かった。
「ひゃん! ちょっ、どこ触って……。はぅっ!」
両の乳首にピリリとした刺激が走る。
ノアがハジメの乳首をクリクリと抓っているのだ。
「ふふっ♪ 可愛らしい声ですよハジメさん」
(さすが敏感ですね。ヒュドラの媚毒をあれだけ受けたわけですから。完治は無理でしょうね)
ハジメは救出された後、治癒効果のある風呂で湯治をしてだいぶ媚毒は抜けたが、完全には治らなかった。これからも彼女の細胞に溶け込んだ媚毒が彼女を蝕んでいくだろう。
「はむっ」
「ふあ……あ、ぁぁ」
「どうでふか? おっぱいやオマンコだけが、性感帯じゃないんですよ?」
「ふ…………ん……ひぁっ!」
首筋を、耳を甘噛みされ、悶えるハジメ。
ゾクゾクした感覚が頭の中を駆け巡り、息がだんだん色っぽくなっていく。
「ハァ……ハァ……♡」
「淫紋が光り始めましたね。となると……、ふふっ、ほらハジメさん。ハジメさんの女の子の穴からエッチなお汁が溢れちゃってますよ?」
「や、やあ……言わないでぇ……♡」
「ああ、ほんの少し撫でただけなのにもうそんなに眼を蕩けさせて……かわいいです♪」
僅か短時間でハジメはとろとろに発情し、ノアにされるがままとなってしまう。それは、ハジメが敏感な体になっただけでなく、ノアのテクニックも大いに貢献していた。
ノアはハジメの秘所に手を伸ばし、指を肉壺に入れる。
「ひんっ♡だめっ♡」
「大丈夫ですよぉ。怖くありません」
二本指で膣壁を掻き分け、指の付け根まで入ると、次は高速で小刻みに手を動かす。
「ふぁっ♡ああんっ♡はんっ♡んはぁっ♡ひんっ♡あっ♡そ、そんな乱暴にしちゃ……ひぁんっ♡」
指が抜ける度に、掘り起こされたように愛液がビシャビシャと噴き出る。
「むふふ、そんなエッチな声聞いちゃったら、こっちまでエッチな気分になっちゃいますよ……♡」
ハジメの淫気にあてられたのかノアの淫紋も輝きだす。
ノアはハジメの股を開き、交差するように自分の股を開け、互いの陰核同士を重ね合う。
「ひぁぁぁぁっ♡コリコリってぇ♡きてるぅぅぅた♡」
「あんっ♡ハジメさんのクリトリス、カッチカチに勃起してます♡クリを、オマンコを擦り合わせて、一緒にイキましょう♡」
ーーーぐちっ、ぐちゅ、こりっ、くりっ、くちゃっ、じゅっ、こりっ。
「ああぁぁぁぁぁぁっ♡なんかクる♡キちゃう♡イッちゃう♡」
「んんっ♡イッちゃうんですか? いいですよ♡一緒に…………♡」
ーーープシッ! プシューッ! プシャプシャッ!
「んあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ♡♡イックぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ♡♡♡」
「ふぁっ♡ああっ♡♡」
雌同士のじゃれ合いは、仲よく同時イキという形で終わりを迎えた。
(ふむ、この程度じゃ引きずり出せませんか……)
ほとんど趣味全開だったが、あわよくばと思い試してみたものの、ノアが期待した結果は得られなかった。
それから一ヶ月たった。
ハジメは、体力が回復した後、攻略の証と神代魔法の一つ生成魔法を手に入れた。その際オスカーの投影から語られたことを糧に神代魔法こそ、故郷へ還る為の鍵になると確信し、準備を始めた。
あらゆるアーティファクトを創り出し、蔵にある既存のアーティファクトを頂戴する。
それから戦闘技術の向上と淫紋が新たに与えた技能の理解、それから未食の魔物を喰らい、ステータスを底上げしていった。
「世話になった」
身支度を整えたハジメの後ろでノアが少し残念そうにしている。
「残念ですねぇ。もう少し遊びたかったんですけど……」
「わたしは散々な目にあったけど」
この一ヶ月、淫紋の制御の仕方をレクチャーされる度に重度なセクハラをされたらしく、ハジメはノアのことを生理的に警戒してしまうようになっていた。
「それにしてもよく似合ってますよ?」
「……そう?」
話を変え、ノアはハジメの着ている服を見やる。
白いシャツに黒のロングコート。そして黒のショートパンツに黒ニーソとブーツ。露出度は低いものの、その中で垣間見える胸の谷間と臍と太ももが何ともセクシーである。全部ノアの貰い物だった。
ハジメはハジメでノアを見やる。
「ノア。貴女のその荷物は?」
「ん、これですか? ボクもそろそろまた旅に出かけようと思ってたところなんですよ」
世界中を旅しているというノア。実はオスカーの隠れ家にいる方がレアらしい。
「丁度いいからキミと同じ時期に出発しようと思ってまして」
「……そう」
「ん、なんですか? もしかして、一緒についてきて欲しいんですか?」
ノアは茶化すように詰め寄ってくる。
正直な話、この一ヶ月ノアにはかなり世話になっていた。身の回りの世話はもちろん、淫紋の代償が大きくなり、苦心していたところ色々とアドバイスしてくれた。
飄々としてちょっと気まぐれなところがあるが、ノアはハジメにとってこの
ついてきて欲しいという気持ちは確かにあった。
だがしかし、だからこそ、一緒にいない方がいいという気持ちもあった。
ハジメは元の世界に還る為にこれから多くの敵と戦うことになるだろう。自分の存在が異質であると自覚しているから、遠からず教会にも目をつけられると察している。もしかすると神と名乗る敵と戦うかもしれない。彼女を危険に晒すことになる。
心がせめぎ合う。
そしてハジメは決断した。
「わたしはーーー」
こうして、二人はオルクス大迷宮から去った。
彼女達がこの先どうなるかは、まだ誰もわからない。
ただ一つ言えるのは、南雲ハジメの旅は、すでに淫らに染まりつつあるということだけだ。
今回で第1章完結です。
ここで重大(?)発表
IFルートEND及び、閑話(ハジメ以外のキャラクター)やります。
それから、感想を書いてくれる読者が多くなってきたので、これからはできる限り返事をしようと思います。
最後にアンケートです。
ノアを連れていく?
-
連れていく
-
連れていかない