※この作品はR-18です。

南雲ハジメ(♀)のありふれたTS性活   作:我楽多零號

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第2話:五十階層の『異端者』

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁ〜……」

 

 薄暗い洞窟の中で、なんとも鬱屈そうな長いため息が響き渡る。

 ハジメである。

 ただし、背は縮み、髪は伸び、胸は膨らみ、息子が喪失したハジメ(♀)である。

 あぐらをかき、片手で顔を覆い自嘲に浸る少女からどことなく哀愁が漂う。

 初めて魔物を喰らった時や、固有魔法の練習の時など、ハジメは今までも何度か失敗をしてきたが、今回のそれは、さすがに応えたらしい。

 しばらくして、ハジメは再度水鏡(みずかがみ)に顔を近づける。

 

 絵に書いたような小顔。透き通るような白い肌。厚さはほとんど変わらずとも、男にはない瑞々しさを含んだ唇。少しばかり大きくなりながらも擦り切れるような鋭さが健在する眼。

 どう見ても女の顔。けれど、その鋭い瞳の奥に不退転の炎(意志)が見える。

 

「……まぁ、こうなっちまった以上仕方ねぇか…」

 

 そういってハジメは割り切ることにした。

 実は身体を調べた後すぐにステータスプレートを確認したハジメ。しかし、ステータスの数値はなんら変化はなかった。いや、むしろ少し上がっていた。

 ハジメが女になってまず第一に気になったのが、身体能力の低下だった。女性にしてみれば、少し物申したい考え方ではあるのかもしれないが、こうも小柄で、かつ華奢な姿になれば、気にせずにはいられない。しかし、そんな気がかりも杞憂に終わった。ステータス的に大した問題にはなっていない為、女体化の件はとりあえず放置した。

 今はとにかく先に進む。それがハジメの目的なのだから。

 

 

 

 *

 

 

 

 帰郷の念に駆られているからか、女の体が気になって観察したり、まして変な気を起こすこともなく、ハジメは奈落五十階層に辿り着く。

 そして、

 

「……なんだ…コレは…」

 

 その五十階層には明らかに異質な空間があった。

 脇道の突き当たりにある開けた場所に装飾された荘厳な両開きの扉がある。明らかに人工の扉だ。ようやく現れた『変化』。ハジメは何かあると考え、期待と警戒を胸にその扉に手を添えた。

 

 すると扉の両脇にある二体の大きな石像が動き出した。サイクロプスというのか、石はやがて肉体になり、その大きな一つ目をギョロつかせる。しかしそんな長い登場に付き合ってやるほどハジメは甘くない。

 

「悪いが、付き合ってる余裕はねぇんだ」

 

 変身の隙をつき、さっさと一体目を屠る。そして動き出した二体目もハジメの猛攻に耐えきれず、風穴を空けられ撃沈する。

 

 扉をこじ開け、中を覗き込む。そこにあるのは、囚われの黄金の吸血姫……ではなく、半透明な黄金の輝きを放つケースに封印された一冊の厚い書物だった。

 

「……コイツは…」

 

 一瞬、ダンジョンをクリアすると強力なマジックアイテムが手に入るというファンタジー系ゲームを彷彿とさせた。とはいえ、これは現実。このような都合のいい展開がただで起きるわけがないと万が一に備え、ドンナーを片手にケースが置かれる石段に近づくハジメ。

 そこへ、ハジメの眼にとある物が飛び込んできた。それは、ケースの手前、石段に刻まれた文字だった。

 

「……トータスの言語じゃねぇ…。地球の…英語だ」

 

 少し驚くハジメ。

 それは正(まさ)しくハジメ達以外の、地球に住んでいた誰かが、このトータスに召喚されたことを物語っていた。

 

『我が願いと秘伝 此処に記す 著ロエス・ハクセラ』

 

 そう記述されている。

 それに手が触れた途端、ハジメの前にロエスと思わしき男のホログラムが現れた。ハジメより少し年上に見える黒髪の青年だった。

 ホログラムな青年は、語り始めた。

 

『俺の名は、ロエス・ハクセラ。記載されてるようにこの書物の著者だ。さて、まず言っておくと、この映像が君に映し出されているということは、俺はすでのこの世にいないということだ』

 

 自己紹介と前置きを淡々と話すロエス。そして、おもむろに自分語りをしだす。

 

『俺は天職に恵まれていたおかげで色々と好き勝手やっていた。例えば、女を抱いたり、先代様の遺産を弄ったり、時には人助けしたり…な』

 

 自分の汚れた部分から語るのは、あくまで自分は崇高な信念を持つ者ではないと言いたいのか…。

 

『だがある日、俺は神とか名乗るあのクソ野郎にとんでもない屈辱を味わわされた。正直完敗だった。だが、このまま一矢報いず終わるのは我慢ならなかった。故に俺はここに、“秘伝”を託す。最低な他力本願なのはわかっている。俺も最後まであのクソ野郎と戦うつもりだ。だが、例え俺が死んだとしても“神に届きうる一手”をここに遺しておける。そう信じている』

 

 それから、その書物に綴られている概要を説明していくロエス。

 

 曰く、それは全属性適性の補正、ステータスの強化、魔力回復の簡略を可能にする。

 曰く、強化の幅は限りなく無限に近い。

 曰く、とある属性の魔法の干渉によってより強化できる。

 曰く、いずれかの神代魔法の干渉によって更なる強化が期待できる。

 

 それを聞いてハジメはもちろん警戒した。なにせ都合が良すぎる。

『なお、これらの力を授かるには相応の代償を支払わなければならない。』という最後の一文がさらに警戒心を煽った。

 

 とはいえ、即行で切り捨てることもできない。何故なら、いくら魔物の固有魔法を会得したからと言って、基本的にハジメに魔法の才能はない。しかし、それを得られる機会が目の前にある。一人で全てを乗り越えるには、全属性の魔法や神代魔法という強力な力を使いこなせることも必要。

 

 長きに渡る思考からハジメは決断した。

 

 

 

 

ハジメが下した決断は?

  • 必要と判断。書物に手を伸ばす。
  • 不要と判断。切り捨て先に進む。
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