「……上等だ」
ハジメは必要と判断し、その書物に手を伸ばした。
代償なんて今更だ。どんな形であれ、この途方のない帰郷への道を走り抜ける一手が備わるならば、活かさない手はない。
ハジメの指が書物に触れた瞬間。
ーーーー触ったな?その本に。
そんな声が聞こえた気がした。
「……!!」
途端、書物は大部屋を覆い尽くさんばかりに黄金に輝きだした。独りでに開き、宙を浮き、書物に綴られていたであろう文字が剥がれ落ち、螺旋を描きながらハジメの下腹部に吸い込まれるように流れていく。
“秘伝”を受け取る為か、もしくは代償の為の儀式に近いものかもしれないが、猛烈に嫌な予感がしたハジメは、つい反射でドンナーを抜こうとする。だが、遅かったようだ。
“儀式”はほんの一瞬だったようで、ページが白一色となった書物は役目を終えたがのようにその場にドサッと落ちた。
「今ので“秘伝”ってのは手に入ったのか?………て、熱っ!」
下腹部のじんわりとした熱に気づいたハジメは服を捲り、ズボンを少し下げる。ちょうど女性器があると思える位置に渦巻くような黒色のハート型の紋様が浮き出ている。
「おいおい…まさかこれ“淫紋”ってヤツなんじゃ……」
トータスに来る前はオタクで通っていたハジメはそれがなんなのか心当たりがあり、嫌な予感が本格化したと顔を引き攣らせた。
「マジか…。代償ってそっち系? …というかTSと淫紋の組み合わせってまさか……」
その先は語るに及ばすだった。
後悔するのも束の間、淫紋が卑しい薄紅色に輝きだした。
すると、
「ーーく、あぁぁぁぁ!?」
下腹部から今まで感じたことのない感覚に襲われた。溢れ出るなにかが満たされない、切ない感覚。足を極度の内股にせずにいられない。
初めての感覚故、抑える方法もわからず、気づけばハジメは本能的に『それ』をしていた。
ーーーむにっ、むにゅっ、くにぃっ……。
「くあっ!ああっ、くぅっ!」
服の中に右手を突っ込み、豊満な胸を揉みしだく。白いマシュマロのような乳房を優しく包むように手を滑らせ、時に二本指に力を入れ、ぐにぐにとその美しい形の丘を歪めていく。
ーーーくちゅっ、くちゅっ、くちゃっ……。
「くはぁっ!うぎぃっ、あっ!」
ズボンの中に左手を突っ込み、すでにねっとりとしている膣穴を人差し指でほじくる。穴の周りを広げるようにゆっくりじっくり指先で円を描いていく。
「ぐぅっ!! これはぁ……ヤバイぃ…」
ハジメの言う通り、この衝動はヤバかった。男なのに女の自慰行為を当然のように始め、男のプライドが止めろと叫んでいるのに、止められない。
男のプライドなんかより、女の本能が快楽を求めているのだ。
勃った乳首を引っ張るように摘む。
勃った陰核を潰すように摘む。
「ああっ!!! ぎぃっ! はぁぁあぁっ!!!」
頭の中が痺れるような鋭い刺激が走った。火照り、熱を発する体に悪寒が走るかのように。
ゾクゾクっとする。身体が勝手にビクビクと震える。それら全てを包み込むようになにかが込み上げ、膨らんでくる。
ーーーくちゅっ、くちゅっ、くちゃっ、くちっ、くちゃっ、くちゅっ、くちゃっ、くちっ、くちっ、くちゅっ、くちゃっ、くちゅっ、くちっ、くちゃっ、くちゃっ、くちゅっ!!
「んあっ!はぁぁぁぁっ!ひぐっ、あっ!!」
それを破裂させたいと言わんばかりに手淫が激しくなっていく。
「……な、なん…か、くる! これって………まさ…か……!」
未知の感覚に流され、ようやく己の有様を自覚していくハジメ。しかしそれはすでにすぐそこまで迫っていた。
そして、破裂した。
「~~~っあ!! っっくぅぅぅぅぅぅぅぅぅ~〜!!!」
ーーープシィッ!! プシャァァァァッ!
頭の中がチカチカするような感覚に襲われながら、絶頂に達するハジメ。必死に歯を食いしばって声を抑えようとするが、いくらか漏れ、秘部からも愛液が漏れていた。
「………ハァ…ハァ…。………クソッ…」
初めての発情。初めての自慰。初めての快楽。初めての女の体。
その全てに振り回され、醜態ともいえる行為に身を任せてしまったことに、愛液で濡れた手を見ながらハジメは悪態をつかずにはいられなかった。