DOAXVV世界でハーレムライフ -転生?オーナーは解任が怖い- 作:HI-METAL
何とも言えない空気の中、沈黙していた俺たちの間で呼び出し音が鳴る。
みさきちゃんの肩がビクッと揺れると、彼女は凄い勢いで俺の居る場所から飛び退いた。
『たまきから電話連絡が入っています。出ますか?』
同時にアイちゃんが対応を訊ねてくる。
「あ、うん。で、出るよ」
俺が返事をすると目の前に半透明のモニターが現れ、そこにたまきのバストアップが映った。
「Good evening ! オーナーくん♪もう夕食は食べた?」
「え、ええ、さっき」
「そっか、一緒に食べようかと思ったのに、残念♪ あら、みさきちゃんが来ていたの?……もしかしてお邪魔だったかしら?」
たまきの口調は知ってて揶揄うときのものだ。ゲーム通りの性格なのだとしたら、特にみさきちゃんの反応を楽しんでいるに違いない。
「わ、わたし、もう部屋に戻るね。オーナー、夕食ご馳走してくれてありがとう……」
みさきちゃんはそう言うと、そそくさと部屋から出て行ってしまった。
「あら、オーナーくん、振られちゃったみたいね♪」
「それで、何の用なんです?」
たまきのこういう所に付き合っても振り回されて疲れるだけだ。俺は率直に用件を聞いた。
「そんなに怒んないでよ♪ フェス用の新しい水着のラフデザインが出来たから、ちょっと打ち合わせがしたかったんだけど……今日はオーナーくん、みさきちゃんと忙しいみたいだから……日を改めた方が良さそうね」
「そんなんじゃないですよ」
邪魔されたという思いも確かにあるが、実は正直なところホッとしていた。あんなラブコメマンガみたいな状況はどう対処すればよいか分からないし……。
「分かってるって……、あ、ラフは後で確認だけしておいてね。じゃあね♪」
「わかりました。確認しておきます」
「それと、みさきちゃんには謝っておいてね♥」
たまきは笑ってペロリと舌を出す。そして彼女の映像が消えると、モニターも役目を終えたとばかりにパッと消滅した。
「みさきちゃんも気になるけど、まずは……」
俺は呟くと立ち上がり、部屋を移動する。
先ほど散々漁った執務室の、シンプルだが大きななワークデスクの前へ行くと深く深呼吸をし、AIに語り掛けた。
「アイちゃん、俺のプロフィールと、経歴とかの詳細データを見せてくれないか?」
デスクの上にモニターが立ち上がり、そこにずらりとデータが並ぶ。
「きた!」
俺はデスクの後ろに無造作に置かれた、いかにも高級そうなエルゴノミクスチェアを引き出し腰を落とすと、モニターをまじまじと眺め、書かれてある文字を目で追っていった。
「……同じ人間とは思えないな」
俺の素直な感想だ。生年月日に出身地、それらは自分の記憶にあるものと全く同じだった。学校も高校の途中までは一緒。しかし、そこからが全然違う。
こっちの俺は高校を1年で中退した後、ヨーロッパに渡り、名の知れた格式ある大学に飛び級で入学、2年で必要な単位をすべて取り卒業。そして今度はアメリカに渡ってDOATEC傘下の大学で研究を始め、一定の成果を出した。
しかしそれに目を付けた反ダグラス派から拉致同然の強引な手法でDOATECの研究機関に移籍させられ、オメガ計画やAlpha計画の末端に関わった後、色々あってザックに救われ今に至る、と。
書かれていることが本当ならハヤブサやハヤテとも面識があり、特にハヤテに関しては治療やリハビリにも手を貸したことで、かすみやあやねからも感謝されているとあった。
ちょっとハードな人生過ぎる……というか、DOA本編進行中に転生しなくて本当に良かった。
「まあ、今までの人生は百歩譲って良い事にしよう。問題は今の仕事だな。アイちゃん、仕事のデータを見せてくれ」
『仕事には島の運営・フェスに関わるオーナー業務と、新薬の臨床試験に関わる研究業務がありますが、どちらを表示しますか?』
臨床試験……さっき打った薬が関わっているのは間違いない。
「……臨床試験のデータを頼むよ」
モニターに大量のデータが表示され始める。俺は必死にそれを読み進めた。
「……」
何と表現していいか分からない。それは危険な薬の研究実験とかではなかった。というか、使い方によっては十分社会に貢献する薬だと思う。
今俺が臨床試験している薬は一言でいえば男性用避妊薬だった。そしてこの薬には副次効果として、バイアグラ等と似た勃起時間の持続や性的刺激を増幅する効果があるらしく、その詳細データを取るのが今の俺の仕事という事らしい……。
というか、そもそもこの薬の開発者が俺で、自らデータ取りに志願したようだった。ザックに救われる前の研究と落差が有り過ぎだろう。
他にもピルより副作用も少なく安全だけど、男性用避妊薬と同時に使わないと効果が落ちる女性用避妊薬というのも臨床試験しているらしく。ちなみにこっちも性的刺激を増幅する効果があると書いてある。
さらに言うと、こっちのほうがお金になりそうだが、不妊治療薬も開発されていて、こちらは認可目前で別の場所で治験中という事だ。まあ、若い女性ばかりのこの島で不妊治療薬の出番は無いよなあ……。
それにしても、これで合点がいった。いくらなんでも絶倫すぎると思っていたが、薬の効果だった訳だ。
そして、女の子達とセックスして
それだけに、この魅力的なポジションであるオーナーの地位は失う訳にはいかない。
「次はヴィーナスとして登録している女の子達のデータを表示してくれ」
俺はまだみさきちゃんとさゆりさん、そしてモニター越しにたま姉の、3人としか会っていない。フェスの事も話題に出ていたし、この島にはもっと女の子がいるはずだ。