※この作品はR-18です。

鋼の錬金術師 三十路女の事情 改   作:木桜 春雨

20 / 27
ブリックスの朝、クィーンサイズのベッドは余裕で三人 あと、食べ過ぎには気をつけようということで  改

 ようやく、ブリックスに到着したのは夕方だが、日はとっぷりと暮れていた、軽い夕食をすませたマルコーにオリヴィエは、ゆっくりと休んでくださいと言われたのでベッドに入ったのだが、ふと違和感を感じたのだ。

 なんだか妙に暖かい、いや、暑い、汗をかいているのか、暖房が効くまでは寒かった筈なのに。

 目を覚まし、起き上がろうとすると窮屈さに驚く、ベッドはかなりの大きさで余裕がある筈だ、なのにと思ってふと首を動かすと隣で誰か寝ている、しかも甘い体臭、いや、香水の匂いがする、鼻にかかるような甘い声にマルコーは驚いた。

 

 「起きたの、ドクター」

 

 何故、隣で彼女が寝ているのかとマルコーは驚いた、するとラストはちょいちょいとマルコーの反対側を指さす、首をわずかに向けると、もう一人、彼女だ、いつの間に自分のベッドで女二人が寝ているのか。

 

 

 「どういうことだ、いつの間に」

 

 「だって、寒いんですもの」

 

 まるで子供のような台詞だ、何か言おうとしたが、相手の顔を見て、いつもとは違う事に気づいた。

 

 「寒い、のかね」 

 

 かなりとラストは頷くと、冷え性の女二人がベッドに入っても体は全然温かくならない、だから、マル

コーの部屋に来たのだという。

  

 「あたしもだけど、彼女もひどかったわよ、ここに来るまでに膝をカクカクさせながら、あー、でも、この部屋、暖房もついているし、ベッドもフカフカだわ」

 

 「暖房は、ついているだろう」

 

 「暖かくならないのよ、もしかして、体温が低いせいかしら、女は」

 

 時計を見ると五時、まだ、外は暗い、仕方ないとマルコーはベッドから起き上がると部屋の隅の簡易コンロに向かった。

  

 

 「これを飲んで体を温めなさい」

  

 受け取ったカップからは甘い香りがする、覗き込んでラストは不思議そうな顔をした、珈琲でも紅茶でもない、ココアだ、そして一口飲んで不思議そうな顔をすると、チョコレートキュールを少し入れているとマルコーが呟いた。

  

 「あっ、なんだかぽかぽかしてきた感じ」

 

 

 ラストはマルコーをじいっと見つめた。

 

 「ところで、起こしましょうか」

 

 「好きなだけ寝かせておいた方がいい、ここに来るまでも大変だったからね、ゆっくりした方がいい」

 

 

 

 

 「先生は、まだ、お休みでは」

 

 アームストロングの長男、アレックスの遠慮がちな言葉にスカーは大丈夫だ、歳だし朝は早いんだと部屋の前まで来るとノックもせずにドアを開けて部屋に入った、すと、おはようと女の声が返ってきた、思わず視線が釘付けになったのはベッドの上にマルコーとラストが座ったまま、しかも朝食を食べているからだ。

 

 「ミルクティーのお代わり、あっ、スクランブルエッグは固めにしてね」

 

 ラストの言葉に、わかってるわよと返事をしたのは美夜だ、部屋の隅のコンロで料理をしている、スカーとアレックスは驚いたのか、言葉が出ない、そしてマルコーは入ってきた二人の男を見ると、どこか気まずそうな視線を向けた。

 

 

 「うーん、温サラダ、ドレッシングが美味しいわ」

 

 満足そうなラストに、ふっと得意そうに美夜が笑った。

 

 「それは先生のレシピよ」

 

 返事をしながら、この時、初めてスカーとアレックスの存在に気づいたかのように美夜は視線を向けた。

 

 

 どういう事だと問いかけるようなスカーの眼差しから、マルコーは思わず視線をそらしたのは無理もない、すると、それに気づいたラストがニヤニヤと笑いながら視線を返した。

 

 

 

 ドクターマルコーは助手と、もう一人の女と三人で同衾しているらしいと言う噂は数日のうちに、ブリックスに広まった。

 

 「ははは、羨ましいですな、先生」

 

 アレックスの言葉にマルコーは愛想笑いをした、

 

 すると白衣姿の黒髪の美女、ラストがにっこりと笑いながら。

 

 「だって、あたし達、仲良しさんですもの、ねえっ、マルコー」

 

 とにっこりと笑った。

 

 仲良し、何故、そこで呼び捨てにすると思ったが、反論しても無駄だと思っているのか、アレックスに今日も寒くなりそうだと世間話を振った。

 

 「ところで、助手の方は、どうされました、どこか具合でも」

 

 「ああ、ちょっと具合が悪くてね」

 

 すると食べ過ぎよとラストが肩を竦めた。

 

 「極寒の地、このブリックスで温かいシチューを食べて、その後デザートに凍ったクレープを食べ続けたのよね」

 

 (甘いものが彼女は好きだからな)

 

 だが、クレープを続けて三個も食べたのはちょっと、無理があるとマルコーは思った、ラストの弟、エンヴィーがくれたものだからと腐らないように雪の中に埋めておいたのを食べて腹を壊したのだ。

 

 

 「残りはスカーさんに」

 

 青い顔をした彼女にクレープを手渡された時の傷の男の顔は思い出しただけでも(笑だ)

 

 甘いものと冷たいもの、しばらくは禁止だなとマルコーは思った。

 

 




 ヒロインの母親をと思いましたが、このまま書いたら登場人物が増えそうだし、ヒロインの心情、話もややこしくなってしまいそうなので、今回少し手直ししてラストを変更しました。

 今、オリジナルも書いているので更新が亀で申し訳ありません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。