フェミニストじゃありませんけど女性を蔑んだり、軽く扱うような主人公では断じてありません。
黄牙帝国の滅亡と暗黒大陸からの征服者
門から宮殿までの直線、十数キロにも及ぶ長大な大路地を千余の赤髪の兵を率いて黒髪黒目の偉丈夫が駆け抜ける。
その一直線だけ何の存在も許されなかったように、防柵、防陣、罠、伏兵、守備隊、騎馬隊皆悉く薙飛ばされ、圧し倒され、累々と死傷、負傷兵の山で道端が埋まる。
黄牙帝国軍。
もとより最強、かつ最盛期と言っても過言ではないその大勢を相手に勝利を重ね、今こうして帝都の大路を威風堂々に踏み伸している。
黒髪黒目の偉丈夫が率いる千余の赤髪の軍勢によって、三度にわたり敗北を重ねた黄牙帝国。
取られた捕虜は数万人を軽く超え、十万近かった兵は約半数を失った。
指揮系統は言うまでもなく機能せず。
帝都の護りを担っていた近衛軍もズタズタに食い散らかされた。
帝都の奥深くへと刃が走った。
道々に燃え散らかった瓦礫は、美しかった帝都は昔日のものに過ぎぬのだと教えているようだ。
民家を改造して築いた防衛陣地だった物から、延々と天へ伸びる煤の高笑いがたなびく帝国軍旗を汚す。
男とその軍勢の勢いは止まらない。
男を先頭にした大波は、強兵も雑兵も関係なく木っ端の如く轢き飛ばしていく。
轟々と風を切って進む男と赤髪の一団に戦火が映える。
宮殿まですぐそこという所で、なけなしの精鋭騎兵隊が目の前に立ち塞がった。
後続含めて千あまり、今近くには五百程度しか居なかった男の軍勢に対して騎兵隊は数千を越す。
大路を埋め尽くさんばかりの騎兵隊と男の率いる縦列が、死の大河の両岸に構える。
ふとそれまで武の暴威を振り撒いていた、先頭の黒髪黒目の男が腕を上げると周囲を隙間なく固めていた赤髪の一隊が身をかがめた。
すかさず騎兵隊は先頭の男1人目掛けて吸い込まれるように見事な突撃を披露する。
矢も剣も槍も眼前に迫ろうという時。
男がやおら腕を下すと、同時に岩を割るような雄叫びと共に赤髪の戦士たちが飛び出した。
瞬く内に、赤髪の戦士達は5倍近い敵を振り払ってみせた。
飾り羽根が美しい立派な兜を身につけた先頭の騎馬隊長は、男の両隣を固めていた赤髪の女、その右の対によって意識を刈り取られた。
頭を守っていた兜を砕かれ、顎に神速の豪打を受けたのだ。
隊長の脱落から間も無く雄叫びが大気を裂いた。敗残の一団は濃厚な暴力に掻き毟られた。
最後の近衛も失った黄牙帝国は、各地から集結させている、張子の虎たる地方軍の逐次投入をする暇も与えられなかった。
赤黒い稲妻に瞬く間に宮殿までを貫かれたのである。
首長、一族のほとんどは生け捕りにされ、両手両足に枷がつけられた。
室内にある物、それこそ宝物も全てを使って硬く閉ざしていた正面の大門は寂れた木塀のように蝶番から断ち破られた状態で倒れ伏している。
かの宮殿の頂きに、幅6メートルはあろうかという大旗が、これまた巨大な旗軸で突き立てられた。
官軍の旗が空を泳いだ。
旗の掲揚から一刻足らずで開戦当初とは比較にならぬほどのの大勢が帝都の目前に集結した。
幾度の戦闘においてもその片鱗すら認められなかった幾万の大軍を前にして、捕虜になった帝国の将達は一様に驚嘆の悲鳴を嚥下した。
隠し玉、伏兵、全軍の半分にも満たない寡兵からの敗北。
逃れ得ぬ残酷な現実を前に、敵意の残火を揺らす敗戦国の首脳陣だった者たちの身を、とめどない冷や汗が静かに打ち据えた。
整然と隊列を組んで都を包囲していた人波、その多くは夜の帷が降りる頃には野営を終えていた。無数の篝火が都の前に屯した。
夜が明けて戦後処理が始まった。
恭順は思いの外早かった。
進撃の爪痕も正大門から宮殿までの一直線とその大路沿いに限定され、民衆の被害は極小に留まったこともあり、民の怒りは目の当たりにした圧倒的な暴力への反抗には至らなかったのである。
戦後処理。
最初に行われたのは帝都内外に存在する一切の奴隷の引き渡しと国内全領土の内、帝都及び主要商工業の中心都市を含む中枢都市の譲渡、そして帝国全土の将軍ほか重要人物、名士達の服属を約束するという条約の締結であった。
形ばかりの朝廷との間に行われた其れはすぐさま実行に移された。
1週間程かけて全土から奴隷として苦渋の生を歩んで来た人々が集められた。
帝都に限っても数十の長蛇の列ができた。
地方から送り出す際に必ず十分な食事を与え護衛に送らせよとの要求を受け、ほとんどが血色の良いようだった。
がしかし顔色は誰も彼もが青々と冷えており、すっかり諦観に身を委ねているように見える。
暫くして帝都の各広場に所狭しと集められた奴隷達から声が上がった。
奴隷解放とその要旨。
各広場にて、壇上に上がった他の兵士に比べても、一際上等な装いの赤髪の男女達が声を響かせている。
暴動を予期しての例の赤髪の兵団が彼らに睨みを効かせている中、先程まで声を上げていた奴隷達は一様に黙して壇上の者の話に聞き入っていた。
曰く、奴隷は解放する。
曰く、これから向かう我々の国と、今日から統治領の軍事区画の一つとするこの国の何方かに住み、働いてもらう。
曰く、最低限の生活、娯楽、安全を保証する。
曰く、軍への志願も受け付けるが先ずは高等教育課程まで卒業してもらう。
曰く、職業は我々の国か、こちらで詳しい説明と教育を受けたのち選択してもらう。
どれもこれもが奴隷だった者達にとって夢物語のような話である。
最後に、と赤髪の女が付け足した。
私達と同じ赤髪の者は顔を見せて欲しい。
赤髪の者達はその旨を伝えると壇上を降りた。
粛々と元奴隷達の戸籍登録を行うための役所が急増された。
自身という存在が文書に残ることに、元奴隷達はまるで自身が歴史上の偉人になったかの喜びようであった。
元奴隷達の戸籍登録が終わったのは三日後であった。
三日前の最後に女が付け足した言葉は如何やら届いていたようである。
同じ民族なのであろう、貴族や王族などが奴隷として買った赤髪の老若男女が帝都中から集められては、枷を外された事を感謝して、涙を流してかの黒髪の男の足元で平伏している。
憎悪の瞳が黄牙の民に向く暇もないほどに。
囚われていたものも、共に率いられてきたものも。皆同じくして、強く、頑なに感謝の意を男に伝えていた。
枷に押し固められた現在の黄牙帝国の王族は、自由に酔う彼らを見て何を思うだろうか。
かくして、長く栄華を誇ったアルマトラン以降古代初の統一王朝黄牙帝国は、謎の男に率いられた軍勢との開戦から一年も掛からずに滅ぼされたのだ。
民族の消失さえしなかったが、永年の繁栄は戦陣の泥に埋れた。
反乱も起きた。
が、新たな支配者として君臨する男は神秘を振り撒き、剛力を振るい、僅かな期間で黄牙帝国残党を屈服させた。
地図から消えた帝国の跡地には、以前にも増して巨大な城壁と堅牢な守りに固められ、戦略的に配置された巨城群が出現した。
たなびく旗は黄牙帝国のものにあらず。
深い赤を下地に、断ち切られた白銀の鎖で月桂樹の冠を模した紋様が中央を飾る。それはまるで自由を囚われた生命の解放を謳うように優雅に風にたなびいていた。
飽き性なので、色々書きます。
基本は戦記物、軍事要素濃い目でいきます。
次で、建国後の国家諸設定。
軍事国家なんでね、主にというか殆ど軍事制度ですな。
あとは階級かな。
序盤は古代、ゴリラの方とおんなじ安定の原作前スタートっすね。
R18は保険ですが、そのうち入れたい。
といっても、会話文なんかほとんどないだろうし、びみょーに際どい描写になるかも程度だけど。
グロはそこまで克明に表現できてるわけでも無いから大丈夫だとは思う。
*作者はシンドバッドが苦手です。アンチ・ヘイトがあるとしたらそこかな?あと…女性を大切にしない王様とか金持ちですかねぇ…ニチャ