アラサーマンならぬアルサーメンを初出しの予定。
地に伏すはソロモン。
王の面影はなく、ただ思考の放棄に意識を留めるのみ。
器を奪わんとした、かの大王は最早存在を赦されていなかった。
ソロモンに近付く六つの影、五つの将に囲まれた一つの眩い器がすぐ目の前に来て空に揺蕩っている。
器はソロモンへと語りかけた。
私はかの世界へと降り立ち、世界の大敵となる。
その為には、この器のままでは面倒である。
故に貴様の感情と知識、そして魂塊を貰う、と。
ソロモンは虚の濃ゆいその双眸を見開くと、器の隔絶した強さを思い出して自嘲気味に笑って見せた。
まさに運命だな、そう言った気がした。
敗者、ましてや偽善を最期まで覆いきれなかった王の言葉は辛かった。
器によってその存在を奪われたソロモンは、光粒となった。
自我の介在しない半分の光は器に、もう半分のソロモンたる証明を司る光は器がヒトの形を形成するのを見届ける事なく虚空に溶けて消えた。
残されたのは、屈強な肉体をもつ偉丈夫一人、彼に侍る5人の力の具現体。
器は遂に満たされた。
ソロモンが破った孤宮の防膜は、世界の傲慢なる運命が器に阻まれることなき様にする為であったことを知る者は誰もいない。
拘束を解かれ人類の念願は今動き出した。
不条理と絶望に踏み荒らされた人々の元に舞い降りるは原初の叡王。
世界の理不尽と傲慢な運命への弑逆へと最初の歩みを踏み出したのだ。
我らが父、そう呼ばれる一人の魔道士は歓喜に打ち震えた。
傲慢なるかの大王の存在が、世界から縊られたことを知ったからである。
なんの存在によるのか、其れは分からない。
ただ確かなこと、それはソロモンは真の王の器たり得なかったということだ。
我らが父、この者にとって世界、理不尽、絶望からの解放が全てであった。
その為に忠実に大王を支え、力を蓄えた。
いつか来る解放を求めて。
その手段の一つがアルマ・トラン、イル・イラー、堕天であっただけだ。
力奪われ、怨嗟に沈もうという時、こうして第三の存在が自身の悲願を遂げたこと、神など信じぬ魔導士であるこの者にとって、崇拝に足る存在が出来た。
ソロモンの最期の進路は力の離宮。
我らが父と慕われる存在は、後世にまで続く運命との闘争に向けて自身の同胞に宣言した。
遥の地、真の王が現れ世界を力で覆う。
我らアルサーメン、貴きかの王の運命への弑逆の一助となるべし。
我らが父はその身を没し、残された組織は新たな目的が出来た。
アルサーメン、後に暗黒大陸以来おおいに躍動する赤髪の軍勢等と同等に語り継がれる、世界皇帝の忠実なる国際的組織の誕生である。
次回、降り立ちます。
目指すは暗黒大陸!
ゴリラの方で設定の手を抜いたので、今回はちゃんとするぜ!