私がブラックキラーズである限りこの装備は外せません
ふーん、ポチポチ
海上剣星4装着
オティヌスの奇襲?を退け一晩が経ち僕達は宿を出て再び旅を再開していた。
「ほら,ティルフィング元気出して」
「キル姫失格です…マスターの危機にも気付かないなんて」
昨晩のオティヌスの話をしてから項垂れるティルフィング。馬も心配なのか何度もティルフィングを振り返り心配そうな視線を送っていた。
先程オティヌスの話をしてからずっとこの感じだった。因みに昨晩書いたおでこの[肉]という文字は消えずに残っている。
「何も被害が無かったから大丈夫だよ?」
「ますたぁ、、」
泣きそうな顔のティルフィング、可愛いのだがおでこの肉のせいで笑いを堪えるのに必死である。
「もうすぐワスレナに入るから切り替えてね?」
「はい!」
人外域ワスレナ,その名の通り人はほとんど住んでおらず居るとしたら変わり者か冥花繁殖帯を研究する学者ぐらいらしい。
最後の関所を抜けると一気に雰囲気が変わった。見渡す限りの岩盤や砂漠地帯で植物すら生えておらずとても人が住めるような環境では無い。
それにガラッと気候が変わり照り付ける日差しで気温がかなり高い。流石のティルフィングも少し汗ばんでいる。
それでも悪路に車輪を取られぬよう道を選びながら馬車を進ませて行く。
しばらく進むと一軒の家が見えてきた。
「マスター行ってみますか?」
「そうしようか」
しかし近くにつれて廃屋だということに気づく,廃屋があるって事は昔は人が住んでいたのであろう。
「少し休憩しよっか」
「はい」
廃屋の影で少し休憩をとる事に。気温は高いが湿度は低いので日陰はそれなりに快適である。
「子竜を呼んで空から見てもらおうよ」
「そうですね、呼んでみます」
ピーーーーーーーーーーーー
ギャァーーーーー!!
ティルフィングの指笛に答える様に大地を揺るがす程の咆哮が聞こえその方を向くと巨体がこちらに向かい宙を舞っていた。
親の竜が来てくれた。地面に降りるなりその顔をティルフィングに擦り付けていた。
「よしよし,もう大丈夫なんですね」
それに答え竜の頭を撫でるティルフィング。
「ギャッギャーーー」
「お互い様ですよ。病み上がりで申し訳ありませんがお願いします」
そう言ってひらりと竜に跨るティルフィング。
「ここで待ってて下さいね」
「うん、お願いね」
「行ってきます」
舞い上がる竜達を見送った後に地図を広げて場を確認していた。
うーん、地図を見ても民家は無さそうだ,目的地の城の位置は分かるのだけど。
情報が無いまま城に向かうのは少々危ないがこのまま行くしかないか?
「マスターーーー!!」
空から聞こえるティルフィングの声。
「どーだったーー!?」
「ありましたーーー!」
「了解ーーーーー!悪いけど頼むよ!」
ティルフィングが飛んでいる方に馬車を進ませて行く。しばらく進むと立派な建物が見えてきた、それに人が住んでいそうな雰囲気がある,少し話を聞きに行こう。
「すいませーん」
返事が無い。それでもめげずにノックをしながら声をかけていた。
「すいませーんーー!」
しばらくすると家の中を走る音が聞こえドアが開けられ老人が顔を覗かせた。
「何だね君達は」
怪訝な顔で僕達を見渡す髭を生やしたおじさん。
「僕達はラグナロク教会の任務でここに来たんですけど」
「おぉ,やっときたか,待っておったぞ」
どうやら依頼はこの人からだったようだ、それなら話は早い。どの様な要件なのか詳しく聞く事に。
「最近,古城の方に異族が集まるようになっての,少しならうちの番犬で追い払えるのじゃが」
「番犬ですか?」
「そうじゃ,おいでガンド」
「ガウ♪ガウ♪」
呼ばれて現れたのはヴァナルガンドだった。耳の様に生えた髪の毛,人懐っこい性格。ヴァナルガンドなら番犬って呼ばれても仕方ないのかもしれない。あっ悪口じゃ無いよ?
「なら明日から城の捜索を始めますね」
「おぉ,それは心強い。今日はもう遅いうちに泊まっていきなされ」
「お言葉に甘えます」
「感謝します」
「ところでそこのティルフィングのおでこに書いてある文字は何じゃ?」
「えっ?文字ですか?」
しまった,忘れていた。
「ごめんってば」
「マスターなんて嫌いです,フンっ」
おじさんに言われ鏡を見たあと慌ててお風呂に行ってからずっとこの調子だ。そろそろ機嫌を治してもらいたい。悪いのは僕なのだが。
「そもそもユウさんは何で肉って書いたんですか〜?」
「これはねティルフィン」
「分かりました!私が悪かったです」
「ごめんねヴァナル,理由は言えないよ」
「ふぅん?」
「オティヌスの襲撃に気が付かなかった事が余程嫌だったのだろう。
「ほれ,飯じゃぞ」
「ありがとうございます」
おじさんの作ってくれご飯を食べるために食卓を囲んでいた。
「いただきます」
食べながら少しおじさんに質問をする事に。
「おじさんはどうして教会に依頼したのですか?ヴァナルガンドが居るなら多少の異族ならどうにでもなるはずですよ?それにお金もかかるはずです」
「実はな、儂とガンドは共鳴しておらんのだよ」
「私はこのおじさんか心配でここに居るんですよ〜」
「ふむ」
バイブスとキラーズが共鳴していないならキル姫は本来の力を発揮できない,それなら教会に頼むのも合点がいく。
「ヴァナルは優しいんですね」
「ガウガウ♪」
きっとヴァナルガンドのキラーズの影響だろう,一人のおじさんを放っておけないのは。確かフェンリルだっけな?
「それで、その城に異族はどれぐらい居るのですか?」
「ふーーむ,百か二百かそれぐらいじゃ,詳しく数えた訳ではないが」
そう言われてティルフィングを見ると頷いてくれた。
「それぐらいなら私一人で充分です」
自信ありげなティルフィング。実に心強い。
「頼りにしてるよ、ティルフィング」
「はい♪よかったらみんなで飲みませんか?」
「どこからともなく一升瓶を取り出すティルフィングにおじさんが目を輝かせていた。
「おぉ、酒は久々じゃ」
「お菓子もってきますね〜」
「はぁ、、、、」
ティルフィングが飲みたい口実かもしれないが皆が嬉しそうなので良しとしよう。
「おぉ!なかなか上手い酒じゃ!」
「ロックで飲むのがオススメですよ」
「私は水割りがちょうどいいですぅ〜」
みんないい感じに酔ってきてる。因みに僕はソーダ割りを推したい。
「それー!花鳥風月ーー!」
「ガハハハハ!」
「ティルフィングさんすごーい〜」
ティルフィングの宴会芸まで飛び出し場は大盛り上がりだ。やはりティルフィングは駄目神だったのか,酔っ払いふらつく頭を冷やすために
煙草を吸いに一人外へ。夜風が火照った身体を冷やしてもらいながら煙草に火を付けていた。
煙草の匂いに混じり少し甘い匂いがする,冥花繁殖帯が近いのだろ。
「あれ〜ユウさん,こんなとこでなにしてるんですか〜?」
ヴァナルガンドだ。
「ちょっと一服をね。ヴァナルは?」
「私は熱くなっちゃんで身体を冷ましにです〜」
そう言うと手すりにもたれかかり外を見ていた。
「ユウさんのティルフィングさんはすご〜く強そうですね〜」
「うちのエースだからね」
そう言ってもうちのパーティはティルフィングしか居ないんだけどね。
「でもあのティルフィングさんから少し邪悪な匂いがします〜私の思い過ごしだといいんですけど〜」
きっとブラックキラーズの事だろう,邪悪な匂いってどんなのなんだろう?
「大丈夫だよ,ティルフィングはいい子だからさ」
「もし,何かあったらこの笛を吹いてください〜きっと助けになりますよ」
そう言われ犬笛を渡してくれた。
「ありがとう,ヴァナル」
「ガウガウ♪」
煙草もそこそこに部屋に戻る事に。
「はぁ、、、」
散らかった瓶に床で寝ているおじさんとティルフィングを見てため息を吐いていた。
「おじさんがあんなに楽しそうなの久しぶりに見ました〜ありがとうございますぅ〜」
「片付けは明日して今日はもう寝ようか」
適当なソファーに寝転び目を瞑る。
明日,ティルフィングと城に行って異族を叩いてサフランに帰ろう
そしたら長めの休暇でももらおうかな。そんな事を考えていたらいつの間にか眠りに落ちていた。