※この作品はR-18です。

黒ティルと僕と   作:やす、

145 / 201
散々な一日。その2

メギドとの戦いから一夜が明けた。こんな堅苦しい言い方をする必要は無いのだがそう言いたくなる程の被害を僕は受けていた。

 

 

はぁ、、、

 

 

洗面台にある鏡を見ながらため息をついていた。元々そんなに髪に気を使っていた訳では無いんだけど鏡に写る僕の髪はまるでパンチパーマのようになってしまっていた。つらい

 

 

鏡を見ながらため息をついているとティルが起きてきたようだ、鏡越しにこっちに歩いて来るのが見える。

 

 

おはようございま、、、す

 

おはよティル

 

今日は何をしましょうか?

 

 

僕の顔と髪を交互に見ながらティルがそう言った。本人はバレていないと思っているようだけどその視線でバレバレである。

 

 

気を使わなくて良いから思っている事を言ってよ

 

良いんですか?

 

うん

 

昨日はモヤシみたいになってましたけど今はタワシみたいですね

 

 

そう言うとお腹を抱えて僕の頭を指差しながら大笑いしていた。ティルのその笑いはしばらく続き最後には呼吸困難になっていた。

 

 

怒るよ?

 

怒られてもお釣りがくるので大丈夫ですよ♪

 

 

ティルが目元を指で擦りながらそう言っていた、なぜ僕は二話に続きこんな目に遭っているのか。とりあえず一緒に歯磨きをして昨日の夜にティルが買ってきてくれた朝ごはんを食べる事に。

 

 

はぁ、、、

 

元気出してくださいよ

 

それは無理かな?

 

なら千年王国にでも行きます?

 

僕を晒し者にするつもり?

 

それもそうですね

 

 

この頭で千年王国に行ったらみんなに笑われるだろう、いや、待てよ?ネスの治癒能力を使えば髪が元に戻るかもしれない。

 

 

ティル、千年王国に行こうよ

 

晒し者になりに行くのですか?

 

ネスならこの髪を治してくれると思ってさ

 

確かにネスの治癒能力はズバ抜けていますからね、その前に少し買い物をして来てよろしいですか?

 

うん、良いよ、いつ帰って来る?

 

すぐ帰ってきますね

 

 

そう言ってティルがどこかに出かけて行った、とりあえずのんびりベランダで煙草を吸う事にしよう。そう思いベランダに出て煙草に火をつけようとしたけどライターに火が灯る事は無かった。

 

 

そうだ、オイルが切れているんだった、どうにかして煙草に火をつける方法は無いだろうか?おっと、コンロで火をつけるのは無しだぜ?

 

 

考えに考え抜いた結果太陽の光をガラスのコップで集めて虫眼鏡の要領で火をつけようとしていた、当然上手く行くはずもなくモヤモヤとした気持ちで煙草をただ咥えていた。

 

 

只今帰りました

 

おかえりー

 

 

ティルが買い物から帰ってきたようだ、手に買い物袋をぶら下げている姿が見えた。

 

 

何買ってきたの?

 

はい、無かったですよね?

 

うん、ありがと

 

 

僕がいつも吸っている煙草とライターオイルを買ってきてくれた、非常に感謝です。

 

 

それと今日着る服置いときますね

 

はーい

 

 

いつもは適当な服を着ているのだが今日はティルのチョイスのようだ、だけど選ぶ程僕の服があったか考えたけど思い浮かばなかった。

 

 

とりあえず煙草を揉み消しその服に着替える事に。

 

 

この服ってあれだよね?

 

はい、こないだ朱さんに貰ったスーツです♪

 

 

意味も分からないままスーツに袖を通すとティルに何かを渡された。

 

 

えっと?

 

とにかくつけてみて下さい

 

はい

 

 

鏡を見るとスーツを着て真っ黒なサングラスをかけ頭がパンチパーマな僕が写っていた。見た目はただのヤバいやつだ。

 

 

何か言ってみて下さいよ

 

………姉貴、勘弁して下せぇ

 

 

僕がそう言うと床の上を笑い転げていた。そんなティルに思い付いた事をしてみる事に。

 

 

それ以上笑うんならハジきますぜ

 

 

ドミネーターをティルに向かって構えそう言うと呼吸ができない程に笑っていた。はぁ、煙草吸お

 

 

こんな事にドミネーターとスーツを使った事を朱さんに心の中で謝りながら煙草に火をつけていた。しばらくすると落ち着いたティルがベランダへと出てきた。

 

 

そろそろ行きましょうか

 

そうだね

 

 

家を出て教会へ向かうのだが周りの人が僕を見ると一歩、いや、五歩は後ろに下がった。そして見てはいけない物を見るような目で僕を見ていた。

 

 

みんな変ですね

 

一番変なのは僕だよ

 

外で笑わせないで下さい

 

そんなつもりは無いよ?

 

 

そんなこんなで教会へ、転送室に行くと係りの人にいつもより丁寧な対応をして貰えた。

 

 

のんびりと転送された場所から城に入ってゆく、そしてみんながいるリビングへ向かう。

 

 

ちわー

 

こんにちわ♪

 

二人共お久しぶりで

 

 

ティニの声は途中で止まってしまった、そしてなんとも言えない顔で僕を見ていた。

 

 

グリード、隣の男性は誰ですか?

 

私のマスターのユウですよ

 

えっ……?

 

色々あってこうなっちゃったんだよ

 

なんか絶・残念ね

 

 

ティニ、リルティル、アルマスの冷ややかな目線を感じながらリビングを見渡してもネスの姿は見えなかった。

 

 

それよりネスは居る?

 

ネスなら街へ買い物に行ったわ

 

そうなんだ、いつ頃帰って来るかな?

 

さぁ?黄昏時には帰って来ると思うわ

 

分かったよ

 

 

ラグナロク以外のコマンド達は買い物に出かけているようだ。居ないのなら待てば良い、それにこの格好で街に行く気にはなれなかった。とりあえず椅子に座りのんびりしていよう。

 

 

ボーッとしていたら僕の頭を誰かが触っていた。

 

 

まるでタワシね

 

そうですね

 

僕が望んでこうなったんじゃないやい

 

どうしてこうなってしまったのですか?

 

それはね

 

 

こうなった経緯を説明すると納得してくれたようだ。

 

 

それでも魔弾で煙草に火をつけようとするのがおかしいわ

 

いけると思ったんだけどね

 

それよりそのスーツはどうしたのですか?

 

ティルが着てくれって言うからさ

 

この方が面白くないですか?

 

面白いって言うかただの近寄り難い人にしか見えないわ

 

同感です

 

私は良いと思ったのですが、、、

 

さっき床を転げ回りながら笑ってたじゃん

 

グリードがそんなに笑うなんて珍しいですね

 

本当に面白かったんですよ?銃を構えて、、、思い出しただけでも笑えます

 

そんなに面白いならやってみてよ

 

そうですね、どれぐらい面白いのか気になります

 

分かったよ、、、

 

 

懐からドミネーターを取り出しティルに向かい構えて台詞を言う事に

 

 

たまとっちゃるけんのぉ!

 

 

…………

 

 

ティルが笑い転げる中他の人は冷ややかな目線で僕とティルを見ていた。ティルが笑ってくれているのがせめてもの救い、いや、そんな事は無いか、、、

 

 

グリードのツボが分かりませんね

 

そうね

 

私は面白いと思いましたよ?

 

そんな慰めはいらないよ

 

 

穴があれば入りたかった。そんな時リビングの扉が開き誰かが入って来た。

 

 

ただいまーって兄さんその頭どうしたんだよ!?

 

おかえりギル、色々あってね

 

すげぇ頭してるな、なら兄さんちょっと力を貸してくれよ

 

どうしたの?

 

ティルヘルムで工事をするんだけど後一軒だけ了承してくれなくてさ、俺の後ろに居てくれるだけで良いから!

 

 

そう頼まれてしまった、つまり脅し役って事か。

 

 

ならもっと迫力を出しましょうよ

 

そうね、頬に刀傷とか良いんじゃない?

 

眼帯も捨てがたいですね

 

ユウ

 

はい?

 

私の金のネックレスを貸すわ

 

はい。

 

 

そんな訳で僕はスーツを着て眼帯をはめてその上から眼鏡をかけて右頬に刀傷の代わりにペンで傷を書かれ金色のネックレスをかけていた。その姿を鏡で見てため息をついているのだがその背後でティルが笑い死にそうになっていた。

 

 

もうだめ、お腹痛い、、、、

 

まだインパクトが足りないわね

 

後もう捻りね

 

付け髭とかいかがでしょう?

 

それですね

 

眉毛も全部剃りませんか?

 

良いアイディアね

 

 

さらに付け髭を追加されて眉毛を全て剃られてしまった。もう一目で僕だと言う事は判別できないだろう。因みに全て本人の許可を得ずに作業は進んでいる。良いアイディアじゃねぇよ。

 

 

じゃあ頼むぜ兄さん

 

はい

 

 

ギルに連れられてティルヘルムの街へ、今の僕には知り合いに出会わないように祈る事しか出来なかった。

 

 

やぁギル、久しぶりだね

 

ギル君お久しぶりですっ♪

 

二人共買い物?

 

 

この世界に神は居なかった様だ、ケイオスリオンのパラシュとアスカロンがギルに話しかけていた。

 

 

はいっ、たまには二人で買い物に行こうと思いまして♪

 

この辺りに雑貨屋は無いかな?

 

それならあそこの雑貨屋がオススメだぜ!

 

 

3人の会話を聞きながらゆっくりと後ろに下がってゆく、こんな姿を知り合いに見られたくは無い。

 

 

兄さんはどこがオススメ?

 

兄さんですか?

 

君に兄が居たのかい?

 

ほら、ユウさんの事だよ、俺より年上だし生き方がカッコいいから兄さんって呼んでるんだ

 

確かにユウは理想だね

 

私も久しぶりにユウさんに会いたいですっ

 

 

二人が辺りを見渡しているけど僕だと気付いていないようだ、今のうちに逃げよう。僕の事を慕ってくれる二人にこんな姿を見せたくない。

 

 

あそこに居るじゃん、おーい兄さん!

 

どこに居るんだい?

 

あのスーツ着てる人だよ

 

スーツですか…?

 

 

そこまで言われたらもう逃げる事はできないだろう、諦めて二人の方を向くと二人の顔がどんどん引きつってゆく。

 

 

や、やぁ

 

行こうかアスカロン

 

そ、そうですね、ギル君また案内して下さいね

 

待って!せめて弁解させてくれ!

 

 

足早に走る二人に僕の声は届かなかった、痛い、心が痛い。

 

 

俺なんか悪い事しちゃったかな、、?

 

いや、良いんだ、早く任務を終わらせて飲もう

 

お、おう!

 

 

それからは誰にも会う事はなくその民家へとたどり着くことができた。何よりも早く城に帰りたかった。

 

 

俺が対応するから兄さんは背後で睨んでいてくれよな

 

分かったよ

 

 

そう言ってギルがその民家のドアをノックすると返事があった。

 

 

何度もすいません、工事の件で説明がありまして

 

儂は絶対にここを動かんからな!いくら金を積まれてもだ!

 

ですから、、、、

 

 

ギルが説得しているけどそのおじさんは一歩も引かなかった、ギルの交渉を背後から見ている事に。

 

 

お願いしますおじさん!

 

手土産の一つも持ってこん奴の話など聞く気にもなれんわ!

 

 

そう言ってギルを怒鳴りつけていた、ふと背後にいる僕に気がついたようだ。

 

 

な、なんじゃお前は!?

 

付き添いで来ました、見ているだけなので気にしないで下さい

 

 

そう言って身体を伸ばすとおじさんの顔が青ざめていった。

 

 

ひぃ!!分かった、退くからいのちだけはっ!!

 

ならこの書類にサインをお願いします

 

書きます!書かせていただきます!

 

 

ギルが同意書にサインを書いてもらっていた、その様子をのんびりと見ていた。

 

 

ご協力ありがとうございました

 

…………

 

おじさんは無言で家に戻ってゆきドアを閉めるとすぐ鍵をかけた。

 

 

急にどうしちゃったんだろうね?

 

さぁ?もう一回身体伸ばしてみてよ

 

こう?

 

兄さん懐に何か入ってる?

 

これの事かな?

 

 

そう言って懐からドミネーターを取り出した。

 

 

身体を伸ばすとこれの形がくっきり浮かび上がるぜ?

 

ならあのおじさんはそれをみたんだね

 

多分そうじゃ無いかな?俺はサインが貰えたから良いけど

 

早く帰ろうよ、また誰かにこの姿を見られたくないし

 

そうだね、帰ろうぜ

 

 

その後は誰にも会う事もなく無事に城にたどり着く事ができた。

 

 

ただいまー上手く行ったぜ!

 

おかえりなさい、良かったですね♪

 

これも兄さんのおかげだぜ

 

それって褒められて無いよね?それよりネスは帰って来てる?

 

帰って来ていますけど今リルティルの料理の手伝いをしています

 

良い事だね、なら待つよ

 

 

そう言ってリビングの机を見るとコマンド達が凄い顔で僕の方を見ていた。

 

 

ど、どうしたのだ?

 

イメージチェンジですか?

 

その姿のユウ君はハグしたくないかなー

 

近寄りたくありませんね

 

僕だって色々あるんだよ

 

 

そう言って顔をそらすと僕を見ているスイハと目が合った、そしてすぐに目を逸らした。もうため息も出なかった。

 

 

お待たせしました、夜ご飯ができましたよ

 

残さず食べて下さい

 

 

荷台に料理を乗せて二人が来てくれた、配膳を手伝おうとそっちに行くとネスがドン引きした顔で僕を見ていた

 

あの、誰ですか…?

 

ユウです

 

ふぇ?

 

 

困っているネスに言葉を続ける事に。

 

 

僕の髪の毛を伸ばす事ってできるかな?

 

できると思います、後でやってみますね

 

うん、お願いね

 

はい

 

 

これで一安心、あと少しでこの髪型ともおさらばだ。少し軽くなった心でラーメンをすする事に。

 

 

邪魔だから懐にあるドミネーターを机の上に置きラーメンを楽しんでいた。

 

 

その筋の人ね

 

ゴフッ!

 

 

アルマスがそう言うとティルが吹き出しそうになっていた。楽しそうで何よりである。

 

 

ご飯も食べ終わり片付けも終わってついにネスに治癒魔法をかけてもらえる事に、その瞬間を椅子に座り待っていた。

 

 

じゃあいきますね

 

お願いします

 

 

みんなが見守る中ネスが杖を振り魔法を僕にかけてくれた。

 

 

はい、髪を伸ばす事はできましたよ

 

うん、ありがと

 

 

前より頭が重くなった気がする、そんなに髪が伸びたのだろう。周りを見るとみんながプルプルと震え笑いを堪えていた。

 

 

どうしたの?

 

鏡を見て下さい

 

 

そう言われて鏡を見るとパンチパーマのまま伸びた髪の毛がアフロのようになっていた。

 

 

な、なんじゃこりゃぁ!?

 

 

そう叫ぶとみんなが笑い転げていた。特にティル。

 

 

もうダメ!むりむりむりむり!!

 

 

床をバンバンと叩きながら必死に笑っていた。泣きそう。

 

 

クルクルの頭のまま伸ばしたのでこうなってしまったのですね

 

もう言葉が出てこないよ

 

これを着てもらって良いですか?それとサングラスもお願いします

 

 

そう言ってエルキュールが服を持ってきた、とりあえずそれに着替える事に。

 

 

えっと、これは?

 

 

エルキュールに渡された服を着て鏡を見ると黒いぴっちりと身体に張り付くTシャツに黒いズボン姿だった。

 

 

なんだかパン焼いてそうね

 

 

誰かがそう言うとみんなが再び笑い転げた。こんな姿でパンを焼く奴なんているのだろうか?

 

 

ユウさん、次はこれに着替えて下さい

 

はい

 

 

次はミネルヴァに服を渡された。それに着替える事に。

 

 

あの、これは?

 

似合ってますっっっっ

 

 

そう言い切る前に笑いながら僕に背を向けた、とりあえず鏡で見てみる事に。

 

 

なんか青くて肩の部分がモコってしているTシャツ、何故か丈が短くおへその部分だけが見えている。

 

 

それをするなら金髪にしましょうよ

 

そうね

 

 

誰かがそう言うとクレスがスプレーを持ってきた。

 

 

じゃあ塗っちゃうよー

 

 

そう言って缶を振り僕の頭にスプレーを撒いた。

 

 

どう?

 

 

そう聞くとみんな笑いすぎて返事ができなくなっていた。何かね?この鼻毛で戦いそうな服装は。

 

 

そろそろ怒るよ?

 

ごめんごめん、ネスの魔法で髪が伸びるなら全部切っちゃえば良いんじゃない?

 

それもそうだね

 

 

そんな訳で僕のアフロを切る事に。誰に切ってもらおうか?ティルは笑って手元が狂いそうだしアルマスはなんとなく不安だしクレスも、不安だ。そうなるとリルティルかラグナロクだ。

 

 

リルティルかラグナロクで切ってよ

 

なら私が切りますね

 

お願いします

 

 

そんな訳でリルティルが切ってくれる事に。チョキチョキとハサミを動かすたびに髪の毛が床へと落ちてゆく。

 

 

これぐらいでどうですか?

 

どれどれ?

 

 

鏡を見ると金髪のアフロのモヒカンになっていた。この様子を文で伝えるのはこういう書き方で良いのだろうか?

 

 

えっと?

 

もちろんジョークですよ?

 

はい

 

 

そのモヒカンは刈り取られついに坊主頭になってしまった。

 

 

仕上げはネスにお願いしますね

 

はい、分かりました

 

 

ネスが杖を振るうとやっと元の髪型に戻る事ができた。

 

 

ありがとネス、あと眉毛もお願い

 

はい

 

 

眉毛も戻りこれで元通りだ。

 

 

助かったよ、今度お土産を買ってくるね

 

甘い物でお願いします

 

おけ

 

 

そのあとみんなで床の掃除をしてお酒を飲む事に。

 

 

マスターのあの姿を見ながら飲みたかったです

 

それはお断りだよ

 

 

昨日に続き災難な一日だったけどまぁ良いだろう。今度から煙草とライターには気をつけなければ。

 

 

 

 

 

 

 

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