朝目を覚まし大きく身体を伸ばしてからベッドから起き上がる事に。昨夜カーテンを閉め忘れた窓を覗くと外はぼんやりと白ばんでいた。
とりあえずベランダで煙草を吸ってから服を着替え剣を片手に昨日練習していた広場へと向かう事に。
少し肌寒い気温を振り切るようにがむしゃらに素振りをし最後にあの木の幹に一撃を打ち込んで近くにあった切り株に腰を下ろし煙草に火を付けていた。
早くティルの温もりを感じたい。ずっと一緒に居たから忘れていたけどやっぱり一人で眠るのは寂しい。
そういえばティルも操られているのだろうか?もし本心から僕を殴ったのならば、その事に気が付いてしまったら僕の心は無惨に砕け散るだろう。
「えへへ♪マスター♪」
そう言いながら可愛く笑うティルの事を思い出していた。あの笑顔は偽りだったのか、、、?
ため息と共に煙を吐き出して最後に一口煙草を吸ってそれを揉み消してから部屋に帰ろうと立ち上がった。
その時ガサリと茂みが揺れた。風は無い。
「誰?」
「私に気が付くなんてやるじゃない。はい、差し入れよ」
そう言って茂みから出てきたアルマスが何かの缶を投げてくれた。それをキャッチしてアルマスにお礼を言っていた。
「ありがと。こんな所で何してたの?」
「任務の帰りよ。思ったより長引いちゃって絶・寝不足よ」
そう言いながら口に手を当てて欠伸をしていたアルマス。それなのに僕の様子を気にかけてくれた事が嬉しい。
「お疲れ様。ゆっくり休みなよ」
「そうさせてもらうわ。それよりユウはそんなに頑張るのよ?言ってもらえば私だってリルティルだって手を貸してあげるのに」
「僕の大事なパートナーだからね、自分の力で連れ戻したいんだよ。確かにそうしてもらうのが一番楽なんだけどさ」
「あんた変わってるわね。奏官なんてキル姫の背後に居るだけとしか思ってなかったから意外だわ」
「そういうアルマスも変わってると思うよ?」
「なんでよ、私のどこが変わってるっていうのよ」
「千年王国を守る為に身体張ってたじゃん。それに敵だったラグナロクを見捨てなかったし」
「あれは、その、そう身体が動いてたっていうか誰一人犠牲を出したくなかったっていうか。とにかく私の使命だと思ったのよ」
「それとおんなじだよ、ティルを奪還するのは誰でもなく僕だって」
手のひらを広げギュッと握ると違和感を感じ広げて見てみると手の中が豆だらけになっていた。
「私達似た者同士なのかもね」
「アルマスと同じは嫌かな?」
「それどういう意味よ!絶・不愉快!」
「まぁまぁ、アルマスにはデウス・エクス・マキナの力があるんだっけ?」
「そうね、他者と繋がる力よ」
「じゃあ僕が死にそうになったら助けに来てよ。その予定は無いけどさ」
「分かったわ、助けに行ってあげる。その予定は無いけど」
そう言った後二人で笑い合い僕は二本目の煙草に火を付ける事に。
「また剣の練習付き合ってよ。前よりは強くなった気がするし」
「絶・相手になるわ。また負かしてあげる」
「怖い怖い。そういえばティニは?」
「ここに居るわよ」
そう言うと腰に付けた鞄を見せてくれた。それを見てみるとその中で眠るティニの姿が。
「早くお布団で寝かせてあげよ?」
「そうね、私も眠いし」
煙草を揉み消し部屋に戻る事に。
「ありがとねアルマス」
「これぐらい構わないわ。おやすみ」
アルマスに見送られ部屋に戻り先程貰った缶を見ていた。ふむふむ、炭酸入りのコーヒーらしい。へぇっと呟きながらプルタブを起こし一口。
「まっずっ」
貰った食べ物や飲み物は残さないのだがその信念が揺らいだ瞬間だった。口をゆすぎたいのを堪えてベッドに潜り込みリルティルが起こしに来てくれるまで眠る事に。
「おはようございます。良く眠れましたか?」
「おはよリルティル。なんとかね」
起こしにしてくれたリルティルに挨拶をして起き上がり服を着替えながらリルティルを見るとテーブルの上に置いたコーヒーを興味深そうに見ていた。
「この飲み物は?」
「朝アルマスに貰ったんだよ。飲んでみる?」
「そうですね、一口頂きます」
そう言いながら机に置いてあった缶を手に取り一口口に含むと不味そうな顔をしていた。
「なんですかこの飲み物は、、、」
「知らないよ」
僕ももう一度飲んでみるとやはり不味かった。残りは残念だけど捨てる事にしよう。
「あっ」
「どうしたの?」
「いえ、なんでもありません。今日は四カ国の会談に出席する予定があるので自主練習をしていて下さい」
「りょーかい。ついでに神令の仮面を返してくるよ」
「分かりました。気を付けて行ってきて下さいね」
朝ご飯を食べてから少しのんびりしてオベロン様に挨拶をして神令達が居る大穴を目指す事に。
「行ってきます」
「うむ、気をつけるのだぞ」
城を出てのんびりと大穴へと向かい昨日と同じ様にツタを伝い下に降りてゆく。あの時はミョルニルに追いかけられていたから気が付かなかったけど所々に廃屋が見える、以前は町の様になっていたのだろうか?
少しだけここの過去の事を想像して何とも言えない気持ちになっていた。そんな僕に無機質な奴らが迫って来ていた。
「コォーーーーーー」
まだ数は6人ぐらいか。今は僕一人だから自力で戦う為に剣を抜き服の上からネックレスをギュッと握りしめ気合を入れる、よし。
「かかってきなよ!」
僕の声に反応し一人のマスコットが僕の前へと躍り出た。それと対峙し剣と剣をぶつけ合わせていた。
鍔迫り合い睨み合うと機械的な光の瞳に確かな闘志が感じられた。それならば負ける訳にはいかない。グッと力を込め剣を押しやり後退した瞬間にお腹を蹴飛ばし怯んだ隙に首へ剣を差し込み引き抜くと地面に倒れ動かなくなった。
「よし!次!」
仲間がやられても表情を変える事なく僕に向かってくるマスコットを蹴散らしやがてその場に立っているのは僕だけとなった。
「ふぅ、よし煙草吸お」
結構動いたんだけど息切れしていない自分に驚きながら煙草に火をつけ煙を吐き出しながら辺りを見渡していた。
「…………」
ああいう廃屋とか古びた家は本当に興味をそそられる。仮面を返しに行く途中だけど少しだけと自分に言い訳をして少しだけ探索をする事に。
立ち上がりくわえ煙草でその建物へと近づいてゆく。
おぉー!崩れかけたコンクリートがいい味出してる!そこに生えている苔も。割れた窓ガラスもポイントが高いですね。
少しだけトキメキながらその建物の前に立ち古びたドアを開けようか悩んでいると少しだけ強大な気配を感じて振り返った。
「ゴォーーーーーーー」
雄叫びを上げながら太い両手を振り回しているでかいマスコットがいた。長いからデカマスと呼ぶ事にしよう。因みに本名はガーダーというらしい。
まだ少し距離があるからデカマスの動きを観察する事に。武器は両腕で僕に近付こうと歩いて来ているのだがその歩みは遅く中々近付いてこない。多分移動力を捨て攻撃と防御に重点を置いているのだろう。それならば手数を打ち込めば勝てる。
そう思いそのデカマスと対峙する事に。僕が相手の間合いに入った途端に振り下ろされた拳を回避してその腕の上を駆け上がり飛び上がった。
「食らえ!」
全体重を乗せた一振りを頭に打ち込んだのだがキズ一つ付ける事はできていなかった。それより手が痺れて痛い。
「あれが効かないならちょっと厳しいかな、、、」
そのまま落下してデカマスの足元で体制を立て直していたら視界の端に何かが見えた。その次の瞬間に衝撃と強い痛みと共に僕は吹き飛ばされゴロゴロと地面を転がっていた。
「あぁ、くそっ、いてぇ」
剣を支えに起き上がろうとしても痛みで力が入らず僕はその場で意識を失ってしまった。