※この作品はR-18です。

黒ティルと僕と   作:やす、

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R:ティル奪還作戦 その12

朝日で目を覚まし辺りを見渡すと部屋には昨日の酒盛りの跡が目についた。缶と瓶がその周りに転がりお菓子が机の上に散らばっていた。

 

 

(はぁ)

 

 

短くため息を吐きまだ寝ているみんなを起こさないように静かにベランダへ行き煙草に火をつけていた。

 

 

今日は天上世界に戻りティルが居るあの研究所に行くんだ。そして必ずティルを連れて帰る。そう思いながら流れゆく煙を見つめていた。

 

 

ベランダから部屋の時計を見ると午前八時。そろそろみんなを起こすとしよう。そう思い煙草を揉み消し部屋に戻るとティニが寝ぼけ目で僕を見ていた。

 

 

「おはよティニ」

 

「うぅーーーん、、。おはよございます、、。」

 

 

大きく身体を伸ばして目を覚ましたのかいつものティニに戻ってくれた。

 

 

「あっ、私ったら、、、」

 

「いいよ、いいよ、それよりみんなをどうしようか?」

 

「そうですね、、、」

 

 

ベッドを占領して眠るアルマスにその端っこで今にも落ちそうなギル。リルティルはソファーで眠りオベロン様は椅子に座ったまま寝ている。因みに僕は床で寝ていました。

 

 

どうやってみんなを起こそうか考えているとアルマスが寝返りをうちそれに蹴られたギルがベッドから落下し悲鳴をあげていた。

 

 

「何事ですか!?」

 

「うぅ、、む、、、」

 

 

その声を聞き飛び起き瞬時にオベロン様を守るべく剣を構えたリルティル。その素早さに感動を覚えるほど。

 

 

「いたたた、、俺が落ちただけだぜ姫様」

 

「そうですか。もうこんな時間…急いで朝食を作りますね」

 

 

パジャマ姿で部屋を出て行ったリルティルを見送りその後服を着替えてリルティルを手伝うために僕もキッチンへ行く事に。

 

 

「手伝うよ?」

 

「いえ、ゆっくりしていて下さい」

 

「何かしてないと落ち着かなくてさ」

 

「…分かりました。ならトーストを焼いて貰えませんか?」

 

「りょーかい」

 

 

一斤の食パンを切り分けそれをオーブンへと放り込みダイアルをひねり焦げ付かない様に小窓から覗き込んでいた。その間リルティルはスープを作っているようで忙しなくキッチン内を動き回っていた。

 

 

「他の人は料理できないの?」

 

「オベロン様はできる様なのですがあまり働かせたくはありません。ギルとアルマスは……」

 

「ふむ。ティニは小さいからね」

 

「器用なんですけどね?」

 

 

その後たわいの無い事を話しながら準備を終えて料理をテーブルへと運んでゆくといつの間にかみんなが集まっていた。

 

 

「いただきまーす」

 

 

のんびりとトーストをかじりながらスープを飲む。どこにでもありそうな平和な朝食風景を寝癖が付きいつもより髪が跳ねているアルマスを見ながら楽しんでいた。

 

 

「もし必要な物があるのならお城の備品を持って行っても構いませんよ」

 

「ありがとね、後で見てみるよ」

 

 

食器を下げ洗おうとするとそれをリルティルに止められ倉庫を見に行く事に。

 

 

「うわ、すごいな、、、」

 

 

倉庫のドアを開けると凄まじく広い空間に色々な物が陳列されていた。それを眺めながら歩いているのだが特に目ぼしいものは無く食料と飲み物をリュックに詰め込み倉庫を出る事に。

 

 

「じゃあそろそろ行くね」

 

 

リビングに戻り声をかけるとみんなが見送ってくれる様で転送装置のある城の前まで着いてきてくれた。

 

 

「絶・頑張ってよね!何かあればすぐ行くから」

 

「うん、ありがとね!」

 

 

装置に入ろうとした時に強い風が吹き目を瞑り目を開けると彼女達の姿が。

 

 

「これを持っていきなさい」

 

「ん、ありがとね」

 

 

ラグナロクから渡されたのはエンシェントのシンボルが彫られたオイルライターだった。蓋を開けると心地良い金属音が響きホイールを回すと小さな火が燃え上がった。

 

 

「私が永続回復魔法をかけてあげます。致死ダメージでなければすぐに回復するはずです」

 

 

そう言って僕に杖を振るうと光に包まれ僕の中へと入っていった。

 

 

「ありがとねネス。それにわざわざ見送りに来てくれてありがとね」

 

「ただの人間がどこまでやれるのか興味があるだけよ。それに」

 

「それに?」

 

「見送りに来たのは私達だけじゃないようね」

 

 

ラグナロクが振り返りその方へ目を向けると彼女達の姿が。

 

 

「お見送りに参りました。神の慈悲をあなたに」

 

「きっとユウならできるはず。この未来は見ないでおくね」

 

「できるだけ頑張りなさい。私から言える事はそれだけよ」

 

 

そう言ってくれたティファレト、カシウス。フェイルノートの背後にはセイントキラーズ、オーダーキラーズ、カルマキラーズのみんなの姿が。

 

 

「みんなに声をかけたらみんな来てくれるって言ってくれたのですよ」

 

 

そう言ってにっこりと微笑むリルティル。それにみんなから声をかけてもらえて嬉しくて溢れそうな涙を必死に堪えていた。

 

 

「本当にみんなありがとね!絶対ここに戻ってくるよ!!」

 

 

何度もみんなに手を振りながら装置に乗り込み目を瞑ると見慣れた転送室へと戻って来ていた。

 

 

急ごう。そう思いながら足速に歩いいたのだがなにか様子が変だ。教会の入り口の方がやけに騒がしい。

 

 

「どうしたの?」

 

「変な奴らが人を襲い食い始めたんです!!攻撃も何も効かなくてこのままだと人類はみんな食べられてしまいます!」

 

 

そう言われてバリケードの隙間から外を見ると僕に気が付いたのかその隙間から槍を突き出しながら雄叫びを上げる変な奴の姿が。

 

 

「これは、、異族!?」

 

 

そこでやっと異族の存在を思い出していた。異族、人を食う捕食者。キル姫が操られている今人間が異族に勝てる術はない。このままだと人が全滅するのも時間の問題だろう。

 

 

「ちょっと待ってて!」

 

 

そう言い残し再び千年王国へ戻り装置から出るとまだみんながそこに居てくれていた。

 

 

「あれ?もう帰って来たの?」

 

「そんな事言ってる場合じゃないんだよ、天上世界で異族が暴れてるんだ!あの、助けてくれないかな?」

 

「異族ってなんですか?」

 

「人を食う化け物だよ!それに対抗するにはキル姫の力がないと無理なんだよ!本当にお願い!一生のお願い!!」

 

 

思いっきり頭を下げ頼むとしばらくの沈黙の後にみんなが手を貸してくれると言ってくれた。

 

 

「でもその天上世界にはキル姫を操る何かが出てるんでしょ?このまま行って大丈夫なのかしら?」

 

 

そうフェイルノートに言われてその事も思い出していた。ここに居るキル姫達が敵に回る事になればもうお手上げだ。

 

 

「心配はいらぬ、儂が妖精の加護を皆に与えよう」

 

 

そう言ってオベロン様が呪文を唱読し杖をかざすとキル姫達が光に包まれてゆく。

 

 

「本当に大丈夫なんでしょうね?」

 

「うむ、過去にこの千年王国に張った結界の力を応用した物だ。問題は無いない。アルマスは儂の力が信用できぬのか?これでも若い頃は、、、「皆さん行きましょう!天上世界を助けに!!」

 

 

オベロン様の話を遮りリルティルが声を張り上げるとその言葉を合図にみんなが転送装置へと乗り込んでゆく。

 

 

「せ、狭いです、、、」

 

「みんなとハグできておねーさんは嬉しいよ〜?」

 

「息ができません、、、フライシュッツは無駄に大きすぎます!」

 

「今、無駄が無い弓と言ったかしら…!」

 

「誰もそんな事言っていませんよ。早く操作をお願いします!」

 

「任せろ!みんな頑張ってくれよな!」

 

 

満員となってしまった装置をギルに動かしてもらい我ら一行は天上世界へ。

 

 

「…………」

 

 

着いたのは良いのだがどうしたら良いんだ?誰か指示を出すのだろうか?

 

 

「御前様」

 

 

そう言われて振り返ると怪しげな笑みを浮かべたフェイルノートの姿が。

 

 

「御前様が指示を出しなさい。皆、御前様の国を救う為にここに来たのよ」

 

 

そう言われてみんなの方を見ると何かを待っている様な眼差し。ふむ。

 

 

「えっと、みんなお願いします!」

 

 

深々と頭を下げてお願いすると落胆のため息が。

 

 

「はぁ、締まらないわね」

 

「え、なんかごめん、、、」

 

「さっ、行くわよ!みんな!!」

 

「待ちなさい」

 

 

剣を抜き我先にと駆け出してゆくアルマスをラグナロクが呼び止めていた。

 

 

「こういう時は士気を上げる掛け声がいるのよ。そんな事も分からないの?」

 

「そんなの無いわよ、そう言うラグナロクは何かあるっているの?」

 

 

そう聞かれるとラグナロクがニヤリと笑った。

 

 

「さぁ、ここに反旗を翻し再び振るうわ!破滅への運命を止める為の進撃を始めましょう」

 

 

ラグナロクが突き立てた旗の元に集まる七人の姫達。

 

 

「私が司るは孤高。だがそれを勇気に変えて民を護ると誓いましょう」

 

「おねーさんが司るのは陶酔。だけどそれを信仰してくれる人達を護っちゃうよ〜」

 

「クレス様が司るは蒐集。だーけーど、今はそれを愛の力に変えてみんなを愛してあげるよ」

 

「私が司るのは信念。その信念でみんなの希望となってみせます!」

 

「あたしが司るのは断罪。この正義であくを断罪してやろう」

 

私が司る盲目。この目には見えぬ知恵を使い人々を助けてあげましょう」

 

「この私が人々を支配する悪を規律に則り裁きましょう」

 

「始めましょう。この世界を救う為の戦いを」

 

 

大見得を切り駆け出して行ったコマンド達。それに鼓舞されたのかフォルカスが旗を突き立てた。

 

 

「この旗の元に天使が裁こうか。人を喰らう異族に天使の断罪を!」

 

「この世界もヘアピィにしないとね!」

 

「そうですね。愛を届けに行きましょう」

 

「私達、セイントキラーズにお任せを」

 

「行きましょう。主人様に平穏な世界を見せる為に」

 

 

ティファレトが僕に微笑むとフォルカスが槍を引き抜きそして振り翳し先陣を切り走り出した。

 

 

「我らがオーダーキラーズ四人集。主君に名を受けここに見参致す」

 

「人を喰らう獣にはお仕置きが必要なようね」

 

「八つの大口と荒ぶる風の刀を持ち」

 

「今ここに制裁を下してやる!」

 

「私達に任せてお館様」

 

 

マサムネを筆頭に教会を飛び出して行った。

 

 

「荒事なら僕達に任せてもらうよ」

 

「悪魔の力を持ち、この世界にも狂おしい程の愛を届けに参りましたわ」

 

「私達カルマキラーズに全てお任せを!」

 

「うがぁぁ!!肉だ!マーラーカオを持ってこい!シユウが食らってやる!」

 

「まっ、私達がどこよりも戦果を上げてあげるわ。御前様もしっかり働くのよ」

 

 

バリケードをぶち破り走ってゆくシユウを追いかけてゆく。それを見届けた後に転送装置から出てきた四人組。

 

 

「ごめん、遅くなった。話はオベロン様から聞いてるから」

 

「カリスちゃん達に任せておけばキラキラリーだよ♪」

 

「グラウ、攻撃モードへ移行するわ!」

 

「このヘレナ達、ディスラプターズが居れば朝飯前だぞ。くふっ」

 

 

「あっ!困ってる人がいる!」

 

「ヘレナはこっちから攻めてやろう」

 

「まずは敵の情報を収集することからね」

 

 

三人がバラバラの方へと向かってゆきレーヴァがため息を吐きながら追いかけてゆく。

 

 

「みんな来てくれたんだね。嬉しいよ」

 

「私達は研究所までついて行きます」

 

「この剣先に続けぇ!!」

 

「アルマス、研究所はこっちだよ!」

 

「今のは景気付けなんだから!」

 

「早くこちらへ」

 

 

リルティルを先頭に教会を飛び出し異族ひしめく草原を研究所へと向かってゆく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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