ん、うぅん、、っと目を覚ますと柔らかな感触を感じて辺りを見てみるとソファーの淵に背を預けているスロウスの姿が。それを見て僕がソファーで寝ているという事を理解した。
「スロウスが寝かせてくれたの?」
「私以外誰がそんな事するって言うのよ」
「ありがとね」
「別に。起きたなら早く退いてよ、私のソファーだから」
そう言われゆっくりと身体を起こし立ち上がり身体中にあった傷を確認すると完治しているようでもう痛みは感じなかった。
寝ぼけた頭と空腹を満たす為にリュックを開けてその中からパンとコーヒーを取り出しご飯にする事に。
「スロウスも食べる?」
「私はいい」
素気なく返事を返しながらノソノソとソファーに寝転がり目の上に腕を置いていた。それを見ながらパンをかじりコーヒーでそれを流し込み食後の煙草へと火を付け次の部屋へと続く扉に向かい歩き出した。
「ねぇ」
「んっ」
「その部屋にいる奴は私より強いから」
寝転がったまま目だけ僕に向けてそう忠告された。
「知ってる。ありがとね」
そう答えその扉を開けその奥へと進んでゆく。
その扉を抜けた先の部屋は何もなくただの広い部屋だ。その部屋の中心に佇む少女が一人。
「やぁ、元気だった?」
「あなたは、、、また懲りもなくここに来たのですね」
部屋に入って来た僕に冷たい眼差しを送りため息を吐くティルに向かい歩いてゆく。
「まぁそう言わずに聞いてよ。僕はね、君の元に辿り着く為にいっぱい修行してここまで一人で来たんだよ」
「僕の人生でここまで頑張れた事は無いって言い切れるぐらいにさ」
「それがどうしたと言うのですか?話の意図が私には分かりません」
「それよりこんな奴をここに通すだなんて、博士の命を守れない彼女達には粛清が必要ですね」
「まぁまぁ、これに見覚えない?ほら、二人でラグーナ島に行った時買ったやつ」
服の中にしまわれたネックレスのトップを取り出し見せると鼻で軽く笑われた。
「以前は見逃しましたけどここまで来てしまったのなら処理するしかありませんね」
思い出してはくれなかったようだ。それなら残された道は一つ。
「僕はさ、君の事こう呼んだことは一度も無かったけど呼ばせてもらうね」
「かかってこいよグリード!!絶対に記憶を取り戻させてやるからな!!」
「ただの人間がどうやってここに辿り着いたか分かりませんがこれ以上あなたの好きにはさせません。その命、奪わせてもらいます」
部屋に鞘から剣を抜く音が聞こえた時にはすでに二本の剣は重なり合い金属音を響かせながら打ち合い睨み合う。
「少しはやるようですね」
「努力したからねっ!」
重ね合った剣を押し込み後ろへと下がり踏み込み一閃を繰り出すのだが難なく避けられ反撃の一閃が迫る。
「おっと」
それを身体を仰け反らせ躱し繰り出した一振りがティルの胸元に傷を付けた。
「くっ!!」
「もう少しおっぱいが大きかったら致命傷になってたね」
傷口を指でなぞりその血を握り潰すと僕の元へと駆け出し上段へと向けた一振り。
「ちっ」
「もう少し身長が高ければ首を斬れましたね」
顎に付けられた切り傷を気にする事なく踏み出し繰り出した一閃をぶつけ合いギリギリと鍔迫り合う。
「どうして私と対等に戦えるのですか」
「ずっと君が戦う所を見てたからだよ。だからグリードの戦い方はお見通しだよ!」
力を込め鍔迫り合う剣を押してゆくとふっと剣が軽くなった。
「!!」
態勢を崩し前へとよろけると顔を狙い勢いを付けた右足が迫る。
「っと!!」
それを屈み躱しその首向けて剣先を突き出すと難なく避けられバックステップを刻み距離を取られていた。
「今日は水色なんだね」
「私がどのような下着を履いていようと関係ありません」
さぁどうする。ある程度動きは読めるとしてもまだティルは本気を出していないだろう。長期戦になればこちらが不利になる。だが、簡単に勝てる相手ではない。
「少し時間をかけ過ぎてしまいました。遊びは終わりです」
「私に傷を付けた事、それに敬意を表し私はあなたの全てを奪います」
その言葉と共に背後へと無数の武器を出現させると部屋が闇へと染まりティルの姿が闇へと溶けてゆく。
「壊滅させてあげるわ」
その言葉を最後にティルの姿は闇へと消えた。次に姿を見せる時は連撃を叩き込む時。それならば。
「黒式、、、、、、」
剣を鞘へと納め腰を落とし全神経を研ぎ澄ませてゆく。姿を見せた瞬間に討たなければやられる。
…………………………………
討つ?僕が?ティルを?僕はそんな事をしにここに来たんじゃない。僕はティルを連れ戻しに来たのに、、、。
「今、迷いましたね。戦場での迷いは死に繋がります」
「!!」
「私に迷いはありません。必ずあなたを、、、殺す」
部屋に響く冷たい声。何処だ、何処からだ。
耳を、鼻を、目を、全ての感覚を研ぎ澄ませているのに何処からなのか検討が付かない。
長いような短いような時間を過ごしやがて僕の目の前の闇が盛り上がった。
「一紅閃っっっつ!!!」
その場目掛けて一気に加速し全力を込めた一振りを繰り出した。
「えっ?」
「さようなら」
空振り。そう理解した時にはもう遅かった。具現化された武器と共に地上へと飛び出しながら放たれる連撃。
咄嗟に横へと飛び跳ねたのが功をそうし何とか回避しその着地の瞬間を狙おうと両手で剣を握ろうとした時に異変に気が付いた。
左腕が無いのだ。
おかしい。全身に脂汗をかきながら床を見てゆくと落ちている左腕を見つけてしまった。
「あぁぁぁぁあああああっっ!!!!!!」
全てを理解した瞬間から想像を絶するような痛みが左肩から全身へと駆け巡りその場に倒れ込み右手で切断面を押さえ込んだ。
「死ね」
その言葉で顔を上げると頭上より剣を振り下ろそうとするティルの姿が。
「ははっ、ここまでか、、」
全てを諦め最後の瞬間を迎える為にギュッと目を閉じた時に乱暴に扉を開く音が聞こえ目を見開いた。
「絶・参戦ッッッッ!!!」
その言葉と共に僕の横を通り抜けた女の子がティルを蹴っ飛ばした。
「あ、あるます、、、?」
「私だけじゃ無いわ、みんなも来てくれたんだから!」
「ユウっ!すぐに手当をします!」
「りるてぃる、、、」
「前衛は任せたわ。歩ける?」
「肩貸して、らぐなろく、、。」
「やはりキル姫を従えていたようですね。何人が相手でも私は構いません」
その言葉と共に起き上がったグリードがゆっくりと剣を構えた。
「アルマス!少しの間お願いします!」
「絶・任せて!私が相手よ、これ以上私の友達には指一本触れさせないんだからっ!!」
背中に虹色の羽を現出させ地面スレスレを這うようにアルマスが舞寄ってゆく。
「その程度のスピードで何をしようというのですか?」
「こうするのよ!」
手のひらへと魔力を集め氷弾を放ち牽制しながら接近してゆく。
「はっ、下らないですね」
放たれた氷弾を切り崩しその破片をアルマス向けて打ち返してゆく。
「!!」
その瞬間に反転しその勢いで羽を使い破片を薙ぎ払い身を守りながら突っ込んでゆく。
「あんたには分からないの!?ユウがどれだけ必死になってここまで来たか!!」
「私には関係の無い話をするのはやめて下さい。耳障りです!」
朦朧とする意識の中甲高い金属音が響くのが僕に聞こえた。
「ここなら大丈夫ね、ゆっくり置くから」
「はい。少し痛むと思いますけど我慢して下さいね」
壁際へ寝かされビリリと僕の着ていた上着を破くとそれを断面にキツく結びつけてくれた。
「いででででででっ!!」
「ユウをお願いね。私も加勢に行くわ」
「はい、私ももう少ししたら行きます!」
振り返り僕の頭を撫でると鍔迫り合う二人に向かいラグナロクが駆け出して行った。
「ユウ、聞いて下さい。グリードは私達三人がかりでも勝てるかは分かりません。勝てたとしてもその、、、」
「分かってるよ。僕は何も言わない」
「善処はしますので」
結び目の確認をした後走り出したリルティルの背を目で追っていた。
……………………………………………………………
鍔迫り合い睨み合う二人の横から蒼い影が躍り出る。それに気が付いた瞬間に力を抜きその場を離れると予想通りに事が運んだ。
「邪魔!!」
「ラグナロクが私の邪魔をしているよ!!」
剣と剣がぶつかりそれに苛立つ二人を冷めた目で見ていた。
「二人共喧嘩しないで下さい!力を合わせないとグリードに勝つ事は出来ません!」
「私一人でも十分なんだから!」
「私もアルマスと力を合わせるつもりは無い」
羽を広げ接近してゆくアルマスの後ろからラグナロクが地面を駆けその後ろにリルティルが続く。
「はぁぁぁぁっ!!」
加速力を威力に変換した横一閃を真正面から打ち込みそれと剣がぶつかり合い轟音を起てる。
その二人を軽々と飛び越えグリードの背後からラグナロクが一閃を繰り出すのだが。
「くっ!!」
馬蹴りがラグナロクの腹を捉えアルマスと鍔迫り合う剣を持ち替えながら飛び上がり器用に回し蹴りを打ち込み吹き飛ばしていた。
その横から狙うのは灼熱を身にまとい自らを蜃気楼に変えたリルティルの不可視の剣技。
「食らいなさい!グリードっ!!」
最接近し宙に浮く剣を突き出したのだが鍔迫り合うアルマスの首を掴みアルマスを引き寄せ身を入れ替えその剣を防いだ。
「!!」
「うわぁっ!?」
それに躊躇い剣を止めるとアルマスを投げつけられその勢いを止められず2人共々壁へと叩きつけられていた。
「その程度で私に立ちはだかったのですか?」
壁際で苦しそうに咳き込む二人に向かいそう呟いていた。そこに八本の剣を幻術させたラグナロクが迫る。
「黄昏の九剣をその身で味わいなさい!」
縦横無尽に動き回る剣と共にグリードに向かい斬り込んで行くのだがその全てを斬り伏せラグナロクと鍔迫り合う。
ギリギリと火花を散らし睨み合う中ふとグリードの口角が上がった。
「!!」
鍔迫り合う力を抜きその場に屈み前のめりとなったラグナロクを掴むと二人の元へと投げ放った。
「もう抵抗は終わりですか?ならあなた達の全てを私が奪います」
「くうっ、、」
「ラグナロク、アルマス、聞いて下さい。私達の力をアルマスに預けたいと思います」
「そんな事できるの?」
「はい、アルマスの持つデウス・エスク・マキナの力は皆と繋がる力です。三人がかりでは無理でも三人の力を合わせれば勝ち目はあると思います!」
「分かった。動けるアルマス?」
「もちろんよ。それでどうすれば良いのよ」
「剣を掲げて下さい」
アルマスが高く剣を掲げそれにリルティル、ラグナロクが剣を合わせるとアルマスの剣から凍えるような冷気が現れそれを優しく風が靡かせ二つを暖かな陽だまりが包み込む。
「頼んだよアルマス」
「お願いします、アルマス!!」
「絶・任せて!グリードォォ!!!」
三つの力を合わせた剣を持ちアルマスが吠え一直線にグリードへ向かう。
「何をしたかは知りませんがその全てを奪うまでです」
剣技を繰り出すアルマスを真っ向からその剣と剣をぶつけ合わせた。
重厚な金属音をたてながら二人が剣と剣を押し合ってゆくが僅かにアルマスが劣勢。
「ぐっ、ぐぅぅぅっっ!!!絶・根性ぉぉぉぉぉぉお!!!」
全てを解放したアルマスの一押しでその場を盛り返した。その姿に二人が叫ぶ。
「アルマス!!」
「アルマスッッ!!」
「これが私達のっっ!力なんだからっ!!!!」
力を込め合う剣にピシリと亀裂が入りやがて砕け散った。
「そんなっ!?嘘、私がっ!?」
「せいっっっ!!!」
クルリと回り勢いを付けた一閃を繰り出すとその風圧によりグリードが壁に叩きつけられやがてその身を床に横たわらせた。
「絶!撃破ぁっっ!!!!」
それを見て剣を高く上げ勝利を宣言していた。
「ティルは?てぃるは、、、?」
「大丈夫です、気を失っているだけです」
倒れているティルの頭を撫でながらリルティルがそう言ってくれた。
「良かった、、、三人共大丈夫?」
「何とかね。本当に強いのね、このティルフィングは」
「本当に助かったよ、本当にありがとうね。上は、地上はどうなってるの?」
「安心してもう異族は全て倒したわ」
「はぁ、、、良かった、、、」
「はい。拾ってきたわよ」
「ん、ありがと」
アルマスから剣を受け取りその後沈黙。そしてある事を思い出していた。
「アルマス、肩貸してくれないかな?」
「いいけど何かするの?」
「最後の部屋に連れてって欲しいんだ。そこに博士が居るらしいからさ」
「博士?」
「多分この事件の首謀者だと思う。頼めるかな?」
「任せてよ」
何度もよろけながら立ち上がりアルマスの肩を借りて最後の部屋へと続く扉へと向かってゆく。
「開けるわよ」
「うん」
その扉を開くとそこには巨大な水槽が置かれておりその中に眠る女の子の姿が。
「あれはっ!トレイセーマで行方不明になっていた八咫鏡!?」
リルティルが駆け寄って行くとその影から一人の男が顔を出した。
「むっ、騒がしいと思っていたがまさかここに辿り着くキル姫が居るとは、、、」
「あなたは誰ですか!?」
「お前は、、以前黒ティルを作り出した博士だな!?」
「その通りだ、お前はあの時私の邪魔をした小僧か。またお前に邪魔をされてしまったようだ」
「何の理由でこんな事をしたの、、、?」
「ふんっ、私はこの世界を征服したくてね。八咫鏡の力をこの機械で増幅し人間、キル姫、異族の記憶を書き換えたのだよ。するとどうだ、人間はキル姫の事を忘れキル姫は我が手下となった。そして異族は人間を食らいやがて絶滅へと追い込むだろう」
「………アルマス、ちょっと離して」
「何するつもり?」
「ちょっとね」
まだ話を続ける博士の元へとゆっくりと歩いてゆきため息を吐いた。
「その続きは地獄でゆっくりと話してなよ」
その理由に我慢が出来ずその首を斬り落としてしまった。ゴロリと転がる首と力無く倒れるその身体を見て目を背けた。
「………………」
「大丈夫よ、この人は裁かれるべき人。気を落とさないで」
その場に立ちすくむ僕の肩をラグナロクが抱いてくれた。
「操作すればこの機械を止める事ができそうです」
「お願いするわね」
カタカタとリルティルがボタンを押すと水槽の中に居る八咫鏡が水槽より吐き出されていた。
「これで全て解決ですね」
この言葉に落胆のため息を吐いていた。そんな時扉が開き勢い良く入って来た人が。
「マスターっ!!」
「やぁティル。記憶がもどった?」
「記憶ですか?目を覚ましたら知らない場所に居てマスターのバイブスを感じてここに・・・」
片腕を無くした僕を見て全てを思い出したのかその顔がどんどん暗くなってゆき顔を伏せた。
「そんな、まさか、、、私が、、、」
「気にすんなって操られていたんだから仕方ないよ」
肩を震わせ伏せた顔から雫が落ちてゆく。そんなティルにゆっくりと近づいてゆく。
「おかえりティル」
「ごめんなさい。もう私はマスターの側には戻れません、、、」
顔を伏せたまま扉へと走り出したティルへ言葉を投げる。
「ティル、結婚しよう」
「私にはその資格はありません。ごめんなさい」
そう言ってドアノブへと手をかけ扉を開いていた。
「じゃあユウは私が奪いますね、宜しいですか?」
ひょっこりと僕の横から顔を出したリルティルがそう告げる。
「ユウは私が貰っていくわ。彼とならバイブスの在り方を見つけられる」
僕の後ろからラグナロクがそう言った。
「あっ!ズルいわよ!その、えっと、そう!ユウは私と来なさいよ!」
慌てながらアルマスも僕の横に来てくれた。
「ティル、ずっと僕の側にいて欲しいんだ。ダメかな?」
「…………」
何も言わず部屋から出ようとする姿にリルティルが叫んだ。
「返事をしなさいグリード!ユウはあなたに会うためにここまで一人で来たのです。それを無駄にするつもりですか?」
その言葉で動きが止まりゆっくりと振り返り僕を見た。それに微笑んで返す。
「ますたぁ、、、私、まだ側に居て、良いんですか、、、?」
「うん、僕がそう望むんだ。良いかな?」
「、、、、、はいっ」
振り返り駆け寄るティルとギュッと抱き合った。そんな僕達を見て三人が微笑みながら見ていてくれた。
「ちょ、痛い痛い!!」
「もう離れません、ずっと、ずっと側に居ます!」
そんな時機械の裏側から顔を出した二人が居た。
「あれ〜〜こんな所で何をしているのですか〜?」
「どうしたのヴァナルガンド?ってユウ君?って酷い怪我じゃない!?」
「色々合ってね、、、」
「色々じゃない!その左腕はいつ斬られたの!?」
「30分ぐらい前かな?」
「抱き合ってる場合じゃないわよ!傷口見せなさい!!」
ティルから離れ断面に巻かれていた上着を解きアクスレピオスが傷口を見てくれていた。
「処置は完璧ね、ならまだ間に合うわ!早く取ってきなさい!」
「そんな事言われても、、」
「私が拾ってくるわ」
部屋から出て行ったアルマスを見てアクスレピオスとヴァナルガンドが頷き合った。
「今のうちに魔力を貯めるわよ!」
「は〜い♪」
「拾ってきたわよ」
上着の袖を摘みながらアルマスが戻ってきてくれた。
「もっと丁寧に持ってくれないかな?」
「はいはい、無駄口叩いてる暇があったらここに寝転がる」
いつの間にか地面に描かれていた魔法陣の上に寝転がるとその断面に左腕が置かれた。
「いくわよ!」
「はい♪我が杖に宿し力よ、今ここにその力を示してくださ〜い♪」
二人が魔法陣へと杖をかざすと光が溢れその光が止む頃には僕の腕がくっ付いていた。それを動かしてみると違和感なく動かす事ができた。
「成功のようね。ユウ君にかかっていた治癒魔法が無かったら危なかったかも」
「本当に助かったよ、ありがとね」
とりあえず煙草を吸おうと上着のポケットを探ると血が染み込んだ煙草の箱が。諦めず蓋を開けて取り出してみるとフィルターからぽっきりと折れてしまった。
「あはははは、、帰ろっか」
その言葉を合図に七人が歩み始めた。
………………………………………………………
それから僕は地上に戻った後みんなに頭を下げ続けていた。どれぐらい下げたかというと頭が取れてもおかしくないぐらいに。えっ?伝わらない?
それでもみんなは笑ってこれぐらいの事助けたうちに入らないと言ってくれた。
「それで、本当に結婚するの?」
「うん。ティルが良いって言ってくれれば?」
アルマスにそう聞かれそう言って目線をティルに向けると恥ずかしそうに俯き(はい)との返事がもらえた。
「ならティルヘルムの城で式を挙げましょう♪オベロン様には伝えておきますね♪」
「やるのなら盛大に行うわよ。ケイオスリオン総力を上げて手伝ってあげるわ」
「それならばハルモニアも力をお貸しますね♪」
「それなら私達も、ね」
「えっと、、、?」
「十日後にティルヘルムへお越し下さい。それまではこちらで過ごしていて下さいね♪」
そう言ってみんなは帰って行き残されたのは僕とティルの二人だった。
「帰ろっか」
「はい」
少し躊躇いがちのティルの手を掴み奇跡的に無傷だった僕達が住むアパートへと帰ってゆく。
階段を登り玄関の鍵を開けドアを開きゆっくりと二人で部屋の中心へ。
「…………」
「…………」
「おかえり、ティル」
「ただいま、マスター」
しっかりとティルを抱きしめそれにティルも抱きしめ返してくれた。