※この作品はR-18です。

黒ティルと僕と   作:やす、

180 / 201
ヤンデレウコンちゃん

夕食を食べにリビングに行くと机に顔を付け両手を伸ばし切ったギルの姿が。

 

 

(何かあったのでしょうか?)ヒソリソ

 

(関わるとろくな事がないから無視だよ)ヒソリソ

 

 

別に何か嫌な事があったはずは無いのだけどなんとなく本能の警告に従い話しかけて欲しそうなギルから一番遠いところにある椅子に座ることに。

 

 

「はぁ、、。誰か話を聞いてくれないかなー」

 

 

 

まだコマンド達やアルマス達は居らず静かなリビングにギルの構って欲しそうな声が聞こえているが聞こえないふりを貫く事に。

 

 

チラチラ

 

 

(こっち見てますよ)ヒソリソ

 

(しょうがない、構ってあげようか)ヒソリソ

 

「どうしたの?ギル」

 

「聞いてくれよ兄さん、グリードさん」

 

 

待ってましたと言わんばかりにこっちに来て愚痴やら何やらを話していた。聞くと今日ケイリオスリオンに行って散々な目にあったようだ。

 

 

「良いよな兄さんは、グリードさんがいて」

 

「どういう事?」

 

「俺も嫌な事があった時や辛い時に癒してくれる人が欲しいんだ」

 

 

僕とティルを見ながらそう言っていた。つまり恋人が欲しいようだ。

 

 

「モテそうなんですけどね」

 

「そんな事言ってくれるのはグリードさんだけだよ、明日もケイオスリオンに行かないと行けないから癒しを下さい!」

 

 

そう言われて顔を見合わせ頷くとティルがギルの頭を撫でていた。

 

 

「明日もお仕事頑張って下さいね♪」

 

「っしゃ!頑張れる気が湧いてきたぜ!」

 

「何よりだよ」

 

「ごめんなさい、今から作りますね」

 

「手伝いますよ」

 

 

そんな感じで夕食当番のミネルヴァを手伝いみんなで夕ご飯を作りご飯の匂いに誘われてやってきたみんなと楽しく夕食を食べるのであった。

 

 

「明日はお願いしますね」

 

 

ご飯を食べ終わりみんなで談笑しているとリルティルがギルの元へ行き話しかけていた。

 

 

「なんか大事な任務でも任せられたの?」

 

「明日ケイオスリオンに行って共同で使う農地の場所を決めに行くんだ。ほら、ティルヘルムって他の国に比べて領土が小さいから」

 

「そういう事ね。ならギルの対応次第ではこの国の運命が揺らいでしまうって訳ね」

 

「うっ、そうだけどいざ言葉にされると凄いプレッシャーだな、、」

 

「ギル君の頑張りならきっとフェイルノートを動かせると思います!頑張りましょう!」

 

「そうだよ、最後に愛が勝つんだからね」

 

「私もその資料を作るのを手伝ってあげますよ、こういう時に私の知を頼って下さいね」

 

「みんなぁ、、、」

 

 

コマンド達の励ましを受けながら机に紙を広げて書き込んでいた。微笑ましい光景である。

 

 

 

 

次の日。

 

 

 

「この資料だと伝えたい意味が伝わらないわ、作り直してきなさい」

 

 

ティルヘルム、ケイオスリオンで共同で行う農地計画書をフェイルノートに見せると目を通した後その場へと放り投げられていた。それを拾いため息を一つ。

 

 

「ティルヘルムの食糧問題の話なんだからしっかりと計画を練らないと私は首を縦に振らないわ」

 

「はい、作り直してきます、、、」

 

 

高圧的な態度で見下し話すフェイルノートに泣きそうになりながら城を出てゆく。

 

 

 

 

 

 

「流石に言い過ぎなんじゃないのか?後ろから少し見させてもらったけど良い資料だと僕は思ったよ」

 

「そうね、私を納得させる事ができる良い資料だったわ」

 

「ならどうしてあの様な真似をしたんだ?」

 

「彼はまだ若いわ、だから簡単に物事が運ばない事を教えてあげたの、これで折れる様ならそれまでだったって事よ」

 

「君らしいと言えば君らしいね、あんまり良い趣味とは言わないけど」

 

 

 

 

 

 

「はぁ、、、」

 

 

俯きながらティルヘルムに帰る為道を歩いていた。せっかくみんなと考えて作った資料をあの様に扱われボロボロになった心を引きずりながら歩いてゆく。

 

 

(はぁ、、こんな時癒してくれる女の子が居てくれたら)

 

 

何度目か分からないため息を吐くと誰かにぶつかり転んでしまった。すかさず謝りぶっかった主に目を向け謝罪の言葉を口にしていた。

 

 

「いてて、ごめん。よそ見してた」

 

「私の方こそごめんね、掴まって」

 

 

お尻をさすりながら差し出された手を掴み立ち上がりお礼の言葉を。

 

 

「君はケイオスリオンで見かけない顔だね、何処から来たの?」

 

「俺はティルヘルムの外交官やってんだ。ギルって呼んでくれ」

 

「そうなんだ、私はウコンバサラ。気軽にバサラって呼んでよ」

 

 

笑顔でそう言ってくれるウコンバサラにドギマギしながら顔を見ていた。

 

 

(やべ、めっちゃ可愛い、、、)

 

 

鮮やかな青い髪を頭の上で二つお団子に結び肩まで伸ばした後ろ髪。俺より低い身長で黒いマスクにより強調されたウルウルとした瞳で見上げられ心を撃ち抜かれていた。

 

 

「君は、うん。凄く頑張っているんだね」

 

「頑張っているつもりだけど、どうして分かるんだ?」

 

「私にD.plugされているのはヴィネ。ヴィネには過去、未来、そして現在を見る事ができる力があるんだ。少しその力を使ってギル君の事を見させてもらったよ。もしよかったら私の力をギル君のために使わせて欲しいな」

 

 

、、。城のみんなが俺の苦労を分かってくれている事は分かっている。だけど初対面の人に心の奥底を見透かされた様な言葉をかけられ心を握り締められた。

 

 

「じゃあお願いするぜ」

 

 

その言葉にウコンバサラは微笑みながら頷きギルの手を取った。

 

 

「私のお城に行こう。そこなら誰にも邪魔されずに二人っきりになれるよ」

 

 

違和感のある言葉だったが(二人っきり)に浮かれウコンバサラに手を引かれながら街を抜け人気の無い山間部へと連れて来られていた。

 

 

「どこまで行くんだ?」

 

「もうすぐ着くよ。あまり人目に付くのは好きじゃなくってさ」

 

 

鬱蒼としげる木々を見ながらしばらく歩くと石で作られた小さなお城が見えてきた。

 

 

「こんな所にお城なんてあったか?」

 

「私が作ったんだよ。さぁ入って」

 

 

城と同じ石で作られた重々しい扉を開け入る様に促され城内へと入ってゆくと赤い絨毯が引かれており机と椅子だけのシンプルな部屋を見る事ができた。

 

 

「まずはギル君の作った資料を見せて欲しいな。そこから改善点を探していこう」

 

「お願いします」

 

 

手を繋がれたまま机まで歩いてゆきそこでやっと手を離してくれた。カバンから資料を取りだし机の上に置き向き合う形で両者が席に着いた。

 

 

「ふんふん、ちゃんとまとめられているし読み辛い所も無いし、内容がすらすらと入ってくる良い資料だよ。ギル君偉い偉い」

 

 

資料を読み丁寧に机の上に置くとギルの頭に向かい手を伸ばし頭を撫でていた。

 

 

「やっぱりそうだよな!みんなで一緒に作ったんだぜ!なのにフェイルノートさんの奴、、、」

 

「ふーーん、皇帝に拒否されたんだ」

 

「でも国に関わる事だし簡単に許可を出せる物では無いと思うんだけどなー」

 

「分かった、私に任せてよ」

 

 

そう言うと資料を手に取り椅子から立ち上がった。

 

 

「任せてって何を任せれば良いんだ?」

 

「安心して、ギル君はここで待っていてね」

 

 

資料片手に城を飛び出していったウコンバサラに呆気に取られながら椅子に座り呆けていた。

 

 

しばらくして可愛らしい笑顔のウコンバサラが戻ってきた。

 

 

「ただいま。皇帝からサイン貰ってきたよ」

 

「えっ!?マジかよ!?」

 

「ほら、ここを見て」

 

 

先程の書類には確かにフェイルノートのサインが。さっき断られたはずなのに。

 

 

「一体どうやったんだ!?」

 

「ちょっとお願いをしただけだよ」

 

 

可愛らしい笑顔で微笑むウコンバサラ。その目に光が無いことに気が付かず手を握り締めていた。

 

 

「マジで助かったぜバサラさん!これでみんなにいい報告ができるぜ!」

 

「ギル君の手、暖かくて優しい手だね」

 

 

初対面の女の子の手を握っている事に気が付き慌てて手を離すと腰に手を回され抱き締められた。

 

 

「バ、バサラさん?!」

 

「ずっと私の城に居てよ、そうすれば君が傷付く事なんて無いんだからさ」

 

 

じんわりと服越しに伝わる体温に押し付けられる柔らかな物。甘く香る匂いにクラクラと理性が揺れる。

 

 

「ふふっ、良いよ我慢しなくても。私もこうしていると我慢できなくなるからさ」

 

 

身体を離すと背伸びをし目を瞑りながら唇を向けた。その誘惑に抗う事なく唇を重ねてゆく。

 

 

「えへへ、もっと君の事が知りたくなっちゃったよ。君が良ければもっと君の事を教えてよ」

 

 

甘美な言葉に頭を縦に振ると手を引かれ別の部屋へ。部屋に一つだけ置かれているベッドに押し倒されていた。

 

 

 

(うわぁ、へぇ、こんなに大きくなるんだね)

 

(お口?良いよ)

 

(こふぅ?もひょひてあけるね)

 

(ゴクッン、えへへ、そんなに私の口が気持ちよかった?)

 

(うん、良いよ。私の初めてギル君にあげるね)

 

(中に出したいの?約束してくれるなら良いよ、私の側を離れないって)

 

(うん、約束だよ)

 

 

 

…………………

………………

……………

…………

………

……

…

 

 

 

 

 

 

 

「ギル遅いね」

 

「何かあったのでしょうか?」

 

 

みんなで夕ご飯を食べ終えたのだが未だ帰って来ていないギルを心配しているのだが帰ってくる気配は無い。

 

 

「ラップをして置いておきましょう」

 

 

テーブルに置かれたご飯にラップを巻きつけ置いておく事に。

 

 

「今日の任務はフェイルノートに書類を見せに行くだけなのですか?」

 

「はい、頼んだのはそれだけなのですが、、、」

 

 

壁にかけられた時計を見ると午後九時になろうとしていた。何か合ったとしても戻ってくるのが遅すぎる。

 

 

「誰かに襲われたとか?」

 

「その様な事をすれば大問題になる事を分かっているはずです。フェイルノートがいる限りその様な事はあり得ません」

 

 

平穏を保つために特別な理由が無ければ各国の民に手を出す事は法により定められている様だ。

 

 

「ちなみに僕達にもそれは適応されるの?」

 

「はい、ティルヘルムの住民として登録してありますので、ラグナロク達もですよ」

 

「ふむ」

 

 

僕はともかくコマンド達やティルに喧嘩を売る人が居るのか?と疑問を持ちながら缶ビールのプルタブを起こし口に運んでいた。

 

 

「どうせ今頃フェイルノートに言い負かされて涙目土下座でもしているわよ」

 

 

椅子の前足を浮かせ後ろ足だけで器用にバランスをとりながら缶チューハイを飲んでいるアルマスがそう言っていた。

 

 

「お説教にしては長すぎます。フェイルノートはこの時間は寝ているはずなので」

 

「見た目通りお子ちゃまのようだな」

 

 

豪快に笑うグラーシーザに悪口はやめなさいっ!とネスがツッコミを入れていた。

 

 

「その理屈でいくとネスも寝てないとおかしいよね?」

 

「私は日頃から規則正しい生活をしているので大丈夫です」

 

 

そう言う割には甘そうなお菓子の袋に手を入れぽりぽりとかじり酎ハイで流し込んでいた。

 

 

「ハイボールにしますけどユウはどうします?」

 

「んー、このままビールで」

 

 

飲み干した缶を置き次の缶に手を伸ばそうとした時に勢いよくドアが開かれた。

 

 

「うわっ!?」

 

「アルマス、君を傷害の罪でケイリオスリオンに連行させてもらうよ」

 

 

ドアを開けた主はパラシュだった。部屋に入るなりアルマスに向かい歩いてゆく。

 

 

「なにかあったのでしょうか?」

 

「今日の昼過ぎにフェイルノートが何者かに襲われて重傷を負わされたんだ。ついさっき目を覚まし犯人の特徴を教えてくれて今犯人探しをしているんだ」

 

「ふむ。でもアルマスにはフェイルノートを襲う理由も無いしアルマスはずっとここに居たよ?」

 

「君の弁解は聞いていないよ、それは本人に聞かせてもらう」

 

「あの、アルマスはここに居るのですが、、。」

 

 

申し訳なさそうに話すティニ。指差す方を見るとドアを開けた勢いに驚きバランスを崩し転倒。その時頭を強くぶつけた様で目を回しているアルマスが。

 

 

「あれま」

 

「全く、愚かね」

 

「こんな間抜けにフェイルノートがやられる訳無いとは思うけど連行させてもらうよ」

 

 

気を失っているアルマスの肩を担ぎ歩き出したパラシュ。それを見てみんなが頷いていた。

 

 

「僕達も犯人探しを手伝うよ」

 

「このままアルマスが犯人扱いを受けるのは可哀想なので」

 

「お仕置きをさせるアルマスを見たい気持ちもありますけどね」

 

「うん、助かるよ」

 

 

城を出て竜やら馬やらを召喚しケイリオスリオンへ向かう事に。

 

 

 

その頃。

 

 

「私の中ギル君ので一杯になっちゃったよ、でもまだ注いでくれるんだよね?」

 

 

下腹部を撫でながら潤んだ瞳でギルを見上げている。その表情に昂りを感じながら部屋を見ると午後11時になろうとしている時計を見つけた。

 

 

「そうしたいのは山々だけどそろそろ城に帰らないとみんなが心配しそうなんだ。明日またここに来るからその時でも良いかな?」

 

 

その言葉に先程まで優しい笑顔だったウコンバサラの表情が一転した。

 

 

「それはダメだよ。君はこの城にずっと私と一緒に住むんだ。約束したじゃないか」

 

 

生気の無い瞳で薄ら笑いを浮かべる表情に本能が警告を鳴り響かせる。このままだと帰る事はできないと。

 

 

「安心して、食事もお風呂も睡眠も君の身の回りの事は全部私がやってあげるよ。それに私の身体をいつでも好きな様に使ってくれても良い。だからここから出て行くなんて言わないで欲しいな」

 

 

ギュッと掴まれた右手がミシミシと悲鳴をあげる。キル姫であり斧使い。強靭な握力に首を縦に降らざるを得なかった。

 

 

「分かったぜ、俺はずっとここに居るよ」

 

「君ならそう言ってくれるって信じてたよ。汗も流したいし一緒にお風呂に行こうよ」

 

 

握っていた手を優しく握り直し一糸纏わぬ姿で部屋を進んでゆく。太腿を伝う体液を気にも止めずに。

 

 

(ヤバい、このままだとヤバい)

 

 

手を引かれながら必死にここから脱出する術を考えていた。

 

 

「そうだ、お風呂の前にトイレに行かせてくれないか?」

 

「良いよ、でも私と一緒じゃ無いと嫌だよ」

 

 

手を引きトイレの前で目を見ながら言われ無言のプレッシャーを感じながら知恵を絞る。

 

 

「俺大きい方がしたいんだ。昨日肉沢山食べたから絶対臭いしバサラさんにそんな所見せるの恥ずかしいしさ!」

 

「ふぅん、分かったよ。ドアの前で待っているね」

 

「すぐ出してくるからな!」

 

 

ウコンバサラの手を解きトイレの中へ。便器の上にある小さな窓を見つけ睨んだ。

 

 

(今だ)

 

 

便器に立ち窓を開け身を捻り込むが肩がつっかえそれ以上身体を出す事ができないでいた。

 

 

(くっそ、無理か、、、)

 

 

窓を睨み聞こえない様にため息を吐きトイレを出てゆく。

 

 

「君はトイレを使った後水を流さないんだね」

 

 

迂闊だった。窓に気を取られトイレを使うという事をすっかり忘れていた。疑いを宿した瞳でじっと見つめられ慌てて弁解の言葉を。

 

 

「あっ、その、、いや、あはは、ウンコかと思ったらオナラしか出なくてさ!寒いからお風呂入ろうぜ!」

 

「うん、分かったよ」

 

 

風呂場で互いの身体を洗い合い気がつけば湯船に二人並んで浸かっていた。

 

 

「こうして二人でお風呂に入ると気持ちが良いね」

 

「そ、そうだな」

 

「そうだ、さっき私のヴィネの話はしたよね」

 

「おう、過去、未来、現在を見る事ができるんだよな」

 

「うん、分かっているなら良いんだよ。今はね、君と毎日楽しく過ごす未来が見えているんだ」

 

 

遠回しに警告を出されていた。私の側を離れる事はできないと。結んでいた髪を解き笑顔を浮かべるウコンバサラ。水面に浮かぶ影に蛇が絡み付いている事に気がつく訳もなかった。

 

 

 

その頃ケイリオスリオンには青髪のキル姫が集められ尋問が行われていた。

 

 

「だーから!俺が皇帝に手を出す理由なんて無いだろ?」

 

「うぇぇーん、モラ、怖いよぉぉ」

 

「私が他国のキル姫、それもフェイルノートに手を出すなんて考えもしないよ。あっ、でも性的な意味なら分からないけどね」

 

「偉大なる強さを持ったこの私でも流石にそんな事はしないよ」

 

「私は皇帝に絶対の忠誠を誓っておりますわ、断じてその様な事は致しません」

 

「与一ですかぁぁっ?一人で鍛錬をしていたのでアリバイはありませんけど、、、」

 

「私がフェイルノートに手を出す意味なんて無い」

 

 

方天画哉、ベガルタ、スラーンド、ケラウノス、与一、デュランダル、カシウスが尋問を受けていた。この場にカシウスが居るのがすごく不自然だ。

 

 

(意外と青髪のキル姫って少ないんだね)ヒソヒソ

 

(もっと文字稼ぎできると思ってました)ヒソヒソ

 

「それで、この中にフェイルノートを襲った奴は居るのか」

 

 

集められたキル姫達を高座から見下ろすのだが答えはノーであった。

 

 

「それと、私がアルマスにやられる事など寝首をかかれたとしても有り得ないわ。目障りよ捨てておきなさい」

 

「了解だ」

 

 

まだ気を失っているアルマスがパラシュに担がれ城の外へと追い出されていた。

 

 

「フェイルノートはどういうキル姫に襲われたのか覚えていないのですか?」

 

「急に背後から殴られたんですもの。私はてっきりギルを罵った事をアルマスが復讐に来たのだと思っていたわ」

 

「うん、それなら弁解ぐらい聞いてあげよ?」

 

「まっ、この中に私を襲ったキル姫は居ないわ。夜中に失礼したわね」

 

 

そう言われて呼ばれたキル姫達は解放され各自家へと帰っていった。

 

 

「聞き込みを行いましょう。犯行は昼頃と聞いているのでその時間なら逃げる犯人を見た人がいるかも知れません」

 

「出た証言で得た物が青髪なんだよ、だけどそれも違うかも知れないね」

 

 

捜査は難航を極めているらしくウダウダとしている間にも酔いが回り段々と眠くなってきていた。

 

 

「やっと犯人を見つけたっすよ。ってまた随分と豪華なメンツが揃ってるっすね」

 

「でかしたわ雑賀。それで私に手を出した愚か者は誰なの」

 

「はいっす、犯人はウコンバサラ。ここから北に行った所にある森に根城を構えてるっす」

 

「ウコンバサラD.plugヴィネね。お前達手を貸しなさい」

 

 

高座から立ち上がると僕達に命令をしながら引かれた絨毯の上を闊歩してゆく。

 

 

「D.plugならこの国の問題じゃないかなー?」

 

「酔っ払った勢いでこの国に攻め込んだ事を忘れたとは言わせないわ」

 

「うわ、懐かしい」

 

「気になった方は147ページを読んでみて下さいね♪」

 

「行くわよ」

 

 

先陣を切るフェイルノートに続きその城を目指して行く事に。

 

 

鬱蒼としげる木々を避けながら進んで行くと小さなお城が見えてきた。

 

 

「ここね。お前達、ウコンバサラの生死は問わないわ全力で攻撃しなさい」

 

 

フェイルノートの言葉に武器を構え攻撃態勢へ。

 

 

 

 

 

「沢山作ったから全部食べて欲しいな」

 

 

お風呂が終わりキッチンに立つウコンバサラが料理を作りテーブルへと並べてゆく。その様子をただ見ていた。

 

 

「温かいうちに食べてよ、それとも私に食べさせて欲しいのかな」

 

「自分で食べるよ、いただきます」

 

「普段は自分の分しか作らないからちょっと自信は無いけど、どうかな」

 

 

恐る恐る口に運んでゆくが料理の美味しさに手が自然と伸びてゆく。その様子を見て満足そうに頷きウコンバサラも料理を食べ始めていた。

 

 

「ねぇ、ご飯を食べたらまたしようよ。不思議だね、君と居ると自然とこんな気持ちになってしまうんだ」

 

「…………」

 

 

恥ずかしそうに告げるウコンバサラを見ても恐怖心がチラつき言葉を出せずそれよりも早く城に帰りたい、そう思っていた。

 

 

「ご馳走様。片付けは私がしておくからゆっくりしててね」

 

 

食べ終えた食器を下げてゆく姿をぼーっと見ていると鼻歌交じりに食器を洗い始めていた。今が最大のチャンス。椅子を倒しながら玄関に向かい走り出した。

 

 

「あ、開かないっ、、!!」

 

 

石で作られたドアを押し、引き、叩くのだがビクともせず、それでも諦めずに手を尽くしてゆく。

 

 

「うわっ!?」

 

 

影から飛び出した一匹の蛇がギルに巻きつき大口を開け吠える。逃げようともがけばもがく程力強く締め付けられてゆく。

 

 

「何処に行こうとしたのかな」

 

 

声の方に目をやると生気の無い瞳でフラフラと歩いてくるウコンバサラの姿が。その手には鋭い光を放つ包丁が。

 

 

「約束、したよね。ずっと私の側にいてくれるって。約束したよね」

 

 

カツカツと足音を響かせついに目の前に。

 

 

「俺を包丁で刺すつもりか!?」

 

「そんな事しないよ。私凄く傷付いたんだ。でも心の痛みって分からないよね」

 

「だから見せてあげるよ。私の心の痛みを」

 

 

手にした包丁で左腕を切り付けてゆく。刃を滑らせる度に鮮血が溢れ腕を滴り落ちてゆく。

 

 

「ほら、これが私の心の痛みだよ。早くギル君に癒やして欲しいな」

 

 

切った腕を高く上げると血が伝い服を汚してゆく。血まみれになってゆくウコンバサラに、死んだ目をしたウコンバサラに目を離せなかった。

 

 

 

「早くベッドに行こうよ」

 

 

あどけなく笑うと蛇の拘束が解かれ床に落下。床を這いつくばりながら玄関へと後ずさってゆくと背に壁が当たり前を向くと薄ら笑いを浮かべたウコンバサラが。

 

 

「ベッドに運んであげるね。ん、ちょっと私達の邪魔をする奴等を潰してくるよ、すぐ戻るからね」

 

 

玄関を開けると外へと出て行った。それを見送る事しかできずにいた。

 

 

 

 

「ここに何か用があって来たのかな」

 

 

城の前に集う僕達を見ながら話す女の子が一人。

 

 

「ウコンバサラ。あなたを国家反逆罪で死刑とするわ。覚悟は良いかしら」

 

「生きてたのか、もっと強く殴っておけば良かったよ。私の邪魔をするのなら、潰す」

 

 

「きます!構えて下さい!」

 

 

リルティルの声が響いた後地鳴りが聞こえ地面から石の塊が湧き上がってきた。

 

 

「新手のスタンド使いか!?」

 

「んな訳無いでしょ!」

 

「潰す、潰す潰す潰す潰す潰す!!!!」

 

 

手にした斧で石を打ち払うと凄まじいスピードでこちらへと飛んでくる。当たればひとたまりも無いだろう。

 

 

「逃げろっ!!」

 

「なんてパワーしてるんだ!?」

 

「スイハ、フライシュッツ。隙を見て撃ち抜くわよ。お前達は囮として動きなさい」

 

「その命令はひどい!」

 

 

ギリギリと矢を引き絞る二人に標準を合わせてゆくフライシュッツ。だが。

 

 

「その攻撃はお見通しだよ」

 

 

自身の前に石を組み上げ矢を魔弾を防がれていた。

 

 

「それなら私が石ごと砕きます!」

 

 

斧を下方に構えながら戦場を駆けて行くエルキュールが勢いを付け斧を振り下ろした。

 

 

「そんなっ!?ビクともしないなんて!?」

 

「絶対に私達の安寧を邪魔させない」

 

 

立ち止まるエルキュールを石が取り囲んでゆく。それに気を取られ僕達も石の中へと閉じ込められていた。中から破壊しようとするのだが壊れる気配は無い。

 

 

「みんなまとめて石の中に閉じ込めてやる」

 

 

石の中から姿を見せたウコンバサラが能力を使おうとした時頭を押さえ苦しみ始めた。

 

 

「この手はあまり使いたく無かったけど禁じ手を使わせて貰ったわ」

 

 

何かの言葉を口にしながらフェイルノートが苦しむウコンバサラへ向かい歩いて行く。

 

 

「一体何をしたの?」

 

「D.plugされたキル姫は悪魔と契約を結んだキル姫。その時に結んだ契約に罰を与える言葉があるの。それを私は全て覚えているわ」

 

 

「さぁ、反逆者に罰を与えるわ」

 

 

ギリギリと弓を引き絞る先に悶え苦しむウコンバサラが。あまりの苦しみに能力が解け石が消えてゆく。

 

 

「ゔぅぅぅぁあぁぁっ!!絶対にっ、絶対に私が守るんだっ!!」

 

「そう。戯言はあの世で言いなさい」

 

「やめてくれフェイルノートっ!!」

 

 

フェイルノートが矢を放とうとした瞬間に誰かに押され放たれた矢は前髪に付けていた髪飾りを打ち抜いた。

 

 

「私の邪魔をするのなら覚悟はできているのでしょうね」

 

「くっ、それでも俺はバサラさんを守るよ!」

 

 

悶えるウコンバサラの前に立ちはだかったのはギルだった。

 

 

「ギル!何をしているのですか!?」

 

「黙りなさい。良いわ見せてあげる」

 

 

立ちはだかるギルに向け弓を構え放たれた矢は頭に付けていたゴーグルを打ち抜いた。

 

 

「興醒めね。後は好きにしなさい」

 

 

クルリと背を向け歩いてゆくフェイルノートを見送り二人の元へ。

 

 

「大丈夫ですか?」

 

「俺はなんとも無いぜ、それよりバサラさんは?!」

 

「私も、、なんとか大丈夫だよ。君を守るって言ったのに守られちゃったね」

 

 

フラフラと立ち上がったウコンバサラが何処かへ歩いてゆく。

 

 

「何処行くんだよ!」

 

「君は私のと約束を守ってくれた。でも私は約束を守れなかった。そんな私に君の隣に居る資格なんてないよ。楽しかったよ」

 

 

一人森へと歩いてゆく。

 

 

「待ってくれ!なら次は俺の事を絶対に守ってくれよな!約束だ!」

 

「本当?良いのかな、約束をまた守れないかもしれないのに」

 

「あぁ、ずっと一緒に居るって約束したからな」

 

 

抱き合う二人をみんなで見ているのだが状況が飲み込めず困っていた。

 

 

「姫様、城にバサラさんを住まわせても良いかな?」

 

「構いませんけど、、。分かりました。後でフェイルノートに報告しておきます」

 

 

なんだかよく分からないうちにこの事件は解決した様だ。うん、疑問は捨てよう。

 

 

 

そんな訳で次の日。

 

 

「今日から城に住む事になったウコンバサラです。気軽にバサラって呼んでね。みんなのお世話は私に任せてよ」

 

 

城に新しく住む事になったウコンバサラさん。ギルとは恋人関係のようでみんなに挨拶をしている間もギルの側から離れようとしなかった。

 

 

「ここにはキル姫が多いからギル君から目が離せないね。悪い虫は、潰す」

 

 

なんだかヤバそうなキル姫が住む事になったのだが大丈夫なのだろうか?

 

 

その頃。

 

 

「あれ、私どうしてこんな所に?」

 

 

見渡すとケイリオスリオンの城が見える。でも記憶を辿る限り昨日はティルヘルムから出ていないはずなのに。

 

 

「絶・訳分かよ、、、」

 

 

 

(アルマスの存在を素で忘れていました)

 

 

 

 

 

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