※この作品はR-18です。

黒ティルと僕と   作:やす、

181 / 201
ミネルヴァさんのお悩みコーナー

朝食を食べ終え自室に戻ろうと廊下を歩いていたら前からこの城の主が。軽く会釈をして通り過ぎるのを待っていたのだが主は私に声をかけてくれた。

 

 

「ミネルヴァ殿、少しばかり頼みがあるのだが、、」

 

 

歯切れが悪い。何か言い難い事なのだろうか?

 

 

「はい、言ってもらえればできる限りの事はしますよ」

 

 

笑顔で返事をすると少し頬を緩め次の言葉を話してくれた。

 

 

「この城に住まう者の悩みを聞いてもらいたいのだ」

 

 

その後の言葉を聞くと悩みを書いた手紙を入れるポストがリビングに設置されており城に住むみんなが快適に過ごせるよう改善に努めたいのだが忙しく読む時間がないとの事。適任者を探していたら私がたまたま通りかかったようで。

 

 

「分かりました。これも任務だと思って頑張らせて貰いますね」

 

「すまない、儂は少し用があり城を離れる。先程回収した手紙を渡しておくよ」

 

 

袋を手渡した後主は忙しそうに廊下を歩いていった。それを見届け自室へと戻り机に手紙を広げてゆく。

 

 

「ニケ、一緒に読みましょう」

 

 

相棒であるニケを肩に乗せて早速手紙を一枚開封してゆく。

 

 

 

[子供が欲しい子供が欲しい子供が欲しい子供が欲しい子供が欲しい]

 

 

いきなりヘビィな内容を目にして目眩を起こしながら返事を書く事に。

 

 

[同性として切実な内容だと思いますが子は授かり物です。気長に待ちましょう]

 

 

返事の欄にそう書き込み丁寧に手紙を折りたたみため息を一つ。その後次の手紙に手を伸ばしていた。

 

 

[毎晩性行為をするのが疲れました。もう枯れてしまいそうです]

 

 

[ニンニクやウナギ、長芋などを食べて適度に運動すれば枯れる事は無いと思います。妊活は男女共に辛いかも知れませんが楽しみながら頑張って下さい]

 

 

人間とキル姫の間に子供はできるのだろうか?この疑問の答えを探す為に書物を漁りたい気持ちを抑え次の手紙へと手を伸ばしてゆく。

 

 

「やはりこの世界にバイブスは不要なようね、近々皆を集め反旗を翻すわ]

 

 

「何があってその様な答えに行き着いたのかは分かりませんが落ち着いてまず深呼吸をして下さい。良ければ相談に乗りますので何かあれば私を頼って下さいね]

 

 

彼女に何かあったのだろうか?行動を共にしているのだが分からないが早めに相談に乗らないと不味い事になりそうだ。

 

 

「・・・この話オベロン様にしますか?普通」

 

 

返事を書いた後に思わず突っ込みを入れていたが誰にも聞かれる事なく風に消えていった。気を取り直して次の手紙へと手を伸ばしてゆく。

 

 

[気になっている男の子と友達以上になれません。どうしたら良いでしょうか?]

 

 

[焦らずに距離を縮めていけば必ずタイミングがあると思います。その瞬間を逃さない様にして下さいね]

 

 

微笑ましい相談にほっこりする。多分相談主はティニだろう。妖精はどのように増えるのだろうか?これも後で調べるとしよう。さて、次の手紙、、、。

 

 

[最近私の出番がないわ。それに出てきても絶・扱いが酷いんだけど]

 

 

[人には役割というものがあります、適材適所と言っておきましょうか。四本の槍を突き刺されても立ち向かった様に諦めず頑張って下さい]

 

 

そういう私も以前エルキュールが作ってくれた特製毒物ジュースを飲み死にかけたんだっけ。こう思うと月日が流れるのは早い。次。

 

 

[私の懺悔を聞いて下さい。昨日夜ご飯を食べた後自室で欲求に耐えられずにお菓子を食べてしまいました。どうか私をお許しください]

 

 

[人生とは常に欲望との戦いだと思います。戦いばかりの日々では疲れてしまいますよ、たまには自分に素直になるのも良いかも知れません]

 

 

可愛らしい悩みだ。私も夕食後は間食を控えているのだがたまに手が伸びてしまう時がある。自室にお菓子を置くのはやめようかな。

 

 

机の引き出しにしまってあるお菓子の事を思い出しぽりぽりとかじりながら次の手紙へ。

 

 

[ずっと肩凝りに悩まされてるんだ〜何か楽になる方法は無いかな〜?]

 

 

[胸の重さにより猫背になっていませんか?それと肩や首周りのストレッチを行い運動をしてみて下さい。それと紐が太いブラジャーを着けるのも良いですよ]

 

 

返事を書いた後に大きく背を伸ばし両腕を回してストレッチを行っていた。私も本を読んだり料理をしたりと下を向く作業をした後は肩が凝る。たまには身体を動かそう。次。

 

 

[私はぎゅうにゅうが好きだ。だけど私がぎゅうにゅうを飲む事でこうしが飲むぶんがなくなっているのかふあんになってしまった。私はこうしの分までぎゅうにゅうをのんでいないのか?]

 

 

[安心して下さい。ちゃんと酪農家さん達は乳牛と分けていますよ。だから沢山牛乳を飲んでも大丈夫ですよ]

 

 

私の牛乳の使い方といえば料理に使ったり紅茶、コーヒーに入れるだけだ。たまには牛乳を飲もうかな。次。

 

 

[俺に可愛い彼女ができたんだ!だから休みを下さい!]

 

 

[リ

 アルが

 充実しているのは良い事です

 しごとを頑張ってください

 ね]

 

 

あっ、変な行で返事を書いてしまった。これはボールペンだから消せないしこのままにしておきましょう。次。

 

 

[私をお城の住民として迎え入れてくれてありがとう。まだみんなとの距離が分からなくて戸惑うけど私から声をかけたり頑張るよ]

 

 

[丁寧にありがとうございます。こちらも料理に洗濯に掃除に手伝って頂き感謝していますよ。みんな気の良い人ばかりなので直ぐに馴染めると思います]

 

 

私もバサラさんの様にお団子を二つ作ってみようかな。そう思い髪の毛をまとめようとしたのだが長さが足りず上手く作る事ができなかった。代わりにカチューシャで前髪を上げておく事に。

 

 

[クレス様の愛をみんなに、この世界に伝えたいんだけどどうしたら良いかな?やっぱりみんな黄泉の国に帰してあげるのが一番かな?]

 

 

[愛を伝えるという方法は沢山ありますよ、例えば募金をしてみるのはどうでしょうか?ティルヘルム、トレイセーマ、ハルモニア、ケイリオスリオン、この四カ国どこの国でも良いです、少しのゼニーでもみんなのゼニーが集まればきっと大きな力になると思います]

 

 

ふぅっと息を吐き少し休憩をとる事に。キッチンへ行きお湯を沸かしコーヒーと紅茶どちらを飲もうか戸棚を指でさしながら選んでゆく。

 

 

「そういえばそうでしたね」

 

 

コンロを止めて水を捨て冷蔵庫を開けて牛乳を取り出しコップへと注ぎ腰に手を当て飲み干してゆく。

 

 

「ぷはぁっ」

 

 

よし、後少しだ頑張ろう。再び自室へと戻り机に向かい手紙を広げてゆく。

 

 

[ソロモンとまた喧嘩をしてしまった。何がいけないのだろう]

 

 

[自分の行いを客観的に見てみてはどうですか?どちらが悪いのかは私には分かりませんがどこかに理由があるはずです。もしそれでもダメなら一度距離を置くのも良いかも知れません]

 

 

自室にはシャワーはあるのだが湯船無く共同の浴槽は一つあるだけなのだ。私が身体を洗い湯船に浸かり出るまでスイハがお風呂に浸かっていたのはこの事を考えていたからか。

 

 

何かを考えているとは思っていたがこれでスッキリした。次。

 

 

[最近筋トレにハマっているのですが筋肉が付いた実感が感じられずモチベーションが上がりません。筋肉がついたと実感できる方法はありますか?]

 

 

[目標を作るのはどうでしょうか?例えば今の自分が持てない重さの器具を作りそれを持ち上げる事を目標にしたり、日々の鍛錬は必ず身を結びます。諦めずに頑張って下さい]

 

 

私には目標はない、ただ毎日を過ごしているだけだ。私も何か目標を作るのも良いかも知れない。

 

 

ペンを置き二の腕を摘んでみるともっちりとした感触。やはり私も身体を動かさなければ。次。

 

 

 

「オベロン様新しくウコンバサラを城に受け入れて頂きありがとうございます、ギルも一層仕事に身が入っていますよ。後、申し上げ難いのですが私がお風呂に入っている時に洗濯物を漁るのをやめていただけませんか?これ以上されるのなら皆の前で注意をさせて頂きます]

 

 

さて、どう返事を書くかだ。これは私が返事を書いて良いものなのだろうか?いや、この手紙はオベロン様に渡すとしよう。

 

 

次の手紙へと手を伸ばしたのだがもう手紙は無く任務完了の様だ。大きく背を伸ばしため息を付きオベロン様の自室へと向かい歩き始めた。

 

 

 

コンコンっと二度ノックをしたのだが返事は無くドアノブを回すと鍵はかかっておらず部屋に入る事ができた。

 

 

「失礼します」

 

 

ドアの隙間から顔を覗かせるのだがまだ帰ってきていないようで姿は無い。ならばと机の上に手紙を置き部屋を出てリビングに設置されているポストの返信箱に手紙を入れておく。これで任務完了だ。

 

 

 

 

次の日の夜。

 

 

 

「お待たせしました。沢山食べて下さいね♪」

 

 

今日のご飯当番はグリードだったようで早速ひつまぶしと長芋のニンニク醤油炒めが机の上に並べられていた。それを見てユウさんが乾いた笑い声を出していたのが印象的だ。

 

 

「今日はクレス様募金をしてきたんだ。これでみんなに愛が届くんだよね♪」

 

 

嬉しそうなクレス。こうやってアドバイスした事を実践してくれると嬉しいものだ。

 

 

「♪」

「♪」

 

 

嬉しそうに夕ご飯を食べているティニとスイハ。きっと進展があったのだろう。

 

 

「私が食べさせてあげるね、はいあーーーん」

 

「あーん、ん!うめぇ!」

 

 

人目を気にせずイチャつく二人。やはりギルの返事は縦読みでは無くもっとストレートに書いておけば良かった。

 

 

(モグモグシャクシャク)

 

 

ネスは食事の前にサラダを食べ始めた様だ。そうすれば血糖値の上昇も抑えられるし良い事尽くめだ。

 

 

「書いてあった通りにしたら肩凝りが良くなったんだ〜」

 

 

食事を終えた後ストレッチをしているフライシュッツを見ながら良いアドバイスができたとホッとしていた。

 

 

「ぷはぁっ!うまい!」

 

 

グラーシーザはいつも通り牛乳を飲んでいた。紙パックでは無く瓶の牛乳を飲むのが彼女のこだわりの様だ。

 

 

「私の上腕二頭筋を見て下さい!」

 

 

袖を捲り上げ鍛えた腕をみんなに見せているエルキュール。見た目はあまり変わりがないのだが気にしないでほめておこう。

 

 

チラチラ

 

 

食事中ずっとリルティルに申し訳なさそうな視線を送り続けるオベロン様。リルティルもその視線に気が付いている様だがあえて無視をしている。これを機に反省してもらえれば良いだろう。

 

 

「ーー♪」

 

 

ご飯を早々と食べ終えたアルマスが缶酎ハイ片手に椅子の後ろ足でバランスを取っていた。以前も見た光景だが彼女は反省をしていないのだろうか?

 

 

「うわっ!?」

 

 

期待通りにバランスを崩し転倒していた。だが誰も気にする事なく食事が進行してゆくのだ。

 

 

私もご飯を食べ終えお酒でも飲もうと手を伸ばした時にラグナロクに声をかけられ部屋の外へと連れ出されていた。

 

 

「ミネルヴァ、反旗を翻す時が来たわ」

 

「何があったのですか?詳しく教えて下さい」

 

「先日アルコールスプレーで手の消毒をしたのだけど気化したアルコールにやられ気を失ってしまったの」

 

「それならノンアルコールの除菌スプレーがありますよ。そんな事で反旗を翻さないでください」

 

「分かったわ。今回はやめておくね」

 

 

私の助言により千年王国の危機は去った。良い事をしたはずなのだが気持ちがスッキリしない。

 

 

お酒を飲むのを諦めてそのまま自室へと向かい椅子へと腰掛けていた。

 

 

「聞いてくださいニケ」

 

 

そして相棒に向かい愚痴をこぼすのであった。

 

 

 

 

 

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