複数のオリジナル要素を身の程を弁えずに織り込んでありますが良かったら読んで下さい。
少女は夢を見ていた。幾度となく繰り返す日々を抜け出した次の日の事を。何度繰り返しても辿り着けなかった次の日の事を。
(ねぇ、ねぇってば)
しかしその夢は何者かに身体を揺すられ目を覚ますという事で消え去り苛立ちと共に気怠い身体を起こしその主へと視線を向け冷たく「何?」と声をかけた。
「やっと起きたのね、ここは何処なのよ?」
苛立つ声を気にも止めず声をかける青髪の女性に思考が固まる。
「美樹さやか!なぜあなたがここに!?」
「美樹さやかって誰の事なのよ、私はアルマスよ」
絞り出した答えを呆気なく否定されただけで無く全く聞き覚えの無い名を名乗った少女にパニックを起こしながらもソウルジェムに手を伸ばし瞬時に魔法少女へと姿を変え左手に備えた盾へと手を伸ばし警告を飛ばす。
「直ぐにこの部屋から出て行きなさい」
「出て行けって言われても私も気が付いたらこの部屋に居たのよ」
「…………」
思い返せば時間遡行を行った時に何かにぶつかったような気がする。それか、もしかしたら私と同じ様に時を操る事ができる魔法少女なのかも知れない。
「アルマス、と言ったわね。あなたも魔法少女なのかしら」
「魔法少女?私はキル姫よ」
「…………?」
軽く否定されさらに聞いた事の無い単語を言われ目眩を起こし思わずベッドの淵に腰を預け頭に手を当てた。
「大丈夫?具合が悪いの?」
そんな私を心配し声をかけるアルマスに手を突き出し思考を纏める時間を作り出した。
(魔法少女では無さそうね、それならば魔女?いや、なら結界が張られるはず。私に襲いかかってこないところを見ると敵では無い、、か)
「ここは三滝原にある病院の一室よ」
「三滝原って言うのね、ラグナ大陸の何処かの町なの?」
アルマスと話せば話す程知らない単語が現れ思考を乱す。もう考えるのはやめよう。開き直り長い黒髪をかき上げながら細かく説明してあげる事に。
「ここはラグナ大陸では無いわ。日本という国の群馬県三滝原市よ」
「日本?群馬県?不思議な名前の国なのね。そういえばあんた名前はなんていうの?」
「私は暁美ほむら」
「ほむらね、よろしく。それよりほむらはどうして辛そうな顔をしているの?」
ジッと瞳を見つめる真っ直ぐな瞳。このアルマスは心から私を心配して声をかけてくれていると思える程に。
「なんでも無いわ「ならそんな顔はできないはずだわ、ほむらがしている顔は諦めた人がする顔よ」
今自分がどういう顔をしているのかは分からないが繰り返しし続けた時間遡行に心が擦り減り今回のループがどういう結末であろうと終わりにしようと確かに諦めていた。
「あなたには関係の無い事よ」
だが冷たくあしらい背を向けた。
「話ぐらい私が絶・聞いてあげるから話してよ」
拒絶する為に背を向けたにも関わらず言葉を続けるアルマス。アルマスがここに居る理由には私が行った時間遡行が関係している事を思い出し渋々自分がしてきた事を話してゆく。
魔法少女の事、魔女の事、たった一人の友達を守る為に孤独に戦ってきた事を。
「これで納得してくれたかしら」
「分かったわ、私が絶・ほむらの力になってあげる!」
「そう、えっ?」
私が聞きたかった言葉を最も簡単に口にし笑顔を向けていた。念の為もう一度聞き直したのだが返ってきた言葉は一緒だった。
「どうして初対面の人にそんな事が言えるの」
「どうしてって端的に言うとほむらが辛そうだし助けになりたいって思ったからよ」
「それは端的に言えているとは言わないわ。後気持ちは嬉しいのだけど危険な目に合わせるわけにはいかないわ」
「私が元いた世界も似たようなものだし、じゃあこうしましょうよ。私はほむらを手伝ってあげるからほむらは私に住むとこをちょうだい」
良い事を思い付いた様な得意気な顔で言われ返す言葉が出なくなっていた。もう考えるのはやめてその提案を受ける事に。
「よろしく。それでキル姫はどういうものなのかしら?」
「端的に言うとキル姫っていうのは……」
アルマスの説明を聞いてきたのだが全く端的に言えておらず理解に苦しんだが何となく理解した事を記しておく事に。
キル姫とは伝説の武器から抽出されたキラーズに生命の根源であるマナを掛け合わせる事により産まれ人類を捕食する異族に対抗する唯一の手段。
「それでそのキル姫がどうしてこの世界に?」
「それは端的にry」
思わず略してしまったがどうやらアルマスは千年王国と呼ばれる場所から転送装置に乗りラグナ大陸に行こうとしていた。その転送の最中に時間遡行を行った私とぶつかりこの世界に一緒に来てしまった。何一つとして理解できる事が無いのだがここにアルマスが居るという事実がある以上これが事実なのだ。
「さぁ、まずは何からすればいい?」
「そうね、私と一緒に学校に通ってもらうわ」
学校?と不思議そうな表情を浮かべるアルマスを尻目に明日から編入する学校に電話をかけ一人増えると伝えすぐさま電話を切った。
「ふふっ、あはは」
我ながらぶっ飛んだ行動に何時振りか分からない笑い声を上げていた。
「それでその学校っていうのは何なのよ?」
「行けば分かるわよ」
こうしてアルマスと暁美ほむらの奇妙な関係が築き上げられたのだ。
「皆さん!目玉焼きとは固焼きですか?それとも半熟ですか?はい!中沢君!」
「えっ!?えっと、、。どちらでも良いと思います、、、」
「聞きましたか皆さん!皆さんは目玉焼きは半熟で無いといけないルールなんてありませんよ!しっかりと覚えて下さい!」
(あはは、朝から先生荒れてるね)
(そうだねさやかちゃん)
私的な事を黒板に書き殴り指示棒でタンタンと叩きながら鼻息荒く説明を行う先生を困りながら見ていた。
「はい、では次は転校生の紹介です♪」
「そっちが後回しかよっ!?」
的確なツッコミに笑いが起こる教室。皆が治るのを待ってから先生が合図をすると二人教室へと姿を見せた。
「暁美ほむら、よろしく」
「暁美あるまよ、よろしくね」
黒板の前に立ち頭を下げる二人に拍手を送った後簡単な自己紹介を先生が行っていた。
「ほむらさんとあるまさんは双子なんですよ、全く似てませんけどね」
デリカシーの無い発言に乾いた笑い声が響きその後に教室の後ろにある席へと二人が案内されていた。
「では次の授業が始まるまで仲良くしていて下さいね」
先生が教室を去った後席に座る転校生の元へと集まり様々な質問が飛び交っていた。どちらが姉なのか、好きな食べ物、アーティストはなんだ、彼氏は居るのかと。
次から次へと聞かれる質問に戸惑いながらも一つずつ答えてゆくアルマスと違いほむらは慣れた顔で質問をのらりくらりと躱してゆく。
「双子の転校生ってキャラ立ちすぎじゃん!私美樹さやか、よろしくね」
「私は鹿目まどか、えっと、ほむらちゃんあるまちゃん、よろしくね」
二人の自己紹介に返事をしようと声をかけていた。その時ほむらの目の色が変わった事をアルマスは見逃さなかった。
(ほむら、あの二人と過去に何かあったの?)
(後で話すわ)
何となく美樹さやかには冷たく、鹿目まどかには優しく話すほむらに違和感を感じていたのだが他の生徒から受ける質問に答えるのに必死で抱いた違和感は消え去っていった。
しばらくしチャイムが鳴り響くと生徒は席に戻り授業を行う為準備を始めていた。机の引き出しから本を取り出す皆を見てアルマスも机の下に手を伸ばすのだが本の感触は無く覗き込んでも何も入っていなかった。
「ほむら、私の本は?」
「急な編入だったから準備ができてないみたいね」
「それならさやかちゃんが教科書を見せてあげよう」
「助かるわ、ありがと」
さやかの机に机をくっつけその間に広げてくれた本を見ながら授業を受ける事に。
(何よXって、、、数字の後ろに付ける意味が絶・不明よ、、、)
見慣れない数字に頭を悩ませながら授業を受けていると何処からか鼻歌が。耳を澄ませるとどうやらさやかが歌っている様だ。
(良いメロディーね、なんて曲なの?)
(これはドビュッシーの月の光って曲だよ、この曲の良さに気がつくとは転校生やるなぁ!放課後にCDショップに行く予定だけど一緒に行かない?)
(良いわよ、後でほむらにも聞いてみるわね)
(ならまどかも誘って良い?)
(分かったわ)
取り交わした約束に微笑み合いコソコソと放課後の事を話していた。そんな時。
「はい、ではこの問題を美樹さんに答えて貰います」
「えっ、私!?」
先生に当てられ席を立ち黒板に書かれた問題を見て返答に困り頭を掻きながらあははははっと、笑って誤魔化すのであった。
時は流れる昼食の時間へ。校内に購買があると聞きほむらと共にお昼ご飯を買いに来ていた。
「授業って思ってたより退屈なのね、よくこんなのを受けていられるわね」
「学生とはそう言うものよ、早く選ばないと生徒が集まってくるわ」
そう言われ適当にパンを二つとジュースを手に取り店員へと渡していた。
「五百円です」
「はい」
財布からゼニーを取り出し手渡すと怪訝な顔を向けられた。
「これは何処の国の通貨だい?うちじゃ使えないよ」
「ごめんなさい、私が支払うわ」
反論しようとした時横から商品とお金を出したほむらを見て食い下がる事に。
「行きましょう」
ほむらに手を引かれ校舎の屋上へと来ていた。
「私の説明不足だったわね、ここはゼニーではなく円で支払うのよ」
「知らなかったわ。そうだ、さっきの分よ」
アルマスから手渡された五百ゼニー。反応に困ったが受け取り財布にしまう事に。
「それであの二人と何かあったの?」
「美樹さやかはどの時間軸でも魔法少女となり魔女になってしまうのよ、鹿目まどかは私が守りたい大事な、、、」
そこまで言いかけた時にドアが開き言葉を控え先ほどの二人が入って来た。
「おっ、転校初日にここに来るなんて、さては事前にこの学校を見ていたなー?」
「ここからの景色を見ながら食べるお弁当美味しいもんね。よかったら一緒に食べよ?」
二人の誘いに顔を見合わせ提案を受けフェンスに背を預けながら昼食を食べる事に。
「それでねママったら慌てて出て行ったんだよ」
「まどかのママはそそっかしいなぁ相変わらず」
たわいもない会話を聴きながらパクりとパンにかじりつく。
「そうだ、帰りにみんなでCDショップ行こうよ。さっきあるまと話してたんだけどさ」
さやかの発言にほむらが顔を硬らせアルマスへと視線を向ける。その視線に気が付かずアルマスはさやかの提案に賛成と声をかけていた。
「私もちょっと行きたいかな、ほむらちゃんはどう?」
「私は、、、そうね同行するわ」
髪をかき上げながら冷静を装い賛成の声を出しながら過去の事を思い返していた。CDショップに行けば
「どうしたのほむら?」
「いえ、別になんでもないわ。それよりもうすぐチャイムが鳴るわ、戻りましょう」
ほむらが言い終わると同時にチャイムが鳴り響き昼放課の終わりを告げた。
「いけない!早く戻らないと先生にドヤされるよ」
駆け出してゆくさやかの後に続き三人が教室へと戻って行く。
「…………」
授業を受けながら放課後に起きる事を思い返してゆく。だがあれは私がキュウべぇを襲ったから起きた事、私が居れば遭遇する事はない?いや、今遭遇しなくていずれかはキュウべぇから接触してくる。それにCDショップに行けば魔女にも、、、。
何度繰り返したか分からない記憶に頭が痛くなってくる。だけど今回は違う。アルマスが居るのだ。キル姫が魔女に対抗できるのかはまだ分からないが私の味方をしてくれるのであれば心強い。
美樹さやかと隣同士で教科書を読み合う姿を見て多くの不安と少しの安心感を抱いていた。
(私より美樹さやかとの方が姉妹っぽいわね)
こうして冗談を思えるぐらいには心にゆとりがある。気を取り直し授業へと意識を向けてゆく。
…………………………………………………
「ほらほら早く早くー」
「待ってよさやかちゃん」
さやかに手を引かれ走る二人の後を追いかけCDショップへ。
「あるまーこっちこっち!」
店内に入るなりアルマスに向かい手招きをし先程歌っていた鼻歌のCDを指差していた。
「これがCDって言うのね、これをどうするの?」
「はい、これ付けて」
耳当ての様な物を渡され頭にはめると耳元で音楽が鳴り始めた。それに戸惑いながらも音楽に意識を集中させてゆく。美しいピアノの音にヴァイオリンの旋律が重なり合い思わず目を細め聞き惚れてゆく。
「どうだった?」
「絶・最高ね。素敵な音色だったわ」
「クラッシックって言うんだ」
「へぇ、一枚買おうかな」
CDを手に取り値段を見てここの通貨は円な事を思い出しそっと棚へと戻してゆく。その頃ほむらとまどかは好みのアーティストの話で盛り上がっていた。
「へぇぇほむらちゃんも演歌好きなんだね♪」
「奇遇ね、私も好きで良く聞いているのよ。これなんてどうかしら?」
ほむらが手に取り見せたCDは氷川きよしのアルバムだった。
「わぁぁっ♪私そのアルバム大好き♪」
(まどかの好みは全てリサーチ済みよ)
ほむらからCDを受け取ろうと手を伸ばした時に不思議そうな顔をしてほむらへと目線を向けた。
「ほむらちゃん、今何か聞こえなかった?」
「私には聞こえなかったわ、気のせいでは無いの?」
「そうなのかな、、うわっ!何かいる!?」
まどかが指差す方を見ると店内の出入り口に見慣れたモノの姿が見え思わず歯軋りをしていた。
「どうしたのまどかー?大きな声出して」
「あそこになんか白いのが居る、、、」
「白いの?どれの事よ」
まどかが指差す方を見ると確かに白い猫の様なモノがこちらを見ていた。そのモノは四足で歩行しながら四人の元へ行き四人を見上げた。
「僕の名前はキュウべぇ、君達にお願いがあるんだ。僕と契約して魔法少女になってよ」
感情の無い可愛らしい無機質な声が騒がしい店内の雑音に紛れずハッキリと頭に聞こえた。
「何よこの生き物」
「あるま!?ソイツが見えるの!?」
「見えるけど、何をそんなに驚いているのよ?」
足元に座るキュウべぇの両肩に手を入れ猫を抱き上げるかのように持ち上げていた。
「結構可愛いのね、それに絶・モフモフしているわ」
「私にも触らせて、本当だ、凄くモフモフしてる♪」
楽しそうにはしゃぐ二人を前にしてほむらは気が気では無かった。変身し撃ち殺すか?しかしそうすれば築きかけていた関係が捩れてゆく、しかし何もしなければこの生き物は甘い言葉を囁くだろう。
苦渋の選択を強いられ最適解を探すため頭をフル回転させているとキュウべぇが思わぬ言葉を口にした。
「鹿目まどか、あるま、君達には最強の魔法少女になれる素質がある。だから僕と契約して魔法少女になってよ」
キュウべぇの姿が見えるという事は魔法少女の素質があるという事だ。キル姫が魔法少女になれるという事実に驚きを隠せないのだが最強の魔法少女になれる素質を持っているという事にも驚き纏まりかけていた考えが解けてゆく。
「魔法少女に?」
「魔法少女…?」
「僕と契約してくれればどんな願いも叶える事ができるんだよ」
「どんな願いも、、、」
キュウべぇの言葉に美樹さやかが反応し目を向ける。このままでは、、、。
「丁度いい所に。見てごらん、あれが魔女だよ」
アルマスに抱き抱えられたまま目線を向けその方をつられて見るとCDショップの入り口にもやもやと陽炎が出現しCDショップを包み込んでゆく。
「ここは魔女の結界に取り込まれてしまったようだ。まどか、あるま君達が魔法少女になって戦わないと二人が危ないよ」
口調も表情も変わらないがどこか楽しげに告げるキュウべぇ。それを気にする事なくキュウべぇを床へと置き陽炎を睨む。
「ほむら、あれが魔女なの?」
「えぇ、まだ姿は見えないけどあの中に居るはずよ」
「なら絶・私に任せて!」
右手にキラーズを意識し剣を具現化しようとした瞬間に銃声が鳴り響きしばらくすると陽炎が消え一人少女がこちらへと歩いてきた。
「魔女は片付けたわよ、あれ?キュウべぇのお友達?」
巴マミが私が倒すはずだった魔女を倒している。この時間軸は何かがズレている。
「彼女達は魔法少女になる素質を持っているんだ。マミからも何か言ってくれないか」
キュウべぇにそう言われた少女は顎に手を置き考えしばらくして返答を出していた。
「魔法少女になるのはやめておいた方が良いわ。怪我もするし遊ぶ時間も無くなっちゃうからね」
「!?どういう風の吹き回しなの、巴マミ」
「何って私は魔法少女になる事はおすすめしないって言っているのよ」
もっともそこまでして叶えたい願いがあるのなら止めないけどね。そう言って変身を解除し制服姿へと戻っていた。
「その制服って三滝原中の、、、」
「そうそう、自己紹介しなくちゃね、私は三滝原中学三年生の巴マミよ」
そう言ってにっこりと微笑む巴マミにまどか、さやかが憧れを抱いた目線を向けてゆく。
「私は鹿目まどかって言います」
「私は美樹さやか!マミさんカッコ良かったっすよ!ねっまどか」
「はいっ!マミさんすっごくカッコよかったです♪」
「そんな、私は当然の事をしているだけであって……」
褒められてもお淑やかを貫いていた巴マミだったが褒められ続けるうちにデレデレと態度が変わってゆく。全くどの時間軸でも助六美樹さやかはろくな事をしない。
「そんなに言うのなら、、、明日の放課後に少しだけ魔女退治に付き合ってみる?」
「はいっ!絶対行きます!」
「魔女ってどんなのなのかな?楽しみだね」
「そうだ、ほむらとあるまもおいでよ」
「私は構わないわ。ほむらは?」
「私も行くわ」
「分かったわ、じゃあ少し説明をしたいから家でお茶でもしない?」
気が付けばそんな約束が取り付けられていた。この時間軸は何かが違うと思っていたのだが思い違いだったのかもしれない。いい方向を期待した自分にため息をつきながら巴マミの後ろを付いて歩いていた。
「でね。魔法少女になる事ができたならば、、、」
(………………)
当然の様に付いてきたキュウべぇに汚物を見るような目線を向けながら気が付けば巴マミの家の中へと上がり込み紅茶を頂いていた。
「いつもならケーキがあるのだけど今日はクッキーで我慢してね」
「すっごく美味しいですよマミさん♪」
「もしかしてマミさんの手作りですか?」
「そうよ、パトロールの前と後に食べる為に自分で焼いたの。そろそろ話をしても良いかしら?」
そう切り出すと二人が背筋を伸ばし姿勢を正した。そんな中アルマスはポリポリとクッキーに手を伸ばし食べている。
「理由がはっきりしない自殺や殺人事件はかなりの確率で魔女の呪いが原因なの。魔女は人の魂を食らい糧としている。それを未然に防ぐ為に魔法少女が居るって訳ね」
「じゃあマミさんはずっと戦い続けていたんですか?」
「そうね、魔女は普通の人には認知できないから。私がどれだけ魔女や使い魔を倒しても誰にも感謝されないし褒められもしないわ」
「他の魔法少女は居ないんです?」
「知ってる魔法少女は一人居るけど、、、同じ町に複数の魔法少女が居るのはあまり良い事では無いわ」
「それはどうしてです?」
「それはね」
そう言って巴マミが取り出したのは濁った黄色い卵の形をした宝石。ソウルジェムと呼ばれる物だった。
「魔力を使うとこうしてソウルジェムが濁ってしまうの。この穢れが貯まると魔法少女は動く事ができなくなってしまうの」
「じゃあマミさんはどうして動く事ができているの?」
「魔女を倒すとグリーフシードを落とすの。それをソウルジェムに当てると」
もう一つ黒い宝石を取り出しソウルジェムへと当てるとソウルジェムの濁りがグリーフシードへと移りソウルジェムは鮮やかな黄色の輝きを放っていた。
「こうしてソウルジェムの穢れを取り除く事ができるの。これが魔女を倒した報酬ね、複数の魔法少女が居ればグリーフシードの奪い合いになり最悪魔法少女同士で争う事になってしまうわ」
「マミさん、質問です!その穢れを吸ったグリーフシードはどうするんですか?」
「その質問には僕が答えるよ。穢れを吸ったグリーフシードは僕達が回収するんだ」
巴マミがグリーフシードをキュウべぇへと差し出すと背中が開きその中へと消えていった。
「ほむら、お腹がすいたわ」
「今のを見てお腹が空いたとか良く言えるなぁ、、」
「そうね、学生はもう帰る時間よ。お暇しましょうか」
「あっ、ほんとだ。マミさんありがとうございました」
「またいつでもいらしてね」
まだ話の途中なのだが空気の読めないアルマスにより解散となった。まどか、さやかと別れ自宅へと続く道を歩いてゆく。
「アルマスって空気が読めないと良く言われないかしら?」
「そう?」
不思議そうな顔をするアルマスに言っても無駄だと気づき無言で帰路を歩いていた時だった。
「魔女の気配、、、っ!」
何処かからか漂う気配を感じ取り魔法少女へと姿を変え周囲を睨む。見つけた。前方二百メートル先に漂う魔女の結界を。
「アルマス。魔女よ」
「分かったわ!やっと戦えるのね」
楽しそうに準備運動をするアルマスを見ていた。キル姫は戦う時変身をするのだろうか?どうやって戦うのか?と抱いていた疑問を晴らすチャンスだ。
「よし、いつでも絶・いけるわ!」
「?」
そう言うアルマスは何一つ変化が無く私が渡した制服のままだ。
「本当にその格好で戦うつもり?」
「もちろんよ」
よくみると右手に剣が握られていた。柄から剣中央までは透き通る様な水色でそこから先は赤く輝く剣が。
剣の美しさに見惚れていると次第に結果が広がり中へと閉じ込められてゆき使い魔達が姿を見せ始めた。
「あれね。絶・私に任せて!」
「待ちなさい!アルマス!」
私の制止も聞かず姿を見せた使い魔の元へと駆け寄り剣を一振り。その一振りによりヒゲを生やした使い魔は二つに分かれやがて消え去った。
「もう終わりなの?」
「あれは使い魔よ。この結界の奥に魔女が居るはずだわ」
「ならさっさと倒してご飯にしましょうよ」
「だから待ちなさいって」
我先へと結界を進み最深部を目指すアルマスの背後に付いて走るのだが足が速く使い魔を倒しながら進むアルマスにまるで追い付けず距離を離されてゆきやがて見失ってしまった。
(何なのよキル姫って、、、!)
膝に手を吐き荒ぶった息を整えていると結界が消えドヤ顔でグリーフシードを手に持つアルマスの姿が。
「はい、あげるわよ」
「………ありがと」
素直に受け取り盾の中へと仕舞い込み変身を解く事に。
「思っていたより大した事ないのね」
「あの魔女は決して強い魔女では無いわ。油断は禁物よ」
アルマスが今倒した魔女は薔薇園の魔女。攻撃方法といえば椅子やハサミを投げるぐらいだしそこまで強いといえる魔女では無いのだが難なく倒す事を考えるとキル姫の強さを垣間見る事ができたのかもしれない。
「もう遅いからコンビニで何か買って帰るわよ」
「コンビニって何よ?」
「………」
説明するのも面倒なほど走り疲れたので無言で先を歩くと付いてきてくれた。
「好きな物を選びなさい」
「これがコンビニって言うのね。絶・感動だわ」
ウキウキと食べ物を選ぶアルマスを尻目にカゴの中へハンバーガーとコーヒーを入れ待っていると両手にスパゲッティの皿を三つ持ちこちらへと。
「本当に全部食べるんでしょうね?」
「当たり前じゃない!」との事。数千円でグリーフシードが手に入ったと思えば安い出費なのだが。
その後家に帰るなり買ってきた物を机に広げて次から次へと美味しそうに食べてゆくアルマスを見ていた。
「よく食べるわね」
「そう?他のみんなに比べたら食べないわよ」
他のみんなとはアルマスが元いた世界の住民、つまりキル姫の事だろう。あれだけの戦闘を生身で行うのならカロリー消費も相当な物だろうと一人納得しハンバーガーを一口。
「先にお風呂入っても良い?」
「構わないわ」
他のキル姫もアルマスと同じ様に自由なのだろうか?そうであるなら私がアルマスのいる世界に飛ばされていたら胃が持たなかったかも知れない。
そんなよく分からない事を考えながら食後のコーヒーを口へと運んで行く。
その頃。
「へぇ、三滝原にそんな素質を持った奴が居るのか」
「そうなんだよ。あれが魔法少女になれば君が居るこの風見野市の魔女も狩りに来るかもしれないよ」
「なら、出る杭は打たねーとな」
咥えたポッキーを噛み砕き赤髪の少女は不敵に笑う。
さらにその頃。
「アルマスを知りませんか?」
「アルマスならラグナ大陸に行ったよ?」
「そうですか。一発顔面を蹴りたかったのですが残念です」
アルマスはティニをどれ程に怒らせたのだろうか?そんな疑問は煙草の煙と共に空へと登り消えてゆく。
……………………………………………………
アルマスと行動を共にして二日が過ぎた。今のところキル姫に付いて分かった事を記す。高い運動能力と戦闘力を持ち多少の魔女なら瞬殺してしまう程。
少しエピソードを話すと2千メートル走を息すら乱さずに走り切り握力を測れば測定不能。高跳び、幅跳びに関しては無茶苦茶なフォームで跳んでいるにも関わらず世界記録を超えてしまっていた。それともう一つ、屋上でお昼ご飯を食べ終わりみんなで話し込んでいた時フェンスに登ったアルマスが誤り校舎から転落してしまったのだが何事もなかったかの様に屋上へと戻ってきたのだ。心配で声をかけたのだが「これぐらい何ともないわよ」と笑うアルマスにドン引きしていたまどかが可愛かった。
時は流れ巴マミのパトロールに同行する時間となり私達は校門の前に集まっていた。
「魔法少女体験コース第一弾。行ってみましょうか」
「「おぉーー!」」
楽しそうな三人の後ろを付いて歩いてゆくのだが中々現れない魔女に前方の一人が退屈をし始めていた。
「マミさん、魔女はいつ現れるんです?」
「魔女探しは基本的に足頼りよ。こうやって町中を歩いて魔女が残した痕跡を探してゆくの。こっちは居なさそうだから向こうに行ってましょうか」
巴マミが方向を変えた瞬間に無表情に血相を変えたキュウべぇが走りより事態を告げる。
「大変だ、病院にあるグリーフシードが魔女に孵りそうなんだ」
「なんですって!?急いで行かないとっ!」
(病院に現れる魔女はお菓子の魔女ね。マミるという単語を生み出した根源、、、)
「ほむら、置いていくわよ?」
「え?待ちなさい」
これから起こる惨劇の事を考えているとみんなは先に進んでいて残された私の手をアルマスに引かれて走ってゆく。
「もう魔女の結界が、、、。どうやら魔女は孵ってしまったようね」
皆に追いつき病院を見上げると陽炎に包み込まれており邪悪な雰囲気が辺りに立ち込めている。
「これが、、、魔女の結界………」
「うえっ、変な空気」
「この魔女は強いよ。マミだけだと勝てないかも知れないから早く僕と契約を結ぶんだ」
「私一人で大丈夫よ。行きましょう」
魔法少女へと変身しマスケット銃を構え結界へと歩んでゆく。その後ろをついて行く。
「ほむらちゃんは怖くないの?」
「平気よ、怖いのならわたしの側に居なさい」
「うん、、、」
怯えるまどかの手をギュッと握りながら結界内を進んで行く。あぁ、幸せ。
「ねぇマミ。魔女はまだ出てこないの?」
「結界の最深部に居るはずだわ。あるまさんもさやかさんも私の側を離れないでね」
「怖くない、怖くないけど念のため側に居よっかな」
「それってやっぱり怖いんじゃないの」
「あっ!言ったなぁ?!」
さやかをからかうアルマスと戯れ合った瞬間にマミの制止が響く。
「おふざけは終わりよ。出たわね」
マスケット銃を構えた巴マミの先に可愛らしい人形の姿が。
「巴マミ、気を付けなさい、あの魔女は強いわよ」
「例えそうだとしても後輩の前で負けられないわ」
トリガーを引きマスケット銃から弾丸を放つと魔女の眉間を打ち抜きパタリとその場に倒れ込んだ。
「言うほどじゃなかったじゃない」
グリーフシードを回収する為に倒れた魔女の元へと歩いてゆく。
「巴マミっ!!その魔女から離れて!!」
「えっ?」
ほむらの言葉に振り返った瞬間に倒れた魔女の身体を破り大蛇へと姿を変えた。そしてマミの顔を覗き込みあんぐりと大口を開けた。予想外の光景に蛇に睨まれたかの如く逃げる事すらできずただ立ち尽くしていた。
「あるま!!」
「任せて!絶・氷弾っ!!」
合図を受け駆け出し左手から氷弾を放つとマミに食らいつこうとする口へと命中し大口を塞がれモゴモゴとさせながら氷弾を放った主へと標的を変えアルマスへと襲い掛かる。
「私が相手よ、友達には指一本触れさせないんだから!」
口を塞ぐ氷を噛み砕きアルマスを捕食する為大口を開け迫るのだが横への一閃により口元を裂かれあまりの痛みに尻尾を巻き逃げて行く。
「マミ!止めよ!」
「え、えぇ、ティロ・フィナーレ!!」
マミの放った弾丸により焼き払われ床にグリーフシードが一つ落ちると結界が解け元いた病院の前に戻っていた。
「あるまさん、あなたは一体、、、?」
「私は暁美あるま、転校生よ」
「んな訳あるかーーっ!!」
美樹さやかの突っ込みの後巴宅により事情聴取が行われるのであった。
「「「キル姫?」」」
聞きなれない単語に三人が口を揃え驚きの声をあげそれを聴きながらほむらが髪をかき上げてゆく。
「どうしてキル姫がほむらさんと一緒に居るの?」
「………全て話すわ。落ち着いて聞いてもらえるかしら」
紅茶を一口飲み端的に説明をして行く。最悪の結末を防ぐ為時間遡行を繰り返している事。このループを最後にしようと諦めていた時時間遡行中にアルマスとぶつかりこの世界へとつれてきてしまった事。
「じゃあ、ほむらちゃんは魔法少女なの?」
「そうよ。隠すつもりは無かったのだけど、言うのが遅くなってしまったわね」
「転校生が魔法少女とキル姫で双子の姉妹だなんてキャラ濃過ぎてさやかちゃん理解できないよ」
「私とあるまは姉妹ではないわ。何を聞いていたの美樹さやか」
「じょーだんだよじょーだん」
「あるまさんは元の世界に帰る方法を探しているのね」
「私は………この世界に住む事にしたわ。みんなの代わりに私が魔女を倒せばみんなを危ない目に合わせる事もないし」
一瞬言葉に詰まりながらもお皿に盛られたお菓子へと手を伸ばし口へと運んでゆく。
「ねぇほむらさん、時間遡行を繰り返していると言ったけどほむらさんが言う最悪の結末って一体何なの?」
巴マミの問いに次に言葉を詰まらせるのはほむらの番だった。冷静を装い紅茶を一口飲み髪をかき上げ口を開く。
「あと二週間するとこの街に最悪の魔女、ワルプルギスの夜が来るわ。私は何度もその魔女と戦い敗北しているの。それに本来なら先程の戦いで巴マミは戦死しているわ」
そう言われ思い返す。沢山の後輩を前にしてカッコいい所を見せようとした事。倒したと思い込み迂闊に魔女に近づいた事を。
「そうね、、、改めてお礼を言わせて?ほむらさん、あるまさん、ありがとう」
深く頭を下げたマミを見ながら何となく部屋に沈黙が訪れていた。
「そういえばキュウべぇは?」
「そういえば姿を見ていないわね」
部屋を見渡すがあの白い獣の姿は無い。別に見たいって訳では無いのだが。
「そういえばマミさんはどうして魔法少女になったんです?」
「あっ、それ私も気になるかも」
二人の問いに一瞬嫌そうな顔をした後話をしてくれた。幼い頃両親とドライブに連れて行ってもらいその途中に事故に遭い両親は即死。瀕死の重症を負ったマミの元に現れたキュウべぇに助けてと頼んだこと。
「魔法少女は願った願いに合った能力を持つことができるの。私は銃を使うけどリボンも使う事ができるのよ」
きっと命を繋ぐという願いからね。そう呟き窓からの景色を眺めていた。
「さっ、もう学生は帰る時間よ。次家に来る時にはケーキを焼いてあげるから楽しみにしててね」
気不味い空気を払う様に明るく告げるマミに頭を下げ各家に帰ることに。
「アルマスはどうしてキル姫になったの?」
「私は産まれた時からキル姫よ。千年王国を奪還する使命と共にね」
ふと思い立った疑問を聞くとその様な返答が。
「それでその使命は遂げる事ができたの?」
「もちろんよ。でもそれは私一人の力じゃ叶う事は無かったわ」
やはりアルマスが居た世界に仲間が居るようだ。明るく元気な彼女にはきっと沢山の仲間が居るのだろう。
「帰ってご飯にしましょう。今日は私が作るわ」
「ほむらって料理できたのね」
「人並みにね。味は保証しないわ」
星が輝く街を自宅へと向かい歩んでゆく。
転校生という者は転校初日が人気のピークだと思う。皆が興味本位で群がり話しかけ、興味を失ってしまえば何事もなかったかのように普段の生活へと戻る。
私、暁美ほむらは人を寄せ付けない雰囲気を放っている為か喋りかけてくる人も無く話し相手と言えばまどかと助六ぐらいだ。
「それで端的に言うと、、。」
「それは端的に言えてませんわ?」
そんな私に対しアルマスは社交的で誰もに対等に話し人気を集めていた。人を惹きつける魅力があるとでも言えばいいのだろう。
他のクラスメイトと楽しげに話すアルマスをほんの少しだけ羨ましく思いながら気晴らしに美樹さやかのほっぺをつねる事に。
「いたいっ!痛いってば!急に何すんだよ!」
「愚かな美樹さやかに出番を与えてやったのよ。感謝しなさい」
(出番が無いのはさやかちゃんじゃなくて私だよほむらちゃん、、、)
そんな普段と変わらない学校生活だが一つ変わった事がある。それは昼食の時間にいつも屋上に四人で行くのだがそのメンバーに巴マミが加わった事だ。
お弁当のおかずをくれるのでアルマスが巴マミの側に居るのが何となく憎ったらしい。
そんな今日の放課後は私は武器を集めに。美樹さやかは病院へ。マミはパトロールへ。まどかは塾へ。アルマスは一人街を散歩に行く事に。
私の魔法は時を止める事しかできず攻撃方法を持たない。その為武器を調達する必要があるのだ。自衛隊の基地、米軍基地に忍び込み武器庫より手当たり次第武器を盾へと収納しワルプルギスの夜戦に備えてゆく。
(これで良し。後魔法少女が一人仲間に加わってくれれば…)
まだ姿を見せぬ佐倉杏子を思い浮かべていた。彼女は巴マミと並ぶベテランの魔法少女。こちらの味方であるのなら心強い。
すっかり暗くなってしまった夜道を歩きながら家へと帰ってゆく。
「遅くなったわね。今から夕飯を作るわ」
玄関を抜け部屋に入りながらそう告げると見慣れた少女の姿が。
「よぉ、邪魔してるぜ」
「佐倉杏子っ!!??何故あなたがここにっ!?」
「知り合いなの?」
「いや、どこかで会ったか?」
アルマスと机を挟み座る佐倉杏子の姿に思わず大声を出し驚いてしまった。そして部屋を何度見渡してもここは私の家のリビングだ。慌てふためきながらも冷静を装い髪をかき上げアルマスに説明を求めてゆく。
「アルマス、説明をしなさい」
「端的に言うと」
以下回想。
ほむらからお小遣いを貰い上機嫌に街を歩くアルマス。車に自転車に見慣れない乗り物や千年王国と全く違う街並みに心を躍らせていた。
「へぇ、、今度ティニと………」
そこまで口にし今喧嘩中の事を思い出し首を横に振りながら気を改め街を歩んでゆく。そんな時アルマスの目を引く建物が一つ。
「ゲームセンター?」
少し古臭い建物の屋上に建てられた看板を目にし足を止めて少し悩んだ後吸い込まれるようにそこへ入ってゆく。
外装と同じく古臭い店内に置かれているゲームを見ながら店内を歩いているとコミカルな音楽と共にステップを刻む少女の姿が。鮮やかにリズムに乗りステップを刻む姿に見惚れ思わずその少女へと声をかけていた。
「ねぇ、何しているの?」
「見たら分かるだろ、ダンスゲームしてんだよ」
よく見てみると画面を矢印が通り過ぎてゆきそのリズムに合わせ足元のパネルを踏んでいるようだ。
「私にもやらせてよ」
「わーったよ」
一曲が終わり台の上を退くとその上へと上がり込み矢印が出てくるのを待っていた。
「あんた、金入れねーと始まんないぞ?」
「そうなの?何処に入れたら始まるのよ?」
無垢な問いに頭に手を当て悩んだ後説明をし遊び方を教えてあげる事に。
「そういう事ね。絶・分かったわ」
「あたしと同じ曲で良いかい?」
コインを入れ曲を選ぶと先ほどの音楽と共に矢印が現れた。リズムを刻みながら矢印を踏み込んでゆく。
「お前、本当に初めてか?」
「そうよ、絶・楽しいわね」
喋りながらでも矢印を見失わず踊る姿に感心し壁に背を預けその姿を見てある提案を思い付き不敵に笑う。
「あんた、あたしと勝負しないか?」
「勝負って?」
「このダンスゲームで点数を競うんだよ。買った方に飯を奢るってのはどうだ?」
「望むところよ」
回想終わり。
「それで、伝わらなかったのだけど」
「引き分けに引き分けを重ねてムキになって続けてたらお互い金が尽きちまったんだ。んでどうしようか話をしてたらあるまが家に来いって」
「杏子ったら凄かったのよ、魔法少女になってまでしてダンスしてたんだから」
「そんな事言ったらあるまはキル姫なんだろ?なら変身しねーとフェアじゃねぇよ」
「…………」
二人の自由さに目眩を起こしながらも友好な関係のまま佐倉杏子が私の前にいる事に安堵していた。
「分かったわ。三人分ご飯を作りましょう」
後は上手く丸め込みこちら側についてもらうだけだ。事が上手くいっている事にニヤけながら夕食を作ってゆく。
「はい、味は保証しないわ」
「「いただきまーす」」
「うんめぇ!」
「絶・美味しいわね!」
今日私が作ったのは焼きうどんなのだがこうも素直に美味しいと言ってもらえると作った甲斐を感じる。残念ながら冷凍品を解凍しただけなのだが。
「ご馳走様。それであんたは魔法少女なんだな?」
「そうよ。だけど私はあなたと争うつもりはないわ」
「あたしも手が見えない相手に喧嘩を売るほど馬鹿じゃないてーの。なぁあるま、お前一体何もんなんだ?身体に戦いの匂いが染み付いてるぞ」
「私はキル姫よ、さっきも言ったけど」
へぇぇ。と呟きながらアルマスを眺めハッと思い出したかのように言葉を放った。
「お前がキュウべぇの言ってた素質持だな?友として忠告してやるよ。どんな願いがあったとしても魔法少女にはなるんじゃねぇぞ」
「それはグリーフシードの取り合いになるから?それとも親切心で言ってくれてるの?」
「両方だ」
食べ足りなかったのか何処からともなくリンゴを取り出し丸かじりしながら告げていた。
「絶・安心して、私は魔法少女になる気なんて全く無いわ」
その返答にニヤリと笑みを浮かべシャクリとリンゴを一口。
「なら良いんだ。ほむらだっけ?風呂借りて良いか?」
「構わないわ」
初対面の人の家で風呂を借りるのはどうかと思ったが断る理由も無く風呂場へと案内しリビングへと戻ってゆく。
「ーーーー♪」
「…………」
器用に椅子の前足を浮かせ後ろ足だけでバランスを取るアルマスを見て転ければ良いのにっと思いながら食器を集め流し台へと運んで行く。
話は戻り放課後。
「恭介ー美少女がお見舞いに来てやったぞー」
病室のドアを開け元気よく言葉を放つとベッドに横たわる少年が目を向け笑顔を浮かべていた。
「やぁ、さやか。来てくれたんだね」
「はい、これ手土産」
カバンからCDを取り出し恭介へと差し出すと悲しげな顔をしながら受け取った。
「それでさークラスに双子の転校生が来て、思ってたより良いやつでさ」
学校であった事を話してゆく。そんな時。
「………さやかは僕をいじめに来たのかな」
「えっ、なん「もう僕の手は動かない、バイオリンも弾けない。それなのに大好きだった音楽を思い出させるような事ばかり………!先生にはもう動く事は無いと言われたよ。奇跡でも魔法でもない限りこの手は動かないんだっ!」
目から溢れる涙も気にも止めずさやかに向かい罵声を上げ手にしていたCDを投げ付けた。
「きゃっ!恭介っ「出て行ってくれないか」
顔を背け言われた言葉に戸惑いながら後退りドアへと手をかけた。
(………あるよ、奇跡も魔法も)
そう呟き病室を後にし白い獣を探す為町へと向かう。
(……………………くそっ)
さやかは何も悪く無い、ただの八つ当たり。事故に遭い手を動かす事ができなくなった事、大好きだったバイオリンが弾けなくなった事。まだ受け入れる事ができない現実への苛立ちをぶつけてしまった事を後悔しながら窓から景色を眺めてゆく。
あれからどれぐらい走っただろう?町の至る所を周り流れる汗も拭わずに懸命に走ったのだが白い獣を探し出す事はできなかった。
(…………………)
走るのをやめ荒ぶる呼吸を整えるために歩いていると獣が前から歩んできた。
「キュウべぇ」
「どうしたんだい、美樹さやか」
「願いってなんでも叶うんだよね」
「もちろんだよ。魔法少女になって貰えるのなら何だって叶えてあげるよ」
「私、魔法少女になる。だからっ!私の願いを叶えて!」
少女の問いに白い獣は表情を変えずにんまりと笑い返答を問いかける。
「良いだろう。君はどんな願いでソウルジェムを輝かせるんだい?」
「私の願いは、恭介の右手を治す事」
「君の願いはエントロピーを凌駕した。これが君のソウルジェムだよ」
キュウべぇから渡されたのは蒼く輝くソウルジェム。それを受け取りポケットへとしまいこんだ。
「これで君も今日から魔法少女だよ。説明はいるかい?」
「うん、大丈夫。本当に恭介は治ったんでしょうね?」
「僕の事を疑うのなら病院に行ってその目で確かめてみると良」
キュウべぇの言葉が言い終わらないうちに美樹さやかは病院へと駆けて行く。
「あっ、あるまについてききたい事があったけど。もう居ない」
訳が分からないよ。そう呟きながら獣は姿を消した。
少女は病院へと戻り恭介が居る部屋の前で立ち止まっていた。先程の事を思い出すとどうしてもドアを開ける事を躊躇ってしまうのだ。
「よしっ」
少しの期待と多くの不安を持ちながらドアに手をかけ開けようとした瞬間に部屋から驚くような声が。
(先生!僕の腕が、、、、っ!!)
(信じられない、本当に奇跡が起きたとしか思えない)
事故により神経を損傷し二度と動くことのないと思われていた腕が、手が、指が以前の様にはいかないが動く兆しを見せ驚きと喜びの声が。
その声を聞き少女は踵を返し病院の外へ。
(あぁもう。今日は太陽が眩しいなぁ、、!)
溢れそうな涙を隠す為空を見上げ太陽を拝む。心は軽い。まるで羽根のようだ。
その時魔法少女の運命がどの様な物なのかまだ知る由も無かった。
時は進み暁美邸へと話は戻る。
「ぐぬぬぬぬっ!!」
「はぁぁぁぁっ!!」
(…………)
お風呂を上がり部屋に戻るとテーブルを挟み腕相撲をする二人の姿が。それは良いのだがたかが腕相撲の為に魔法少女へと変身している意味が分からない。
「やっぱりキル姫ってのは強いな!ますます気に入ったぜ!」
「私も魔法少女の強さが知れて絶・感動よ!」
(あっ、私のパジャマ)
お風呂から出た後用意しておいたパジャマが無いと思っていたら私が用意したパジャマを変身を解いた佐倉杏子が着ていた。3週目の時間軸でまどかの家に泊まりに行った時に見たまどかとお揃いのお気に入りなのに。
「………もう寝る時間よ、布団をひいてあげるから泊まって行きなさい」
「よっしゃ!さんきゅー」
自由すぎる二人に口を出しても私の胃がやられるだけだろう。寝床に付いても喋り続ける二人の声に悩まされながらも目を瞑るといつの間にか眠りに落ちていた。
さらにその頃。僕達はラグナ大陸に用事ができそのついでにアルマスの様子を見に行く事に。
「部屋を散らかされていませんかね?」
「あー散らかってそう」
(殺す殺す殺す殺す)
用事が終わり怒り心頭なティニを連れてアパートの自宅に帰ってきたのだがカギはかかったままだった。合鍵を使いドアを開けた瞬間に鬼の形相でティニさんが部屋へと飛び込んゆく。
「あれ、来てないのかな?」
「アルマスが出て行ってから一週間は経っているので迷子になって辿り着けなかったのでしょうか?」
「そこまでアホじゃないでしょ?」
「ふふふふふ、命拾いしましたねぇ、、、」
気が付けば五寸釘とハンマーを手にしているティニさん。凄く怖い。
そんな訳で千年王国へと帰る為教会へと戻ってゆくと受付のマリアに声をかけられていた。
「こないだ転送装置に不具合が起きちゃってアルマスって使用者が異世界に転送されちゃったんですけど、アルマスってユウさん達の知り合いでしたよね?」
「「「えっ」」」
その言葉に三人が間抜けな声を出していた。
「今履歴を追って何処に飛ばされたか調べているのですけどまるで手がかりが見つからなくて、、、」
どうやらアルマスは異世界に転送させれしまったようだ。まぁそのうち帰ってくるだろう。
「アルマスとの繋がりは感じますか?」
「そう言われてみればリンクを感じませんね、アルマス...」
心配そうな顔のティニ。なんだかんだいってもアルマスの事が心配なようで安心である。
……………………………………………………
時は進み暁美邸で朝食を食べた後満足そうに家へと帰る佐倉杏子を見送っていた。
「今日は学校ないの?」
「土日祝は休みよ」
「なら何処かへ行きましょうよ、家に居ても退屈だわ」
「ほむっ」
アルマスの提案に乗っかり外へと出掛けることに。折角ならとまどか、マミ、助六も誘い街をふらふらする事に。
「うわぁぁぁ、このぬいぐるみ可愛いっ♪」
「相変わらずまどかはお子ちゃまだなぁ、おっ!可愛いリボンみーっけ」
「ケーキの作り方を教えて欲しいですって?構わないわ」
「へぇ、あるまは食べるだけじゃ無かったのね」
「食べる方が好きなんだけどさ………」
歯切れの悪い返事を疑問に思ったが元いた世界の事だと理解し何も言わず聞かずにおく事に。
(…………)
ガヤガヤと楽しそうに街を歩く皆の後ろ姿を眺めていた。本来ならこんな姿を見る事はできなかった。後はワルプルギスの夜さえ倒す事ができればこの日常がずっと続くはず。
「ほむらちゃん、どっちが良いかな?」
気が付けばアパレルショップに来ており両手に持った服を身体に当てながら私に尋ねるまどかが。
「まどかなら何を着ていても可愛いわ」
「それ質問に答えて無いよ、ほむらちゃん、、、」
髪をかき上げながら答えたのだがまどかはマミの元へゆきどちらの服が良いのか聞いていた。一体何故、、、?
その後ご飯を食べに行き楽しい時間を過ごし夕方に解散となったのだが。
「「魔女の気配っ!」」
帰りの道中に魔女の結界を発見し巴マミと共に戦闘態勢へ。
「あるまお願い!私はまどかと美樹さやかを!」
「絶・任せて!マミ!」
「えぇ!連携をとっていきましょ」
左右に並び進軍してゆく二人の背後に着き全方位を警戒してゆく。そうは言っても使い魔が姿を見せた瞬間にマミにより撃たれ弾丸を掻い潜り接近したとしてもあるまにより切り裂かれているのだが。
「もう少しで魔女にたどり着くわ。みんな、気を付けて!」
気が付けば最深部へと辿り着いていた。この結界の魔女は影の魔女。本来なら美樹さやかが倒す魔女なのだが今回は魔法少女になった気配は無い。戦力が一人減ったと考えると残念だがキュウべぇの犠牲者が減ったと思えば気は楽だ。
「あれがここの魔女ね。結構強そうじゃない」
視界の先には跪き祈りを捧げる少女の姿が。だが、その影は高く伸び大樹の様。その枝の先からは竜の形をした使い魔がこちらを睨んでいる。
「気を付けなさい!あの魔女はかなり動きが早いわ!」
「任せて!」
「絶・任せて!」
そう言って駆けて行く二人。迫る影を撃ち抜き斬り払い前進して行くのだが無数に伸びる影に難儀をしているようで。
「くっ、やるじゃない!絶・燃えてきたわ!」
「油断は禁物よ!焦らず勝機を狙いましょ!」
背中合わせとなり使い魔を対処しているのだが倒しても倒しても湧いて来る使い魔に邪魔をされ本体を叩く事ができずにいた。私が前線に出れば打破できるのだがそうすれば二人が的になるだろう。
「絶対に私の側を離れないで」
「う、うん、、」
「ふっふーん」
怯えるまどかに対して余裕そうな美樹さやか。まさか!?
戸惑いながら美樹さやかを見るとポケットからソウルジェムを取り出し変身していた。
「魔法少女さやかちゃん、華麗に見参っ!ほむら!まどかは任せた!」
大見得を切り前線へと駆けて行く美樹助六にため息を吐きながら美樹さやかにキラキラとした視線を送るまどかに忠告をしておく。
「まどかは魔法少女になってはダメよ、絶対に」
「う、うん、、、」
…………………
……………
…………
………
……
…
「もぅ!キリが無いわね」
「本体を叩かない限り使い魔が出現し続けるみたいね。あるまさん、一瞬で良いから隙を作れないかしら」
「絶・任せて!」
「さやかちゃん登場っ!マミさん!あるま!私も戦うよ!」
「さやかさん!?っ、お説教は後よ!あるまさんと一緒に使い魔を退けて!」
「さやかも剣を使うのね、私の剣について来れるかしら」
「だいじょぶだいじょぶ♪行くよ、あるま!」
最前線へと駆けて行く二人の背後で魔力で作り出した特大の大砲を構えその瞬間を待っていた。
迫り来る使い魔をいとも容易く退けて行くあるまを見ていた。私も負けていられない、そう思い剣を握り直し前を向き迫る使い魔と対峙してゆく。
(ひっ)
怖い、圧倒的な恐怖心を感じ短く悲鳴を漏らす。普段なら絶対に遭遇する事ない殺意、憎しみの塊が私に向かい牙を向いている。魔女と対等に戦える魔法少女なのだが初戦の相手が悪すぎた。命を掛けて戦うプレッシャーに耐えられず足が震え始めていた。
「っ!さやか危ない!」
ドンっと突き飛ばされながら視線を向けると自身が居たところを影が通り過ぎて行く。押されなかったら致命傷を受けていただろう。
「私一人でも大丈夫よ、怖いなら下がっていなさい」
「ちょっとビビっただけ、もう大丈夫だよ」
「ダメよ、下がってて」
「大丈夫だっうわぁぁ!?」
剣を両手に構えアルマスに向かい笑顔を向けるのだが拭いきれない恐怖心を見抜かれ後線へと蹴り飛ばされて行く。
「さやかちゃん大丈夫!?」
「くっそぉー!あるまの奴!」
「あるまはさやかの身を案じたのよ。後でお礼を言っておきなさい」
反論しようとほむらの方を向いた時視界に使い魔を薙ぎ倒し道を作るアルマスの姿が見えた。次の瞬間には魔弾が轟音を立て発射され魔女を撃ち抜き結界が解除されてゆく。
「流石ねあるまさん」
「マミの援護があったからよ。さやか、さっきは蹴飛ばしてごめんなさい」
「うん、、私の方こそごめん」
「じゃあ仲直りも兼ねてさやかさんの事情聴取しましょうか」
「……はいっ」
暗黒笑みを浮かべるマミに肩を掴まれ有無を言わせず巴邸へと連れて行かれるのであった。
……………………………………………………………
机にお菓子と紅茶が並べ終わると美樹さやかへの尋問が開始された。何故魔法少女となったのか、どうして相談してくれなかったのか、戦い方なら絶・教えてあげるわなど。様々な問いをかけられ借りてきた猫の様に大人しく聞いている美樹さやかを見ても私は特に言いたい事は無かったので優雅に紅茶を楽しむ事に。
「私のが魔法少女になったのは恭介の手を治してあげたくて、、、」
「まどか、ほんとごめん。こうするしか恭介を治してあげる手段が見つからなくて、、、」
「今のままじゃ役に立ちそうにないからお願いするね」
全ての質問に答え紅茶を一口。
「誰かの為に願いを使うのは良い事だと思うわ。私も共に戦ってくれる仲間が増える事は心強いし。だけど、覚悟はできているのでしょうね?」
柔らかな声色に含まれる重圧。長年魔法少女として戦ってきたからこその警告に不安の色を出すさやか。
「あははは、、、」
「笑って誤魔化さないで、これから美樹さんはずっと戦っていかないといけないのよ?どんな時も誰にも感謝もされずに」
「・・・・・」
真剣な眼差しに言葉に俯いてしまっていた。
「マミはさやかの事を心配して言ってくれているのよ。相手が真剣ならばあなたも真剣に答えなさい」
「…………」
助け舟を出したつもりだったが余計に助六を困らせるだけだった。
「ごめんなさいね、少し言い過ぎたわね。話は変わるのだけど」
「はい?」
「美樹さんはその男の子の事が好きなの?」
ブーーーーーーッッッッ!
思わぬ問いに飲みかけた紅茶を助六が盛大に噴き出した。吹き出した瞬間に時を止め吹き出した紅茶がまどかにかからないようにタオルで押さえ込み時間停止を解除。この物語で初めて時間停止を使うのだがまさかこんな事に使うとは思わなかった。
「ゲホッゲホッ!マミさん!」
「あら?もしかして美樹さんは好きでもない男の子の為に願いを使ったのかしら?」
先程と変わり和かな目線を向けられ赤面しながら俯く。
「そうなら早く手を打たないと誰かにとられちゃうぞ」
「そうよ。好きなら好きとハッキリ言いなさい」
「でも、、。想いを伝えるのは恥ずかしいし、、、」
「そういうのは当たって砕けるのよ!」
「そうだよね、って砕けたらダメだって!」
「流石さやかちゃん、キレのあるノリツッコミだったよ♪」
「もぅ、まどかまで、、、」
「さぁ、そろそろ良い子は帰る時間よ。それとみんな明日は時間あるかしら?」
巴マミの問いにみんなが答えるとニヤリと笑った。
「なら明日は美樹さんの特訓をしましょうか」
これが美樹さやかの地獄の始まりの合図だった。
次の日河川敷にみんなが集まり特訓が開始されていた。
「ほーら!猫のが戯れてる様にしか見えないぞ」
「このっこの!当たらないっ!」
魔法少女に変身したマミが出したリボンを的にし剣を振るっているのだがまるで当たっておらず文字通り猫が遊んでいる様にしか見えない。
「それに当てれる様になったら私と組手よ、絶・鍛えてあげるからね!」
「このままだとあるまちゃんと組手をするまでにお昼になっちゃいそうだよ?」
当たりそうで当たらない剣を見ながらこの場所を見渡していた。私が初めて魔法少女になった時みんなに鍛えてもらった思い出の河川敷。
ゴルフクラブでドラム缶を叩いていた時が懐かしい。ドラム缶の数が多いのが前兆示唆だったわね。
「もーーーー、、、、だめっ、、、」
思い出に浸っていると疲れ果てた美樹さやかが地面に横たわり荒く呼吸をしていた。
「あるまさんと戦って実戦で経験を積んだ方が良いかもしれないわね。あるまさんおねがいできるからしら?」
「もちろんよ、いつまで寝てるつもり?起きなさい」
「ごめ、、、っ少し休ませて、、、」
あまりに残念な姿に心を痛めたらしく少し休憩する事に。
「今あるまがジュースを買いに行ってくれたわ」
「ありがと、、、」
しばらくするとコンビニ袋片手にアルマスが戻ってきた。もう一人連れて。
「買ってきたわよ」
「へぇ、こいつが新入りか、ってマミ!?」
「佐倉さん!?」
「あるま!どういう事!?説明しなさい!」
「端的に言うと、、、」
以下回想、、、、。
河川敷から最寄りのコンビニに向かいお使いに行くアルマス。その途中見た事のある人の姿が。
「杏子じゃないの、こんなとこで何してるのよ?」
「ん、あるまか。魔女探ししてんだよ」
「そうなんだ、なら今私の友達の特訓してるから力を貸してよ」
「悪いけどパスだ。手持ちのグリーフシードが切れてこっちはそれどころじゃ無いんだよ」
「ならこれをあげるわ」
そう言って手渡したのは一つのグリーフシード。
「貰うもん貰ったんなら手伝ってやるしかねぇな。案内しな」
「こっちよ」
回想終わり。
「ってわけよ。それでマミと杏子は知り合いなの?」
「知り合いって言ったら知り合いだけどよ、、、」
なんとも気まずそうな佐倉杏子にリボンが巻き付けられあっという間に拘束されていた。
「何すんだ!マミっ!離せ!」
「会いたかったわ、佐倉さん、、、」
思わぬ光景に全員がぽかーーんとしている中マミが佐倉杏子を抱きしめていた。
(ねぇ、どういう事なの?)
(マミと佐倉杏子は元々師弟関係だったのよ。だけど仲違いを起こして離別したの)
(じゃあ仲直りしたって訳ね?)
(何処をどう見たらそんな事が言えるのかしら?)
こしょこしょ話から視線を戻すと必死に抵抗する佐倉杏子を抱き締めるマミの姿が。
「離せっ!」
「嫌よ」
「頼むって!」
「「「「…………」」」」
「と、とりあえずジュース買ってきたから飲みましょ」
「うん、そうだね、、」
護岸された場所に座り談笑をしながらジュースを飲んでいると諦めた様な声が。
「分かった、分かったから離せ!」
「もう何処にも行かないかしら?」
「行かない!だから離せ!」
(やっぱりマミ杏は良いわね)
………………………………………………
「」
「さやかちゃん大丈夫、、、?」
長い休憩も終わり美樹さやかの特訓が再開されていた。あるまと佐倉杏子を相手に二体1の組手が行われ当然のようにシバかれ燃え尽き地に伏せる美樹さやかに哀れみの視線を向けていた。
(不憫ね、、、)
「ところで佐倉さんは今住むとこはあるのかしら?」
「ホテルを転々としてるよだから大「なら家に住みなさい」
「………はい」
「そうと決まったら準備をしないとね」
(えっ、私の修行の話終わりなの?)
和かな顔を浮かべるマミ。その後マミの提案により巴宅でアルマスのケーキ作りが行われる事に。
「あるまさんは作りたいケーキはあるの?」
「パウンドケーキが作りたいわ。私好きなのよ」
「じゃあ一緒に作りましょ」
二人でキッチンで調理をしている姿を見ながら談笑をしていた。
「へぇぇ、杏子ちゃんは隣町の風見野市に住んでたんだ」
「キュウべぇに魔法少女の素質を持つ奴を見つけたって言われてこっちに来たのさ、出る杭は叩こうっと思ってたんだが叩くまでも無さそうで安心したよ」
「むっ、悪かったな叩くまでもなくて」
「さやかだっけか?マミにも言われたとは思うが覚悟はできてるんだろうな?魔法少女を半端な覚悟でしてると、死ぬぞ」
「分かってるよ。マミさんにも言われたし重々承知してるよ」
「なら良いんだ」
思った通りの返答に満足気に何処からか取り出したポッキーを一口。
「ん、食うかい?」
「じゃ遠慮なく」
「あっ、私も」
「私も頂くわ」
カリカリと小気味のいい音を立てながらポッキーを食べてゆく。そんな時ドアが開きお皿にケーキを乗せた二人が部屋へと。
「はいどうぞ。あるまさん特製のパウンドケーキよ」
「そんな、ほとんどマミが作ってくれたじゃない」
「私は手伝いをしただけよ?」
「じゃあさやかちゃんが味見をしてあげよう」
フォークで切り分けられたケーキを一つ口へと運んでゆく。
「ゔぇっ!!なんだよこれ、、、」
一口食べ苦虫を噛み潰したような顔をしながら慌てて紅茶を飲んでいた。
「おい、食い物を粗末にするな。殺すぞ」
「私もそんな事したくないよぉ、でもこれは、、、」
怪訝な顔をしながら次は杏子が一口。
「…………これは食い物じゃねぇ、、、」
「ちょっと、人が作ったのにそんな事言わないでよ」
「そう言うなら食ってみろよ」
絶・訳が分からないわ。そう言いながら一口。
「まっずっ。何よこれ」
「そんなに美味しく無いのかしら、、、?まずっ!」
「おい見ろ!さやかのソウルジェムが濁ってるぞ!」
「マミさんのもだよ!」
「…………」
マミの手を借りながらそこまで不味い物を作れるなんて、、。アルマスに料理を作らせるのはやめよう。そう心に強く決めていた。
次の日、学校が終わった放課後にさやかの提案で上条恭介が居る病院へとお見舞いに来ていた。本来なら一人で行きたいらしいのだが以前気不味い事があり付き添って欲しいとの事。
「その恭介と何があったのよ?」
「あんまりそういう事聞くのはやめとこうよ?」
初夏らしく汗ばむような陽気の道を歩き目的地である病院へと辿り着いていた。ここは私が入院していてアルマスと出会った病院でもあるのだ。
自動ドアを抜け院内へと入ると冷房により汗が引いてゆくのを感じる。
「こっちだよ」
慣れた足取りで病院内を進んでゆく。エレベーターに乗り五階のボタンを押し、その様子はどこか落ち着きが無いように見える。
「さやかちゃん、エレベーターの中で足踏みしても進むスピードは変わらないと思うな」
「えっ、いや、あはは。なんか落ち着かなくってさ」
「そんなに会えるのが楽しみなのね」
「もぅ!そんなんじゃないってば!」
浮かれている助六を冷ややかな目で見ていると目的の階に着いたようで。誰よりも早くエレベーターを飛び出し部屋へと向かう背後を追いかけて行く。
「…………」
ドアの取っ手を持ち身を固めていた。あれだけ楽しみにしていたのに緊張が躊躇わせるのだろう。
「開けれないの?なら開けてあげるわよ」
「あーーっ!」
空気を読まないあるまによりドアが開かれ悲鳴を上げていた。その声で気が付きこちらに向かい微笑む少年の姿が。
「やぁ、今日は友達を連れてきてくれたんだね」
「こんにちわ恭介君、身体の調子はどうかな?」
「前言ってた転校生だよ、こっちがほむらでこっちがあるま」
「暁美ほむらよ、よろしく」
「暁美あるまよ、よろしくね」
次々と並べられる言葉に困惑の表情を浮かべながらも丁寧に返事を返し一息。穏やかな沈黙が漂ってゆく。
「この机の上にあるのはなんなの?」
「これかい?これはヴァイオリンだよ。そうだ、来てくれたお礼に一曲弾かせてもらうね」
ベッドから起き上がりケースを開け丁寧な手付きでヴァイオリンを取り出すと椅子に腰掛け演奏を開始していた。
ーーーー♪ーーーー♪ーー♪ーーーーー♪
目を閉じヴァイオリンから奏でられる音を楽しんでいた。これ程の演奏ができるのなら手は完治したといえるだろう。
演奏が終わり一礼をする姿に思わず拍手を送っていた。
「今の曲ってさやかが聴いていた曲と同じよね?えっと、月の光だっけ?」
「なっ、あるま!」
「うん、ドビュッシーの月の光で合っているよ。さやかも聴いていてくれたんだね」
「別に、恭介が良く演奏してくれたから聴いてただけで、、、」
「さやかちゃんがクラッシック好きなのって恭介君の影響だったんだね♪」
「まどかまで、、、あっ!もう面会時間終わりみたいだから!また来るね!」
顔を赤らめながら部屋を飛び出してゆく。
「あっ、、今日はみんな来てくれてありがとうね、さやかにもよろしく言ってくれないかな?」
その言葉に返事をし病室を出ると廊下でモジモジと身体をくねらせる美樹さやかの姿が。そのモジモジは病院を出るまで続いていた。
「あっ、私とした事が病室に忘れ物をしてしまったわ。悪いけど誰か取りに行ってもらえないかしら?」
「私が行く!このさやかちゃんがすぐに取ってきてあげよう!」
バタバタと駆けてゆく美樹さやかを見送り髪をかき上げてゆく。
「ほむらちゃんが忘れ物をするなんてなんか意外だね」
「特に忘れてはいないのだけど、強いて言うのなら二人の時間ね」
「時間?忘れた時間って取りに戻れるの?」
私に向かい親指を立てるまどかと未だに意味が理解できず困惑するあるまを見ながら美樹さやかの帰りを待つ。しばらくすると浮かれきった顔の美樹さやかが。
「いやぁぁっ、私、舞い上がっちゃってますね♪」
嬉しそうな声を聞きながら帰路へと着くのであった。
その日の夜。あの時言われた言葉を思い出しニヤニヤと外を眺めていた。
(さやか、こないだは本当にごめん。それと退院できたらさやかに伝えたい事があるんだ)
以前の謝罪と意味深な事。それを思い出すだけで口元が緩みゴロゴロと枕を抱きながらベッドの上を転がってしまう。
そんな時勢いあまり壁に頭をぶつけた。ドンっと鈍い音が響き頭に衝撃が走ったのだが痛みが無い。癖で頭を手で押さえてしまいながら疑問を思っていた。
「こんばんわ美樹さやか。魔法少女には慣れたかい?」
「あっ、キュウべぇ」
突如部屋に現れたキュウべぇに先程思った疑問を聞いてみる事に。
「その疑問に答えてあげるよ、ソウルジェムを出してごらん」
不思議に思いながらソウルジェムを取り出すとキュウべぇが前足をソウルジェムへと押し当てた。その瞬間悲鳴を上げるほどの激痛が身体中を駆け巡る。
「どういう事なのキュウべぇ」
「君の魂はこのソウルジェムに移っているんだ。だから抜け殻である君の身体がどれだけ傷付こうと痛みは感じないよ」
「あはは、私バカだからさ、キュウべぇの言ってる事の意味が分からないんだけど」
「もう一度言ってあげるね、君の魂はこのソウルジェムにある。だから君の身体はただの抜け殻だよ。でもグリーフシードを使い魂を浄化し続ければ永遠に今の状態で生き続ける事ができるよ」
「それって私もう人間でもなんでも、ないじゃんか、、、」
「君が願った願いの対価だよ。僕は説明はいるかと聞いたじゃないか」
「それに君には治癒能力に特化しているよ。だから痛みを完全に遮断して魔女と戦えば優位に立ち回る事ができる」
「…………け!」
「出ていけ!!」
「やれやれ、人間というものはいつの時代も’個’に執着するね。訳が分からないよ」
白き獣が姿を消した部屋に残ったのは人間で無くなった少女と深い悲しみと絶望だった。
(もうこんな身体じゃ恭介に何にも伝えられないよ)
ふらりと立ち上がり部屋を出た少女は夜の町へと消えてゆく。
…………………………………………
美樹さやかが学校に来ない日が三日続いた。最初は風邪で休んでいるだけだと思っていたのだが学校にはそんな連絡は行っておらず不審に思った五人により捜索が開始されていた。
「美樹さん何かあったのかしら?」
「元気だけが取り柄の美樹さやかが三日も風邪で学校を休むなんてあり得ないわ」
「ちょっと言い過ぎだよ、ほむらちゃん?」
「まっ、手分けして探せばすぐ見つかるっしょ」
「何かあれば携帯で連絡を取り合いましょう」
「携帯?」
「あるまはまどかと探して、私達は別々に探しましょう」
その言葉を合図に各自町へと繰り出してゆく。さやかが居そうなCDショップ、病院、河川敷を見て回るのだがどこにも姿は無くただ時間だけが過ぎてゆき気が付けば太陽が沈み月が顔を出していた。連絡を取り合い一度集まる事に。
「くそっ、何処にも居ねーじゃねーか」
「諦めずに探しましょう。きっとお腹を空かしているはずよ」
「本当にさやかちゃん何処に行っちゃったんだろ、、、」
待ち合わせた駅に集まり成果を話し合うのだが誰もが首を横に振った。だが帰ろうと言う者はおらずもう一度捜索を開始しようとした時に白い獣が姿を現した。
「大変だよ、魔女が現れそうなんだ」
違和感のある言葉。それに気が付かず白い獣に案内されるがままに道を進んでゆく。
そして辿り着いたのは病院の裏にある廃屋だった。
「ちっ、こんな時に魔女だなんて早く片付けようぜ」
悪態を吐きながら進んでゆくと黒く光る物が。それに目を凝らしてゆくと窓から差し込んだ月明かりに照らされはっきりと目に映った。
「さやかっ!」
「さやかちゃん!!」
床に倒れ込んださやかと微かに蒼色を残し黒ずんだソウルジェム。急いで杏子とまどかが抱き起こし声をかけるのだが反応は無い。
「マミ!」
「分かっているわよ!」
ソウルジェムにグリーフシードを当て穢れを吸い取るのだが一つ、二つ使っても穢れは消えず静かに黒ずんでゆく。
「何をしても無駄さ、美樹さやかは絶望し魔女になろうとしているんだ」
「はぁ?何言ってんだよ!魔女はグリーフシードから産まれるんだろ!?」
「そうよ!何訳分からない事を言っているのよ!さやかが魔女になる訳なんてないじゃない!!」
あるまがキュウべぇの首を掴み持ち上げ反論を叫ぶ。だが獣は表情一つ変えずに言葉を続ける。
「僕達が対価も無しに君達を魔法少女にしていたと思っていたのかい?君達が絶望し魔女になる瞬間に膨大なエネルギーを放つんだ。僕達はそれを回収しこの宇宙の寿命を延ばす事に使うんだ」
「だから暁美あるま、鹿目まどか。君達も魔法少女になってよ。君達が魔女になる瞬間にはこの四人を超えるほどのエネルギーを出す素質がある。だけど僕としては暁美あるまに魔法少女になってもらいたいな。君からは沢山の魂を感じるよ。きっと一人が絶望すれば全ての魂からエネルギーを吐き出すだろう」
「このおっっっ!!!」
怒りが頂点へと達し我を忘れ強く握り締めるとゴギリと鈍い音が響いた。
「何をするんだい?替えの身体は沢山あるけど壊されるのはあまり好ましくないね」
握り締めていたキュウべぇの下にもう一人のキュウべぇの姿が。驚き手を離し落ちた死体を現れたキュウべぇが貪り食ってゆく。
「きゅぷい。また返事を聞かせてよ」
そう言って獣は姿を消した。
(……………………不味い、このままだと巴マミが錯乱し杏子を、、、っ!)
盾を構えながら何かあればすぐ時間停止ができるように振り返ると。
「暁美さん!ありったけのグリーフシードを頂戴!美樹さんを助けるわよ!」
そこにあったのは懸命にさやかのソウルジェムにグリーフシードを押し当てるマミの姿が。その姿に動かされ盾からグリーフシードを取り出しマミへと渡してゆく。
「ダメね、それ程に絶望しているのね、、、」
何個グリーフシードを使おうと穢れは消えず僅かに残る蒼も消えようとしていた。
「このままじゃさやかは魔女になっちまうっていうのかよ!?」
「さやかちゃん、、、そうだよ!恭介君!恭介君だよ!」
まどかの言葉に顔を向け次の言葉を待つ。
「きっと恭介君に会えば希望を持てるはずだよ!」
「私に絶・任せて!すぐ連れてくるわ!それまでさやかの事頼んだわよ!」
言い終わる前に一目散に駆け出してゆく。アルマスが戻る間にも懸命な措置が行われてゆくのだがついに手持ちのグリーフシードが底を尽きた。
「美樹さんっ!今恭介君がくるからね」
「そうだよさやかちゃん!今あるまちゃんが連れて来てくれるからそれまで諦めちゃダメだよ!」
恭介、その言葉に反応する様に淡く蒼く光る。これが最後に残った希望。
「さやかっ!いい加減目を覚ましやがれ!」
杏子の叫び声の後遠くでガラスが割れた音が。次の瞬間にはドアを乱暴に蹴り破り恭介を抱いたアルマスの姿が。
「連れて来たわよ!いっけぇぇぇ!!」
「うわぁぁぁぁっ!?」
「馬鹿っ!投げるんじゃねぇ!」
アルマスにより投げられた恭介をキャッチしさやかの前へ。
「説明は後よ、上条恭介。あなたの美樹さやかへの想いを伝えなさい」
突然の状況に理解が追い付かない顔をしていたが疼くまるさやかの姿を見て察し深く呼吸をし言葉を紡いでゆく。
「さやか、さやがが僕の腕を治してくれたんだね、、、こんな姿になってまで。。。さやかが僕を助けてくれたなら次は僕の番だね。僕の人生をかけてさやかを大切にするってここに誓うよ。だから目を開けて」
……………………………………………
長い沈黙の後薄らと瞳が開きソウルジェムが再び蒼い光を取り戻した。
「恭、、、介?」
「うん、僕だよ。安心して?」
抱き抱える恭介へと向かい手を伸ばしその手をしっかりと握り締めると安らかな寝息が。
「これで一件落着ね。ほむらさん、詳しく話を聞かせてもらえるかしら?」
「………分かったわ。私が知っている事を全て話しましょう」
……………………
…………………
………………
…………
………
……
私が魔法少女の真実を話した後廃屋に啜り泣く声が響いていた。
「酷いよ、、、そんなのあんまりだよ、、、、」
「それじゃあ魔法少女はアイツらの家畜みたいなもんじゃねーか!ふざけやがって!」
「鹿目さん、佐倉さん、落ち着いて。暁美さん、魔法少女が人間に戻る方法はあるのかしら?」
「私が知る限りは、、、」
部屋に再び訪れた深い沈黙。それを打ち破る者が。
「何諦めてるのよ、諦めたら何もかも終わりよ」
「魔法少女でもないお前に何が分かるって言うんだよ!それともお前がキュウべぇにあたし達が元に戻れる様願ってくれるのか」
「佐倉さん!」
「ーーっ!ごめん、言い過ぎた」
「あるわよ、一つだけ元に戻れるかもしれない方法が。私が元いた世界にティニが居るんだけど私がティニと繋がることさえできれば元に戻せるかもしれないわ」
「それで元いた世界と繋がる方法はあるのか?」
「それは、、、」
「ちっ、なら希望を持たせる様な事を言うんじゃねぇ」
「佐倉さん。それでも可能性はゼロじゃないのでしょ?それならあるまさんを信じましょ」
佐倉杏子を嗜めアルマスに向かい微笑むマミ。何故彼女は絶望し錯乱する事なくいれるのか。
「あるま、その力は一体どの様なものなのかしら?」
「私の能力、デウスファクターっていうのだけど、それはみんなと繋がる力なの。今は近くに居れば僅かに繋がる事ができるのだけど」
「ティニが居るとどうなるのかしら?」
「この世界の全てと繋がる事ができるわ。そうすれば魔法少女の事は全部私が引き受ける」
「つまり?」
「端的にいうと、、、」
難しい顔をしながら説明をしているのだが何一つ理解できず、それでも必死に説明をしているアルマスがおかしくてついつい笑ってしまった。
「何よ、人がせっかく説明しているっていうのに」
「それは端的に言えているとは言わないわ。事件も一段落した事だし一度帰りましょう」
窓を見ると月明かりは消え朝日が差し込んできていた。それに気が付くと疲労が一気に押し寄せてくる。
「三日後に巴マミの家に集まりましょ。その時に最悪の魔女、ワルプルギスの夜について詳しい話をするわ」
その言葉の後に解散となり各自家へと帰ってゆく。
「疲れたわね、このまま寝て良い?」
「好きにしなさい」
「じゃ、おやすみ」
寝室へと向かうあるまを見届けた後アルマスについて調べてみると事に。図鑑を開きアルマスという名を探してゆく。
(これね、シャルルマーニュ十二勇将の一人デュルパンの愛剣、不屈の剣アルマス)
以前言われた神器という言葉通りならアルマスはこの剣のキラーズから産まれたはず。さらに読み込んでゆくと身体に四本の槍を突き刺されながらも千の敵を打ち倒したという。
この諦めない気持ちがデウスファクターによりみんなに繋がっていたから巴マミは取り乱さずに済んだのだろうか?仮説だが良い線をいっていると思う。
(そうね)
思い直せば私自身が一番影響を受けていた事に気が付いた。アルマスと出会った時から一度も私は諦めていなかった。諦めていた気持ちが消え諦めないという気持ちに変わっていた。
今日は手料理を作ってあげよう。そう思い眠気を感じたためパジャマに着替え寝室へと。
(…………はぁ)
汚れた服のまま布団で眠るアルマスを見てため息を一つ吐き布団に潜り込み目を閉じてゆく。
三日後に巴邸へとみんなが集まりほむらの説明を待っていた。
「説明の前にテレビを見て」
言われた通りにテレビを付けると太平洋沖を進む台風の情報が。
[太平洋沖に突如出現した台風は猛烈な勢力を保ち明日にはスーパーセルへと変わり群馬県に上陸する見込みです。各自治体には避難指示が出され…]
「これがワルプルギスの夜よ。ワルプルギスの夜はその強さから素質の無い人にも災害として認知されるの」
「災害級の魔女って事ね、、、」
「なぁ、グリーフシードは何個あるんだ?」
「一人一つね、誰かさんのお陰で」
「ごめんってば!」
「ほむらさんは何度もワルプルギスの夜と戦っているのよね?何か分かった事はある?」
「悔しいけど分かる事はアイツが最強の魔女だという事だけよ」
「ねぇほむらちゃん、私も魔法少女になってみんなと一緒に戦いたいんだけど、ダメ、、かな?」
「それはダメよまどか。キュウべぇの言うようにまどかには最強の魔法少女になれる素質がある。だけどそれは裏を返せば最強の魔女になると言うことよ」
「そう、、なんだ、、」
「私が居れば絶・大丈夫よ!ワルプルギスのなんたらを倒せば良いんでしょ?」
「ワルプルギスの夜はあるま一人で勝てる様な魔女では無いわ。しっかりと作戦を練って戦っても勝てるかどうか、、、」
「なら勝てる様にしっかりと作戦を練りましょ」
机の上に置かれた紅茶とお菓子。それと一冊のノート。それに思い思いの作戦を出し合い書き込みその中から最適解の答えを導き出してゆく。
(…………)
あーでも無いこーでも無いと言い合うみんなを見ていた。今までは私一人で戦っていたが今回は違う。みんなが居てアルマスも居るのだ。心にあった不安は消え去り希望へと変わってゆく。
次の日の朝、昨日まで快晴だった空はドス黒い雲に覆われ風が吹き荒れている。
「あれ?ほむらは?」
「まどかの所へ行ったわ。すぐ戻ると言っていたけど」
「腹が減ってはなんとやらだ。食うかい?」
差し出されたポッキーを貰いかじる。
「それなら紅茶も持ってくれば良かったわね」
……………………………………………………
その頃ほむらはまどかが避難している学校へと来ていた。
「ほむらちゃん、私はにできる事があるならなんでも言ってね、そんな事しかできなくてごめん」
「良いのよまどか。一つお願いしても良いかしら?」
「うん、なんでも言ってね」
「私に頑張れって言って欲しいの」
顔をハッとさせ大きく息を吸い込み、そして。
「ほむらちゃん頑張って!!」
大きな声で叫ぶ。
「ありがとうまどか。行ってくるね」
「うん、絶対無事に戻ってきてね!!」
声を背に受け振り返らず戦地へと歩んでゆく。
「遅かったわね」
「そうかしら?手短に済ませて来たつもりよ」
「お喋りはこの辺にしておきなさい」
「あれがワルプルギスの夜、、、?」
「いいえ、あれは使い魔達よ」
旗を持った使い魔がパタパタと駆けてゆく。その後ろをサーカスのパレードが通ってゆきカウントダウンが開始された。
⑤
「来るわ!作戦通りに!」
④
「任せて!行くよあるま!」
③
「やろうぜマミ。アタシ達にまかせなってーの」
②
「そうね、師弟コンビ再結成ね」
①
「この剣先に続けぇ!!」
空にカーテンがかかりゆっくりと幕を開けると上空に魔女の姿が。足に付いた歯車を空に向け青いドレスを着た女性の姿。
【アハハハハハハ】
豪雨暴風にも消されずにはっきりと甲高い笑い声を上げながら進んでゆく。
頷き合い二人の剣士が駆ける。
「使い魔はさやかちゃんとあるまに任せろ!!」
「行くわよさやか!」
無数に浮かぶ使い魔達に斬り込み道を切り開く。
「マミ!こっちは任せろ!」
「えぇ、もうすぐよ!合図をしたら離れて!」
魔力を使い出現させた大砲に魔力を注ぎ込んでゆく。その隙を狙う使い魔を佐倉杏子が守ってゆく。
「みんな退いて!行くわよ、ティロ・フィナーレっ!!」
合図を受け射線から退いた瞬間に特大の魔弾がワルプルギスに纏わりつく使い魔を打ち払う。
「ほむらっ!!」
「えぇ!ここで倒すっ!!」
盾から借りた重火器を取り出し時間を止め全てをワルプルギスに向けてトリガーを引いてゆく。
「
時間停止を解除すると無数のミサイルがワルプルギスに向かい飛来し着弾、爆発を起こしてゆく。
炎と黒煙にまみれながらまだ宙に浮かぶ魔女に追撃の魔弾が。
「絶・氷弾っ!!」
「ティロ・フィナーレ!!」
特大の氷弾と光弾が着弾し高度を乱しゆっくりと地上へと降りてゆく。
「さやか!」
「せーので押すよ!せーーーのっ!」
道路に停まっているタンクローリーをワルプルギスへと押してゆく。
「はいっ!しっかり捕まって!」
差し出されたリボンを手に取り安全地帯へと引っ張られてゆく。
「終わりよ!ワルプルギスの夜っ!!」
ほむらの手に握られた拳銃が弾丸を放つ。それはタンクに穴を開け漏れ出した燃料が燻る炎に引火し大爆発を引き起こした。
「くっ!凄い威力ね!」
「これだけの爆発に巻き込まれたなら勝ち確じゃん!」
「いえ、まだよ!」
ほむらの視線の先に全身に焦げ跡を作りながら空へと浮上してゆくワルプルギスの姿が。
「効いてないって事!?」
「化け物かよ!?」
「ねぇ、これだけ攻撃して反撃してこないってどう言う事なのよ?」
「まさか、、、私達の攻撃を攻撃だと思ってないって事!?」
【アハハハハハハッ!!】
遂に完全に元の高度へと戻り何事もなかったかの様に宙に浮かぶ。
「逃げてぇ!!!」
ほむらの叫びの後ビルが根元から引き抜かれ魔法少女達目掛け振り下ろされる。
「嘘だろ、、、?そんなのありかよ、、!」
予想外の攻撃方法に思わず動きが止まる。その隙を逃さない。
【アハハハッ】
笑い声の後口から吐き出された炎の光線が辺りを焼き尽くしてゆく。それから逃げ惑えば無数の使い魔が攻撃を仕掛けてくる。絶え間ない波状攻撃にジワジワと消耗させられてゆく。
【アハハハハハハ】
圧倒的な攻撃力に防御力になす術もなくソウルジェムを濁らせ回復させる暇さえも無かった。
「私が出るわ。その間にしっかり回復させておくのよ!」
群がる使い魔を斬り払い戦場を駆けるのはアルマス。どれだけ攻撃を受けてもその進撃は止まらない。単独で道を切り開き猛進してゆく。
ビルからビルへと飛び移りワルプルギス目掛けて高く飛び上がり全身全霊を込めた一振りを振り下ろす。
「そんなっ傷すら付かないだなんて!?」
硬い外皮に阻まれ傷跡一つつける事なく落下してゆく。
【アハハハハハハ】
巻き起こされた暴風に煽られ抵抗すらできずにビルへと叩きつけられ地上へと落下してゆく。
「ぐうっ、流石に今のは効いたわね、でも絶・諦めないから!」
自分自身に言い聞かせるように叫び再び走り出すのだがほむらの声によりみんなの所へ。
「マミ、リボンをビルまで伸ばす事はできるかしら」
「えぇ、可能よ。何か作戦があるのね?」
「外皮が硬いのなら中を狙うわ。杏子、頼めるかしら?」
「任せな、んで、どうするんだ?」
「私の能力時間停止は私が触れていれば動く事が可能なの。あるまとさやかは使い魔の処理をお願い!」
端的な説明の後一斉に動き始めた。
「絶・突撃ぃ!!」
「うぉぉぉぉっ!!」
前線を駆ける二人が使い魔を退け道を作りながらビルの屋上を陣取る。それを打ち払う為にワルプルギスが口を開けた。その瞬間に時間を止める。
「マミ!」
「任せて!」
マミの手から伸びたリボンが屋上に居る二人に巻き付きしっかりと固定された。
「リボンの上から離れたらダメよ」
「任せとけって!」
リボンの上を猛進する佐倉杏子。その先には口を開けたワルプルギスの夜が。
「いっけぇぇ!!!」
加速を付けぶん投げた槍は寸分狂わずワルプルギスの口へ向かい停止。
「解除するわ!」
時が動き出しリボンにより三人が回収され上空を見上げると口を貫通し突き刺さる槍の姿が。
「おっし!首尾は上々っと♪」
【キャハハハハ】
「様子がおかしいわ!警戒して!」
笑い声に紛れて聞こえる金属が擦れる様な音。それはすぐに歯車が回転する音だという事に気が付いた。
次の瞬間にはビルが二本引き抜かれ空中でぶつけ合わせ始め砕かれた瓦礫が暴風に乗り降り注いでゆく。
「!!」
降り注ぐ雨の様な瓦礫を防ぐ為盾を前に出し身を屈めるのだがその判断がいけなかった。確かに身を守る事はできたのだが盾に亀裂が入り真っ二つとなってしまった。もう時間停止も時間遡行もする事ができない。
つまりもうやり直す事は不可能。この戦いの結末がどの様なものでもそれを受け入れるしかなくなってしまった。
「ほむらっ!!」
叫び声と共にドンッと突き飛ばされ私が居た所に巨大なコンクリートの塊が落ちる。
すぐさま視線を向けると塊が落ちた所にヒビが入り血が滲んでいる。
(・・・・・)
恐る恐るメンバーを数える。巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子。何処に視線を向けてもあるまの姿が無い。
「あるま、あるまぁぁぁぁぁっ!!!!!」
必死に塊を退かそうと力を込めるのだがどれだけ力を込めても僅かにすら動く事は無かった。
…………………………………………………
(……………)
避難所の窓から外を眺めていた。その視線の先には宙に浮かぶ巨大な魔女の姿が。
さっきまで何度も爆発の音と地響きが聞こえていたのに今は何も聞こえない事が不安を煽る。
「まどか大変だよ。暁美あるまが死んだ」
「えっ?」
「このままだと他のみんなが絶望に飲まれ魔女になってしまうよ。君にそんな事が許せるのかい?」
「早く僕と契約して魔法少女になるんだ。そうすればみんなを助ける事ができるよ」
「………………」
「悩んでいる暇なんて無いよ。さぁ、早く!」
獣の言葉を振り切るように走り出し戦地へと向かい駆け出してゆく。
………………………………………………
「オベロン様、アルマスは何処に居るか分かりそうですか?」
僕達はあの後千年王国へと帰りオベロン様にこの事を報告していた。事態を重く見たオベロン様が転送装置に魔力を送り込みアルマスの行方を探していた。
「うむ、見つけたぞ!今ならこの装置でそこに行く事ができる」
「!」
その言葉を聞いた瞬間に転送装置に乗り込みティニが単身で転送されていった。
………………………………………………………………
真っ暗。何も見えない程真っ暗な世界。歩いているのか止まっているか分からない世界。
そんな世界に小さな光が一つだけ見えた。それに向かい進んでゆく。
(ティニ、ティニなの?)
「はい、私ですよアルマス」
「ねぇティニ、私に力を貸して。友達がピンチなのよ」
「はい♪でも帰ったらお仕置きですからね?」
………………………………………………………………
あるまを失った私達は希望を失っていた。誰もが勝てるはずが無いと戦意を失い諦めソウルジェムを濁らせていた。
「ちくしょう、、、ここまでかよ、、」
そんな私達を嘲笑うかのように使い魔に名を出し何千の使い魔が私達に向かい攻撃を仕掛けてゆく。
諦めて目を瞑った瞬間に剣を振るう音が。
「何諦めてるのよ!私は絶・諦めたりしてないわ!」
目を開けると背中に七色に輝く翼を広げたあるまの姿が。
「あるま!その姿は一体!?」
「キル姫アルマス推参!
そう宣言するアルマス。そしてアルマスの思い、みんなの思いが繋がるような感覚を覚えた。
「行くわよ!ティニ!みんな!私に力を貸して!」
ころりと転がったソウルジェムから穢れが抜けてゆき素の輝きを取り戻す。そしてその輝きさえもがアルマスに向かい流れてゆく。
「うん、みんなの思い確かに伝わったわ」
そして翼をはためかせ空を睨む。
「この一振りで絶・倒してみせる!」
七色の翼で空を舞いワルプルギスの元へゆき剣を構え大きく振りかぶった。
「これで終わりよっ!!」
振り翳した剣はワルプルギスに当たる寸前で止まっていた。
「そうね、あなたも辛かったわね。ずっと一人で世界中を彷徨って、誰かに会えば攻撃されて。ずっと寂しかったよね、気が付けなくてごめん。でももう絶・大丈夫よ、私が救ってあげる」
「ここに宣言するわ!私は魔法少女も、魔女も、この宇宙も全部絶・救ってあげる!だから私に力を貸して」
アルマスが差し伸べた手にワルプルギスがそっと触れるとキラキラと輝くアルマスの中へと消えてゆく。
「うん!行くわよみんな!」
真っ黒な雲に覆われた空を睨み剣を構え渾身の一閃を放つ。その斬撃は雲を斬り裂き天空を目指し舞い上がる。
「ほむらちゃん!みんな!大丈夫!?」
「えぇ、無事よ鹿目さん」
「あれ?私のソウルジェムが無い?」
「魔法少女になれなくなってるぞ」
「どういう事なのあるま、説明をしなさい」
「えっと、端的に言うと、、、「僕から説明をさせてもらうよ」
「あっ、キュウべぇ」
「あるまは君達の力を魔女の力を全て吸い取りこの宇宙へと逃したんだ。だからもうこの世界に魔法少女は居ないし魔女も居ないよ。そしてお手柄だよ暁美あるま。君が全てのエネルギーを宇宙に解き放ったお陰で宇宙は元の状態へと完全に戻る事ができたよ」
「言ったでしょ、私は全部救うって!」
「これで僕達はこの星に用は無くなった訳だ。そろそろお暇させてもらうよ」
「待ちなさい、インキュベーター」
ん?っと振り返ったキュウべぇを力一杯蹴り上げていた。
「今までの恨みよ、これで勘弁してあげる」
「訳が分からないよ」そう言って白い獣は姿を消した。
「そろそろ私も元の世界に戻るわ。絶・楽しかったわよ」
「アルマスがお世話になりました。あの、迷惑とかかけていませんでしたか、、、?」
「この子は?」
「私の相棒のティニよ」
「ティターニアと言います。ティニって呼んで下さいね♪」
パタパタと宙を舞う妖精を見てももう驚かない自分が居た。
「ありがとうアルマス。アルマスのお陰でこの世界は救われたわ」
「ありがとうねあるまさん。また何処かで会えるかしら?」
「またなあるま!また一緒に遊ぼうぜ!」
「そうだ、CDあげるから持っていきなよ」
「あるまちゃん、またね」
箱の形をした装置に入ってゆく二人を見送り手を振るといつの間にか装置は姿を消した。
………………………………………………………………
あれから少しの日々が流れた。町の復旧工事も目処が立ち私達はいつもの生活を取り戻していた。あの時から止まっていた私にとって夢にまで見た日々。
「ほむらって実は頭良く無かったり?」
「黙りなさい助六」
幾度となく繰り返した一ヶ月の勉強なら完璧なのだがまだ見ぬ問題のテストでさやかに点数に大差を付けられ悔しい思いをしたり。
「ほむらちゃんって眼鏡かけてたんだね」
「そうよ、似合うかしら?」
元々眼鏡をかけていたのだけど魔法の力で視力を補正し裸眼となっていたのだが魔法を失い再び眼鏡姿へと。
「おーい、ほむら!そんなんじゃ置いてっちまうぜ!」
「ま、待ちなさい……」
もちろん貧弱だった身体にも魔法をかけていたのでそれを失ってしまった今私は病弱な女の子だ。こう思うと自分が受けていた魔法少女の恩恵を思い知る。
「みんな集まったわね。今日はパウンドケーキよ」
そして放課後に巴マミの家に集まり紅茶とケーキを頂く。誰かさんが居ないだけでここまで味が変わるのかと感動を覚える程。
その帰り道夜空に浮かぶ星を見ながら自宅へと帰る。誰も居ないこの家に。
家に誰かがいる煩わしさより少し寂しいと思いながら一人夕ご飯を作り食べる。
そんな時ドアをノックする音が聞こえ箸を止め来客を迎える事に。
「ほむら、元気にしてた?」
「あ、アルマス!?」
「またティニと喧嘩をしちゃって、、しばらくここに泊めて!」
ため息を吐きながら来客を部屋へと招き入れてゆく。
ここまで目を通して貰いありがとうございました!
名作が多いまどマギSSを書くというプレッシャーはかなりありましたけど楽しく書く事が出来ました。
しばらく僕ティルはお休みしてユリ物語とキル姫日記を書きたいと思います(多分)